紙智子の発言 (本会議)
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○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部改正案について質問いたします。
本改正案は、卸売市場の認可制を認定制に変えることを始め、八十三条の条文を十九条まで減らす大幅な改正です。それなのに衆議院の質疑は、参考人を含めて、五月二十三日、二十四日、連続二日間のみで採決をされました。余りにも早い採決に驚くばかりです。これで審議が尽くされたと考えますか。参議院では慎重、丁寧、充実した審議を求めるものです。
卸売市場は、生産者が出荷する野菜、青果物、食肉、水産物、花卉などを集荷、分荷、値決めをし、効率的に流通させています。商品は、卸売業者、仲卸業者、小売業者を通じて料理店や消費者に届けられ、日本の農業、漁業生産と豊かな食分化を支える役割を果たしています。
衆議院において中澤誠参考人は、卸売市場法で大事なところは品質競争することだ、競争することで生産者は品質のいい生産物を作ろうとする、卸は生産物を高く売ろうとする、それが生産者の再生産を保障することになると言われました。また、仲卸は、品質を見極める目利きの力で品質のいい商品を求める消費者の利益を守ろうと努力する、立場の違う卸と仲卸が生産者、消費者の立場に立って価格形成を行うのが卸売市場だと言われました。
卸売市場が果たしている役割をどう認識していますか。目利きの力でブランド力を高め、消費者にも観光客にも愛されている築地市場を始め、各地の卸売市場を誰のために見直すのですか。
未来投資会議、規制改革推進会議は、二〇一六年十月、総合的なTPP関連政策大綱に基づく改革の課題として、卸売市場の抜本的見直し又は卸売市場法という特別の法制度に基づく時代遅れの規制は廃止を提言しました。
これを受け入れた政府は、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止すると決めました。また、卸売市場関係業界の抜本的な合理化、流通加工業界、中間流通の業界再編、全農の農産物の売り方の見直しが必要であるとして、業界再編並びに全農改革としてセットで改革を迫ったのです。
改正案は、TPP、環太平洋経済連携協定の推進に合わせた改革ではありませんか。改正案は、卸売市場の開設者に民間企業が参入することを認めています。卸売市場を軸にした生鮮食品のサプライチェーンを、多国籍企業を含む大手流通と食品企業のために見直すのではありませんか。
以上、農林水産大臣、お答えください。
改正案は、中央と地方の卸売市場の許認可制度を認定制に変えるものです。同時に、地方自治体に限定していた中央卸売市場の開設制限をなくし、大都市に食料を安定供給するために設けられた開設区域も廃止するものです。
中央卸売市場は、地方公共団体が開設者になり、税金を投じて整備したからこそ、卸売会社や仲卸会社は自前の土地や建物を持つ必要がなく、安心して生鮮食料品の取引に専念することができたのです。安全な食品を供給するために、衛生検査機関を設置し、常時検査、公表する体制整備を取っています。
札幌中央卸売市場では、夕張メロンを保管する定温施設を整備し、ブランド化を図っています。住民の代表である地方議会は、条例で中央卸売市場の施設使用料など業務規定を定め、必要な予算を付けることで、住民への食料の安定供給に責任を持ってきました。
認定制になれば、中央卸売市場に民間企業の参入が可能になります。採算が合わず撤退したら、食料の安定供給に誰が責任を持つのですか。国と地方公共団体が果たしてきた公的役割が後退するのではありませんか。総務大臣と農林水産大臣に答弁を求めます。
卸売市場は、生産者、消費者の立場に立って公平公正な価格形成が行われています。改正案は、取引規制の緩和に反対する世論の高まりを受けて、一部の規制は残すことになりました。しかし、卸売業者が仲卸や売買参加者以外に売ってはいけないとする第三者販売の禁止等の規制をかぶせるかどうかは、開設者の判断に委ねました。この規制が自由化されれば、卸が仲卸を通さず、直接取引を行い、値決めする。大手流通小売業界の販売力が強まり、公平公正な価格形成が損なわれるのではありませんか。
政府は、農業等の生産者の所得を向上させるとともに、消費者のニーズに的確に対応するために、食品の流通構造を改革すると言っています。生産者が卸に支払う手数料を減らすことができれば、その分、生産者の実入りは増えるでしょう。しかし、利益率が低い卸にとって、手数料を下げることは至難の業です。
衆議院で藤島廣二参考人は、卸業者、仲卸業者の利益率は〇・五%前後だ、トヨタ自動車の利益率の二十分の一か三十分の一でしかない、脆弱な経営体質を支えているのが公設市場だ、業者と地方自治体が組むことで低コスト供給システムをつくることが可能になったと言われました。食品の流通構造の改革は、結局、卸売業者、仲卸業者に再編、リストラを迫るものではありませんか。
第三者販売の禁止、直荷引き禁止、商物一致の自由化も重大です。
資本力のある卸は、大手スーパーや外食産業への直接販売が可能になります。一方、大手スーパー等の仕入れを代行している大手の仲卸も、生産物を直接買い付けて販売することが可能になります。卸売市場内で取引するという商物一致が廃止されれば、市場外取引が可能になります。
これでは、中小の仲卸が卸売市場内で生鮮食品を扱うことが困難になり、目利きの力に依存してきた専門小売店、料理店、すし店などの仕入れも困難になります。札幌中央卸売市場は、量販店で手に入らない生マグロを扱うことで、小売店に安心できる食材を提供しています。取引規制の自由化は、仲卸業者を淘汰するものではありませんか。
東日本大震災の後に仙台市中央卸売市場を訪問し、仙台市や業者から話を聞きました。私たちは震災時もずっと市場を開けていた、入るものがあれば出せるものもある、それが中央卸売市場の役割だと言われました。仲卸の社長さんは、家は被害を受けたけれども流通は止められないと営業を続けた、スーパーやコンビニの配送センターはデータ処理ができないのでストップしたが、アナログの世界は処理できる、いざというときに役に立つのが公設市場だと言われました。公設市場の役割を強化することこそ必要です。
最後に、一言申し上げたい。
安倍政権は、規制改革推進会議に主導させて、TPPに反対した農協に改革を迫り、森林所有者が誰も求めていないのに、林家から山を奪い取る林政改悪を行い、地域ブランド米を育てた主要農作物種子法を廃止するとともに、今年から米の所得補償を廃止しました。さらには、企業に漁業権を与える漁業改革を行おうとしています。現場が求めてもいない官邸農政はやめるべきではありませんか。農林水産大臣の答弁を求めて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕