藤田幸久の発言 (本会議)

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○藤田幸久君 民進党の藤田幸久です。
 私は、民進党・新緑風会を代表し、政府四演説に対して質問します。
 初めに、草津白根山の噴火により亡くなられた自衛官に衷心より哀悼の意を表するとともに、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本年は明治維新百五十年に当たります。明治以来、順調に近代国家の道を歩んできた日本は、昭和の時代に軍の主導により世界大戦に突入し、史上最大の汚点を残してしまいました。安倍総理は戦後の歴代政権が積み上げてきた平和主義と民主主義を否定し、かつての危険な政治を歩んでいるように思われます。その観点から質問いたします。
 安倍総理は、日本を取り巻く安全保障環境の悪化を理由に軍備増強を進めてきました。積極的平和主義の柱は軍事的手段による平和です。暴力の示威により相手国の戦争意思を抑え込む抑止力の理念の下に、戦争手段の優越さを競うことではないですか。総理の見解を伺います。
 米ソの力が拮抗した冷戦時代とは異なり、核の応酬は地球の破滅となる現在、核を含めた軍事的抑止力という理念は人類全体にとってむしろ危険と思われます。総理の認識を伺います。
 積極的平和主義のもう一つの柱は、日米同盟強化による中国包囲論です。安倍総理は、アメリカが尖閣諸島の施政権が日本にあり、日米安保条約第五条の対象区域であることを明記したことを宣伝していますが、アメリカは尖閣諸島の領有権については日中どちらの立場も支持していません。総理、米軍が日本側に立って中国軍に対して対峙することはあり得るのでしょうか。
 総理の祖父、岸信介総理が憲法の下で防衛政策を進めるために一九五七年に決定した国防の基本方針には、防衛力整備や日米安保体制に先立ち、国際協調や平和の努力、内政安定による安全保障基盤の確立がうたわれています。しかも、一九七六年版の防衛白書にも、外交等による国際協調などを前提とすることは国防の基本方針の示すとおりと記されています。これに対する総理の見解を求めます。また、なぜこのような国防の基本方針に代えて二〇一三年に国家安全保障戦略を閣議決定したのか、見解を伺います。
 日本が戦争をさせない国、戦争をあおらない国、戦争に巻き込まれない国であることこそ、真の平和主義と思います。総理の見解を求めます。
 北朝鮮による度重なる核実験や弾道ミサイルの発射は、断じて容認できない暴挙です。安倍総理は、昨年のトランプ米大統領の来日時に、日本は全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を支持し、日米が一〇〇%共にあると述べました。これは米国の軍事行動を支持すると受け取れますが、見解を求めます。
 総理は、昨年二月十四日の衆議院予算委員会で、北朝鮮がミサイルを発射した場合、万一撃ち漏らした場合に報復するのはアメリカである、それを確実なものと相手が認識しなければ冒険主義に走るおそれがあると答弁しました。
 総理、今や北朝鮮がミサイルをアメリカ本土に到達させる能力を持つ状況で、アメリカが自国民への被害を顧みずに日本のために報復するという意思をトランプ大統領に確認したのですか。また、北朝鮮はアメリカの報復が確実であるならば冒険主義に走らないという根拠を示していただきたい。
 最近、米国は、米韓合同軍事演習の平昌五輪・パラリンピック中の延期や南北対話中は攻撃しないとのトランプ大統領の発言など、圧力一辺倒でない動きを見せています。トランプ大統領が日本の頭越しに中国や北朝鮮と妥協し、ICBM開発の中断を条件に既存の中距離核を黙認するディールの可能性は全くないのでしょうか。
 日本政府は、朝鮮半島有事で韓国の空港が閉鎖された場合に、海上自衛隊と米軍の艦船が協力して在韓邦人や米国人らを釜山港から対馬に運ぶことを検討中との報道がありますが、在韓邦人救出をどう行うのか、総理の答弁を求めます。また、国連と事前に調整を行い、人道目的で韓国の港に入る自衛艦に限り国連旗の掲揚を求める対策も一案と思いますが、総理の答弁を求めます。
 北朝鮮に関する六者協議で、日本とアメリカを除く中国、ロシア、韓国、北朝鮮は、第二次大戦の終結を決めたサンフランシスコ講和条約に関わっていません。ロシアとは平和条約がなく、北朝鮮とは国交もなく、中国や韓国と安倍政権の関係も決して良好とは言えません。ここを正さなければなりません。
 一国の最大の安全保障は隣国の信頼を獲得することにあるとも言われます。総理、岸信介総理の国防の基本方針にもあるように、これら近隣諸国との信頼醸成外交に最優先で取り組むべきではないですか。
 この信頼醸成外交を展開すべく、河野外務大臣が最近中東を歴訪したことを評価します。
 二年前に、中東のシーア派とスンニ派の最高位の指導者たちが来日しました。世界宗教者平和会議、WCRP出席のためで、サウジアラビアとイランが国交断絶直後の両派指導者の初の同席は世界の注目を集めました。岸田外務大臣も夕食会に出席したほか、数年前、外務省もタイのWCRPの仏教とイスラム教との和解プロジェクトを助成しました。WCRPは、国連の諮問資格を持ち、世界九十か国のほとんどの宗教団体が加盟し、人道援助や紛争の和解活動を行っています。
 私も民間NGO時代からWCRPの活動を支援してきましたが、現場で学んだことは、宗教同士が戦争を起こすのではなく、政治家が宗教を使って戦争を始めるということと、和解活動は、仲介者が表に出、手柄を求めると失敗するということです。宗教団体は、WCRP活動では布教活動は行わず、中立を堅持するので、対立する両派から信頼されます。実際、二〇〇四年のイラクでの日本人人質事件で、地元の自警団が解放して引き渡した日本人人質五人の引取り手はイラクのWCRPの指導者でした。
 平和憲法を持ち、欧米などに比べて中立的な日本には和解外交を担う期待が高まっています。こうした和解外交、つまり平和創造外交こそ日本の柱にすべきと考えますが、外務大臣の見解を求めます。
 沖縄県では、昨年以来、ヘリコプターの墜落、普天間第二小学校での窓枠落下などの事故が頻発しています。一国の防衛大臣が米軍に再発防止をお願いし無視し続けられるのではなく、飛行中止を命令すべきではないですか。また、米軍任せではなく、米軍機の点検に日本政府が関わるべきです。防衛大臣の答弁を求めます。
 普天間第二小学校の事故後もヘリコプター三機がその上空を通過した事実を米軍側は認めていません。総理、日本を取り戻すというなら、独立国家としての主権を取り戻すためにトランプ大統領に直談判すべきではありませんか。
 事故の原因究明を妨げているのが日米地位協定です。安倍総理は、日本国憲法は占領期に押し付けられた憲法であり、改憲すべきとの考えですが、米兵の刑事裁判権や身柄引渡制限など、国民が米国による押し付けを実感しているのは、憲法よりもむしろ日米地位協定ではないでしょうか。
 岸信介総理はかつて、日米地位協定の前身の日米行政協定には極めて不都合な事態が残っており、改定したいと国会で述べています。現在の日米地位協定においても、米兵の刑事裁判権や基地の管理権等の不都合が続いています。総理、岸総理の遺志を引き継ぎ、憲法改正よりも日米地位協定の改定を急ぐべきではありませんか。
 平成二十五年に日米両政府が発表した在日米軍施設・区域に関する統合計画では、普天間基地の八つの返還条件が示され、その一つが、普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための民間施設の使用の改善です。昨年、稲田防衛大臣は、私の質問に対して、アメリカ側との調整が整わないことがあれば、普天間飛行場の返還がなされないことになると答弁しました。何と、仮に辺野古の新基地が完成しても普天間飛行場の返還が実現しないことを認めたのです。
 普天間基地の返還を実現するために、政府は、まずこうした飛行場の決定と整備を最優先で進めるべきと思います。防衛大臣の答弁を求めます。
 安倍総理は、昨年、中国の一帯一路構想に協力する姿勢を示す一方で、アジアインフラ投資銀行、AIIBへの加盟については否定的な姿勢を維持してきました。私は、昨年末、AIIBの金立群総裁と単独会談しました。金総裁は、AIIBへの日本の加盟を歓迎すると述べる一方、公正なガバナンスが確立できるか不明との理由で加盟しないならば、八十四の加盟国に対する侮辱ではないかと述べました。また、金総裁は、トランプ大統領もAIIBについて関心があるとの情報を得ているとも述べました。
 日中平和条約四十年の今年は、日中関係の更なる強化の好機でもあり、米国に先を越される前にAIIB加盟を検討すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 最近の読売新聞の世論調査では、景気回復を実感していない人は七三%です。これは、実感がないというより実体がないからです。第二次安倍政権誕生以来の莫大な金融緩和と財政出動にもかかわらず、消費も収入も減りました。
 第二次安倍内閣発足の二〇一二年と二〇一六年を比較した数字では、総世帯の消費支出が一世帯当たり一か月平均で五千二百三十六円の減少、総世帯の年間収入は三万円の減少、一人当たりGDPは世界第十五位から二十位に下落しました。他方、非正規雇用労働者は二百十七万人、年収二百万円以下の雇用者は四十二万も増加しました。これらの事実をどう受け止めるか、答弁を求めます。株価の上昇の主因は、日銀によるETF購入やGPIF、年金運用基金など、六十兆円以上とも言われる官製相場によるものです。この実態に関する認識を伺います。逆に、公的資金投入をやめると暴落の危険があるのではないですか。答弁を求めます。
 このように、デフレ脱却に失敗し、実体成果のないアベノミクスの失敗を認めるときではないですか。総理の真摯な答弁を求めます。
 二〇一二年の野田内閣による社会保障・税一体改革大綱では、社会保障は需要、供給両面で経済成長に寄与する機能を有している、安定した財源の確保による医療、介護、子育て分野での雇用創出により経済成長との好循環を実現するとあります。
 医療・介護分野は雇用需要を示す雇用誘発係数が他産業と比べて極めて高く、雇用や生活環境の改善に加え、医療・福祉業で働く人が多い地域は出生率が高いことも明らかになっています。この雇用誘発係数と出生率の高さについて、厚生労働大臣の答弁を求めます。
 アベノミクスが地方にはほとんど恩恵をもたらしていない状況や地域包括ケアシステム推進のためにも、医療・福祉施設を増やし、雇用を創出することが極めて重要です。今回の診療報酬、介護報酬の改定も全く不十分でした。地方の医療・福祉施設や従事者に対する支援をどう拡大していくか、総理の答弁を求めます。
 総理は、国内景気の低迷に配慮して消費税率の引上げを延期し、平成二十八年の参議院選挙に臨みました。そして昨年、消費税率引上げ財源を教育に充てるという言い訳で衆議院を解散しました。政府は今週、基礎的財政収支の黒字化が二〇二五年から二〇二七年に先延ばしとなる試算を示しました。自らの失政隠しや政治的思惑によって財政悪化を見過ごす総理の姿勢が、財政破綻への道につながるのではないですか。答弁を求めます。
 また、日銀が金融緩和、つまり国債の買入れを止めると、国債が暴落し、円と株も暴落する可能性があります。すると、長期金利が上昇し、国の債務返済がますます困難になると思われますが、財務大臣の認識を伺います。
 日銀は今週、金融緩和の継続を決めましたが、どこかで円の信用が失われ、円が暴落する可能性があるのではないでしょうか。財務大臣の認識を伺います。
 安倍総理は、新年早々、リトアニアの杉原千畝記念館を訪ね、杉原さんの人道的行為を日本人として誇りに思うと述べました。しかし、戦後外務省は、多くのユダヤ人を救った杉原さんを冷遇し、依頼退職という形で事実上解雇、後にイスラエル政府が勲章を与えたのを機に、彼の没後十四年もたった二〇〇〇年になって、河野洋平外務大臣によって名誉回復されたと言われています。その事実関係について、河野太郎外務大臣に伺います。
 明日、一月二十七日はホロコースト犠牲者を想起する国際デーで、グテーレス国連事務総長からのメッセージも届いています。ユダヤ人を迫害した独裁政治の再来を防ぐために創設されたのが、アメリカ・ワシントンのホロコースト記念博物館です。ここには、ファシズムの十四の初期警報という政治学者ローレンス・ブリットの言葉が掲示されており、安倍総理の政治手法との類似性が話題になっています。
 例えば、団結のための敵、スケープゴートづくりは安倍総理による秋葉原でのこんな人たち発言や前川前文部事務次官への人格攻撃、マスメディアの統制はNHK会長などの交代、犯罪取締りと刑罰への執着は特定秘密保護法と共謀罪、労働者の力の抑圧若しくは排除は働き方改革という名の労働者の支配などが指摘されています。総理、こうしたイメージをどう受け止めますか、お答えください。
 不正な選挙。ヒットラーは、権力完全掌握の前に選挙を連発し、国民の支持を得たとの口実にしたと言われています。総理、昨年の大義なき解散は、この手法を参考にしたのですか。これらの終着点は、強力な国家主義、軍隊の最優先であり、解釈改憲による安保法制の強行採決ではありませんか、お答えください。
 初期警報のもう一つが、身びいきと汚職の蔓延です。これこそ、森友、加計問題のお友達のためのそんたくではないですか。豊中市にある国有地が、安倍総理夫人が名誉校長を務めていた森友学園に、ごみ撤去費が大幅に差し引かれ、法外に安く売却されました。昨年、会計検査院は、この値引き額に関し、十分な根拠が確認できず慎重な検討を欠いていたとする報告書を国会に提出しました。また、昨年以来、学園と近畿財務局の交渉の録音データや交渉に関する内部文書の存在が明らかになりました。
 政府はこれまで、事前の価格交渉はしていない、ごみ撤去費は適正に算定した、交渉記録は廃棄したと答弁してきましたが、国民は全く納得していません。関係者の処分や国会招致も含め、疑惑の解明に対する総理の見解を伺います。
 以上、安倍政治の歩みを見ると、戦後日本が目指してきた民主主義、平和主義、基本的人権を否定しているように思われます。安倍総理による憲法改正を認めることは断じてできません。
 来年、平成の時代が終わりを迎えます。世界中で紛争、テロ、分断が増大する中、平成の世の後も、平成の名のように、日本が、戦争をさせない国、戦争をあおらない国、戦争に巻き込まれない国であり続けることに全力で取り組むことを国会議員の皆さんと安倍総理に強く求め、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119615254X00320180126_015

発言者: 藤田幸久

speaker_id: 774

日付: 2018-01-26

院: 参議院

会議名: 本会議