矢田わか子の発言 (本会議)

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○矢田わか子君 民進党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
 本法案への意見を表明する前に、まず、昨日、参議院本会議において、中間報告という参議院の委員会中心主義を無視した手段によって、組織犯罪処罰法、いわゆる共謀罪法が強行採決されたことに強く抗議をいたします。
 この法律に基づき犯罪の計画、準備行為を事前に把握するには、警察当局が日常的に監視体制を取る必要があり、私たちは監視社会がつくられることを大きく懸念いたします。電話やメールやソーシャルネットワークの監視、あるいは隠しカメラによる撮影などが一般市民にまで及ぶ可能性は否定できません。国民生活に大きな影響を与える法案をたった十七時間という僅かな審議で打ち切り、これを強行採決したことは許されることではありません。改めて強く抗議するとともに、一般の国民や組織、団体が不当に監視や捜査の対象にならぬよう、私たちも厳格な歯止めを掛けていきたいと思います。
 さて、獣医学部新設をめぐる文部科学省のメール、文書の調査ですが、国民世論に押されて、文部科学省は、昨日、ようやく二回目の調査結果を出しました。しかし、肝腎の、官邸の最高レベルが言っている、あるいは総理の御意向という文言の入った文書については、存在は明らかにされましたが、指示を出した内閣府側は本日の内閣委員会でも否定をしています。
 一方、今回の調査で明らかになった点もあります。それは、新しいメールが報告され、その中に萩生田官房副長官の指示で修正を行ったことが明示されていることです。本日、内閣及び予算委員会で関与を否定されています。加えて、先ほどの予算委員会で山本大臣からは、職員が隠れてやったことなどと驚くべき発言がありましたが、依然として不可解な点もまだ多く、今後、徹底的に調査をしていかなければならないと考えております。
 いずれにしても、このような文書管理、文書開示の在り方では、国民の皆さんが納得できようはずがありません。本通常国会は、延長なしで間もなく閉会します。このままで終わってしまえば、国民の政治不信は高まるばかりです。閉会中審査も含め、国民の皆さんが理解、納得できるようにしていかなければなりません。
 あわせて、公益通報者保護制度の改正が必要だと改めて感じました。なぜならば、勇気を持って告発した前川喜平前文部科学事務次官は、この制度の対象にはなっていないのです。また、同じく内部告発された現役官僚の皆さんがきちんと保護される公務員制度の運用改善を提案いたします。このことが政治、行政への不信を取り除く第一歩になると考えます。
 さて、本題の国家戦略特区改正案ですが、私たちがなぜこの法案に反対するのか、理由を述べさせていただきます。
 私たちは、様々な規制改革メニューの活用を通じて、成長力のある日本をつくる、あるいは国際競争力を強化するという国家戦略特区制度の考え方自体を決して否定するわけではありません。今回の法案の小規模認可保育所の対象年齢の拡大や、自動走行、ドローン等の先端実証実験などは、課題は残っていますが一定の評価をしています。なぜならば、これらのプロジェクトは、国家戦略特区の目的にかなっているだけではなく、制度の運用の原則である、一つ、情報公開の徹底、二つ、透明性の確保、三つ、調査審議の公平性、中立性の確保、この三つを遵守しているからです。
 しかしながら、強力なトップダウンで進められている国家戦略特区制度は、運用によっては一部の者を過度に優遇することになりかねない構造的な課題をはらんでいます。それは、構造改革特区制度とは異なり、規制を所管する官庁はもとより、与党の皆さんとすら十分な調整が行われることなく物事が決まっていくからです。そのため、安倍総理や政治家、さらには諮問会議メンバーなど、結び付きの強い者の事業が認定されているのではないかという疑いが出てきました。
 そこで、本法案に反対する具体的理由として、この国家戦略特区の本質を、本来趣旨を逸脱した例を御紹介させていただきます。
 第一に、言わずもがな、今治市における獣医学部の設立に関わる問題です。
 この問題の本質は、広島県・今治市の特区の指定から獣医学部の新設において、全てが加計学園ありきで進められたのではないかということです。
 文科省の再調査で存在が明らかになった、先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新しいニーズに対応する獣医学部の設置の文書の中で、山本大臣の判断で広域的にという文言が付け加えられました。本日の内閣委員会で山本大臣は、この加筆をした意図は、ほかの地域にできないようにという趣旨の答弁を行いました。これこそが加計学園ありきで進められてきた証左なのです。
 今治市の獣医学部設置の要望は二〇〇七年から一四年まで十五回にわたって出されていましたが、これが実現しなかったのは、獣医師の需給には問題がなかったという当たり前の判断からでした。しかし、今回、なぜこんなにも短期間で認可されたのかといえば、残念ながら、総理の腹心の友だからではないでしょうか。
 第二に、成田市の国際医療福祉大学です。
 平成二十八年九月二十六日の藤原内閣府審議官との打合せ概要の中で、成田市の際には三省の方針に一校と記載、諮問会議としては三省が決めたことなど知ったことではないが、方針を出さないと省としてもたないということで作った、裏では政治的なやり取りがあったと記されています。大事な点は、裏で政治的なやり取りがあったということです。
 国際医療福祉大学は、数多くの官僚を受け入れています。この大学ができるときにも、文部科学省の元事務次官から、政治案件だから文部科学省は粛々と事務だけを行うようにという趣旨の電話が入っています。この国際医療福祉大学の設置過程は、加計学園設置のモデルになっています。そのことからも分かるように、本当に大きな問題を抱えているのです。
 第三に、諮問会議の民間議員、竹中平蔵氏が関与している案件です。
 例えば、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入れ事業について、大手人材派遣会社が事業者として認定されましたが、その会長は竹中氏その本人です。また、農業分野で特区に指定された兵庫県養父市では、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社オリックス農業が参入しており、審査する側が仕事を受注するという極めて不公平な事態が起きております。
 このように国家戦略特区制度は、非常に不透明で、不公正に物事を決めることができる構造を抱えているのです。とりわけ、加計学園の理事長が安倍総理大臣と親密な関係にあったことから、ますます疑念が深まっています。総理の御意向なのか、いわゆるそんたくなのかは分かりませんが、事実関係を曖昧にすることは、良識の府としての参議院では絶対に許されません。このように国家戦略特区法が恣意的に運用されていないかという疑念が残る限り、私たちとしては制度の見直しを求めざるを得ないのです。
 この点を踏まえ、民進党・新緑風会は、国家戦略特区法の適用を停止するとともに、国家戦略特別区域に関する制度の見直しについて定める法律案を本院に提出しました。この法案の概要は、今後認定される事業について、その適用を一旦停止し、これまでに特区に指定された事業に関して、その効果や決定プロセスを再評価しようというものです。残念ながら、数の力で採決されることはありませんでした。
 今後、この考え方に立ち、区域計画の作成や規制改革メニューの検討において、本来の理念に沿っているのかという検証、あるいは経済的波及効果についての検証をすべきことを強く求めます。また、今回、これほどまでに広がってしまった国民の政治不信を取り除くために、政策決定プロセスが厳格に管理され、国民に明示されることを提案したいと思います。
 以上の理由から、私たちは本法案に反対いたします。
 議員各位におかれましては、国家戦略特区の事業が当初の理念に沿わない現実を直視していただき……

発言情報

speech_id: 119315254X03420170616_027

発言者: 矢田わか子

speaker_id: 21767

日付: 2017-06-16

院: 参議院

会議名: 本会議