緑川貴士の発言 (本会議)

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○緑川貴士君 秋田県に住んでいる、国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。
 ただいま議題となりました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、国民民主党・無所属クラブを代表し、反対の立場から討論いたします。(拍手)
 卸売市場は、国民に食料を安定供給する社会インフラであり、国民の暮らしを支える上で極めて重要な基盤であります。
 政府は、本改正案の目的について、卸売市場を含めた食品流通の合理化と生鮮食品などの公正な取引環境の確保を促進するためとしています。しかし、その説明には疑わしい部分が多く、改正案には反対せざるを得ません。
 以下に、反対の理由を申し述べます。
 第一の理由は、本改正案による制度見直しを、今直ちにこれを行わなければならない理由が不明であること、すなわち、立法事実に欠いていることです。
 今回の改正により、中央卸売市場については、農林水産大臣によるこれまでの認可制から認定制へ移行することになります。これは、市場の開設について、原則として規制をする考え方から自由参入を進める考え方へと、市場のあり方を、大きく転換が図られることを意味します。
 しかしながら、これほどの大転換が一体何のために行われるのかということを政府に問いただしても、事業者の創意工夫を生かせるよう自由度を高めるためという漠然とした理由しか返ってきません。市場関係者や生産者、消費者から直接上がった声を反映させているものでもなく、法律改正を行うための立法事実としては極めて不十分です。
 第二の理由として、今回の制度改正によって、食料を安定的に供給する社会インフラとしての役割が一変してしまうおそれがあることです。
 おととし決定された農業競争力強化プログラムにおいては、経済社会情勢の変化を踏まえ、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止すると記されました。
 政府の卸売市場のあり方を見直す動きは、この農業競争力強化プログラムから端を発していますが、このプログラムは、農業をほかの産業と同一視する観点から、コスト面における体質改善ばかりが強調されたものであり、真に持続可能な農業の発展を目指す内容にはなっておりません。
 卸売市場は、生産者から集荷した商品をできるだけ高く売りたいという卸売業者と、可能な限りそれを安く仕入れたいという仲卸業者が、現物をその確かな目で見きわめながら、品物が適切に評価され、それに基づいた適正な価格が決まり、また品物の良好な品質の保持も図られるんです。
 私の地元秋田県で青果、鮮魚を扱う卸売業者の方にお話を伺えば、高齢化や人口減少に伴う人手不足で、地元の卸売業者、仲卸業者の規模の縮小、また業務に携わる目ききの数も減少しているということです。ぎりぎりの人員でこの公益的な役割を担いながら、日々の価格形成に努めています。地域の八百屋さん、魚屋さんの仕入れ量の確保、仕入れ値の安定にも最大限貢献されているわけです。
 事業規模を問わず、生産者から委ねられた大切な品物を、多様な商品を買い求めたい実需者に配慮しながら、多数の品目を効率的に取り扱うことによって、生産者、実需者、どちらの利益も最大限守ろうというバランスのとれた公益性の高い仕組みこそが、卸売市場の骨格であります。
 農業や食品流通における競争力の向上ばかりに重きが置かれ、コスト重視、過度の合理化を推進する余り、国民に食料を安定供給する社会インフラとしての卸売市場のこの骨格をゆがめるようなことは、断じてあってはなりません。
 第三の理由に、これまで卸売市場に定められてきた取引の原則が今後適用されない市場が出てくることによって、ある種の不公正な取引の横行が生じないか、その不安が拭い切れません。
 本改正案によって、これまで原則禁止とされてきた第三者への販売や直荷引きのほか、商物一致の原則などについては卸売市場ごとにルールを定めていくことになりますが、これによって、大手の小売企業などが参入し、巨大資本に基づく購買力の高さ、その優越的な立場から、価格の形成に大きな影響力を及ぼし、ひいては市場の寡占化が進んでいくことが懸念されます。
 本改正案では、不公正な取引があった場合には、農林水産大臣が指導し、是正することができる規定も設けられておりますが、その実効性については不十分と言わざるを得ません。
 ましてや、国の認定を受けずに開設できる卸売市場の場合、差別的取扱いの禁止など、これまで公平性を担保してきた重要な取引ルールを守らずとも、いよいよ市場が運営できてしまうことになり、競争原理の中で卸売市場の概念が大きく変質し、市場間の格差を広げていくことは必至です。
 本改正案による卸売市場の改革は、農業競争力強化プログラムを始めとする安倍農政の目玉とされています。アベノミクスを掲げる安倍内閣は、農業分野においても経済至上主義の考え方をとり、余りにも性急な効率化、大規模化の道筋を今まさに突き進んでおります。
 拙速過ぎるこの改正の動きは、さまざまな弊害を生み、国内農業の持続性が失われることにつながります。その結果として影響を受けるのは、何も生産者だけではありません。安全、安心な食べ物を求める消費者、すなわち全国民にとっても、食の危機は命の危機につながります。
 卸売市場で品物の品質の確かさを見きわめる目ききの存在も重要です。市場内において、品物が適切に評価され、いい値段がつくことによって、生産者は更にいいものをつくろうと奮起する、こうした好循環をつくる存在であり、食の品質という観点からも、目ききによって食の安全性が担保されているんです。
 秋田県には、日本海に面した潟上市という町がありますが、その地元の漁港ではトラフグが水揚げされます。トラフグは北限のフグとして売り出され、低温の海水で身が締まり、白子をたっぷりと抱え、身の甘さが何といっても自慢であります。
 地元の飲食店や旅館で提供されるこの天然フグは、地元の卸売市場で仲卸業者が調達して、安全に、有毒な部位を除去して処理した後、飲食店や旅館に提供されており、卸売市場を介しているからこそ、食の安全がしっかりと守られているんです。
 農畜産業、漁業は、私たちの誰もが口にする食料を賄うための営みであり、人間が生きていく上で欠かせない、命の根源となる産業です。
 生産者の切実な現場の声、市場関係者の思いとはかけ離れた、効率優先主義に立脚するアベノミクス農政に鋭く対峙していくことをここに申し述べ、私の反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 緑川貴士

speaker_id: 21554

日付: 2018-05-25

院: 衆議院

会議名: 本会議