小林正夫の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について質問いたします。
 国民民主党は、党綱領において、自由、共生、未来への責任を基本理念として掲げており、民主主義を守り、現在と未来の課題を着実に解決し、国民全世代の生活を向上させることを目指して、中道改革政党として現実的政策を実行してまいります。政府におかれましても、是非私たちの意見に真摯に耳を傾け、前向きな答弁をお願いをいたします。
 さて、本法律案は、衆議院において、我が党同僚議員が質疑を続けるなど、まだ審議が十分に尽くされたとは言えない中、厚生労働委員会において強行採決されたものであります。その手続は、およそ民主主義の理念とは懸け離れており、残念ながら、安倍政権からは国民をおもんばかる姿勢がみじんもうかがえません。
 そもそも、本法律案については、労働時間等総合実態調査をめぐる虚偽データ問題が立法事実そのものを揺るがしており、これまでも、膨大な質疑時間が問題の究明に費やされてきました。しかしながら、本法律案の採決が委員会で強行された当日も、朝の理事会においておかしなデータや説明が提示されるなど、森友問題や加計問題と同様、国会ひいては国民に対する説明責任がまともに果たされてはおりません。
 こうして安倍政権が引き起こした底なし沼のような問題の数々により、この国会における質疑時間がどのぐらい浪費されたと安倍総理は認識しているのか、また、このような状況を招来させるに至った総理自身の責任の自覚について、まず初めに伺います。
 次に、時間外労働規制について伺います。
 現在の労働基準法では、特別条項付きの三六協定により、時間外労働が事実上の青天井となってしまっており、これが長時間労働を生み出す大きな要因となっております。こうした状況に対し、政府案において罰則付きで時間外労働の上限が定められたことについては一定の評価をいたします。しかし、中小企業については、時間外労働の上限規制の施行が大企業よりも一年後に先延ばしされており、その間、中小企業で働く労働者が長時間労働を強いられるおそれがあります。
 労働者保護の必要性という観点では、大企業も中小企業もその重みに違いはありません。中小企業で働く労働者を保護するため、速やかな時間外労働の上限規制の施行が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 また、安全で健康で働ける環境をつくっていくこと、それこそが働き方改革の真の目的であります。そのためには、働く者の働き方にかかわらず、全ての働く者の労働時間管理を使用者に義務付ける、このことが必要ではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、時間外労働の上限規制の適用が猶予されている自動車の運転業務について伺います。
 私たちは、どのような業種で働いていようと、どのような規模の会社で働いていようと、またどのような業務に従事しようと、同じ労働者としてひとしく安心して健康に働く権利があると考えます。しかし、時間外労働上限規制の適用猶予業務である自動車運転業務を見ると、労働者の健康がないがしろにされているのではないかと思えてなりません。
 道路貨物運送業は、過労死等で長年ワーストワンになるとともに、労働災害に係る死亡災害も平成二十八年の九十三人から平成二十九年には百三十人と四割も増えており、常に危険と隣り合わせの業務であることから、とりわけ長時間労働の是正が喫緊の課題です。しかし、自動車運転業務については、一般の労働者の年七百二十時間よりも緩い九百六十時間以内という規制が施行期日の五年後に適用されることになっています。
 過労死を二度と繰り返さないため、長時間労働の是正が急務と言いながら、これで過労死等防止対策の観点から十分だと考えているのか、国交大臣の見解を求めます。
 高速道路でのトラックやバスの事故が度々問題になっています。今朝も、残念ながらこのようなニュースが入っておりました。ドライバーの皆さんはぎりぎりのところで昼夜を問わず働いています。ドライバーの命を守るには、法律が最後のとりでです。
 国民民主党が対案として提出しております安心労働社会実現法案では、自動車の運転業務について、五年の適用猶予後に、年七百二十時間、単月百時間未満、二か月ないし六か月平均八十時間の一般則を適用することとしています。過労死を繰り返さない、事故を防ぎたいと言うなら、一般則の適用は最低限必要なことではないですか。この問題にどのように対処されるのか、厚労大臣の答弁を求めます。
 次に、高度プロフェッショナル制度について伺います。
 高度プロフェッショナル制度は、労働時間と賃金との関係を切り離すものであり、対象となる労働者には、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増し賃金に関する規定が全て適用されないこととなります。時間外労働の上限規制を設けることで労働者の保護をうたいながら、一方ではこのように労働者の保護を究極に緩めてしまうという矛盾した内容が含まれており、これでは、長時間労働の抑制に大きな抜け穴をつくることになると考えます。
 国力の源は労働にあり、私はこういう政治姿勢で今日まで政治活動を行ってまいりました。まさしく日本の国力をそぐような労働者保護ルールの改悪を許してはなりません。
 労働時間規制の適用が一部除外される裁量労働制適用労働者や管理監督者の立場にある者の過労死が生じている中、労働時間規制の適用が全て除外される高度プロフェッショナル制度を創設することは過労死を促進する、そう断言せざるを得ません。
 過労死で亡くなられた方の御遺族やその方々を支援する関係者の皆様の御協力もあって、平成二十六年六月に過労死等防止対策推進法が全会一致で可決され、同年十一月一日に施行されました。同法に基づき制定された過労死等の防止のための対策に関する大綱では、「人の生命はかけがえのないものであり、どのような社会であっても、過労死等は、本来あってはならない。過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的として、今後、この大綱に基づき、過労死等の防止のための対策を推進する。」とあります。しかし、法律や大綱の制定以降も過労死は発生しており、平成二十八年度に過労死等と認定された労災の支給決定件数は百九十一件に及んでいます。
 過労死ゼロを目指すということであれば、労働時間規制の更なる緩和を図るのではなく、より実効的な長時間労働の是正を図るべきであり、高度プロフェッショナル制度の創設は不要です。過労死等防止対策推進法の制定から数年しか経過していない中で、過労死を誘発するような高度プロフェッショナル制度を創設することに一体いかなる意義があるのか、総理の答弁を求めます。
 政府は、いわゆる同一労働同一賃金の実現を図るとしておりますが、我が党も、衆議院における対案を通じ、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇格差の是正を求めております。非正規雇用労働者の待遇改善は待ったなしの課題であると総理も述べられておりますが、こうした格差の解消が正規雇用労働者の待遇の低下で実現されるようなことがあってはならない。同一労働同一賃金の実現により、非正規雇用労働者の待遇改善が確実に行われるよう求めますが、政府の取組と総理の決意を伺います。
 また、自らの職務が適正に評価されていると実感するためには、非正規雇用労働者が、自身の待遇や正規雇用労働者との待遇差の内容、その理由を明確な形で知ることが重要です。その意味で、待遇の説明義務の強化は同一労働同一賃金の法整備の中で重要な点であると思いますが、閣法では説明方法についての定めが規定されておりません。
 説明義務の実効性を確保しなければ、口頭での説明や不十分な資料に基づく説明がなされる懸念もあります。しかし、不十分な説明で果たして非正規雇用労働者の方々の納得が得られるのでしょうか。言った言わないではなく、やはりきちんと書面で説明することが必要なのではないかと考えます。説明の方法についてどのようにお考えなのか、厚労大臣の答弁を求めます。
 最後に、職場におけるパワーハラスメント対策について伺います。
 近年、パワハラによる健康被害が多発し、それが原因となって自殺に至る事案も生じているなど、大きな問題となっております。
 誰でもが安心で健康に働ける労働環境の確保が強く求められているわけですが、今回の働き方改革関連法案には、喫緊の課題である職場におけるパワハラ対策が盛り込まれておりません。そこで、パワーハラスメントに実効的な法律上の対策を講じる必要性について、総理の認識を伺います。
 また、このために、私たちは労働安全衛生法改正案、いわゆるパワハラ規制法案を参議院に提出しております。これは、二〇一三年五月、国連の社会権規約委員会の日本への長時間労働及び過労死に対する勧告の中にある、職場におけるあらゆるハラスメントに対する法整備の不備に対応するものです。職場内でのパワハラだけでなく、親会社や取引先からのパワハラ、顧客やユーザーからの過剰クレームなどから働く者を保護するための措置を講じるよう事業者に義務付ける内容です。当然、業務上の優位性を利用したセクハラも対象です。私たちの法案についても政府案とともに充実した議論を行うことを求めますが、総理の見解を伺います。
 政府案では、雇用対策法の目的規定に労働生産性の向上という文言が加えられようとしておりますが、これは、安倍政権が経済を優先し、人を大事にする視点が欠けていることの表れではないかと懸念されます。
 私たち国民民主党は、働く者の立場に立つ政党であります。今国会においても、安心労働社会実現法案として、本院におけるパワハラ規制法案に加え、衆議院においても個別の法案を提出してきました。あらゆる労働者の環境改善の向上に取り組んでいくことで、労働災害や過重労働がなくなり、それが企業業績の上昇につながっていく、それこそが真の働き方改革ではないでしょうか。誰もが安心して働き、暮らしていける社会を目指すならば、法案から高度プロフェッショナル制度を削除すべきです。
 このことを改めて強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119615254X02520180604_012

発言者: 小林正夫

speaker_id: 22058

日付: 2018-06-04

院: 参議院

会議名: 本会議