関健一郎の発言 (本会議)
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○関健一郎君 国民民主党・無所属クラブの関健一郎です。
市町村別の農業産出額全国一位の愛知県田原市と全国九位の愛知県豊橋市から参りました。
会派を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結、いわゆるTPP11について、反対の立場で討論をさせていただきます。(拍手)
冒頭、申し上げます。
我が国は、古くから、海外の先進的な文化、技術を積極的に取り入れ、独自のものへと昇華させ、世界に誇るべき発展を遂げてきました。第二次世界大戦後に目を向ければ、海外から原料を輸入し、付加価値をつけて製品を輸出し、そこから利益を上げる加工貿易で高度な経済成長を遂げたことからも、海外との自由な貿易が我が国の発展に大きく寄与していることは紛れもない事実です。
四方を海に囲まれ、海洋国家としての繁栄を目指すべき我が国にとって、また、世界的に保護主義的な風潮が広まる中、自由貿易の拡大は、国際社会の一員として共有すべき価値観と言えます。
しかし、今回のTPP11には、大きな問題があります。第一に、国民生活に大変大きな影響を与える重要な協定にもかかわらず、十分な審議がなされていないこと、第二に、米国が離脱し、前提条件が大きく変化したにもかかわらず、前の条件が変更されていないことで、大きく国益を損じる懸念があること、このことなどから、反対をせざるを得ません。
まず、十分な審議が行われていないことについて申し上げます。
TPP11は、言うまでもなく、国家の命運を左右する非常に重要な協定です。国民の皆様の毎日の暮らしや食卓にも大きな影響を与えるものであり、懸念や不安の声が上がっています。
こうした懸念や不安を払拭するため、十分な審議を尽くさなければいけないことは言うまでもありません。ましてや、当初参加が想定されていた米国が離脱するという大きな前提の変化を受けて、食の安全、著作権の保護、医療制度、保険制度など、具体的な条件について、更に詳細な審議を深める必要があるはずです。
しかし、条約と関連法案は不可分のものにもかかわらず、本会議や委員会での議論はばらばらに行われ、関連委員会との連合審査の機会をほとんど与えられないまま、わずか六時間の審議だけで質疑終局、採決が行われ、さらに、本来必要のない、委員長職権による緊急上程までが行われました。
海洋国家日本が自由な貿易を加速させていくことの重要性は冒頭申し上げましたが、これだけの議論では、TPP11がいかに日本の国益にかなうのか不明であり、多くの懸念が払拭されていないことから、反対せざるを得ません。
第二に、米国が離脱する前の条件が変更されていないことで、大きく国益を損じる懸念があることについて申し上げます。
米国のトランプ大統領がTPPからの離脱を表明し、参加する国は当初の十二カ国から十一カ国に変更されたにもかかわらず、関税に関する合意内容は変更されていません。
農林水産業について申し上げれば、米国が抜けたにもかかわらず、合意内容を見直すことなく、オーストラリアやニュージーランドなど他の農産物の輸出国を利するような合意では、国内の生産者から到底理解は得られません。
具体例を挙げれば、加盟国全体に対する乳製品の低関税輸入枠の七万トンがそのまま残っていますが、これは米国が入ることを前提に取りまとめた数字です。米国が抜けた場合には、この輸入枠の削減に向けた見直しを行うということで合意を目指すべきでした。
仮に米国が入らない状態でTPP11が施行され、輸入枠の七万トンが既成事実化した場合、この枠を下げてくださいという交渉に、利益を得たオーストラリア、ニュージーランドなど農業輸出国が応じるわけがありません。
また、畜産の経営の安定に関連して、牛肉、豚肉の販売価格が生産価格を下回った場合に差額を補填するマルキン対策について意見を述べさせていただきます。
TPP11の発効に合わせて、牛肉と豚肉の補填割合を八〇%から九〇%に引き上げることが関連の法律案に組み込まれています。TPP11で影響を受ける畜産農家の支援措置として当然のことと言えます。
しかし、現状を見ると、牛マルキンについては、今年度予算措置として補填割合の引上げが既に行われています。その一方で、豚マルキンに関しては八〇%のままです。整備法の中では、協定の発効日が施行の日になることから、現状では、いつ豚マルキンが九〇%になるのかわかりません。
そこで、整備法から牛、豚のマルキンを切り離して、来年度から確実に牛、豚の補填の割合を九〇%にし、畜産農家の経営安定を促進するための法律案を、野党五党一会派できのう衆議院に提出いたしました。与野党を超えて、深刻な影響が懸念される畜産農家に思いをはせ、真摯な議論をお願い申し上げます。
そもそも、米、麦、牛・豚、乳製品、砂糖の重要五品目を含め、国内の農業に深刻な影響が予測される譲歩をしておきながら、多くの品目で関税撤廃や削減、関税割当ての導入拡大など、相当な譲歩が行われ、守るべきものを守るとした政府の方針が貫かれているとは言えません。平成二十五年の衆参の農林水産委員会決議に違反していることは明白です。
また、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく国内対策が農林漁業者の不安を払拭するのに十分とは思えません。経営規模の拡大や施設の整備を行おうとする担い手農業者への支援が中心で、家族経営や小規模農業者への対策は不十分と言わざるを得ません。
総理を始め閣僚の皆様方は、しばしばTPP11の合意内容を、各国が調整してつくり上げた繊細なガラス細工に例えておられます。十一カ国の複雑な利害関係の重なりの中でつくり上げた繊細なガラス細工は、一部を取り出して変更することができるものではないと認識をしています。交渉の当事者の多くの皆様の大変な御苦労の積み重ねを象徴した言葉が、この繊細なガラス細工という例えなのだと推察いたします。
今回緊急上程されたTPP11は、米国が抜け、まさにバランスが崩れた繊細なガラス細工です。経済規模や経済効果が激減し、何がメリットか、極めて曖昧になっています。
総理は、おととし十一月、TPPは米国抜きでは意味がない、再交渉は不可能であると同様、根本的な利益のバランスが崩れてしまいますと発言されています。非常に重要な御指摘と存じます。
そのバランスが今、崩れています。
まだまだ議論すべき論点が多く残っている中、この段階で結論を急ぐ政府・与党の提案には反対せざるを得ません。TPPに対する国民や農林漁業者の不安や懸念は全く払拭されていないことを指摘させていただきます。
最後に、米国がTPPの再交渉に入る際、既に取りまとめられた条件の変更を求めてくる可能性がありますが、政府におかれましては、そのような交渉には一切応じないことを強く要請し、私の反対討論を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)