神谷裕の発言 (本会議)
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○神谷裕君 立憲民主党の神谷裕です。
私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)
質問に先立ち、一言申し上げます。
本日から、やっと国会が正常化いたしましたが、この通常国会、本当に前代未聞の異常な国会だと申し上げざるを得ません。
一月に国会が開会してからというもの、決裁文書の改ざん、データの捏造、官僚による口裏合わせ、教育現場への圧力、高級官僚によるセクハラ、シビリアンコントロールの崩壊など、目も当てられないような重大な問題が次々に起きました。
立憲民主党を始めとする私たち野党は、再三再四、政府・与党に対して、これらの問題の全容解明のための必要かつ十分な審議と、その審議の前提となる資料の提出、調査結果の公表を強く求めてまいりました。
繰り返します。こうしたことの審議は質疑の大前提です。行政府を厳しく監視することは立法府の重要な責務であり、充実した質疑を行う環境を整える責任は、ひとえに政府・与党にあります。
特に与党の皆さんは、立法府の一員として、こうした行政府の不祥事を厳しく問いただすべき立場にあるはずです。野党のことを批判する時間があるなら、官邸の意向をそんたくする時間があるなら、みずからの立場を省みて、行政府に対して厳しい監視の目を向けるよう、あえてこの場で申し上げておきます。
何やら調整の結果記憶がよみがえっただの、セクハラに対する人権侵害まがいの調査だの、断じて許されるものではありません。
野党は結束して、改ざん、捏造、隠蔽、圧力、セクハラなど、これらの多くの重大な問題を、今後とも厳しく追及していくことを改めて宣言いたします。
安倍総理、あなたは、うみを出し切ると何度もおっしゃっておられました。そもそも、うみとは、具体的に何のことをおっしゃっていたのでしょうか。そのうみが出ている原因は何だとお考えでしょうか。出し切らなければならないほどのうみが出る原因に御自分の言動、行動があることを、どうかしっかりとお考えをいただきたいと思います。
それでは、本法案について質疑をさせていただきます。
本法案は、アメリカを含む十二カ国で署名をされたTPP協定の内容をアメリカ抜きで実現しようとするCPTPP協定の国内実施法であります。
このCPTPPの協議は、アメリカのトランプ政権成立による、アメリカ政府のTPP撤退の決定によってスタートしたものだと承知をいたしております。農業者を始め多くの国民の皆さんや、ここにいる与党の議員の中にも、アメリカ大統領のこの撤退の決断をほっとした目で見ていたのではないでしょうか。
TPP12の議論の中で、多くの懸念が指摘をされています。ISDSや農林漁業への影響、国民皆保険制度は大丈夫なのか、食の安全は守られるのか、小さな地方自治体の入札制度に外国企業を入れるかなど、国民生活のさまざまな部分で影響が出るのではないかとの懸念のもとに、大議論が巻き起こりました。
政府は、前回TPPの国会での議論の決着で、国民の皆さんが納得し、この大議論の結末に理解をされたとお考えなのでしょうか。まずは、TPPという枠組み自体及びTPP12についての国民皆さんの理解について、安倍総理大臣にお伺いをしたいと思います。
私は、多くの国民の皆さんに、TPPが大変な問題を抱えた協定であると、根強い懸念と反対の声があると認識をしております。その懸念がこれまでに解消されたものであるとは思っておりません。
そのような中でのTPP11の協議がスタートいたしましたが、協議では、アメリカのTPP復帰を考えた上での、極力形を変えない形で決着を見ようとされたようであります。しかし、そういった配慮によってアメリカの復帰が実現できるのか、多くの国民の皆さんの関心事であると思います。
そこで、率直に、アメリカ政府のTPP復帰を現実のものとできるのか伺いたいと思います。できるのであれば、どのような道筋で復帰できるのか、説明をお願いしたいと思います。また、反対に、どこかで見切りをつけるのであれば、どういった場合に結論を出そうと考えるのか、安倍総理にお伺いをしたいと思います。
アメリカ政府の撤退の決断を受け、TPP11の交渉がスタートしたわけですが、この間の日米交渉は、どのような話がなされたのでありましょうか。
政府は、これまでも、アメリカの復帰を促し、日米首脳会談を含め、さまざまな場面でアメリカ政府に働きかけを行ってきたと思います。しかし、現実には復帰は実現をいたしておりません。
むしろ、麻生副総理とペンス副大統領のもとで、日米経済対話という二国間協議を受け入れ、さらには、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することが先般の首脳会談で確認をされております。
アメリカサイドから見れば、こういった二国間での協議を受け入れた我が国政府の態度が、TPPへの復帰ではなく、日米二国間での経済連携協定そのものを容認していると映るのではないかとも思われるのでありますが、こういった考えはないのか、安倍総理大臣にお伺いをいたしたいと思います。
また、三月には、アメリカ側より日米FTAの締結に向けた協議を始めたいとの意向も示されたとの報道もあります。改めて、日米経済対話とは一体何を目的としたものだったのか、あわせて安倍総理に伺いたいと思います。
先月の四月十七日、関連するCPTPP協定本体の審議が本院でスタートいたしました。
そもそも、政府が説明するように、TPP12とCPTPPは全く別物の協定であります。そうでなければ、新たに審議を行う必要も、そもそもございません。
しかし、TPP12協定締結後のさまざまな国際情勢の変化によって、この協定を新たに署名し、承認を求めた上で本法案を提案したわけであります。であるとすれば、当然に、この間の変化について政府はしっかりと説明し、方針について再度議論しなければなりません。
TPP12協定の際の議論では、ノリ弁と称されるような黒塗りの資料が提示され、秘密保持契約の問題があったにしても、情報公開とはとても十分なものとは言えませんでした。農林水産分野ばかりでなく、国民生活全般にわたり大きな懸念が言われる中で、しっかりとした説明、情報開示は極めて重要であります。
また、そういった指摘に対し、四月十七日の本会議では、TPP12の合意後、三百回以上説明会を実施してきたと政府も答弁をされております。しかし、この政府の行ったキャラバン活動が十分であったとお考えなのでしょうか。
第百九十二回国会の衆議院TPP特別委員会における参考人の発言では、その調査結果をもとに、政府の説明が十分ではなかったとの指摘が残っております。
その参考人である東京大学の鈴木教授の説明では、都道府県知事、四十七知事に対するアンケート調査では、どちらとも言えないという答えが多いながらも、TPPに関する政府の説明は十分と答えた知事はゼロ、国会決議が守られたという知事もゼロ、試算が現実的もゼロという結果を示されております。回数を重ねても、国民の知りたい情報が十分に示されなければ、国民の皆さんも理解することができないという当たり前の結果であると思います。
重要なのは、言うまでもなく国民の理解と納得であり、回数を何度行ったかではありません。TPP12のみならず、CPTPPについて、真に国民の理解が進み、国民の合意を進めるために、政府は説明責任を最後まで果たすべきであると考えますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
そういった国民の知りたい情報の中に、影響試算があります。また、本整備法は対策の面も含んでおり、この対策が妥当なのか検証するためにも影響試算は欠かせません。政府も、国民の要請に応える形でTPP協定及びTPP11についての試算を行い、影響の評価を示しております。
しかし、政府が行った試算は、大綱に基づく政策対応を考慮した上で、国内対策により生産量は維持される前提として試算されたものであり、影響の実態をつまびらかにしているとは思えません。
また、詳細に見てみれば、政府試算では、価格が一〇%下落して、生産コストが一〇%以上上がると仮定しており、GDPを増加させております。これは、価格の下落以上にコストが下がると仮定していると読めますが、どのような仮定や計算を用いて導かれたものなのでしょうか。農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
こういった価格の下落以上の生産性上昇などを見ても、政府の試算は恣意的であり、TPPが始まっても影響なしとの結論ありきとの姿勢が見てとれます。本来であれば、純粋にTPPによる影響及び効果の試算だけを示し、その上でどういった施策が必要なのかを示すべきであります。
特に、最もマイナスの影響を受ける農業者の皆さんにTPPに対する大きな不安があることを考えたとき、どれくらいの価格下落が見込まれ、それによりどれくらい生産量の減少や所得への影響が見込まれるのか、その予測を明示し、その上で必要な対策を講じるべきです。
影響がないように対策をとるから影響がないとの主張は到底理解できません。どれほどの影響があり、どういった対策によって影響の緩和が可能とされるのか、農林水産大臣の御説明を伺います。
また、現在議題となっているTPP11は、米国を含むTPPで農産物について合意した内容を、米国抜きにもかかわらず、全く修正せずに生かしています。例えば、オーストラリア、ニュージーランド、カナダは、米国分を含めた農産品の輸入枠を全部使えることになります。しかし一方で、米国が志向する二国間での協議によって、米国への個別の輸入枠を今後求められる可能性は否定できないとも思われます。その結果、我が国への農業分野への打撃はより大きくなることが想像されます。
そこで、日米経済対話を含め、二国間あるいは多国間での経済連携協定については、せめて重要五品目を守るとしたこれまでの考え方を踏襲し、さらなる農林漁業分野での譲歩を行わないことを安倍総理大臣に御確認いただきたいと思います。