足立康史の発言 (憲法審査会)
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○足立委員 日本維新の会を代表して、欧州調査団に参加をさせていただきましたので、私の所感を申し述べたいと思います。
今回の欧州調査を通して学んだ最重要事項は、憲法改正も政治である、憲法改正を政局から切り離すことはできないということであります。
キャメロン前首相の英国でも、レンツィ前首相のイタリアでも、憲法改正等の国民投票が時の政権の人気投票になってしまい、その結果、当該政権が意図した方向とは真逆の結果になってしまったのは御承知のとおりであります。
しかし、だからといって、時の政権が憲法改正を主導したら失敗するとか、野党の協力を得るために時間をかけるべきだ等と解釈するのは大きな間違いです。
日本の憲法は、英国と違って成文憲法であり、イタリアのように国会の絶対多数で可決することにより国民投票を避ける方法もありません。国民投票で否決されるリスクがあるからといって国民投票自体を実施しないというのでは、結局、主権者である国民の手から憲法を奪い続けることになってしまいます。
むしろ、英国やイタリアで実施された国民投票の結果から日本が学ぶべきは、どんなに政局にならないように努力をしても、政権の支持率は時間とともに低下し、仮に、イタリアのように、一時的に憲法改正に協力することを約束する野党があったとしても、政権の不人気にはあらがえないということ、必ず政治化するということであります。
イタリアでは、レンツィ首相とたもとを分かつこととなったフォルツァ・イタリアの会派長らと意見交換し、イタリアの国民投票がいかに最初から最後まで政治に貫かれていたかを理解することができました。
イタリアの憲法改正と選挙制度改革は、二〇一四年一月のナザレノ協定から始まりました。ナザレノ協定というのは、憲法改正と選挙制度改革を実現するために、レンツィ首相がベルルスコーニ党首と結んだ協定でありますが、政権が主導する憲法改正に野党が協力するには困難を伴うはずです。
何がそうした高邁な与野党間合意を可能にしたのか。現地ローマでヒアリングをしてわかったのは、ナザレノ協定は高邁でも何でもなく、二大政党のリーダーであるレンツィとベルルスコーニが決選投票の当事者となって、それによって五つ星運動を潰す、まさに二大政党による二大政党のための政治合意であったということであります。
そうした観点からいえば、その後、支持率を落とし、二大政党の一翼とは言えなくなったベルルスコーニ率いるフォルツァ・イタリアがナザレノ協定を破棄するのは理の当然であり、必然だったわけであります。
森団長からの御報告では、憲法改正の国民投票が時の政権の人気投票になりがちだから慎重であるべきとの意見が紹介されていましたが、反対に、ローマで意見交換をしたチェッカンティ教授に国民投票が政治化するのを避ける方法を問うたところ、正反対の、できるだけ迅速に改正を行うことだとおっしゃられたのが示唆的でありました。
つまり、政治化しないように慎重を期することが大事なのではなくて、政治化することを認めた上で、国民ができるだけ正面から憲法に向き合えるよう、国民投票に向き合うことができるよう環境整備に努めることが大事なのであります。
例えばメディアであります。森団長からも御報告いただいたように、キャメロン前首相との懇談の際に、私がマスメディアに対する不満はないのかと問うたのに対し、前首相は、政治家がマスメディアに対して文句を言うのは、農家が天気に文句を言うようなものだとおっしゃいました。
しかしながら、注意が必要なのは、このキャメロン前首相の指摘は、英国人がマスメディアの情報をころころ変わるお天気程度にしか信用していないということの裏返しでもあるということです。
ある民間機関の調査によると、新聞やテレビといった主要メディアへの信頼度は国ごとに大きく異なっており、日中韓といったアジア諸国では高く、欧米諸国では低い、日本では国民の七割がマスメディアを信頼しているのに対し、英国ではわずか一四%にとどまるのだそうであります。
かつての平和安全法制、最近の森友、加計問題に係るマスメディアの偏向ぶり、中でも朝日新聞の捏造、誤報、偏向報道のオンパレードを見るにつけ、マスメディアを正すか、あるいはマスメディアへの信頼度を欧米並みに引き下げるかのいずれかに取り組むことこそ、憲法改正国民投票に向けた最も重要な環境整備ではないかと考えます。
いずれにせよ、キャメロン首相からは、EU離脱の是非を問う国民投票をやらなければよかった等の泣き言は一切出てきませんでしたが、唯一あったアドバイスは投票用紙の文言についてでありました。
EU残留かEU離脱かを問う英国の国民投票では、当初、EU残留にイエスかノーを選択する予定でありましたが、不公平だという観点から、残留、リメーンか、離脱、リーブかを選択することとなり、否定的なノーよりも能動的なリーブの方が選好しやすくなった等の分析がなされているとのことでありました。
確かに、日本でも、政権が言うところの平和安全法制を一部野党が戦争法と呼び、野党の言う共謀罪を政権がテロ等準備罪とするなどの政争に明け暮れてきたわけで、投票用紙に記される文言の表現が重要であるというのは十分に理解できるところであります。
憲法改正原案を提案し、そして審査する私たち国会議員の責任は重大であると改めて強調しておきたいと存じます。
キャメロンもレンツィも首相を辞し、一旦は身を引きましたが、本人のみならず周辺は再起を期するという前向きなエネルギーに満ちあふれていました。レンツィ前首相の言葉でありますが、全ての改革の母たる憲法改正に挑戦するのは、いずれの国にあっても国士たる政治家が背負っている避けることのできない責務であると申し上げて、私からの報告とさせていただきます。
ありがとうございます。