白眞勲の発言 (憲法審査会)
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○白眞勲君 民進党・新緑風会の白眞勲でございます。
会派を代表いたしまして発言をさせていただきます。
まずは、本日、このように与野党合意の上で久々に憲法審査会が開かれたことを喜ばしく思います。
本年六月、民進党など野党四党は、憲法五十三条に基づき、森友・加計問題の疑惑の真相解明に取り組むことが不可欠と明記した臨時会召集要求書を提出いたしました。しかし、安倍内閣は、それを三か月以上無視し、この要求書を踏まえ召集すると閣議決定し、召集した九月の臨時会を冒頭解散するという暴挙に及びました。
憲法五十三条には、「要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と明記されています。この趣旨は、安倍内閣以前より、召集のために必要な合理的な期間内に召集しなければならないとされ、内閣に許される猶予は、あくまでも召集の準備期間に限るものとされています。森友、加計疑惑に対し丁寧に説明すると表明してきた安倍内閣に、今更何の準備が必要だったんでしょうか。単に疑惑の追及による支持率の低下と、それによる解散総選挙の主導権の喪失を逃れようとした憲法五十三条違反の暴挙と断ぜざるを得ません。
また、ようやく召集した臨時国会において、なぜ、たとえ数日でも森友、加計疑惑の審議を行うことができなかったのか。冒頭解散の必要不可欠性について、安倍内閣は何ら合理的な説明ができていません。すなわち、憲法七条による国難突破解散は、憲法五十三条をじゅうりんする私利私欲、党利党略の違憲行為であると言わざるを得ません。
安倍総理は憲法改正を強く主張していますが、国会を無視し、国民を無視し、現行憲法を遵守しない総理が改憲を主張することは何の説得力もありません。
また、自民党憲法改正草案五十三条は、召集要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならないとしておりますが、安倍総理自らが二十一世紀にふさわしい憲法草案と誇示してきた改憲草案にも背く行為を取ることは、究極の自己矛盾であります。安倍総理は、改憲を唱える前に、まずは憲法を守り、そして国民、国会に対する自らの言葉を守る政治家になる必要があります。
我が国では、これまで憲法七条を根拠に内閣による自由な解散権行使がなされてきましたが、憲法六十九条以外の場合は、内閣と議会の対立が生じた場合や、前回の選挙後に重要な争点が発生した場合などに限られるべきであるとも考えられます。この点、議院内閣制の本家と言える英国は、二〇一一年、議会期固定法を制定し、内閣による自由な解散は認められなくなりました。また、ドイツでは、憲法上、首相が提出した首相信任案が否決された場合などにしか解散が認められていません。
民進党は、憲法五十三条の臨時国会召集義務違反と憲法七条の解散権濫用について、憲法審査会において安倍内閣の暴挙を調査し、その再発を防止するための議論を行うべきと考えます。
安倍政権による立憲主義の破壊の最たるものは安保法制です。集団的自衛権行使の解釈変更は、いわゆる昭和四十七年政府見解の恣意的な読替えという、法解釈ですらない不正な手口による絶対の憲法違反であることは既に完全に立証されています。
そうした中、安倍総理は、本年五月に、九条一項、二項は変えずに、すなわち従来の政府解釈は維持したまま自衛隊を明記すると発言し、さきの総選挙の自民党公約でも自衛隊の明記が記載されました。
国民の大多数は自衛隊の存在を認めており、自衛隊を憲法に書き込む程度の改正ならば、多くの国民が、まあその程度ならばいいのではと理解し、国民投票で賛成票を投じてくれるというもくろみで安倍総理は発言したのではないでしょうか。しかしながら、今の自衛隊は、これまで憲法で禁じられてきた集団的自衛権を可能にした組織を書き込むわけで、安倍総理のもくろみは、一昨年の安保法制の強行採決により、今までのとは意味の違った自衛隊を認めさせて、それによって集団的自衛権を合憲化しようとしていることにほかなりません。
しかし、安倍総理の唱える自衛隊明記の改憲は、昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理が存在するという解釈変更の不正行為の虚偽で再度国民をだまして行われる立憲主義の破壊的行為とも言えるべきだと私は思います。これは、法的には憲法九十六条等に違反するものと解され、政治的には国民に対するうそつき改憲であり、押し付け憲法論どころではないだまされ憲法論という、克服不能な大混乱を生じる究極の暴挙と考えられ、到底許されるべきものではありません。
民進党は、自衛隊を合憲と考えています。憲法学者の六、七割が自衛隊を違憲としている状況を改めるために九条に追加するというのであるならば、憲法学者の九割以上が違憲とする集団的自衛権の違憲性を何ら問題視していないのはなぜでしょうか。九条をめぐる安倍総理の発言は、国民を欺くまさしく悪意のミスリードなのか、若しくは安倍総理が根本的な点で理解していないミステークなのか、まさにミステリーとしか言いようがない発言です。
また、安倍総理は、五月の改憲発言の際、二〇二〇年の改正憲法施行を目指すとしましたが、その後、スケジュールありきでないと修正しました。しかし、十一月一日の記者会見においては、一九年夏の参議院選と憲法改正国民投票との同時実施について否定せず、マスコミ等では、政府・与党は一九年の参議院選と国民投票の同時実施を考えていると盛んに報道等されています。
与野党が政権等を争う国政選挙と、国会の三分の二以上の勢力の協調に基づき発議される国民投票を同時に行うことは、国民の混乱を招き、国民の冷静な判断を妨げるおそれがあり、絶対に許されるものでないと考えます。
この点、国民投票法制定時の自民党保岡委員などの与党発議者においても、国民投票と国政選挙の同時実施は想定していないとの答弁がなされており、同時実施を肯定する安倍総理の見解は国民投票法違反の疑いがあると思います。
最後に、我が民進党は、現行憲法を高く評価し、その役割は今後ますます重要度が高まると考えています。しかし、いかなる法も未来永劫に完璧ではありません。時がたつにつれて改めるべき点が生まれることは当然にあり得ます。そのように改めるべき点が生じ、我が憲法審査会において、平成二十六年附帯決議にある、立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づき、かつ立法措置によって可能とすることができるかどうかについて徹底的に審議を尽くした結果、憲法改正によって改めることしかないとの判断に至ったならば、憲法であっても改正するべきです。
民進党は、こうした見解に立った上で、解散権の制約などほか、知る権利、国と地方の在り方について議論を行ってまいりました。
我が憲法審査会は、良識の府参議院の存立に向けて、国民のための憲法保障機能を全うする必要があります。現行憲法を正しく評価し、その上で立憲主義と憲法を守ることが今求められています。
民進党は、憲法前文に規定される平和主義などの基本原理は堅持されるべきであり、自由と民主主義とを基調とした立憲主義は断固として守るべきこと、そのために、憲法審査会で徹底した憲法違反の調査もまた改憲論議の前提として審議を尽くすことを述べて、終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。