大島九州男の発言 (本会議)
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○大島九州男君 国民民主党・新緑風会の大島九州男でございます。
私は、会派を代表して、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
まず、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と広報しながら選挙を戦い、政権交代した途端、国民との約束違反を平気で行う。自民党は、国民を裏切る法案に賛成するわけにはいかないのではないでしょうか。国政に関わる政治家として、この法案の反対は当然の姿勢であると同時に、国民との約束を守る政治を実践するため自民党さんも断固反対であることを信じ、以下、反対の理由を述べさせていただきます。
反対の第一の理由は、TPP11協定により、農産物の大幅な輸入増が起きる懸念があることであります。
TPP11協定では、TPP12協定から関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準が全く変わっていません。農産物の主要な対日輸出国である米国が協定から外れたにもかかわらずです。これでは、農産物輸出の拡大を狙う他の締約国に対し、対日輸出を大幅に伸ばすチャンスを与えてしまうことになります。実際にカナダ政府は、豚肉で五百億円以上、牛肉で三百億円以上対日輸出を増加できると試算をしております。
TPP11協定第六条には、TPP12協定の発効が差し迫っている場合又はTPP12協定の発効の見込みがない場合、関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準を含め、締約国が見直しの検討を要請することができる規定が設けられております。政府は、これらの見直しについて、他の締約国から理解を得ていて反対はない、信頼関係に基づいて見直しも行われると答弁をしています。
しかし、他の締約国が反対していないのは要請に応じて協議することだけであって、自分たちに有利なルールを見直すことに応じることまでは含まれていないと考えるべきではないでしょうか。対日輸出の拡大を図りたいオーストラリアやニュージーランド等の締約国が、合意内容の見直しに応じてくれる保証は全くありません。
TPP11協定は、TPP12協定を丸ごと取り込んでおりますので、発効後七年目の再協議規定があります。この規定に基づき、他の締約国から再協議を求められ、関税の撤廃の前倒し等を迫られることが懸念されています。
政府は、TPP12協定の審議の際、そのような要求はガラス細工のような協定を壊してしまうことを意味し、他の締約国が一方的な要求を通すことは難しく、我が国が受け入れることはないと答弁いたしました。
それならば、TPP11協定による関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準の見直しについても、ガラス細工のような協定を壊してしまうことになるため、他の締約国が受け入れる見込みはないと考えるのが自然であって、政府の見通しは余りにも甘く一方的であると言わざるを得ません。
反対の第二の理由は、協定締結を契機として、日米二国間の貿易交渉により、我が国に不利な農産物輸入の合意がなされ、総合的なTPP等関連政策大綱及びTPP整備法に基づく国内対策では不十分となるおそれが強いことです。
TPP11協定に参加しない米国から牛肉の輸入が急増した場合、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で設けられた現行の関税暫定措置法に基づく牛肉の関税緊急措置が発動されます。この措置は、米国がTPP12協定に復帰し、TPP12協定が発効するまで引き続き存続いたします。
昨年八月、米国に対し、現行の関税暫定措置法に基づく牛肉の関税緊急措置が発動されました。その際、米国は日米経済対話でその見直しを提案したと報じられております。米国第一主義を標榜するトランプ米国大統領が、TPP11協定締結国と同等以上の条件を求め、今後、日米二国間の自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議において、牛肉を始めとする農産物について、関税割当ての枠数量の拡大やセーフガードの発動水準の緩和の要求を求めてくるのは必至であると思います。
しかし、総合的なTPP等関連政策大綱及びTPP整備法に基づく国内対策は、TPP及び日EU・EPAの発効に対応したものであって、米国からの対日輸出の更なる拡大があれば全く不十分なものとなるのではないでしょうか。これでは我が国の農業にとって大打撃となります。
国民民主党は、今国会に他の野党会派と共同で、衆議院に畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を提出しております。
我が国畜産業の厳しい状況を考えると、TPP11協定発効の有無にかかわらず、肉用牛肥育経営安定特別対策事業及び養豚経営安定対策事業の法制化を進め、速やかに生産基盤の強化を図ることが重要であります。
反対の第三の理由は、TPP11協定及び対策の是非を判断する上で重要となる影響試算の前提が妥当ではないことです。
政府が行った「農林水産物の生産額への影響について」では、国内対策の実施等により国内生産量及び食料自給率が維持されることが前提となっており、また、輸出増加は考慮されておりません。内閣委員会の参考人質疑において、磯田参考人からは、政府の影響試算の前提では、輸入が全く増えない、人口減に伴う消費減を考慮すればむしろ輸入が減ることさえ意味する結論が導き出され、非現実的であるとの厳しい指摘がありました。
これは、政府の影響試算が、TPP11協定によって農業は影響を受けないとする結論が先にありきの試算であって、妥当な試算になっていないと言うべきではないでしょうか。したがって、この試算の前提となっている国内対策の妥当性についても、十分な精査が求められるのではないでしょうか。
反対の第四の理由は、TPP11協定により我が国の食の安全が守れなくなるおそれがあることです。
一昨年のTPP特別委員会において、多くの委員から食の安全に対する懸念が指摘されましたが、いまだに払拭されておりません。検疫所における検査体制は不十分で、輸入食品の検査率は八・四%にとどまっています。食品添加物、残留農薬、遺伝子組換え食品等に関するモニタリング検査が九割以上の輸入食品に対して行われておらず、食品衛生法に違反する輸入食品が国内に流通している懸念があります。TPP11協定の発効で関税の撤廃、削減が行われ、我が国への輸入食品の増加が見込まれるにもかかわらず、検疫体制の大幅な改善は期待できません。さらに、ルール分野の合意により、検疫所での貨物引取りが到着から四十八時間以内に許可するよう緩和されてしまいます。
このような状況で農産物の輸入が増大すれば食の安全が危険にさらされることになり、国民生活の安全、安心を守るという観点から看過することはできません。
農業の成長産業化、農産物の輸出拡大を一概に否定するものではありませんが、その前に、まず、足下の国内における農業生産基盤を確保し、地域の特性に応じた農業の持続的な発展に努めることが必要ではないでしょうか。それでなくては、食料・農業・農村基本法が規定する国民に対する食料の安定的な供給や多面的機能の発揮は確保できず、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることはできません。
TPP11協定の国内手続を完了させるためには、協定自体の承認だけではなく、関連法の成立が必要であります。TPP11協定は、我が国の農業、国民の暮らしに大きな悪影響を与える可能性があり、協定の発効を阻止しなければなりません。このため、協定の国内手続が完了しないよう、TPP整備法を成立させてはなりません。
このように、TPP整備法及びTPP11協定には大いに問題があることを指摘して、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)