志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
 冒頭、草津白根山噴火で犠牲になった方への哀悼とともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。政府に、万全の対応とともに、全国百十一の活火山の警戒監視体制の総点検を求めるものです。
 森友、加計疑惑について質問します。
 前国会の質疑を通じて疑惑はいよいよ深まりました。
 森友疑惑では、財務省の側から森友学園に値引き売却を提案し、口裏合わせをはかっていたことを示す音声データの存在を政府も認めざるを得なくなりました。総理、売る側の財務省が値引き売却を提案するというのは、余りに異常なことだと考えませんか。
 さらに、交渉記録を破棄したと国会で答弁しながら、交渉に関連する記録が存在していたことが明らかになりました。これは国会を愚弄するものではありませんか。
 加計疑惑では、二〇一五年六月の国家戦略特区諮問会議のワーキンググループに、加計関係者が出席、発言していたことが隠され続け、速記録まで破棄されていたことが明らかになりました。加計学園の獣医学部新設が決定される一年半も前から、加計関係者が政府の会合に出席していた。総理、これは加計ありきとしか言いようのない異常な事態だと思いませんか。
 ここまで深刻になった国政私物化疑惑をこのまま幕引きにするなど絶対に許されません。安倍昭恵氏と加計孝太郎氏の国会招致、全ての関連文書の公表を強く求めます。総理の見解を問うものです。
 暮らしと経済について質問します。
 安倍政権の五年間は何をもたらしたか。大企業は史上最大の利益を上げ、内部留保は四百兆円を超えるまで積み上がり、一握りの超富裕層の資産は三倍にもなりました。その一方で、働く人の実質賃金は年額で十五万円減り、実質消費支出は二十万円減りました。
 総理、安倍政権の五年間で格差が拡大し、貧困が悪化した、この事実をお認めになりますか。
 こうしたもとで、重大なのは、政府が生活保護を最大五%削減する方針を決めたことです。既に生活保護は、二〇一三年の見直しで最大一〇%削減されています。
 昨年末、市民団体が行った生活保護緊急ホットラインでは、食事が削られている、入浴回数が月一回になっている、耐久消費財の買いかえができない、サイズの合わない昔の服を着続けている、真冬に灯油が買えず肺炎になったなどの深刻な実態が寄せられました。さらなる削減の方針に対して、もう削るところがない、死んでくれと言われているようだとの痛切な訴えが出されています。
 総理に伺います。
 第一に、政府は、生活保護削減の理由として、生活保護を利用していない低所得世帯の生活水準が下がったから、それに合わせて引き下げるとしています。
 総理は、安倍政権になって貧困は改善したと宣伝してきましたが、低所得世帯の生活水準が下がったということは、貧困は改善という宣伝がうそであり、アベノミクスが失敗したことをみずから認めることになるではありませんか。
 第二に、低所得世帯の生活水準が下がったというなら、生活保護を削るのでなく、低所得世帯の生活を支援することこそ政治の責務ではありませんか。生活保護の捕捉率、利用の要件のある人のうち実際に利用できている人の割合は二、三割と言われています。こうした生活保護行政の欠陥にこそメスを入れるべきではありませんか。
 生活保護の削減は、広範な国民の暮らしに重大な影響を与えます。住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などで、低所得世帯の生活悪化に連動します。低所得世帯の生活水準が下がったことを理由に生活保護を削れば、際限のない貧困の悪循環をもたらすことになるではありませんか。
 第三に、今回の生活保護削減では、子供の多い世帯ほど削減幅が大きくなります。都市部に暮らす夫婦と子供二人世帯の場合、生活保護費は年十一万円の減額になり、二〇一三年の削減と合わせると、年三十七万円もの大幅な減額になります。総理は施政方針演説で、生活保護世帯の子供たちへの支援を拡充しますと述べましたが、やろうとしていることは全く逆ではありませんか。
 生活保護は、憲法二十五条に明記された国民の生存権を保障する最後のセーフティーネットです。日本共産党は、生活保護削減方針を撤回し、二〇一三年の削減前の水準に戻すことを強く要求します。
 今回の削減予算は百六十億円です。思いやり予算など米軍経費の来年度の増加分百九十五億円を充てれば、お釣りが来ます。政府がまず思いやるべきはどちらなのか。その答えは余りにも明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
 いま一つただしたいのは、総理の言う働き方改革についてです。
 総理は、働く人の視点、立場に立った改革を進めると言っていますが、一体誰のための改革なのか。ここが問題です。
 政府の改革の目玉とされている高度プロフェッショナル制度では、一定の年収の労働者は、どんなに働いても残業代はゼロ、労働時間規制もなくなります。この制度でメリットがあるのは使用者側だけではありませんか。労働者側に一体どんなメリットがあるのですか。過労死を一層ひどくするだけではありませんか。
 この制度の導入を一貫して主導してきたのは日本経団連です。労働側は、連合も全労連も、全ての労働団体がこぞって猛反対しています。高度プロフェッショナル制度、残業代ゼロ法案が、働く人の視点、立場に立った改革などではなく、働かせる側、財界の立場に立った制度であることは明らかではありませんか。
 総理の言う残業時間の上限規制にも大きな問題があります。
 政府案では、残業の上限月四十五時間は原則にすぎず、繁忙期は月八十時間、百時間という過労死水準の残業を容認するものとなっています。
 電通は、高橋まつりさんの過労自殺という痛ましい事態を受け、遺族との合意文書で、繁忙期であっても残業は月七十五時間以内にすると約束しています。月八十時間、百時間の残業を容認する政府案は、この約束からもはるかに後退したものではありませんか。
 総理は、一年前の施政方針演説で、高橋まつりさんの死を悼み、二度と悲劇を繰り返さないと述べましたが、あの誓いは一体どこに行ったんですか。
 安倍政権の働き方改革なるものは、徹頭徹尾、財界の立場に立った働かせ方大改悪と言わなければなりません。
 日本共産党は、残業代ゼロ法案の撤回を強く求めます。
 残業は週十五時間、月四十五時間、年三百六十時間までという大臣告示を法制化し、これを超える残業を認めないこと、終業から翌日の始業まで最低十一時間あけるインターバルを確保するなど、真に働く人の立場に立った労働基準法の抜本改正こそ行うべきであります。総理の見解を求めます。
 原発問題について質問します。
 小泉純一郎、細川護煕両元総理が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が、運転中の原発の即時停止、原発再稼働は一切認めない、自然エネルギーへの全面転換などを柱とした原発ゼロ・自然エネルギー基本法案を発表しました。基本法案の内容は我が党の立場と一致するものであり、全面的に賛成であります。協力してその実現のために全力を尽くす決意であります。
 総理に三つの基本点を伺います。
 第一に、どの世論調査を見ても、原発再稼働反対は国民の五割から六割で、揺るぎません。それは、福島の現実を日本国民が体験したからです。
 福島では、原発事故から七年近くになるのに、今なお県発表で五万人を超える県民の方々が避難生活を余儀なくされています。家もある、土地もある、草ぼうぼうになったけれども畑もある、でも帰れない、ふるさとが奪われてしまっている。福島のこの現実を目の当たりにして、再稼働反対は今や国民的合意になっていると考えますが、総理の認識を問うものであります。
 第二に、原発を再稼働すれば、計算上、わずか六年で原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になります。使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉となり、再処理工場も稼働のめどは立たず、完全に行き詰まっています。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場を、この地震、火山列島の一体どこにつくるのか。見通しがないじゃないですか。核のごみという点からも、再稼働推進は完全に破綻しているではありませんか。
 第三に、原発事故の処理費用は、既に政府の見積りでも二十一・五兆円に達し、どれだけ膨らむか全く不明です。全国の原発の廃炉の費用、核のごみの処理費用など、子々孫々まで巨額の費用を押しつけるのが原発です。総理、コストと言うならば、究極の高コストが原発ではありませんか。
 原発ゼロの決断と一体に再生可能エネルギーの飛躍的普及を図ることこそ、現実的で、真に未来ある道ではありませんか。答弁を求めます。
 沖縄の米軍基地問題について質問します。
 最初に報告を受けたときは震えて涙が出ました、娘を見て安心してまた涙が出そうになりました、ただただ子供たちを守ってほしい、ただそれだけです。米軍ヘリからの部品落下事故が起こった宜野湾市緑ケ丘保育園の父母会の皆さんからいただいた嘆願書につづられた、園児のお母さんの一人からの訴えであります。
 東村高江での米軍ヘリ炎上、大破事故、宜野湾市の保育園と小学校への米軍ヘリからの部品や窓の落下事故、年明けに三件も立て続けに起こった米軍ヘリ不時着事故。沖縄での米軍機事故の続発は、異常事態と言うほかありません。
 許しがたいのは、事故が起こっても、米軍は何事もなかったかのようにすぐ飛行再開を強行していることです。そして、日本政府が、米軍の言い分をうのみにし、飛行再開を許し続けてきたことです。総理、これで主権国家の政府と言えますか。
 総理は、こうした恥ずべき米軍追従姿勢を改め、沖縄の全ての米軍機の緊急総点検と飛行停止を米国に要求すべきです。学校、保育園、病院などの上空は、最大限、可能な限り飛行しないなどという米軍任せの取決めでなく、一切飛行しないことを厳重に約束させるべきです。明確な答弁を求めます。
 これまで政府は、普天間基地は市街地の真ん中にあるから危険、海辺の辺野古に移せば安全と言って、辺野古新基地建設をごり押ししてきました。
 しかし、普天間基地所属の海兵隊の軍用機は、基地周辺だけで事故を起こしているのではありません。この一年余りを見ても、名護市、久米島町、伊江村、石垣市、東村、宜野湾市、うるま市、読谷村、渡名喜村、沖縄全土で事故を起こしているのです。この事実は、普天間基地を辺野古に移したところで、危険な基地が沖縄にある限り、危険は変わらないことを示しているではありませんか。
 普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設の中止、海兵隊の沖縄からの撤退こそ、県民の命と安全を守る唯一の解決策です。総理の見解を求めます。
 最後に、憲法九条改定について質問します。
 総理は、年頭の会見で、ことしこそ憲法のあるべき姿を提示すると述べ、年内にも九条改憲の国会発議を行うという姿勢であります。
 我が党が国会で繰り返し明らかにしてきたように、九条に自衛隊を明記すれば、九条二項の空文化、死文化に道を開き、海外の武力行使が無制限になってしまいます。
 何よりも、国民の多数がこのような憲法改定を望んでいません。日本世論調査会が年明けに発表した憲法に関する世論調査によると、憲法九条改定について、五三%が必要ないと答え、総理が加速を促す改憲の国会論議には、六七%が急ぐ必要はないと答えています。急いでいるのは、総理、あなただけなのです。国民の多数が望んでいないものを、総理の勝手な都合で、期限まで区切って押しつけるなどというのは、憲法を私物化する態度以外の何物でもないではありませんか。
 政府が、みずから述べてきた憲法上の制約を覆す大軍拡を進めようとしていることも重大です。
 安倍政権は、自衛隊の戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイル導入のための関連予算を来年度予算案に計上しました。新たなミサイルは、日本海の真ん中から北朝鮮全土に届く性能を持ち、敵基地攻撃が可能になります。
 さらに、安倍政権は、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」を改修し、最新鋭戦闘機F35Bが発着できるようにする検討に入ったと報じられています。このような改修がなされれば、戦闘機搭載の空母を保有することになります。
 長距離巡航ミサイルや戦闘機搭載の空母は、政府がこれまで憲法の趣旨から持つことができないとしてきた、他国に攻撃的な脅威を与える兵器そのものではありませんか。自衛隊の装備の面でも、従来の憲法解釈をなし崩し的に変更し、海外で戦争する国づくりを進めることは、断じて認めるわけにはまいりません。
 日本共産党は、九条改憲のあらゆる企てを許さず、九条を生かした平和日本を築くために思想、信条の違いを超えて力を合わせる決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 119605254X00320180125_010

発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2018-01-25

院: 衆議院

会議名: 本会議