浜口誠の発言 (本会議)
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○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
会派を代表し、働き方改革関連法案に反対の立場で討論します。
政府提出法案に対して、働く者の立場で考えると、時間外労働の上限規制の導入、中小企業における月六十時間超の時間外労働に対する割増し賃金の適用、年五日の年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金、非正規労働者への待遇差の説明義務化、産業医、産業保健機能の強化等に関しては、法案の方向性には賛同できます。
しかしながら、高度プロフェッショナル制度の創設は、長時間労働や過労死となる懸念が極めて大きく、労働者保護の観点からは絶対に導入してはならないと、衆議院と参議院の委員会審議においても、繰り返し法案からの削除を強く求めてきました。
また、労働組合のナショナルセンターである連合、過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会なども、高度プロフェッショナル制度の創設の削除を求めています。とりわけ、全国過労死を考える家族の会は、過労死を増やす法案が成立することは絶対にあってはならない、過労死で愛する家族を失い地獄の苦しみを味わうのは私たちだけでたくさんですと訴えるとともに、五月十六日付けで安倍総理への面会を文書で要請されています。
しかしながら、安倍総理は、面会依頼の文書にも目を通しておらず、面談も拒否しています。今国会の最重要法案は働き方改革関連法案だと声高に主張されていた総理が、過労死を考える家族の会の皆さんから直接声を聞かないで高プロ制度を創設することは、絶対に許されません。家族の会の皆さんと会って、真摯な思いや訴えに耳を傾け、誠心誠意対応すべきです。
それでは、本法案に対する反対の理由を以下に述べます。
反対する第一の理由は、高プロ制度は立法事実がないことです。
労働法制は、本来、経営者よりも立場の弱い労働者を保護するために制定されたものです。今回の高プロ制度は、労働者を保護するための時間外労働、休日労働、深夜労働の規制がなく、実労働時間の管理も全く行われません。働く皆さんがこうした働き方を本当に望んでいるとは到底思えません。日本の生産性向上が喫緊の課題であるとの大義の下、時間にとらわれず、成果を重視した柔軟な働き方が必要との経営者ニーズだけが最優先された結果、残業代削減が本質的な目的である高プロ制度が創設されたのではないでしょうか。
また、政府からは十二名の専門職からヒアリングしたとの説明もありましたが、法案提出前にヒアリングしたのはたった一人、余りにもずさんです。残り十一名のうち九人は人事担当者が同席でヒアリングを行っています。これでは、労働者からのニーズは本当にあるのかとの指摘を受けて、後付けでアリバイづくりのために行ったヒアリングだと言わざるを得ません。
こうした労働者不在の議論経過、立法事実のない高プロ制度は、労働者にとって全く必要はありません。本法案から削除すべきです。
反対する第二の理由は、長時間労働や過労死につながると強く危惧される高プロ制度に対する様々な懸念や疑問が全く払拭されていない点です。
例えば、一千七十五万と言われる年収要件は、税込みで、パート労働者を含む毎月勤労統計をベースにすること、各種手当も含めることができ、年収要件の妥当性はなく、今後引き下げられる懸念も依然として残っています。また、対象業務は高度な専門的知識が必要とされていますが、高度な業務として例示されているアナリスト業務であっても、更に高度な企画、市場などの分析業務が対象となるなど、高度な業務の定義の曖昧さは全く払拭できませんでした。
さらに、極めて重要な労働時間の把握に関しては、高プロ制度適用者は、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計時間である健康管理時間を把握しなければなりません。
しかしながら、政府は、健康管理時間は事業場内ではタイムカードやパソコンのログオン、ログオフ等により客観的に把握すると説明しましたが、全ての事業所で客観的に把握できるとは限りません。その場合は、管理者が高プロ制度適用者の在社時間を現認することが必要になるとの答弁がありましたが、全く非現実的な対応です。さらに、事業場外の労働時間も、客観的な把握は実際には困難であり、自己申告にならざるを得ず、高プロ制度適用者の健康管理時間を正確に日々記録していくことは、極めて困難です。
ましてや、健康管理時間は実労働時間ではないんです。万が一、高プロ制度適用者が過労死しても、過労死基準となる労働時間の実態を把握し、立証することが、高プロ制度では不可能に近いのです。その結果、高プロ制度で過労死が増えたとしても、過労死申請をできない、過労死をしても過労死が認定されず、表向きは過労死が減少したということになりかねません。こうした事態を絶対に生じさせてはならないんです。
反対する第三の理由は、法案内容に関して、国会審議において議論が深まらなかった、先送りとなった項目が多く、国民の理解が進まなかった点です。
国会審議の役割は、法案の内容や疑問点などに関して、委員会での質疑を通じて曖昧な部分を明確にし、国民がより深く、正しく法律の内容を理解するためにあると考えます。しかしながら、本法案に関しては、法律制定後に、高プロ制度の細部や非正規労働者への待遇差の説明方法など、六十を超える項目が省令で定めることとされ、指針や通達まで含めると更にその数は増えます。こうした中で、政府の答弁も同じ内容の繰り返し、さらには、先送り答弁が目立ち、法案内容の深掘りやより具体的な対応まで議論が及ばなかったことは極めて遺憾です。こうした政府の姿勢は、白紙委任、国会軽視の対応と言わざるを得ず、政府に猛省を求めます。
以上が反対の理由となります。
次に、本法案の議論に関連して、今後政府に対して適切な対応を求めたい点を申し上げます。
まず、時間外労働の上限規制に関しては、今回適用猶予あるいは適用除外となった自動車運転業務、建設事業、医師等や研究開発業務については、早期に一般則を適用となるよう対応すべきと考えます。あわせて、学校教員の長時間労働是正への取組も不可欠であり、給特法の見直しに向け議論を加速すべきです。また、委員会でも取り上げられた、副業、兼業に対する課題、フリーランスなどの雇用類似の働き方、管理職の働き方など、労働行政に関わる様々な課題に対して、労働者保護の観点から、政府には迅速な対応や法整備を求めます。
また、野党提出法案に織り込まれている勤務間インターバルの義務化、裁量労働制の要件の厳格化や規制強化、労働時間管理の義務化等は、極めて重要な内容であり、早期に実現すべきです。今回参議院で審議した野党提出のパワハラ規制法案に対しては、参考人質疑や地方公聴会においても、多くの皆さんから必要な法案だとの期待が寄せられたにもかかわらず、与党の反対で否決されました。極めて遺憾です。パワハラ法は絶対に必要です。各党において協議いただいているワークルール教育推進法案とともに、働く人たちが本当に必要としている法律を国会の総意として与野党連携して成立させていきましょう。
最後になりますが、昨日委員会で決議した四十七項目の附帯決議は極めて重要な内容です。政府として、重く受け止め、確実に実施することを強く求めて、反対討論を終わります。(拍手)