古川俊治の発言 (本会議)

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○古川俊治君 自由民主党の古川俊治です。
 私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 安倍総理は、財政健全化について、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を目指す目標を堅持すると重ねて発言しています。同時に、公的債務残高の対GDP比の安定的な引下げを目指すこととされています。
 この目標達成に向けて、これまでの取組を精査した上で、本年夏の骨太方針において、プライマリーバランスの黒字化の達成時期とその裏付けとなる具体的な計画が示されると伺っています。
 同時に、デフレからの脱却と経済再生を完遂させることが、これこそが国民が最も安倍内閣に期待していることだと思います。相当に工夫の要る経済運営が求められていると思いますが、財政健全化と経済の再生、デフレからの完全脱却という課題を解決するために、安倍総理は、今回の所得税法等の改正を踏まえ、どのような姿勢で取り組まれるおつもりでしょうか、お聞かせください。
 次に、基礎控除、給与所得控除の見直しについて伺います。
 昨今、時間や場所に縛られない柔軟な働き方が増加しています。例えば、フリーランスの数は、民間調査では、平成二十八年で千六十四万人の対前年比増加となっています。在宅で仕事を請け負う子育て中の女性の方々、起業する方々などは働き方多様化の一例です。しかし、給与所得者には給与所得控除がある一方、フリーランスや起業、請負などでは実際に負担した必要経費という限定的な控除となっています。
 租税原則の基礎を成すものに、公平性の原則があります。この原則の中には、負担能力の大きい人により大きな負担をしてもらうという垂直的公平性と、等しい負担能力のある人には等しい負担を求めるという水平的公平性があります。
 この公平性の原則から見れば、給与所得者、フリーランスや起業、請負など、働き方や収入の稼得方法により控除が異なるということは、水平的公平性を損ねることになります。今回の所得税法改正では、誰もが受けられる基礎控除を一律増額するとともに、給与所得控除の一部を基礎控除に振り替えることとしています。自営業やフリーランスで働く方々など、様々な形で働く人々を広く支援することができる措置として評価できると考えています。
 一方、水平的公平性の観点からいえば、給与所得者と自営業者などとの所得捕捉率に格差があるものと指摘されています。そこで、今回の基礎控除の増額等の見直しは、働き方や収入の稼得方法の違いにより課税所得の捕捉率に差があることとどのような整合性を取ったのでしょうか。まず、その考え方を麻生財務大臣に伺います。
 続けて、もう一つの公平性、垂直的公平性の観点から伺います。
 前回の所得税改正では、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しの中で、納税者本人に所得制限として、給与収入の場合千百二十万円超の控除額を逓減、消失としました。そして、今回の所得税改正では、基礎控除の一律増額、基礎控除の増額分と給与所得控除の引下げ分の振替に加えて、八百五十万円を超える給与所得者においては給与所得の控除が頭打ちとなる一方、子育て世帯や介護世帯には負担額が増えないよう工夫されています。また、所得金額が二千四百万円超の給与所得者には基礎控除が逓減、消失される措置もとられています。
 これらの見直しは、一つ一つ根拠を持って決定されていることと思いますが、それぞれの見直しに関する所得額はばらばらで、垂直的公平性に関する政府の考え方が見えにくいことから、場当たり的に決定しているのではないかという疑問の声も一部にあります。
 そこで、これらの措置はどのような考え方に基づいて決められ、整合性が保たれているのでしょうか。この政府の考え方についても、財務大臣、お聞かせください。
 続いて、生産性革命について伺います。
 ロボットやIoT、人工知能といった生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションは、これまでの世界の産業発展の様相を大きく変える力を有しています。我が国が厳しいグローバル競争の中で経済成長を続けていくためには、イノベーションの創造をリードし、あるいは確実に取り入れる生産性革命を実現しなければなりません。
 今回の税制改正では、平成三十年度から三年間を生産性革命集中投資期間として、時限措置で、IoT等の先端技術への投資に対して特別償却又は一定割合の税額控除を選択できるようにしたほか、企業が賃上げと国内設備投資を行う場合には、一定の要件で税額控除を可能としています。企業活動においてイノベーションを取り入れ、生産性を向上させる措置として期待しています。
 一方、生産性革命を成し遂げるには、イノベーションを生み出す力も必要です。例えば、革新的医薬品の研究開発でも、ゲノムに基づく創薬や再生医療技術による創薬、コンピューターシミュレーション創薬など、産業の未来を変える研究分野が数多くあります。アジア各国の研究力の向上もあって、科学研究の国際競争はますます熾烈となっており、世界の中に我が国が埋もれてしまうおそれがあります。
 そこで、生産性革命を推し進めるためには、企業へのイノベーションの導入促進はもちろん、イノベーションそのものを生み出す研究開発を後押しする税制を含む支援措置の強化が必要ではないかと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 さて、政府は、これまでも中小企業の経営力強化支援として様々な施策を発動させていますが、中小企業の皆様がその成立を待ち望んでいるものには、円滑な事業承継に対する税制改正です。現行では、雇用確保要件や実際に猶予される相続税額が全株式に対する税額の半分強にすぎないことから、利用している中小企業は対象の約一割にとどまっています。これでは、経営者の高齢化や後継者不足の深刻化により、事業の将来性があるのに廃業せざるを得ない事例が大量に発生する懸念があります。
 自民、公明共に党内でも大いに議論し、今回の税制改正には事業承継税制による相続税等の緩和が盛り込まれています。中小企業が日本のエンジンであり、日本経済や地方の活力を支える基盤であることを考えれば、円滑な事業承継税制は極めて大切な施策です。ただ、円滑な事業承継のためには、今回の税制改正も含めて、中小企業・小規模事業者の実態に即した施策を更に多面的に展開していく必要があると思いますが、総理はいかがお考えでしょうか、お考えをお聞かせください。
 先月二十五日に閉幕した平昌オリンピックは、日本人選手の大活躍で大きく盛り上がりました。本日からのパラリンピックでも日本選手の活躍が期待されます。これが終われば、次のオリンピック・パラリンピックはいよいよ東京です。
 オリンピック開催地では、受動喫煙を防止するための法規制を行うことが国際標準となっています。自民党内でも、受動喫煙防止のための議論について一定の結論を得ました。医師としてはいまだ不十分と言わざるを得ない内容ですが、一歩前に進んだものと理解しております。
 今回の税制改正でもたばこ税率の引上げが盛り込まれており、受動喫煙防止対策という面からも評価できます。また、加熱式たばこも喫煙者に有害なことは明らかですが、この加熱式たばこについても、課税方式を見直され、紙巻きたばこの約七割から九割程度にまで税負担が増加されることで格差も小さくなります。さらに、この税源が受動喫煙対策の充実に振り向けられることも期待しています。
 そこで、麻生財務大臣は、今回のたばこに関する税制改正についてどのように評価しておられますか、お聞かせください。
 最後に、グローバル化を背景にした節税対策への対応についてお尋ねします。
 多国籍企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用して過度な節税対策を講じることで、本来課税されるべきであるにもかかわらず税負担を軽減していることは、BEPS、税源浸食及び利益移転と言われており、OECDやG20各国で連携して対応しています。
 この問題の一つとして最近クローズアップされたのが、外国法人のインターネット通販会社が国内に倉庫のみを持ち、PEと呼ばれる恒久的施設、いわゆる支店に相当する施設を持たない場合には事業所得課税がされないという問題です。これについては、今回の税制改正で、いわゆる支店に相当する施設の定義が見直されることで課税できることになると聞いています。過度な節税につながる国際的な税制の隙間や抜け穴が塞がれなければ、正しく税を納めている者の不公平感は高まるばかりです。
 そこで、今後も、経済のグローバル化に迅速に対応し、過度な節税につながる道を断つために適切な措置を講じていくという総理の決意をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119615254X00620180309_004

発言者: 古川俊治

speaker_id: 4087

日付: 2018-03-09

院: 参議院

会議名: 本会議