中川雅治の発言 (環境委員会)
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○中川国務大臣 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の中川雅治です。
第百九十五回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、御挨拶とさせていただきたいと存じます。
今日の環境問題は、気候変動、廃棄物問題、さらには原子力災害による汚染など、人類のあらゆる社会経済活動から生じ得る、多様で複雑なものとなっています。一方で、我が国は、経済成長のみならず地域活性化、少子高齢化への対応、国土強靱化などの経済社会の諸課題を解決する必要があります。
技術、経済社会システム、ライフスタイルも含めたイノベーションを進め、環境上の諸課題に取り組むことが、経済社会上の諸課題も同時に解決し、将来にわたって質の高い生活をもたらす持続可能な社会を実現する新たな成長の牽引力となる、このような考え方に立ち、循環共生型社会の構築や東日本大震災からの復興・創生などの施策を展開してまいります。このことは、国連総会で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念とも軌を一にするものと考えております。
まず、国内外で進める気候変動対策について申し上げます。
昨年十一月にパリ協定が発効し、途上国も含めた世界全体が気候変動の脅威に取り組むという確かな潮流ができています。
私は、本年十一月、国会のお許しを得て、ドイツのボンで開催された国連気候変動枠組み条約の第二十三回締約国会議、COP23に出席し、世界の気候変動対策の着実な実施に向けた我が国の立場を表明するとともに、途上国の気候変動対策に関する情報の透明性を向上させるためのパートナーシップを設立する等、我が国の積極的な取り組みについても発信してまいりました。
また、米国の代表と会談を行い、気候変動問題に取り組むことの重要性と、全ての国がパリ協定に参加することの意義を強調するとともに、他の主要国に対しても、世界が一致団結して気候変動対策に取り組むという機運をさらに高めていくことの必要性を訴えてまいりました。
今回のCOP23では、議長国フィジーによるリーダーシップのもと、パリ協定の実施指針の策定に向け一定の進捗が得られるとともに、企業や自治体などの非政府主体を巻き込んだ世界的な行動を促進する積極的な取り組みが数多く示されました。我が国としても、引き続き各国と連携しつつ、世界の気候変動対策において中心的役割を果たしてまいります。
我が国としては、パリ協定のもと、国内の大幅排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減に最大限貢献し、我が国のさらなる経済成長につなげてまいります。
このため、まずは、地球温暖化対策計画に基づき、国内の温室ガス排出量を二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減する目標の達成に向け、抜本的な再生可能エネルギーの導入に取り組みます。また、徹底した省エネルギーの推進、フロン類対策、ESG投資など環境金融の充実強化、クールチョイス、賢い選択を旗印とした低炭素型のライフスタイルや製品等の選択を促進する国民運動等を進めます。
これらの取り組みを通じたいわゆる低炭素投資の拡大は、我が国のさらなる経済成長や、再生可能エネルギーの活用を通じた地方創生などの好循環を生み出すことにもなります。
さらに、二国間クレジット制度などを通じて、我が国が有するすぐれた技術の海外展開を図ることにより、世界全体での削減に貢献してまいります。
また、二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減することを目指し、関係審議会等における検討状況も踏まえながら、来年度の早い段階で、長期低排出発展戦略の策定に向けた政府全体としての検討を開始できるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいります。今後の中長期的な排出の大幅な削減のための有効な手段の一つであるカーボンプライシングについて、精力的に検討を進めてまいります。
さらに、気候変動の影響が顕在化しつつある中、適応策の充実強化に向けて取り組んでまいります。
次に、被災地の着実な環境再生の推進と、国内外における資源循環の展開について申し上げます。
本年七月に新設した環境再生・資源循環局のもとで、東日本大震災被災地の環境再生に向けて一層の取り組みを進めるとともに、国内外のライフサイクル全体での徹底した資源循環に取り組んでまいります。
東日本大震災の発生から六年半以上が経過し、被災地は復興・創生期間という新たなステージに入っています。私は、被災地の皆様との信頼関係こそが一番大切であるとの思いから、大臣就任直後から、福島の被災地にお伺いして、知事や市町村長を初め、多くの方々から直接お話を伺ってまいりました。まだまだ困難な課題はありますが、何よりも被災地の皆様の思いに寄り添いながら、復興再生に誠心誠意取り組んでまいります。
除染実施計画に基づく面的除染については、本年三月までにおおむね完了しました。復興のさらなる加速化に向け、中間貯蔵施設の整備とこれに必要な用地の取得、施設への除染土壌等の継続的な搬入を着実に進めており、本年十月には除染土壌の貯蔵が開始されました。並行して、最終処分量の低減を図るため、除染土壌等の減容、再生利用に関する取り組みを進めます。
また、放射線に係る住民の健康管理や健康不安への対応についても、福島県の県民健康調査への支援、疾病の動向の把握、地域のニーズに合ったリスクコミュニケーション事業の推進等の取り組みを進めてまいります。
帰還困難区域については、本年五月に成立した改正福島復興再生特別措置法を踏まえ、双葉町及び大熊町の特定復興再生拠点区域復興再生計画が認定されました。今後、これらの計画に基づき、除染とインフラ整備等を一体的に進めてまいります。
指定廃棄物等について、福島県では、既存の管理型処分場への搬入を開始したところであり、今後も安全確保を大前提として事業を進めてまいります。また、その他各県についても、それぞれの状況を踏まえつつ、引き続き、安全な処理の実現に向けて地元と調整を進めてまいります。
国内外の資源循環については、将来にわたり地域社会、暮らしを支えるため、更新時期を迎えつつある一般廃棄物処理施設の整備について、地域の需要に的確に応えられるよう、広域化、集約化を図りつつ、早急かつ適切に支援を進めてまいります。あわせて、浄化槽についても普及を進めます。
また、熊本地震等、近年の災害の経験を踏まえ、災害が起こってから行動を起こすのではなく、今後想定され得る大規模災害もあらかじめ念頭に置いて、災害廃棄物の円滑な処理体制の確保及び処理施設の防災拠点化等の強靱化対策を進めてまいります。
さらに、廃棄物処理や浄化槽といった我が国のすぐれた技術について、環境インフラ海外展開基本戦略を踏まえ、積極的な海外展開を図り、途上国における循環型社会の構築に貢献するとともに、我が国の循環産業の発展を図ります。また、使用済み小型家電からのリサイクルメダルの取り組みを初めとするスリーRの推進に取り組んでまいります。
次に、魅力ある我が国の自然の保全、活用と生き物との共生に向けた取り組みについて申し上げます。
二〇一六年には、推計約五百四十六万人の訪日外国人が国立公園を訪れており、日本の自然に親しんでいただいています。これを二〇二〇年には一千万人にすることを目指して、国立公園満喫プロジェクトを積極的に推進します。国立公園の美しい景観や温泉といった地域固有の自然を保全しつつ、資源として積極的に活用して大自然を体感できる空間とし、先行している公園の取り組みを他の公園にも展開しながら、我が国の国立公園を世界水準のナショナルパークへと改革していきます。
生物多様性を確保するための取り組みについては、人と自然との共生を目指す愛知目標の達成に向け、まず、ヒアリ等の外来種について、関係省庁と一体となって正確な情報の提供に全力を挙げるとともに、水際対策を強化し、徹底的な早期発見、早期防除を進めます。本年八月の日中韓三カ国環境大臣会合においても外来種対策の問題を取り上げたところであり、各国との連携を強化します。また、鹿やイノシシなどによる被害を防止するための鳥獣管理を推進するとともに、希少種保全、遺伝子組み換え生物の使用等の規制などに取り組みます。さらに、災害時の対応等を含め、ペットの適正な飼養などを進めます。
現在及び将来の世代が良好な環境の中で健康に暮らす、そのための安心、安全の基盤を確保するための取り組みは、環境省の原点であります。さまざまな環境リスクの低減に向け、しっかりと取り組みを進めます。
まず、水俣病を初めとする公害健康被害対策、石綿健康被害者の救済については、引き続き真摯に取り組みます。
また、化学物質の環境リスクの評価と管理を着実に進めていきます。子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査については、息の長い取り組みとして、引き続き着実に実施してまいります。
本年八月に水銀に関する水俣条約が発効し、私はスイスのジュネーブで本年九月に開催された第一回締約国会議に出席してまいりました。条約の実施のための国内取り組みを着実に進めるとともに、途上国の水銀対策の支援等を通じて世界の水銀対策をリードしていきます。
PCB廃棄物については、一番早い地域では今年度末にも処分期限を迎えることとなりますが、期限内に処理を確実に達成できるよう取り組みを進めます。
微小粒子状物質、いわゆるPM二・五については、科学的知見の充実を図りつつ、国内の排出源対策を進めるとともに、中国を初めとするアジア各国と越境汚染対策に関する協力を推進します。また、土壌汚染対策、瀬戸内海や琵琶湖を初めとする水環境の保全にも着実に取り組んでまいります。
さらに、国内外で課題となっているマイクロプラスチックを含む海洋ごみについて、国際的な連携も進めつつ、実態把握や回収、処理、発生抑制対策を総合的に推進してまいります。
次に、原子力防災等について申し上げます。
万が一の原子力発電所の事故に対応するため、内閣府特命担当大臣として、原子力防災に取り組みます。
本年十月、原子力防災会議において、大飯地域の緊急時対応が了承されました。今後も、引き続き、原子力防災会議を中心に、関係省庁を挙げて、地方自治体の地域防災計画、避難計画策定への支援、要配慮者への対応や防災資機材の整備への財政支援、原子力防災業務に携わる人材の育成などにきめ細かく取り組んでまいります。
原子力災害に対する備えに終わりや完璧はありません。今年度は、玄海地域で原子力総合防災訓練を実施しており、これらの防災訓練等を通じて、各地域の防災計画、避難計画の継続的な充実強化に努めてまいります。
また、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣としてしっかりとサポートします。
現在、環境基本計画や循環型社会形成推進基本計画といった今後の環境政策の方向性を定める重要な計画の見直しを進めています。人と環境を守ることはもちろん、経済社会のあらゆる面において環境との同時解決を実現すべく、引き続き全力で取り組んでまいります。
以上、環境大臣として、また、原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取り組みの一端を申し上げました。
松島委員長を初め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)