浦辺徹郎の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○参考人(浦辺徹郎君) 浦辺でございます。
私の方は、エネルギーではなくて鉱物資源の、特にまた海洋の方の鉱物資源についてお話しさせていただきます。(資料映写)
お話を始める前に、去年の九月に大変いいニュースがありました。これは、JOGMECさんが沖縄の千六百メーターの海底から海底熱水鉱床の鉱石を揚げることができた、この揚鉱というのはこの生産プロセスの中で最も難しいところでございますが、それの連続揚鉱に成功したという大変明るいニュースがございました。これでその生産に一歩近づいたということになります。
今日はそれに関して、周辺の状況から今、海でどういうことが起こっているか、ちょっと広範にお話をしたいと思います。
この地図は、日本のEEZを地球の上にプロットした図でございます。非常に大きいということがお分かりいただけると思います。EEZの下を、大陸棚というふうに言いますけれども、これは日本の管轄権が認められた国土のようなものでございますので、これをどうやって管轄していくのか、これは非常に大きな問題でございます。その一つのやり方として、資源それから環境というもので調査をしていくわけでございますけれども、今回、SIPの次世代海洋資源調査技術という中で、こういうものをなるべく安く早く効率的にやる方法が開発できたということで、それについてもお話をしたいと思います。
この広い日本のEEZ、大陸棚でございますけれども、どういう資源があるかというのがこの図でございまして、まず沖縄、伊豆、小笠原の海底熱水鉱床、それから赤で書いておりますコバルトリッチクラスト、それから青山先生がやっておられるメタンハイドレート、そういうふうなものがございます。これらはいずれも非在来型資源でございまして、この開発にはいろんな技術的な開発が必要でございます。
特に、今日は鉱物資源の話でこの三つのことをお話ししたいと思います。まず海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、それからマンガン団塊でございます。このほかにも幾つかの海底資源というのは知られているわけでございますけれども、経済性という意味ではこの三つが代表的なものなので、今日の話はこの三つに限らせていただきます。
これを表にしてみますとこうなります。
マンガン団塊というのは、平らな海底の中にゴルフボールから野球ボールぐらいの大きさのものでございまして、コバルトリッチクラストというのは、露岩、海山の露岩をべたっとアスファルトのように十センチぐらいの厚さで覆っているものでございます。この二つは鉱物組成なんかが非常によく似ておりまして、冷たい海水から百万年に三ミリ程度、千年に三ミクロンずつという非常にゆっくりしたスピードででき上がる、そういうものでございます。それに対しまして海底熱水鉱床というのは、海底火山、海底火山には海洋が割れて広がる大洋中央海嶺というものと日本の周辺海域のような海底の島弧の火山という二つの場所が大きいんですけれども、これに伴って三百度ぐらいの温泉が湧いて、その熱水から沈殿をする、全く違うメカニズムのものでございます。
どこにあるかということですけれども、公海の底、大陸棚、延長大陸棚でやってみますと、マンガン団塊は八〇%以上が公の海、コバルトリッチクラストは半分半分ぐらい。これちょっと数字が間違っていて、八五と書いてありますが五八の間違いでございまして、申し訳ありません。基本的には、このコバルトリッチクラストと海底熱水鉱床は、先ほどの図にもありましたように、EEZ内の資源であるというふうにカテゴリーを分けることができます。
資源量、このノジュールが一番大きい、それから一桁下がってコバルトリッチクラスト、更に一桁下がって海底熱水鉱床ということになりますので、これは海底熱水鉱床は小さ過ぎるのかなということもありますけれども、熱水鉱床の資源量というのはこの大洋中央海嶺のもののみで六億トンでございます。島弧のものはまだ統計がありません。それから、島弧の中には、海底面に露出していない、活動を止めている潜頭性鉱床というのがあって、これが非常に大きな資源量に寄与してきますので、これを探す方法が今までなかった。それをSIPでつくることができたということでございます。
それと、もう一つ特徴、これらの特徴は、ここに主要金属、随伴金属、いろいろと書いてございますけれども、それぞれタイプによって違いますが、非常に多種多様な鉱物が、金属が含まれている多金属型である、いずれの三つも多金属型という特徴がございます。
その金属、どういうものが必要なのか。これ、OECDが今年、現在及び二〇三〇年に重要鉱物、クリティカルメタルというのを予想しています。こちら、左側の図は、日本に必要なものと世界に必要なもの、大体比例をしていて、例外もありますが、そういうものです。それから、右側の図は、基本的には、あと何年、今の知られている埋蔵量で、生産量で割ってあとどれぐらいもつかということで、一番足らないのがアンチモン、一番足りているのがレアアースというふうな図が出ております。
これを図にしてみますと、こういうふうになります。縦軸は、要するに代替が利かない、そういう特殊な金属の性質によって利かないもの、リスクが高いものが上、それから、横軸は地政学ですね、ある特殊な国にしか産しないということで、リスクの、上の方が高い、右の方が高いということでございます。ここに赤や青で印が書いてございますけれども、これは、赤は海底熱水鉱床に出てくる金属、青はコバルトリッチクラストに入っているものでございまして、これが、見てみますと、大体そういうふうなものがカバーされている、量のことはちょっとまだあれでございますけれどもカバーされているということで、こういうものを探す、開発してはどうかというふうな機運が高まっているという状況でございます。
じゃ、それは本当に経済性を持ってできるのか。これは悲観論と楽観論があります。
悲観論で見ますと、量的に、先ほど量のことを申しましたけれども、年間の使用量からいいますと、金属によりますけれども、多いもので十年分とか、少ないものだと数か月分というぐらいしか入っていないということで、余り量的には重要でない。それから、そういうものはできない。ただ、ナショナリズムとかそういうふうなものがあるので、それは考えなくちゃいけないというふうな悲観論がございます。ただ、経済性というもの、これがやれるということが分かればどおっとスタンピードで入ってくるだろうと、そういうことも悲観論の中で予測しているわけです。経済性は海底熱水鉱床が一番いいだろう。それから、マンガン団塊とコバルトリッチクラストは採算ぎりぎりということですけれども、海底熱水鉱床の場合には、基本的には日本を含めた太平洋島嶼諸国というものが対象になるだろうと、中央海嶺ではない。
〔会長退席、理事渡辺猛之君着席〕
楽観論は、それの反対でございます。この海洋経済、ブルーエコノミー、ブルーグロースというものの中では、膨大なそこに新しい経済フィールドがあるんだという指摘があります。その根拠になっているのは、一番下ですね、海底油ガス田の開発のスピード、それから、最近でいいますと、いわゆるシェールガス、シェールオイルの開発のスピードを考えますと、技術というものができた途端に膨大な進化があるんだということが楽観論の根拠になっていて、真実は恐らくこの間にあるんだろうと思います。
それで、これは陸上の結果でございます。この青の線は、ずっとこのところ見付かっている、これはウランなんかも入っていますけど、基本的には金属、希金属とベースメタルと思っていただいて間違いないんですが、ずっとコンスタントに鉱床が見付かってきていると。これは左軸で見ていただくんですが、最近、このブルーのラインがほぼゼロに向かって物すごいスピードで下がっている。これが大きな構造的な変化ではないかという見方が進んでいます。
お金の面で見てみますと、赤は、これは探査に掛けたコスト、五千億円ぐらいですね。これは得られた鉱床の価値、この間では大体二・三倍ぐらい、五千億掛けても一兆何千億は見付かっていると。ところが、最近の十年ではその比が五分の一になって、掛けたお金の〇・四七ぐらいしか見付かっていないと。
こういうのがたまたまなのか大きなトレンドなのかという議論がありますけれども、これが大きなトレンドであろうということが心配されていて、そうすると、この年間一兆円ぐらい使われている探査費が海に向かうのか向かわないのか。今は向かっていませんけれども、それを主導できるのかどうかというのが大きな問題になってきます。
ここで、そのためには技術開発が必要です。民間の資源開発、この資源の開発というのは、民間において商業化されて初めて資源となるわけでございますので、そうすると、探査技術、探査の実施、こういうふうな様々な技術がございます。探査技術、これから申し上げますが、うまくいっている。それから、採鉱技術は、先ほど最初のスライドでお見せしたように、日本が世界のトップを走っている。それから、選鉱、製錬、これは余り話題には上らないんですけれども、JOGMECさんが非常に綿密な調査をして、今パイロットプラントができております。
それで、あと重要な政治的な課題としては、事業への投資、それから、芳川先生もおっしゃいました環境影響評価、そういうふうなもの全てやっぱり政策的に主導していただければいいのではないかというふうに思います。
次に、探査のことについてお話しいたします。
これはSIPでつくりました統合海洋資源調査システムというもので、広い海域、先ほども言ったような広い海域から、足の速い船であるとか自律型海中ロボット、AUVと言っているようなものをたくさん使ってだんだん絞り込んでいく。最後は、海底設置型のような、余り機動力はないんだけれども情報が得られるようなもので絞り込んでいくと、こういうふうなシステムでございまして、これは技術移転が民間に済んでおります。それから、高効率、低コストで陸上の探査とほぼ同じぐらいの価格でできるような、そういうふうな技術開発がSIPでできたということでございます。
その実例です。こちらは黄色いものが映っていますが、これは海上を走るロボット、赤いのが何台か映っていますが、これは海中を潜って様々なセンサーを積んで海底の探査をするロボットです。複数のロボットを同時運用することによってコストを大幅に下げることができる。
そして、どういうデータが得られるかというと、例えば、船上からのデータだと地形図ぼやっとしているわけですけれども、AUVからの地形図だとこういうふうに凸凹がはっきり見えます。この凸凹一つ一つが海底熱水鉱床であるということで、こういうものの重要性がはっきりするわけでございますが、先ほど申しましたように、海底面に出ているものは見えるが、海底面下のものも見えるというのが今年の成果でございます。
これは久米島西方域で、こういうところにへこみがあるわけですが、これを自然電位という非常に単純な物理探査の方法をやりますと、この濃いブルーの異常帯が周りの緑色の中から出てきます。これは、いろいろやってみますと、確実にほぼ海底面上にある、海底面下にしか見えない、そういうものにかかわらず、きちんとアウトライン、平面的な分布が非常にきれいに見えてきました。さらに、精査で音波探査をして、断面図、ここの断面図ですけど、断面図を見ますと、上に堆積物があり、その下に赤で示した鉱石があって、その下に変質帯があるというふうなことがはっきり分かってきた。これで三次元的な分布も分かるということが、船の調査でこういうふうなシステムを使うと分かるということになってきたわけです。
さらに、この分布、熱水鉱床の分布でございます。日本がここでございますけれども、西南太平洋ですね、太平洋の島嶼諸国にも同じようなものがあるということがこの図から分かります。
ですので、結論としては、我が国のEEZには非常に大きい、それからたくさんの資源がある。それから、経済的な現実性が大分見えてきた。それから、海洋調査産業による資源調査というものが陸上の探査とほぼ比肩できるぐらいのことが出てきますので、是非こういうところに日本が先鞭を取っていくべきではないか。それから、JOGMECが生産の技術についてはうまくいっている。それで、まず最初に我が国の大陸棚の資源調査を実施すべきではないか。それから、その技術を太平洋の島嶼諸国にも応用することによって海洋及び資源の安全保障につながると、そういうふうなことを考えております。
今日はどうも御清聴ありがとうございました。