小池晃の発言 (本会議)
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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
会派を代表して、安倍総理に質問します。
森友問題でも加計問題でも、国民の多数は総理や政府の説明に納得していません。とりわけ情報の隠蔽に対する不信と怒りには根深いものがあります。
森友学園への国有地売却をめぐり、当時の財務省理財局長が適切に破棄したとしていた交渉記録が、実は保管されていました。明らかな虚偽答弁ではありませんか。総理は適材適所だと言いますが、このような人物が国税庁長官であることに納税者の理解が得られるとお考えか、しかとお答えいただきたい。
国政私物化の疑惑をこのまま幕引きにすることなどできません。真相解明のため、安倍昭恵氏と加計孝太郎氏らの国会招致を強く求めます。
施政方針演説で総理は、アベノミクスで力強い経済成長が実現したと述べましたが、国民には景気回復の実感がないのは、その実態がないからにほかなりません。
第二次安倍政権の五年で、大企業の当期純利益は二・五倍となり、内部留保は八十兆円積み増しされて四百兆円を突破しました。その一方で、労働者の実質賃金は、安倍政権発足前に比べて、年収換算で十五万円も低下しました。金融資産を持たない世帯が五年間で四百万世帯も増加し、全世帯の三五%になりました。
今国会で政府は生活保護費の削減を狙っていますが、その理由は、生活保護を受給していない低所得世帯の消費水準が低下したから。これは、アベノミクスによって貧困が一層悪化した何よりもの証明ではありませんか。
アベノミクスで最も恩恵を受けたのは、日銀マネーや年金資金によってつり上げられた株高で潤った超富裕層であります。一億円を超える所得の三三%が株式譲渡益によるものであり、二十億円を超えると実に七六%を占めます。
しかし、株式譲渡益に対する所得税率が住民税も含めて二〇%に抑えられているために、所得が一億円を超えると所得税の負担率が低下するという逆転現象が起きております。昨年、OECDの対日経済審査報告書でもこのことが指摘をされましたが、来年度も是正が見送られました。
アベノミクスの五年間で、株価は二・二倍となり、上場企業の大株主上位三百人の保有時価総額は九・二兆円から二十五・二兆円へ、二・七倍に膨らみました。この三百人の金融資産は、今や日本の全世帯の下位四四%が保有する貯蓄額に匹敵をします。
所得税制の改正というのなら、まずこうした深刻な格差是正のために、株式譲渡益に対して欧米並みに三〇%の税負担を求めるべきではありませんか。お答えください。
健康格差の広がりも大問題です。
全国の大学、国立研究所の研究者による日本老年学的評価研究プロジェクトが二万人の高齢者を対象に行った調査で、低所得の高齢者と高所得の高齢者では死亡率が三倍違うという結果が出たことが各界に衝撃を与えました。
年収百五十万円未満の高齢者の中で、具合が悪くても医療機関への受診を控えたことがあるという人の割合は、年収三百万円以上の一・四倍。生活困窮世帯の子供がぜんそくを発症するリスクは、それ以外の世帯の子供の一・三倍。五本以上の虫歯となる割合も、生活困窮世帯の子供とそうでない世帯の子供では二倍の格差。これらはいずれも大学や国の研究機関、自治体などの疫学調査の結果です。
所得、雇用形態などの社会的要因によって食生活やストレスなどに差異が生じ、低所得者や不安定雇用の人ほど疾病、死亡のリスクが高まる健康格差については、広範な研究者、学会の見解が一致しています。WHOなどの国際機関も健康格差の是正を掲げ、厚生労働省も健康日本21で健康格差の解消をうたっています。
総理は、健康格差の根底に、貧困と経済的な格差の深刻な広がりがあることを認めますか。
この間、安倍政権は、派遣労働を恒久化する労働者派遣法改定など、非正規雇用を拡大、固定化する労働法制の規制緩和を繰り返してきました。社会保障では、年金の削減、医療費窓口負担の引上げ、要支援者の介護サービスの保険給付外しなど、国民負担増と給付削減を続けてきました。これらの政策は、低所得者や中間層の生活を痛め付け、公的医療・介護へのアクセスを妨げ、健康格差を一層拡大したのではありませんか。
社会保障の負担増と給付削減は、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、能力に応じた負担で財源を確保し、充実へ向かうべきではありませんか。
総理は、今国会を働き方改革国会だと述べました。しかし、準備されている法案は、労働者が望む働き方とは正反対であります。
日本の財界は、この二十年間、ホワイトカラーエグゼンプションなど、労働基準法の労働時間の適用を除外することを繰り返し政府に求めてきました。今回の高度プロフェッショナル制度、いわゆる残業代ゼロ制度も、まさに財界の要求そのものです。これの一体どこが、労働者、国民が願う働き方改革なのですか。これまで日本の労働団体が労働時間の適用から除外してほしいと要望したことが一度でもありますか。逆に、一貫して反対し続けてきたではありませんか。
さらに、企画型裁量労働の拡大は、どれだけ働いてもみなし時間分の残業代しか支払われない労働者を、これまで禁止されてきた営業分野にまで広げるものです。これには年収制限もありません。厚生労働省は、裁量労働制の実態把握すらせずにこの制度を拡大しようとしています。これは、低賃金と過労死の温床を広げるだけではありませんか。残業代ゼロ制度とともにきっぱり撤回することを求めます。
労働時間の上限規制について聞きます。
電通の高橋まつりさんの過労自死の後も過労死の例が後を絶たず、上限規制は待ったなしです。しかし、なぜ残業時間の上限を月百時間までとするのですか。
トヨタ自動車の系列子会社で働き、二〇一一年に三十七歳で突然死した三輪敏博さんは、亡くなる直前に月八十五時間の残業をし、名古屋高裁は、昨年、過重な労働だったと認定。政府も受け入れ、判決が確定をしました。
厚労省の報告では、安倍政権の四年間、三輪さんと同様に月の残業時間が百時間未満で過労死認定された方は、毎年、全体の五二%から五九%と、過半数であります。残業を月百時間まで可能にする政府案は、過労死の合法化ではありませんか。過労死をなくすというのであれば、大臣告示の週十五時間、月四十五時間、年間三百六十時間を、例外のない残業時間の上限として法令化すべきであります。
総理は、柔軟な働き方を可能にすると述べますが、実際には労働者にとっての柔軟な働き方ではなく、経営者にとっての柔軟な働かせ方にほかなりません。
日本共産党は、広範な労働団体や野党各党と力を合わせ、労働法制の歴史的大改悪を阻止するために全力を挙げるものであります。
改定労働契約法により、この四月から、雇用期間の定めのある労働者が同じ会社で通算五年以上働いた場合に、本人が申し込めば無期契約に転換できるようになります。ルールどおりならば四百万人の有期労働者が正社員になれるはずです。しかし、五年になる前に一旦雇い止めし、六か月以上の雇用空白期間を設けることで、無期転換できないようにする脱法行為が広がっています。
昨年末、厚労省が自動車大手十社を調査し、空白期間を設けた七社中五社が労働契約法の施行後に空白期間を六か月に変更していたことが判明しました。このような脱法行為が広がれば、無期転換権を行使できる労働者はいなくなってしまいます。
総理は施政方針演説で、非正規という言葉を一掃すると述べましたが、一掃するのは言葉だけなのでしょうか。総理は、特別国会での私の質問に対し、無期転換ルールを避ける目的で雇い止めすることは望ましくないと答弁しました。ならば、脱法行為を許さない厳格な指導とともに、法の抜け穴を塞ぐ改正に踏み出すべきではありませんか。明快な答弁を求めます。
沖縄では、オスプレイや大型ヘリなど米軍機の事故が相次ぎ、県民の不安と怒りが広がっています。重大なのは、事故原因の究明もされないままに米軍が飛行を再開していることであります。十二月に相次いだ米軍ヘリの部品、窓枠落下事故では、人的ミスで機体には問題ないなどと強弁して、六日後に飛行訓練を再開しました。今年続発したヘリの不時着事故でも、沖縄県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、事故機を含めて直ちに訓練を再開しました。
政府は、なぜ米軍に対して事故を起こした全機種の飛行中止を求めないのですか。沖縄県民や日本国民の安全よりも日米同盟を優先する、主権国家にあるまじき態度ではありませんか。
こうした米軍の横暴勝手の根底にあるのが、屈辱的な日米地位協定であります。ドイツやイタリアなどと比較しても、米軍に治外法権的な特権を与える植民地的なものですが、基地の外での日本の警察権行使まで拒否することは、地位協定上も許されないのではありませんか。米軍の無法を許さないためにも、地位協定の抜本的な改定が必要ではありませんか。
総理は施政方針演説で、辺野古新基地建設を改めて強調し、移設は三つの基地機能のうち一つに限定、飛行経路が海上となることで安全性が向上、普天間では一万数千戸必要だった住宅防音がゼロになどと述べました。
しかし、空中給油機は、岩国移駐後も頻繁に普天間基地に飛来して訓練を継続し、騒音をまき散らしているではありませんか。飛行経路が海上になると言いますが、今でもオスプレイは、沖縄県内に多数の着陸帯があるために、集落上空を縦横無尽に飛び回っているではありませんか。
何よりも、普天間基地所属のオスプレイやヘリは、この一年余りで、名護市、久米島町、伊江村、石垣市、東村、宜野湾市、うるま市、読谷村、そして三日前には渡名喜村と、沖縄全土で事故を起こしています。普天間基地を辺野古に移しても、危険性は除去されないどころか、弾薬搭載エリアを持ち、F35B戦闘機の運用も想定される巨大基地となって、危険性を一層増大させるのではありませんか。
普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設の中止、海兵隊の沖縄からの撤退こそ、沖縄県民の命と安全を守る唯一の解決策であります。総理の見解を求めます。
総理は、昨年、首脳会談後の記者会見で、日米は一〇〇%共にあると述べました。トランプ大統領に言われるままに高額の米国製武器を次々購入し、軍事費は史上最高となり、国民生活を圧迫しています。
しかし、今、世界の主要国は、米国のトランプ政権と距離を置いて付き合っております。トランプ大統領に言われるままに、こういう異常なトランプ・ファーストの外交で我が国はいいのかが問われているのではないでしょうか。
総理は施政方針で、パリ協定の戦略策定に取り組むと述べました。ならば、米国にパリ協定への復帰を求めるべきではありませんか。
中東を不安定化させるエルサレム首都認定も、各国首脳のようにきちんと批判をするべきではありませんか。
北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。経済制裁の強化と一体に、対話による解決を目指すべきです。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は朝鮮戦争の十倍に、日本の被害も第二次世界大戦に匹敵すると警告しています。
戦争は絶対に起こしてはなりません。
しかし、総理は、全ての選択肢がテーブルの上にあるという米国の立場を支持すると、先制的な軍事力行使まで公然と支持しています。こうした対応を根本から改めるべきではありませんか。
北朝鮮に核の放棄を迫る上で国際的にも大きな力になるのが、核兵器禁止条約であります。核抑止力論ときっぱり決別し、核兵器を法的に禁止し、悪の烙印を押すことによって、それをてこにして核兵器の廃絶に進もうという、最も抜本的かつ現実的な道を示した歴史的条約への参加こそ、唯一の戦争被爆国の政府の責務ではありませんか。
トランプ大統領のすることがどんなに無法であっても批判せずに追随するという態度を根本的に見直し、言うべきことは言う、当たり前の外交政策を取ることを強く強く求めるものであります。
最後に、憲法について聞きます。
総理は施政方針演説で、今年が明治維新から百五十年であることを強調しました。しかし、この百五十年の前半には侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史もあり、戦前と戦後を一くくりにして、良い時代であったなどと言うことはできません。
総理は、そうした戦前の歴史も含めて全てを肯定的に評価しているのですか。
第二次世界大戦が終結し、日本国憲法、とりわけ憲法九条の下で我が国は新たな歩みを始めました。昨年三月のNHKの世論調査では、憲法九条が日本の平和と安全に役立っていると答えた方が初めて八割を超えました。多くの国民が高い価値を見出している憲法九条の下での戦後日本の歩みを総理はどのように評価しているのですか。
総理は、侵略の歴史への反省を語らず、戦後レジームからの脱却を掲げ、憲法九条を敵視し、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪、数の力で憲法破壊を積み重ねてきました。こうした姿勢に多くの国民が不安と疑念の目を向けているからこそ、各種世論調査で、安倍政権の下での憲法改定には反対という声が多数になっているのではありませんか。
総理は年頭記者会見で、今年こそ憲法のあるべき姿を示すと述べましたが、憲法九十九条は、大臣、国会議員その他公務員に憲法尊重擁護義務を課しています。多くの国民が憲法改定を望んでいない下で、あるべき姿を示すなどと言うこと自体が憲法と立憲主義を全くわきまえない発言だと言わざるを得ません。
憲法に基づく政治こそ我々の責任です。
日本共産党は、市民と野党の共闘を広げ、憲法九条改悪の発議を許さないために全力を挙げて闘い抜く決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕