田名部匡代の発言 (本会議)

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○田名部匡代君 国民民主党・新緑風会の田名部匡代です。
 会派を代表し、特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるカジノ法案に反対の立場で討論を行います。
 初めに、西日本豪雨災害で犠牲になられた皆様に心から御冥福をお祈りを申し上げますとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。また、酷暑の中、被災地で活動されておられる全ての皆様に、心からの敬意と、そして感謝を申し上げます。
 私は、七年四か月前に発生した東日本大震災の被災地である青森県八戸市の出身です。あの東日本大震災のときも多くの尊い命が失われました。深い悲しみの中、生きる希望を失いかけた東北を中心とする被災地に、全国そして世界中からいろいろな形で御支援をいただきました。今もまだ元の生活に戻ることのできない方々が大勢いらっしゃいますが、被災地に寄り添ってくださる皆様が被災地に力を与えてくださいました。
 そして、この度の西日本における豪雨災害、今はまだ大きな苦しみと悲しみの中におられる被災者の皆様も、現場で活動されておられるボランティア、自衛隊、消防、警察、行政関係者や、全国各地からの励ましの声を力に、一歩ずつ前に進もうとされておられることと思います。
 一方、誰よりも全力で命を守り、全力で被災者の支えとなり、復旧への対応をしなければならないはずの国会では、賭博推進のカジノ法案の成立に躍起になり、この間、災害対応に集中すべき石井国交大臣はずっと委員会に出席。石井大臣は、災害対応は万全の対応で行っていると答弁されておられましたが、刻一刻と変化する現場の状況に瞬時の判断や対応が求められる中で、陣頭指揮を執る国土交通大臣がカジノ法案の審議に出ていることが万全の体制との御認識であること、全く理解できません。
 ようやく被災地を訪問されたときには、現場の方から、地域につながる道路の渋滞が解消されず復旧の妨げになっていることや、水やスコップなどの必要な物資の支援が不十分であると詰め寄られていました。支援も不十分、そういう切実な声がある中、カジノ法案を審議していることを被災地の方々はどんな気持ちでおられたのか、どう感じておられたことでしょうか。
 石井大臣だけではありません。総理や他の閣僚にも言えます。十一万人もの住民に避難指示が出され、被害の拡大が予測され危機迫る状況の五日の夜、赤坂自民亭なる酒席で酒盛り。飲み会などやっている状況ではないとの当然の判断も下せない総理や防衛大臣。そして、多くの議員が集まりながら、誰一人声を上げることがなかったのでしょう、宴会が中止されることはありませんでした。一瞬でも豪雨災害の被害の状況は大丈夫だろうかと心配をする議員がいなかったのかと、本当に情けない思いでいっぱいです。
 これで被災者に寄り添うことなどできるんでしょうか。現場で必死に対応が進む中、政治が指導力を発揮しなかったことの責任は重大であります。
 本日、衆議院で内閣不信任案が提出され、残念ながら否決されましたが、これまでの森友、加計問題、公文書改ざん問題、これらにも全く真摯な対応をせず、命よりもカジノ法案を優先する安倍内閣には、誰かに言われるまでもなく、自らの責任で辞めていただきたいと、そのように思います。
 法案がいかに悪法かということは、昨日、一昨日の本会議でも触れられましたし、これまでの委員会でも指摘されてきました。また、多くの国民は、明治時代の旧刑法から禁止され続けられてきた賭博を合法化し、民間事業者に開放することに対し、大きな不安、不信感を持っています。カジノを解禁するために必要とされる法務省が挙げた八項目の賭博罪の違法性阻却についても十分な議論も説明もないわけですから、立法府としてこんな無責任なことが許されるはずはありません。また、経済効果の試算も、シンガポールの実情を紹介されるのみで、具体的には何にも示されていません。ギャンブル依存症対策の費用についても明らかにされていません。
 特に、ギャンブル依存症の問題については、対策が徹底して行われるのかどうか明確ではありません。何らまともな答弁がなされていないのであります。政府の示す週三回かつ二十八日間で十回も利用できることが依存症対策になるとは到底思えません。また、滞在二十四時間を一回とカウントし、週三回の入場で最大週六日間カジノに通えることを可能とすることのどこが入場制限になるのか。昨日の我が党の大塚代表の言葉をお借りすれば、とても正気の沙汰とは思えません。
 政府は、自ら示した依存症対策は対策にならないと分かっていながら、ごまかせるとでもお考えでしょうか。逆に、本気でこれで十分な対策だと思っているとしたら、それこそ正気の沙汰とは思えません。ギャンブル依存症や、その御家族、関係者が、これまでどれだけ苦しみ、悩み、真剣に取り組んでこられたか。本気でそのことを思えば、こんな対策を対策と言うことはできないはずであります。
 また、政府は、当初、カジノは海外の富裕層などを対象にする施設だと説明されてきましたが、現時点ではカジノの入場者は日本人が多数になると見込まれています。カジノ場内では、一定の金額を預託しておけば賭け金を無利子で借りることができます。これでは、自己破産に至るケースを食い止められないのではないでしょうか。誰が責任を取るんですか。
 このように、問題だらけでありますが、更に問題なのは、本法案には多くの事項が政省令、規則に委任されていることです。
 法案では、カジノの設置や事業運営に関して様々な規制が加えられていますが、その詳細のほとんどは政省令やカジノ管理委員会の規則に委ねられており、その数は三百三十一項目にも及んでいます。例えば、カジノ施設の面積制限についても政省令や規則で決められることになっていますが、その予定されている上限規制は全く緩く、IR敷地内に大きく目立ったカジノ施設が出現することも予想されます。様々な事業規制が政省令、規則に委ねられている本法案においては、今後、カジノ事業者が有利に、自由に営業できる環境づくりが行われることが懸念されます。
 審議を急ぐ必要性も全く見当たらない、そして経済効果や必要な対策費など具体的な試算もしていない、それなのに、なぜ成長戦略と言えるのか、全く不明であります。なぜギャンブルが合法化されるのか、違法性阻却についてはどうなのか、ギャンブル依存症が増加するのではないかなど、何ら明確になっておらず、詳細を確認すべき事項が多く残ったままであります。
 しかし、昨日、委員会の審議が打ち切られ、採決が行われました。これまでも、豪雨災害の対応を優先すべきと野党は一貫して与党に訴えてきましたが、委員長職権で委員会は開かれ続けました。被災地を置き去りにし、法案の内容も問題だらけ、依存症で苦しむ人を増やしかねないこの法案を本会議で成立させることには断固反対の意を表します。
 最後に、この法案の審議において我が党の矢田わか子議員は、委員会の理事としてこれまでも与野党超えて被災者のために行動すべきと訴え続けてきました。与党の強い採決要求に対しても断固反対と主張し、現場で与党の説得に努めましたが、与党が採決方針を変えることはありませんでした。依存症被害を少しでも食い止めたいという議員の努力により、最終手段として三十一項目の附帯決議を要求し、そこで改めて問題点を浮き彫りにし、附帯決議を成立させました。その努力は、早速、ギャンブル依存症問題を考える会の代表者のブログで取り上げられ、一ミリでも進展させようとした勇気への感謝が記されていました。
 その思いを受け止め、今後もギャンブル依存症問題に取り組まれている全国の皆様と共に私たちもしっかりと取り組んでいくことをお伝えをし、改めてこんな法案を通すことに断固反対の姿勢を表明し、私の討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119615254X03720180720_004

発言者: 田名部匡代

speaker_id: 21884

日付: 2018-07-20

院: 参議院

会議名: 本会議