山井和則の発言 (本会議)

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○山井和則君(続) 以上が、不信任の理由の六つ目の、日本人の賃金が上がりにくくなることや雇用喪失を放置しようとしている点、これが山下大臣の不信任の理由であります。
 私も、原稿を読みながら、余りにも自民党の方々のやじのレベルの低さに本当にびっくり仰天をしております。採決しようとおっしゃっているのは与党なんですよね。今から審議に入るんじゃないんですよ。私たちは審議をやり直そうとしているんですからね。
 結局、さらに、どういうことが起こるか。例えば、三十四万人というふうに上限を決めても、どんどんふやしてくれと、それは日本人よりはるかに安いんですから、そういう業界の要望が来ますよ。例えば、これから業界団体は、自民党のパーティー券を買うとか、自民党議員に献金するとか、選挙応援するとか、これだけやったんですから、何とか私たちの枠を広げてくださいなんてことにもなりかねないんじゃないんですか。
 山下大臣、今回、だから法律で上限をつけるべきだと言っているんですよ。こういうのを政治的配慮が入る余地のある青天井の法案にすると、そういう疑念を招きかねないんです。
 大体、今回の法案審議もそうでしょう。参議院選挙があるから、業界から要望を受けているから参議院選挙対策に法案を早く通さねばならない。今の時点でこんなことを言っているんですから、今後、さまざまな業種で人手不足になってきたら、それは、頼みます、頼みますと業界の人は自民党に日参しますよ、献金しますよ、選挙応援しますよ。そういうことをやったら、これは国を滅ぼすことになります。
 だから、この法案の恐ろしい一面は、外国人労働者の受入れを利権化しかねない法案だということなんですよ。絶対、利権化させたらだめなんですよ。野党が主張しているように、客観的な基準で、合理的な判断で、地域別、業界別の受入れ人数の上限を政治的配慮、政治的圧力抜きに決めるべきじゃないでしょうか。こんな技能実習生や外国人労働者を利権にしたら、本当に私は日本の国は潰れてしまうと思います。
 山下大臣不信任の七つ目の理由は、海外の移民の状況から学ぼうとしない点です。
 少し、私自身の海外での、政治難民、移民の方々、外国人労働者の方々と約三年間ともに過ごしましたので、その経験を踏まえて、山下大臣の不信任の理由とこの法案の問題点を兼ねて、お話をしたいと思います。
 私は、一九九〇年代の初め、スウェーデンに二年間滞在し、介護を始めとする社会保障について学んだ経験があります。
 そのとき、大学の学生寮やスウェーデン語学校、国民高等学校の学生寮などで、イラク、カンボジア、クルド、ソマリア、アフガニスタンなどから来ていた政治難民や留学生の若者と同じ寮で暮らし、同じクラスで学び、交流する機会が二年ぐらいありました。
 一例を申し上げます。
 私が同じ寮に住んでいた、ファン君という十八歳のミャンマー人の青年がいました。とても優しい青年でした。ファン君がある日の夜中、突然、学生寮の壁に打ちつけて、泣き叫び出しました。みんなから、どうしたんだ、どうしたんだといってなだめに行ったら、ファン君はこう言っていたんですね。俺は何人なんだ、俺は何人なんだ、一体と言って、泣きながら壁をたたいていました。
 彼が言うには、ミャンマー人の両親から、一緒にスウェーデンに来て、スウェーデンで生まれた彼にとっては、ミャンマー人の友人、知人からは、あなたはスウェーデン人だろうと言われ、スウェーデン人からは、あなたはミャンマー人だと言われ、そのはざまで非常につらい思いをしていたと言います。
 このようなこともあって、技能実習生や外国人労働者、また、その家族の帯同やお子さんの問題、こういうことはじっくり十分な支援体制を整える必要があると思いますが、昨日の法案審議でも、全く、そのような支援体制については法案が成立してから考えるという、無責任この上ない答弁でありました。
 また、私が通っていたスウェーデン語の語学学校では、さまざまな国の学生さんたちが、文化の行き違いなどによってけんかになったり、いろいろな騒動が起こったりして、私が受けていたスウェーデン語の授業も、そういう政治難民の方々が急にけんかをし出したりして、椅子を投げたりして、学級崩壊する、そういう現場にも、私自身、痛感をしました。
 これは、何人がいいということではなく、多文化が共生していくためには、さまざまな配慮、制度が必要であります。
 さらに、私は子供の貧困問題をライフワークとしておりますが、外国人労働者の貧しい子供の問題も、今、日本じゅうでふえています。
 例えば、最近私が訪問した子供食堂では、既に子供食堂に多くの外国人の子供たちが集まるようになっています。肌の色の違う外国人の子供たちが、朝昼晩、御飯食べてない、おなか減ったと言って子供食堂に来る姿を見て、親はどういう仕事をしているんだろう、どういう家庭環境なんだろうと私もいろいろ想像をしましたが、こういう子供食堂にも外国人の子供が今ふえているんです。
 今回の法改正によって外国人の子供たちをどう幸せにしていこうかという観点は、十分には入っておりません。
 さらに、私が訪問した、ある地域の低所得世帯向けの子供の学習教室に行きました。ボランティアの方々が、小学生、中学生、高校生の子供に勉強を教えていたんですね。でも、私もはっと思いました。その低所得者向けの学習教室に来ている子供たちの約半数が、やはり外国人の両親か、一人の親が外国人か、そういう子供たちだったんですね。
 何を申し上げたいのか。外国人労働者を受け入れるという問題は、単に労働力を受け入れるという問題ではなく、その家族、そのお子さんたちがどういう教育を受けて、どういう人生を歩むのか、そこまでこれは責任を持って取り組む、その覚悟が当然求められると思います。
 しかし、口では移民でないと言いながら、事実上の移民政策を強行する、こういう姿勢からは、今後入ってくる外国人の子供たちを、愛を持って、十分な教育や社会保障、生活環境でもって受け入れるという視点が今回の法案にはありませんし、一番そのような人権の配慮をすべき大臣が、本来は、山下大臣、あなたなのではないでしょうか。そのような外国人の子供たちに対する配慮も全く十分でない法案を強行するなんということは、法務大臣としてあるまじきことであります。
 私が二年間留学したスウェーデンでは、外国人へのスウェーデン語教育にも力を入れるほか、八百数十万人の人口のうち百万人以上が政治難民や移民を受け入れてくる、多文化共生のモデルの国と言われております。そんなスウェーデンの地域でも、政治難民や移民の地域ができて、さまざまな地域とのあつれきが生まれている。その現実を私も、今でも三年に一遍か二年に一遍スウェーデンに行っておりますけれども、残念ながら、外国人、政治難民や移民の方々とのあつれきというのは大きな問題になっております。
 また、先ほど、介護の問題の話がありました。
 私も、議員になる前は介護の研究者、高齢者福祉の研究者でしたけれども、一年間、一九九〇年前後に、スウェーデン、デンマーク、イギリス、アメリカ、シンガポールの老人ホームで、外国人労働者の方々と一緒にボランティアで実習をさせていただいたという経験があります。
 介護現場に多くの移民や外国人労働者を受け入れると何が起こるか。私は、一年間、イギリスの老人ホーム、シンガポールの老人ホーム、スウェーデンの老人ホーム、アメリカの老人ホームで実際に一緒に働いてきました。そこでわかったことは、介護現場に多くの難民や外国人労働者を受け入れると、賃金が上がりにくくなります。そして、その国の自国民が介護職につきにくくなります。そうなると、移民や外国人労働者を幾ら受け入れても、本来のその国の国民が介護から離れていってしまったら、ますます人手不足が悪化するという悪循環になりかねないんですね。
 例えば、アメリカでは、メキシコ人やフィリピン人が介護の多くを担っていました。シンガポールでは、スリランカ人やフィリピン人がシンガポール人の介護を担っていました。
 例えば、当時、シンガポールでは、シンガポール人の月給が月八万円、フィリピン人が四万円、スリランカ人が二万円ということで、その結果、シンガポールでは、多くの老人ホームは、フィリピン人とスリランカ人が働いていました。私も、日本人として、一緒にお年寄りの介護をさせてもらいました。
 しかし、私は、あるとき、あれっと思ったんですね。シンガポールのお年寄りって、よく考えたら、中国系ですから、英語がしゃべれないんですよ。ところが、スリランカとフィリピンから来ている介護の職員というのは、中国語をしゃべれないんですよ。よく考えたら、これはコミュニケーションできているのかなと。
 あるとき、そのスリランカ人とフィリピン人の介護職員に、コミュニケーションどうしているのと聞いたら、スリランカ人とフィリピン人の介護職員は、いいの、いいの、コミュニケーションはと。食事を食べさせて、シャワーを浴びさせて、トイレに連れていくだけだから、言葉は通じなくていいの、こう言っていたんですね。
 でも、私は、高齢者福祉の研究者として、一瞬、ちょっと考え込んでしまいました。やはり言葉が十分に通じた方がコミュニケーションもいい。もちろん、私は、日本に今来られている外国からの実習生の方々は、すばらしい愛情を持って、すばらしい介護をされているということはわかっております。しかし、何分、思い出話、日本の料理の話、近所の話、世間話、いろいろな話が、なかなかそれは外国人だったら通じません。
 やはりそういう意味では、抑制的に入れていかないと、どんどんどんどん、人手が足りないから外国人に任せればいいということでは、私たちの親の世代、高齢者の世代を介護するということは、基本的には私たちが責任を持つという大原則は崩すべきではないと思っております。
 人手不足が顕在化し、賃金が低いことが問題となっている介護に関して、もちろん外国人を受け入れることは必要です。しかし、それをやり過ぎると、短期的には人手不足が改善するように見えるかもしれませんが、今回の試算でも、山下大臣、入っていないのは、外国人を受け入れて、日本人が今までどおり就職してくれるとは限りません。外国人を入れれば入れるほど、残念ながら、建設であれ、農業であれ、介護であれ、その業種の賃金が上がりにくくなって、日本の有為な若者がその分野を敬遠するリスクというのがやはりあるんです、これは。
 ですから、外国人労働者を受け入れることに私たちも反対はしませんけれども、同時に、給料を上げる、休日をふやす、労働条件をよくする、明るい職場にしていく、そういうふうに、今の三Kと言われている仕事を、より明るく、賃金がよく、休暇もとれて、いい職場にしていくこととセットでやらないと、そういうものをないがしろにして、ただ単に外国人労働者を受け入れるということにすると、これは大きな禍根を残すのではないでしょうか。
 例えば、来年十月からは、介護職員や障害福祉職員の賃金引上げが数千円。二千億円の財源で、一人当たり月数千円ぐらい予定されていると聞いておりますけれども、それでは全く不十分であります。
 今、この場で申し上げておきます。
 安易に外国人をふやせば人手不足が解消するということは、全く違います。労働条件を上げなければ、その産業自体が日本人から魅力のない職場になって衰退してしまいます。このことは、しっかりと車の両輪としてやっていかねばなりません。そのような視点が、今の法案には全くありません。
 そして、昨今の国際情勢を見れば、トランプ大統領の移民排斥の言動、ことし九月のスウェーデンの総選挙においても、移民大量流入が膨大な社会コストと社会のひずみをもたらしていると主張している、反移民を掲げるネオナチの系譜を受け継ぐ極右政党がスウェーデンでもことし九月の選挙で大躍進をし、内閣は退陣することになりました。
 私もスウェーデンに二年以上いましたから、第二の母国だと思っていますが、世界一移民や難民に寛容だと言われていた、八百数十万人の人口、百数十万人が政治難民や移民を受け入れてきたそのスウェーデンでさえ、最も外国人に寛容な国と言われているスウェーデンでさえ、今の総選挙では移民排斥の政党が一番躍進して政権が倒れる、こういう現実になってしまっているんです。これは、本当に深刻な、歴然たる悲しい現実です。社会保障予算が自国民より外国人に使われる、外国人の地域の治安が悪い、こういうことがスウェーデンでも国政選挙の争点になってしまったんです。
 そういう意味では、外国人労働者の受入れ拡大に関しては、どうやってしっかりと外国人の方々を大切に私たちが支えていくかということをきっちりやらないと、これは大変なことになると思っております。
 さらに、ドイツでもそうです。十月のドイツの地方選挙でも、移民による治安の悪化やドイツ人労働者賃金の低下、ここですよ、移民がふえたからドイツ人の労働者の賃金が下がったというのが今回のドイツの地方選挙の争点になった。さらに、雇用が奪われたということが争点になった。その懸念を背景にした反移民政党が躍進したことによって、あのメルケル首相が党首を辞任することになったんです。
 今回の法案、三年、五年のタームで考えるものじゃないですよ。スウェーデンも、政治難民を受け入れ出して五十年たって、残念ながら、今のさまざまな問題で国内が混乱し出しているんです。うまくいっている部分もたくさんあります、スウェーデンは。すばらしい国であります。しかし、今回の法案の後、例えば、五年後三十四万人ですか。じゃ、十年後は百万人ですか。二十年後は三百万人ですか。今回の法案は、そのスタートラインを押すことになるんです。最初の制度設計がいいかげんだと、後世に大きな禍根を残すんじゃないでしょうか。
 繰り返し言います。
 この法案には上限は書かれていません。百万人でも一千万人でも外国人労働者を受け入れることができます。
 さらに、技能一号の五年、これも法案には書かれていません。技能一号の上限を、五年たって、人手不足だからといって業界から要望が来たら、国会審議を経ず、五年でも十年でも二十年でも延ばすことが可能なんですよ。
 業種も、今は十四と言っている。でも、人手不足がどんどん加速したら、百にも二百にも。
 労働者派遣法もそうじゃないですか。最初は、一時的、臨時的、代替のきかない専門業種だけといって、結局、数年前に強行採決されたときには、全ての業務に労働者派遣法は改正で拡大されたんじゃないんですか。
 つまり、いいかげんな法案を通してしまうと、後で取り返しのつかないことになるんです。与党も野党も関係ありません。
 その中で、結局、ドイツでも、テロ事件や暴動事件が発生し、反移民の国民感情が広がりやすくなっていることが背景として、メルケル党首も辞任することになりました。
 こうした状況を見れば、十分な準備と国民の理解がないまま、移民ではないと言いながら外国人労働者の受入れ拡大を進めることは、我が国でも、下手をすると、反移民、反外国人労働者の風潮を高め、極右勢力を拡大させかねません。それでは、治安や自由を大きく損なうことになってしまいます。
 外国人労働者を単なる労働力とみなすのではなく、共生する人間として受け入れられるような社会にしっかりつくっていくには、しっかり準備して、しっかりした制度設計をして、しっかりとした法律を、与野党合意で、国民の理解のもと、つくっていく必要があるのではないでしょうか。
 今回の法案では、その一番重要な、外国人の方々との共生という一番重要な部分がごっそり抜け落ちており、そのような法案を提出した山下大臣は不信任と言わざるを得ません。
 昨年、七千人もの方が失踪をされ、技能実習生として。そして、今、七万人以上の方が所在不明、行方不明に外国人の方々はなっておられます。
 御存じのように、日本は先進国の中でも世界一治安のいい国と言われています。私も世界各国を旅行したりしますが、どこの国に行っても、置き引きがある、すりがある、犯罪がある。日本は、世界一安心して夜中でも夜でも歩ける、そんなすばらしい国じゃないですか。その国をつくってくださったのは、私たちではなく、私たちの諸先輩方がこういうすばらしい日本の国をつくってくださったんだと思います。
 しかし、今言ったように、七千人の技能実習生が行方不明、七万人以上の方が、外国人が行方不明。そして、この法案を強行すれば、残念ながら、このような行方不明の外国人はどんどんどんどんふえていくでしょう。私は、これを外国人を批判するために言っているのではありません。やはり何人であれ、日本人も犯罪を起こします、外国人でも犯罪を起こす人はいます。外国人がどうというんじゃなく、所在不明の人が何千人、何万人と膨らんでいくということは、社会を不安定化させるのではないでしょうか。
 残念ながら、今の技能実習生でも、行方不明の人、所在不明の方、失踪の人を減らす方策、山下大臣、今見出していないんでしょう。全く対応できていなくて失踪する人がどんどんふえているのにそれを拡大するというのは、私は極めて無責任だと思います。
 あえて申し上げますが、私は、外国人がふえれば犯罪がふえるということを言う気は全くありません。そんなことを言う気はありません。しかし、所在不明の方がどんどんどんどんふえていって、違法状態で働かされる方、首を切られた後、三カ月で強制帰国にされても、百万円ぐらい借金を抱えている外国人の方は、そう簡単に帰れませんし、帰りません。アンダーグラウンドに潜ってしまうんです。それは、失踪する人が悪いんじゃなくて、そういう不安定な、不十分な制度をつくる日本政府にも大きな責任があるんですよ、これは。
 十月十三日に、ベトナムのセミナーがありました。その場で、ベトナムの日本大使館の桃井書記官がこういうことをおっしゃったんですね。
 現在、ベトナムの在住日本人の数は約一万六千人、この数年で倍増しております。しかし、留学、技能実習の急増により問題も生じています。日本とベトナムの関係に影を落とすものです。技能実習生の失踪者のワースト一位がベトナム、全体の半数以上をベトナムが占めています。不法在留者も年々増加しています。そして、何よりも犯罪の増加が問題です。昨年の刑法犯の検挙件数はベトナムがワースト一位で、対前年六八%増と大幅に悪化しています。ベトナムの若者は、夢や希望を抱いて訪日しており、決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく、犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています。多額の借金を抱え、日本に行っても借金を返せず犯罪に走る。ベトナムそして日本において、悪徳ブローカー、悪徳業者、悪徳企業がばっこしており、ベトナムの若者を食い物にしています。ベトナムの若者の人生をめちゃくちゃにしています。日本におけるベトナムのイメージ、そしてベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念しています。この問題は、大使館にとっても最重要課題の一つです。
 これを、ベトナムに駐在されている日本大使館の桃井書記官が十月十三日のセミナーでおっしゃいました。このとおりだと思います。
 ベトナムはすばらしい国、ベトナム人はすばらしい国民です。しかし、悪徳ブローカーにだまされ、多額の借金を背負わされ、劣悪な処遇に追い込まれ、そんな中、犯罪に巻き込まれる方々とかがふえてしまう。これは本当に、こんなことでは誰も幸せになれません。
 このような悪徳ブローカーの対策なども、この法案では、ふえこそすれ、減る対策が十分に含まれているとは言えないのではないですか、山下大臣。
 外国人から愛される国に日本をしようじゃないですか。世界一、外国人そして日本人を、人を大切にする国に、与野党を超えて、日本の国をしようじゃありませんか、皆さん。
 この八百八十四枚の中にさまざまな資料がありますが、ごく一部だけ、原稿に入っておりますので、読み上げさせていただきます。
 二十万円と思って来たけれども、七万円だったという月給、中国人女性。
 そして、婚姻を認めてもらえなかったという中国人女性。
 また、農業をされていた中国人の男性は、百六十万円のお金を送り出し機関に払った。百六十万円ということは、中国人にしたら、一千万ぐらいの価値があるお金ではないかと思います。しかし、社長から出ていけと言われた。借金返せないんですよね、出ていけと言われたら。それで、失踪せざるを得なくなった。彼なんか、もともと百六十万円の、送り出し機関にお金を払って、賃金は五十万と言われていたんですよ。ところが、いざ働いてみたら十四万。話が違うじゃないですか。お金返せないじゃないですか。中国のブローカーがだましたんだろうとおっしゃっていますけれども、そういうブローカーを取り締まる内容にも今回の法案はなっていないんです。
 それで、中国人の男性、建築。特記事項というのがありますけれども、実習中のけがの治療費を払ってくれなかったから、建築中にけがをして失踪した。これって違法じゃないですか、そもそも。けがしたら、治療費を払わないとだめじゃないですか、こんなのは。
 そして、中国人の女性、食品加工。けがをしたけれども、休養を申し出ても休暇がもらえなかった、だから失踪したと。これもかわいそうじゃないですか。体を壊して休みたいと、人間だから言いますよ。休ませてもらえなかったら、逃げなかったら死ぬじゃないですか、これ。
 さらに、中国人の女性。この方も、理由として、恋人と離れたくないということを書いてあります。
 さらに、もう一人の、送り出し機関に払ったお金百四十万円の方。ある国の女性は、結局、百四十万円、送り出し機関に払って、十一万の月給。最低賃金割れですね。最低賃金割れで働いて、残念ながら、結果的に、失踪した後は風俗の仕事につかれるということにこの資料ではなっております。
 こういうことも、非常に私はこの資料を読んで胸がつらくなりました。
 多くの借金を背負わされて、日本に来てみたら、契約の半額ぐらいしかお金が払ってもらえない。おまけに、日本人は最低賃金を少なくとももらっているのに、外国人は半額しかもらえない。自分の国に家族は待っている。借金はある。それで、過労死ラインを超えて働かされている。その結果、女性の方が、インターネットで引っ張られて、風俗の仕事に走らざるを得なくなる。
 私は、こういうのは本当にもう、何としてもこういうことというのは私はあってはならないと思うんです。
 これは、外国人がいい、悪いじゃなくて、こういう状況を放置していることは、私は日本の恥だと思います。世界から笑われます、こんな状況を放置していたら。
 そして、タイ人の男性も、労働時間が長い。それは長いですよ。長時間労働で、残業時間月百二十時間。過労死ライン超えですよ。それで、鉄筋の仕事で月給七万円。時給三百円ですよ。それは失踪するでしょう。死にますよ、百二十時間残業で。おまけに、七万円。来る前には、十万円と言われていた。おまけに、七万円の賃金から三万円、控除で引かれる。手取り四万円。
 山下大臣、より高い賃金を求めて失踪とか言っている場合じゃないんですよ。違法状態、人権侵害、労働基準法違反、最低賃金法違反。その方々の人権を守るのは大臣の仕事なんじゃないんですか、大体。この一枚一枚にこういう悲しいドラマがあるんですよ。コピーせず手書きしなさいと言っている場合じゃないでしょう、あなたは。
 確かに、この中にもあります、もっと高い賃金を欲しいと思って失踪したという人。養豚の仕事。でも、この人、週六十時間、月に八十時間残業して、月給十万円。この人も最賃の半額ですよ。でも、もっと高い賃金としたいじゃないですよ、これ。せめて最低賃金、法律守ってくれという話なんですよ。もっと高い賃金を払ってくださいと聞いたら、何かぜいたくかと思うけれども、違うんですよ。違法状態じゃないですか、ほとんどが。これ、どうするんですか。
 この今の違法状態をどうするかも放置して、まさか強行採決なんて、自民党の皆さん、しないでしょうね。人権侵害を放置するんですか。ここで強行採決するということは、人権侵害を拡大するということですよ。
 さらに、労働時間が月百時間、そして月に二百四十時間の残業。過労死ライン大幅超え。その方の給料が九万円。結局、本当に、時給二百円じゃないですか、この人。時給二百円。時給二百円だけれども、言っちゃ悪いけれども、低賃金にも丸もついていないですよ。時給二百円、低賃金に丸ついていないじゃないですか。この調査自体おかしくないですか、皆さん。
 それと、中国人の女性の方。この方も、恋人と一緒にいたいという理由が失踪の理由。
 さらに、次のベトナムの女性の方は、より多くお金を稼ぎたかったという方。
 さらに、鉄工の仕事は、腰が痛くなった。腰が痛くなった、それが理由ですけれども、腰が痛くなったら休ませてあげないとだめですよ、それは。はっきり言って。人間扱いじゃないじゃないですか。鉄工の仕事で腰が痛くなったら、休ませてあげないと、これは死にますよ。失踪と言っている場合じゃないじゃないですか。
 それに、先ほど、恋人と離れたくないと言ったら、それは違うというやじがありましたけれども、でも、人間なんですよ。日本に来た外国人の方も、恋愛もされますよ、デートもされますよ、人間ですから。やはり、安い労働力じゃなくて、人間にお越しいただいて、日本の国を好きになっていただいて、日本の国でいい思い出をつくって帰ってもらいたいじゃないですか。にもかかわらず、何か恋愛したらぜいたくだとか、そういう発想じゃだめですよ、これ。
 さらに、左官の方、給料未払い。給料未払いということは、失踪した方が悪いんですか。未払いの方が悪いでしょう、普通に考えたら。
 山下大臣、この調査票を見て、当然、法務省は未払いの事業所を指導しているんでしょうね。要は、指導していないんでしょう、これ全部。失踪したといって捕まえている場合じゃないじゃないですか。
 さらに、ベトナム人の男性も、鉄工で、労働時間が長い、月百二十時間残業。
 そして、この次の技能工、ベトナム人の男性も、残業代が出ない。
 中国人男性、養殖業。養殖されている方の失踪理由。理由もなく海に、泳がされた。これで月額給料五万円ですよ。これはだめでしょう、五万円は。言っちゃ悪いけれども、これを見た瞬間に、月額給料五万円と見た瞬間に、最賃割れですから、これ。取り締まらないとだめなんですよ。
 そして、鉄筋工。鉄筋工の方も、けがをしたけれども補償がなかった。補償しないとだめでしょう、けがしたら。人間なんだから。
 めちゃくちゃじゃないですか、一枚一枚読んでいたら。手書きしろと言っている場合じゃないですよ。コピーして、自民党の人たちも皆さん読むべきだと思いますよ。法案の賛成、反対、関係ないですよ。この現実、知った方がいいですよ。この現実が今回の法案で拡大するんですからね、維持、拡大するんですから。
 そして、次の中国人の女性の方も、解雇すると言われた。
 それで、次のこの人もですよ、食品加工の中国人の男性も、仕事中にけがを負った。これはやはり、けがを負ったら……(発言する者あり)このような現状を放置しているだけではだめでしょう。
 そして、次の塗装工の男性も、この方も、塗装の仕事をしていて呼吸器系の病気になって、診察を受けたいと言ったら、診察を受けさせてもらえなかった。これはひどいよ。
 大臣、こういう現状を知っていて、この制度を残したまま拡大する法案をよく出しましたね、山下大臣。山下大臣、この資料を読んでいないんじゃないんですか、もしかして。
 さらに、次の方も、労働時間が長いということで、百二十時間の残業、農業の方。
 さらに、中国人の女性の方は、セクハラ、農業ということで、失踪されました。セクハラとしか書いていないけれども、やはりそれは耐えかねたセクハラで、逃げるのは当たり前じゃないですか。失踪なんですか、セクハラから逃げるのが。緊急避難で、このセクハラを受けた技能実習生の方、山下大臣、守るのがあなたの責任じゃないんですか。失踪したとか言っている場合じゃないでしょう。セクハラという犯罪から逃げてきているんじゃないんですか。守ってくださいよ、日本人であろうが外国人であろうが、セクハラの被害者を。
 さらに、私生活に自由がないとか、あるいは、危険な作業だったから。
 この話は私は与野党関係ないと思いますが、私、きのう、渡されたのは晩の九時ぐらいだったので、夜中二時までかかって読みましたけれども、読んでいて涙が出てきました。でも、まだあと二千枚、手書きしないとだめなんですよ。自民党の皆さんも見たいと思いませんか。後で自民党国対に届けますので、ぜひ読んでください。
 このような、人権を軽視する法務大臣を信任するわけにはいきません。
 今回述べた技能実習制度は、二〇一〇年の国連の移住者の人権に関する特別報告者が、奴隷的状態にまで発展している場合さえあると言及し、制度の廃止を求めました。国連からも、奴隷的制度だということで廃止を言われているんですね。それから八年たった今日においても、残念ながら、一部では奴隷状態と言える悲惨な実態が続いていることは、日本の恥と言わざるを得ません。早急にこの現状を解消すべきであり、技能実習制度を温存、拡大させる今回の法案を拙速に成立させるなど、言語道断です。
 私は、多くの技能実習生のお話を聞く中で、現代の奴隷のような実態が、一部とはいえ技能実習制度において構造的に起こっていることを認識せざるを得ません。
 私は、ノーベル平和賞を受賞されたアメリカの公民権運動の指導者であるキング牧師を大変尊敬し、以前、アメリカのメンフィスのキング牧師が暗殺された場所にもお参りをさせていただいたことがあります。
 キング牧師が公民権運動をされていた一九六〇年前後、アメリカでは人種差別が大問題になり、キング牧師を先頭とする公民権運動がアメリカ全土で展開され、一九六四年の公民権法の制定に結びつきました。私たちも、偉大な先人に学び、多文化共生社会を実現すべきです。
 キング牧師は、有名な演説の中で、アイ・ハブ・ア・ドリーム、私には夢があるという演説をワシントンDCでされました。
 どのような内容かといいますと、私には夢がある、それは、いつの日か、この国が立ち上がり、全ての人間は平等につくられているということは自明の真実であるというこの国の信条を、真の意味で実現させる夢である。私には夢がある、それは、いつの日か、私の四人の幼い子供たちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。
 私は、この本会議場で訴えたいと思います。国籍で賃金が差別されることがあってはなりません。国籍で残業代が差別されてはなりません。国籍で労働時間が差別されてはなりません。国籍で恋愛が差別されてはなりません。国籍で住居が差別されてはなりません。国籍で休みの日数が差別されてはなりません。そんな国に日本をしては絶対になりません。
 国際的に奴隷労働とさえ批判されている制度は許されません。海外の有能な労働者に、日本はこのままでは選ばれません。そんな差別を固定化し拡大する法案を法務大臣が推進するのは、辞任に値します。一番悪いのは、この法案を主導し、山下大臣を任命した安倍総理大臣であります。
 日本を、世界一人を大切にする国にしようではありませんか。私たち、愛する国日本を、外国人から世界一愛される国にしようではありませんか。
 短い国会会期で、また国民的な理解も覚悟も十分ないままで、こんな重要な課題に対する法案を生煮えのまま安易に審議し成立させることは断固反対であることを強調し、与野党の良識ある議員の皆様方に法務大臣山下君不信任決議案への賛成を呼びかけて、私の趣旨弁明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119705254X00920181127_008

発言者: 山井和則

speaker_id: 28090

日付: 2018-11-27

院: 衆議院

会議名: 本会議