福田昭夫の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○福田昭夫君 立憲民主党の福田昭夫です。
 私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるIR法案について、反対の立場で討論を行います。(拍手)
 その前に、昨日の大阪北部地震におきましてお亡くなりになられた方々に対し哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しお見舞いを申し上げますとともに、政府におきましては、全力を挙げて救助活動、災害復興対策に取り組んでいただきたいとお願いを申し上げます。
 それでは、反対の主な理由を十一点申し上げます。
 第一点、立法事実がない。
 政府は、カジノを含むIR施設をつくり、国際競争力の高い、魅力ある滞在型観光を実現すると言いますが、カジノがなくても、外国人観光客は既に昨年二千八百万人を超え、ことしはそれを上回る勢いでふえています。しかも、カジノを目的に来日する外国人はごくわずかです。
 平成二十九年、日本政策投資銀行と日本交通公社が、六千二百七十四人のアジア、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの訪日観光客の意向調査を実施しました。IRができたら行ってみたいと六割が回答。しかしながら、肝心なカジノ施設へ行きたいはたった七%。しかも、政府が強調する日本版統合型リゾートには行きたくないが一一%もいました。多くの人の行きたい先は、商業施設、ホテル、アミューズメント施設、温浴施設等で、カジノではありません。
 第二点、立法目的が不明瞭。
 観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的とするとしていますけれども、何の試算もせずに、どうして経済効果があると言えるのか。政府は、具体的な場所や施設の規模が決まっていないので試算できないと無責任な答弁を繰り返すばかりでありました。
 第三点、違法性の阻却が不十分。
 我が国では、今回初めて賭博が民間事業者に許可されるにもかかわらず、法務省で有識者を集めた議論が一度も行われませんでした。
 政府は、目的の公益性、運営主体の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止について、全体として刑法の賭博に関する法制との整合性は図られていると繰り返し答弁してきました。
 しかしながら、刑法が保護する法益がカジノ合法化で守られているという立証、新しい公益性が法益の侵害より大きいの実証は全くなされておりません。その実例として、外国のあるカジノ業者の収益構造を見ると、もうけのほとんどを株主に還元しています。
 第四点、政省令等に委任し過ぎ。
 政令五十八、国土交通省令四十四、カジノ管理委員会規則二百二十九、合計三百三十一項目以上が委任されており、不明な点が多過ぎて議論が深まりません。我が国では初めて違法な賭博を民間事業者に許可するのですから、三百三十一項目以上の委任事項の案を全て国会に提出して、丁寧な議論が必要なのではないでしょうか。
 第五点、カジノを含むIR事業者の破綻処理が不明確。
 都道府県等とIR事業者が実施協定を締結するとき、IR事業者が破綻した場合に、地権者に更地にして返還する旨の条文を入れられるかどうかはIR事業者との交渉次第。都道府県等とIR事業者との力関係は、圧倒的な力を持つ外国のカジノ資本にかなわないのではないでしょうか。ここはやはり、法律で明確に規定する必要があるでしょう。
 第六点、カジノゲーミング区域の面積上限値規制なし。
 当初、ゲーミング区域の面積の上限を、一万五千平米又はIR施設の延べ床面積又は区域の面積のいずれか大きい面積の三%のいずれか小さい数値としたのに、いつの間にか、上限値一万五千平米と、区域の面積が削除されました。これで、カジノ事業者は日本にシンガポールより大きい世界最大規模のカジノを三カ所もつくれることになりました。
 第七点、カジノへの入場に際して、本人の入場回数の確認手段としてマイナンバーカード及びその公的認証を義務づけました。
 本人確認なら、運転免許証でも健康保険証でも可能。わざわざマイナンバーカードで本人確認をする必要はありません。マイナンバーカードで入場回数を確認することもできません。マイナンバーカードなら、本人が了承すれば、全金融機関とつながって貸付枠が設定しやすくなるからではないですか。
 第八点、カジノ事業者による無利子貸付制度。
 賭博場の中に貸付けなどの特定金融業務を認めるのも我が国では初めてです。しかも、貸金業法の適用を受けないので、総量規制もありません。マイナンバーカードで本人の金融資産を確認して、その枠内で貸付枠を設定できるではありませんか。カジノに日本人向け貸付制度は必要ないでしょう。
 第九点、ギャンブル依存症対策が不十分。
 日本人等の入場回数を、連続する七日間で三回、連続する二十八日間で十回は多過ぎます。我が国は諸外国と比べてギャンブル依存症が多いので、最も厳しい回数制限、連続する七日間で一回、連続する二十八日間で七回を採用すべきです。
 第十点、これが一番大きな問題。外資規制がない。
 IR事業者は国内の事業者に限るとしておりますけれども、外資規制がなければ、カジノ運営のノウハウを持っている国内事業者がいないので、実質的に外資に賭博場を開放することになります。違法性を十分に阻却せずに開放するとしたら、国富、国民の富を売るようなものではありませんか。
 政府は、WTOのルールで外資規制はできないと言っていますが、悪法をつくってまで外資に貢ぐ必要があるのでしょうか。
 第十一点、余りにも拙速な審議。
 本文二百五十一条、附則十六条の大部な法律です。二十時間にも満たない審議で採決できるのでしょうか。なぜそんなに急ぐ必要があるのか。誰の都合なのか、外国カジノ資本の都合なのか。マカオの免許が二〇二〇年に切れるためなのか。
 委員会で強行採決をして、会期延長してまで成立させるだけの価値のある法律ではありません。疑問だらけです。
 終わりに一言申し上げます。
 我が国は、自然、歴史、文化、気候、食という観光振興に必要な四つの条件を兼ね備えた、世界でも数少ない国の一つです。カジノつきIRで国際観光客急増のシンガポールを見習えと言いますが、カジノがない日本の方が、外国人観光客とその消費額の増加が数倍大きいことも周知の事実です。
 うそつきは泥棒の始まりと言いますが、うそは国を滅ぼし、国民を不幸にします。カジノ実施法案は国を滅ぼし、国民を不幸に陥れます。決して成長戦略にはなりません。
 安倍総理も与党の皆さんも、この辺で思いとどまってはいかがでしょう。思いとどまることをお勧めして、私の反対討論といたします。合掌。(拍手)

発言情報

speech_id: 119605254X03920180619_017

発言者: 福田昭夫

speaker_id: 12206

日付: 2018-06-19

院: 衆議院

会議名: 本会議