小林正夫の発言 (本会議)
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○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
ただいま議題となりました厚生労働大臣加藤勝信君問責決議案に対し、国民民主党・新緑風会を代表して、賛成の立場から討論を行います。
以下、加藤厚生労働大臣に対する問責決議に賛成する理由を述べます。
第一に、労働時間に係る虚偽データ問題をめぐる不十分な対応が挙げられます。
働き方改革関連法案作成の基礎となる平成二十五年度労働時間等総合実態調査のデータに、あってはならない誤りがあり、二割のデータが撤回されました。また、その後もデータをめぐっては何度も訂正があり、加藤厚生労働大臣はそのたびに陳謝しておられました。
働き方改革関連法案については、裁量労働制適用者を始めとして働く方々の労働時間の現状がきめ細かく調査されるとともに、労働政策審議会においてその調査結果である真のデータを基に労使で十分に議論を尽くした上で、ようやく国会の議論を行うに値するものとなるものであり、今回はそうした条件が満たされておりません。そのような状況を自ら招いておきながら、法案を撤回して再提出することを再三拒否し続けている加藤厚生労働大臣には、厚生労働行政の信頼を失墜させた重大な責任があります。
第二に、データ問題に関して、都合の悪い情報を隠蔽する体質が如実に表れていることです。
厚生労働省からの依頼を受け、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った労働時間等に関する調査では、一般労働者よりも裁量労働制適用者の労働時間の方が長いという、至極真っ当な結果が出ていました。その結果を得ていたにもかかわらず、労働政策審議会においては、誤りのあった労働時間等総合実態調査の結果を基に活用して、自分たちに都合の良い比較方法によって裁量労働制適用者の方が一日の労働時間が短いという説明を行ってまいりました。
加藤厚生労働大臣が同様の説明を国会において繰り返したことは、都合の悪い情報を隠蔽する安倍政権の体質そのものであり、問責に値いたします。
第三に、立法事実のない高度プロフェッショナル制度を、あたかも労働者自身が求めている制度であると喧伝してごり押しする姿勢です。
厚生労働大臣は、高度プロフェッショナル制度のニーズがあると答弁を繰り返していますが、同制度の検討に当たっては、僅か十二名という耳を疑うような少人数からのヒアリングしか行っておらず、そのうち九名については、それぞれの企業の人事担当者が同席しておりました。このようなゆがんだ条件の下で行われたヒアリングにおいて、働く方々が本当に求めている働き方をお話しするでしょうか。自分の仕事ぶりを評価する人事担当者が同席する中で行った発言は、全くもって参考になりません。また、ヒアリングの実施時期も、十二名のうち九名が本年一月末から二月初旬であり、後付けでアリバイづくりのために行ったヒアリングだと言わざるを得ません。さらに、法案要綱を検討する労働政策審議会での議論の前にヒアリングを実施した事実はなく、これは労働政策審議会に対する冒涜でもあります。
このように、高度プロフェッショナル制度に関する立法事実が一切存在しないことは明白であり、それでもなお法案から削除しようとしないことは、労働者の意思をも踏みにじる行為であり、到底許されません。
第四に、誰にも必要とされない高度プロフェッショナル制度でありますが、委員会審議が進むにつれてますます課題が浮き彫りとなっている点であります。
高度プロフェッショナル制度は、労働基準法の大原則である労働時間と賃金の関係を切り離すものであり、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日に加えて、管理監督者等にすら適用される深夜の割増し賃金に関する規定が全て適用されません。また、健康確保措置として定められた休日を取得させたとしても、四十八日間連続で勤務させることが法律上認められており、これでは過労死を誘発する制度であると言わざるを得ません。
安倍総理は、働き方改革関連法案を七十年に及ぶ労働基準法の歴史的な大改革と形容されていますが、高度プロフェッショナル制度は言わば労働基準法制定史上最悪の制度であります。労働者保護ルールを真っ向から否定するようなこのような制度改悪をひたすら進めていく加藤厚生労働大臣に、その大臣たる資格はありません。
るる述べてきたように、働き方改革関連法案や労働行政には多くの問題が存在しており、この責任がひとえに加藤厚生労働大臣に存在することは明らかです。しかし、残念ながら、問題は厚生労働行政全般に及んでおります。
まず、年金問題であります。
SAY企画という会社が今月五日に解散を決定しました。これにより、日本年金機構の被る損害は二億円とも報じられております。年金受給者のデータ入力業務を委託されたSAY企画は、人手不足などを理由に、契約に違反し、中国の業者に約五百万人分のデータ入力を再委託し、約百万件近い入力ミスを起こしました。このようにSAY企画は業務遂行能力が乏しく、日本年金機構はそうした点をまず把握する必要があり、少なくともミスを認識してからは業務を速やかに見直すべきでした。しかしながら、危機感が欠如していた日本年金機構は十分な対応を行わず、このような事態に至りました。
かつての年金記録問題や年金情報流出問題を踏まえ、公的年金制度を担う厚生労働省においては、本来、一層厳格な年金情報の管理がなされることが当然だと考えられておりました。しかしながら、厚生労働省はその後も改善どころか十分な監督機能を発揮することもできず、こうした事態を招いたわけであります。
年金は国民一人一人の老後の生活を左右しかねない最重要問題であることは言うまでもなく、国民の信頼を損ねた加藤厚生労働大臣の責任を見過ごすことはできません。
次に、厚生労働省におけるセクハラ問題であります。
本年四月には、厚生労働省の一つの施策分野を代表する立場にある人物によるセクハラ事実が明らかとなりました。責任ある立場の者がこうした事案を引き起こしたことは誠に遺憾であります。厚生労働省のガバナンスの緩みの証左であると考えざるを得ず、まさしく加藤厚生労働大臣の監督能力が厳しく問われるべき問題であります。
我々国民民主党は、今国会においてパワハラ規制法案を提出し、業務上の優位性を用いてなされるセクハラを含め、国際社会から要請されている様々なハラスメントへの対応を目指して取り組んでまいりました。政府においても一層の取組を求めるものでありますが、肝腎の厚生労働省がこのような状態では、今後の施策に期待することなどできません。
加藤厚生労働大臣は、こうして生じた国民の失望を一体どう受け止めているのでしょうか。
さて、労働行政においては、労働者の働く環境の整備こそが厚生労働大臣に課された極めて重要な任務であります。働く方々の立場に立った働き方改革により、誰もが安全に安心して働いていくことで、労働災害や過重労働がなくなることが真の目的であるからです。
しかし、働き方改革関連法案は、基礎となったデータに誤りがある中で作られた欠陥のある法案を国会に提出し、誤りが露見した後も撤回せず、不誠実な答弁ばかりを繰り返す。これは、国民の代表が集う国会軽視の表れそのものではないでしょうか。
国会を再三再四軽んじる姿勢は、民主主義の根幹を揺るがすものであり、立法府として与党も野党も関係なく、決して容認されてはならないものであります。
このことを強く申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)