阿久津幸彦の発言 (本会議)
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○阿久津幸彦君 立憲民主党・市民クラブの阿久津幸彦でございます。
会派を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手)
まず冒頭、政府・与党の傲慢きわまる政治姿勢、強引きわまる国会運営に触れざるを得ません。
本協定に関しても、わずか三日間、たった六時間の質疑で、与党は委員会採決を急ぎましたが、外務大臣は来週不在です。野党の反対を押し切って緊急上程し、慌てて参議院に送ろうとするなど、何の説得力もない、与党の誠意に欠ける国会運営と言わざるを得ません。
ここ数日の出来事だけ見ても、十八日に出すと約束した改ざん前の文書を出さない。そうなれば、大島理森衆議院議長との約束までもほごにすることになります。
さらに、国会で証言すると言っている愛媛県知事を呼ぼうとしない。何かやましいことでもあるんですか。
また、森友問題でも、廃棄したと繰り返し答弁されていた交渉記録が実はあると報道されているにもかかわらず、その存在をいまだに認めようとしない。
さらに、一点の曇りもないと豪語したはずの加計問題でも、担当の内閣府幹部に車が提供された。しかも、公用車。またしても虚偽の報告です。
さらには、セクハラ問題で謝ろうともせず、火に油を注ぎ続ける責任回避の財務大臣もいます。もううんざりです。
TPP本体に関して言えば、内閣委員会でまだ議論が始まったばかりのTPP協定整備法案を、本日これから、事もあろうに強行採決するという話まで聞こえてきます。幾ら何でもひど過ぎるじゃないですか。
与党がそんなことを考えているのであれば、まさに言語道断、国会軽視も甚だしい。国民は、こうした与党のおごりを決して許すことはありません。
こうした最近の与党の横暴ぶりに改めて御忠告を申し上げ、本論に入らせていただきます。
さて、委員会の審議内容を見ますと、この協定に必要な審議が十分に尽くされていないことを改めて強く指摘させていただきます。
各党の質疑でも、乳製品や牛肉セーフガードのTPP枠の問題、経済効果分析における労働力補填の問題、医薬品に関する知的財産の問題、ISDS条項への我が国の姿勢等々、まだまだ議論を深めるべき点が指摘され、このほかにも、政府にただすべき点が数多く残されています。
このような状況で、たった三日間の質疑での採決、ましてや、この本会議への異常とも言える緊急上程は、到底認められるものではありません。その上で、本件に反対する理由を申し述べます。
まず申し上げたいのは、安倍総理は二年前、TPPは米国抜きでは意味がない、再交渉が不可能であるのと同様、根本的なバランスが崩れてしまうと述べていました。意味がないはずの米国抜きのTPP、それを実現させるのが本協定です。これは、かつての総理の発言に矛盾するものではありませんか。
また、再交渉が不可能であるということについても、政府の答弁は、ガラス細工の中で変えるのは極めて難しいと、変化しています。委員会質疑でもこれらの点についてただされましたが、納得のいく説明はありませんでした。
この変幻自在の口のうまさこそが、TPPへの国民の不信を増幅させているのではないでしょうか。
こうしたTPPに関する政府のたび重なる方針転換、さらには情報開示への消極的姿勢、国民へのアカウンタビリティーの欠如もあり、TPPを推進する国民的コンセンサスは得られていません。
国民の間にTPPに根強い懸念と反対の声があるにもかかわらず、政府は、国会審議の時間数、説明会の回数や公表資料のページ数を挙げ、丁寧な説明を行ってきたなどと主張しています。しかし、産業や生活への影響についての懸念は少しも解消されていません。
経済効果分析においても、国内対策が行われない場合の農産物の生産に与える影響は示されていません。その国内対策も、農業については、次世代につながる政策としては不十分です。若手の農業従事者の方々の創意工夫と斬新な発想を生かしていく、農業の未来への投資としての国内対策が必要なのではないでしょうか。
また、二年前の審議で政府から示されたノリ弁と称される黒塗りの資料。この間の審議で、政府から新たな情報は何ら示されませんでした。幾ら時間や回数を重ねても、国民の知りたい情報が十分に示されなければ、国民の皆さんが理解し得ないのは、当たり前のことじゃないですか。
本協定では、十二カ国のTPP協定から二十二項目が凍結されていますが、その半分が知的財産関係です。我が国が誇るべきアニメ産業を始めとし、知的財産立国であるはずの我が国にとって、中国の存在なども念頭に置けば、こうした項目は我が国の国益として極めて重要であるはずです。しかし、本協定では、知的財産関係の十一項目が凍結されてしまいました。
その一方で、米国が抜けた本協定で、国益に反し見直しが行われなかったものもあります。乳製品の七万トンのTPP枠や、牛肉のセーフガードの発動数量のTPP枠です。これについて政府は、米国のTPP復帰がなくなった場合には、本協定の見直し規定に基づいて協議を行うとしています。
しかし、一旦この枠で利益を得た国々が枠の縮小に合意するとは考えがたく、米国から二国間交渉で新たな要求を突きつけられる可能性もあります。また、見直しを行う時期についても、政府は曖昧にしたままです。
こうした状況で、どうして生産者を始め関係者の方々に、聖域を守りました、TPP交渉参加前の衆参農林水産委員会決議を守りましたと説明することができるのでしょうか。国民の生命財産を守る、国益を命がけで守るということが、我々政治家に与えられた使命ではないのでしょうか。
以上が、本件に反対する主な理由です。
改めて、本件の審議が極めて不十分であり、TPPに対する国民の十分な理解を得るには到底至っていないということを強く申し上げ、反対討論といたします。(拍手)