山下貴司の発言 (法務委員会)

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○国務大臣(山下貴司君) 第四次安倍改造内閣において法務大臣を拝命いたしました山下貴司でございます。
 この度、上川前法務大臣からバトンを受け取り、第百一代目の法務大臣に就任することとなり、法務大臣として果たすべき役割や責任の重さを痛感し、大変身の引き締まる思いでございます。先人が築き上げてこられました法務行政に対する信頼を損なうことがないよう、平口洋副大臣、門山宏哲大臣政務官と協力しながら、職員と一丸となって、まさに全員野球で法務行政が直面する様々な課題にしっかりと向き合って取り組んでまいりたいと思います。
 昨年末に、政府として初めてとなる再犯防止推進計画が閣議決定されました。本年は、まさに再犯防止推進計画元年であります。来年には元号が替わり、平成の時代から新しい時代を迎えようとしています。また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会及び京都において刑事司法分野における国連最大の会議である国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレスが開催される二〇二〇年まであと二年を切り、本年は法務行政にとって節目ともいうべき重要な一年であると考えております。
 こうしたときであるからこそ、法務行政が、国民一人一人の生命、身体、財産を守り、全ての活動の基盤となる安全、安心を、法の支配を貫徹することにより実現する役割を担っていることを改めて自覚して職務に当たることはもとより、時代の変化にしっかりと対応しながら、新しい時代にふさわしい、そして次世代を見据えた施策を実施していくことが必要であると考えています。現場の第一線で勤務する職員を含め、これまで以上に省内の連携を緊密にし、法務行政の諸課題にスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えています。
 そして、職務に当たっては、法務行政を国民の皆様に身近なものとして感じていただくとともに、安全、安心の実現が自分たちの生活に深く関係する重要な問題であると認識し、御協力していただけるよう、積極的で分かりやすい広報に努めることなどを通じて、国民の皆様の胸に落ちる法務行政を実現するため精いっぱい努めてまいりますので、横山信一委員長を始め、委員の皆様の御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。
 まず、国民に身近で頼りがいのある司法を実現するため、次の取組を行いたいと考えています。
 法曹養成制度については、これまでも、法曹養成制度改革推進会議決定を踏まえ、文部科学省等と連携しつつ、質、量共に豊かな法曹を養成するための取組を進めてまいりましたが、より多数の有為な人材が法曹を志望することに向けて、引き続き積極的な取組を進めてまいります。
 国民の司法へのアクセスを支援する様々な業務を行ってきた日本司法支援センター、通称法テラスでは、認知機能が十分でない高齢者や障害者等を対象とする新たな法的支援制度を着実に実施するとともに、福祉機関等と連携して高齢者や障害者の総合的な問題解決を図る司法ソーシャルワークと呼ばれる取組も推進しています。また、我が国の法制度等についての情報を多言語で提供する多言語情報提供サービスを充実させ、増加する訪日・在留外国人への支援にも努めています。法テラスのこれらの取組を利用者の方々に広く知っていただくための周知、広報を引き続き実施するとともに、今後も、法テラスの業務の円滑な実施と体制の充実を図ってまいります。
 法的なものの考え方を身に付けるための法教育は、自由で公正な社会の担い手を育成する上で不可欠なものであり、多様性を包摂する共生社会の実現にも資するものです。二〇二二年の民法の成年年齢引下げを控え、未来を担う若者への期待が高まる中で、様々な情報や意見を多角的に検討し、自ら考える力を身に付けることがこれまで以上に求められていますので、関係機関とも連携しながら、対象世代や現場のニーズに応じ、多くの国民が法教育に触れる機会を持てるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、差別や虐待のない人権に配慮した社会を実現するため、次の取組を行いたいと考えています。
 学校等におけるいじめ、インターネットを悪用した名誉毀損、プライバシーの侵害、障害等を理由とする差別、虐待、ヘイトスピーチを含む外国人に対する人権侵害、部落差別などの同和問題等の様々な人権問題を解消するため、引き続き、人権啓発、調査救済活動等に丁寧かつ粘り強く取り組んでまいります。また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、心のバリアフリーを推進し、誰もがお互いの人権を大切にし、支え合う共生社会を実現するための人権啓発活動を推進してまいります。
 親によって出生の届出がなされておらず無戸籍となっている方々について、徹底した実態把握に努めるとともに、全国各地の法務局において常時相談を受け付け、戸籍を作っていただくための丁寧な手続の案内をするなどの寄り添い型の取組を行っています。今後も引き続き、無戸籍となっている方々への支援を行うとともに、他の取り得る方策を検討し、無戸籍状態の解消に全力で取り組んでまいります。
 次に、世界一安全な国日本をつくるため、次の取組を行いたいと考えています。
 国民の皆様が安全に安心して暮らせる社会を実現するため、関係機関とも連携し、組織犯罪、凶悪犯罪への対策を始めとする治安確保のための対策を万全に講じてまいります。
 また、現下の国際テロ情勢を踏まえ、国内外におけるテロ関連動向の把握に努め、関係機関との連携を緊密にしつつ、情報収集・分析機能の強化に努めてまいります。
 現在、アレフ、山田らの集団及びひかりの輪を中心に活動するオウム真理教については、引き続き、団体規制法に基づく観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、地域住民の不安感を解消、緩和するとともに、公共の安全の確保に努めてまいります。
 昨年閣議決定された再犯防止推進計画は、五つの基本方針、七つの重点課題について百十五の施策を盛り込んでいる総合的な計画です。関係省庁や地方公共団体との連携を一層推進し、刑事手続のあらゆる段階において、就労、住居の確保や高齢者又は障害のある者への支援、薬物依存を有する者への支援といった犯罪や非行をした者の立ち直りに必要な指導、支援を個々の特性に着目して適切に実施するとともに、立ち直りを支える保護司、更生保護施設、協力雇用主等の民間の方々の活動に対する支援を充実強化してまいります。
 昨年成立した性犯罪に対処するための刑法の一部を改正する法律については、その審議において、性犯罪被害者の御負担に関する様々な指摘をいただいており、附帯決議においても、被害者の二次被害の防止や、その心情に配慮することが求められております。
 今後も、こうした経緯や犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、性犯罪被害者に限らず、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。
 一昨年成立した新たな刑事司法制度を構築するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律について、その趣旨を踏まえた適正な運用を図るなど、国民の皆様の信頼に応える刑事司法の実現のための検察改革の取組を引き続き実施してまいります。
 次に、我が国の領土、領海、領空の警戒警備等について、次の取組を行いたいと考えています。
 我が国を取り巻くテロ情勢が非常に厳しい状況にある中、二〇一九年にはG20サミットやラグビーワールドカップ大会が、二〇二〇年には京都コングレスや東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。その一方、観光立国推進に向けた各種取組が進められ、昨年の訪日外国人旅行者数は約二千八百六十九万人と、一昨年に引き続き過去最高を更新しています。
 こうした中で、水際対策としてのテロ等の未然防止を含む厳格な入国管理と観光立国推進に向けた円滑な入国審査を高度な次元で両立させる必要があり、顔認証ゲートの導入など世界最高水準の技術を活用し、今後も入国審査の更なる高度化の実現に努めてまいります。
 いまだ核、ミサイルの脅威が払拭されていない北朝鮮に対しては、今後も人的往来の規制強化措置等を適切に実施していくとともに、核、ミサイル関連の動向、日本人拉致問題を含む北朝鮮の対外動向や国内状況等について、関連情報の収集、分析等を進めてまいります。
 尖閣諸島関係については、我が国の主権に関わる事案の相次ぐ発生を踏まえ、関係機関と連携し、関連情報の収集、分析に尽力するなど、遺漏のない対応をしてまいります。
 次に、在留外国人の増加に的確に対応するため、次の取組を行いたいと考えています。
 我が国が本格的な少子高齢・人口減少時代を迎える中、経済社会に活力をもたらす外国人を積極的に受け入れていく必要があります。このため、未来投資戦略等に掲げられた施策の実現により、高度外国人材の更なる受入れの促進等に努めるとともに、本年六月十五日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針に記載された新たな外国人材の受入れに係る在留資格の創設等のため、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。
 この法案が成立することにより、中小・小規模事業者を始めとした人手不足の深刻化に対応するため、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材の受入れを行うことが可能となります。また、今後、より一層重要となる外国人の在留の公正な管理を適正に行うため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設します。あわせて、我が国が、人々の多様性を尊重し、そして多様な人々を我が国社会に包摂していく日本人と外国人の共生社会の実現に向け、外国人の受入れ環境整備に関する各種取組について、幅広く関係者からの意見を聞きながら、関係省庁と連携して着実に検討を進めているところであり、年内に外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を取りまとめてまいります。
 昨今においては、外国人に対し社会保険の適正な運用を確保することが重要な状況にあります。新たな在留資格制度の下で受け入れる外国人の社会保険については、法務省から社会保険に係る関係機関に一定の情報を提供することにより、関係機関において当該情報を活用した社会保険の加入促進が図れるような取組を開始することや、悪質な社会保険料の滞納者に対しては在留を認めないことを検討しています。法務省として、制度を所管する厚生労働省とも緊密に連携し、対応してまいります。
 難民問題については、依然として世界的に深刻な状況にあります。その中で我が国では、就労等を目的とする濫用、誤用的な難民認定申請の急増により、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態となっています。これらの状況を踏まえ、本年一月十五日から、難民認定制度の運用を見直し、庇護が必要な申請者には早期に安定した在留許可をする等更なる配慮を行い、濫用、誤用的な申請者にはこれまでより厳格な対応を行っています。今後も引き続き、我が国における難民認定の迅速適正化を推進し、真に庇護を必要とする方への保護を図ってまいります。
 次に、国土強靱化、国民の社会経済活動の重要なインフラ整備のため、次の取組を行いたいと考えています。
 民事基本法について、国民の意識や社会情勢の変化に対応し、必要な見直しを進めてまいります。
 民事執行法制の見直しに関して既に法制審議会から要綱の答申を受けているほか、公益信託法制、会社法制、戸籍法制及び民法の特別養子制度の見直しについても法制審議会の各部会において調査審議が進められており、これらについても答申がされた場合には、できる限り早期に関係法案を国会に提出することができるよう所要の準備を進めてまいります。
 また、既に法律として成立し、その施行を控えている成年年齢の引下げ、債権法や相続法分野の民法等の改正についても、円滑な施行に向けた準備を進めるとともに、広く国民に改正内容を理解していただくため、その周知に全力を尽くしてまいります。
 所有者を特定することが困難な、いわゆる所有者不明土地問題につきましては、依然と深刻な状況にあるものと認識しておりますが、このような問題が生ずる要因の一つとして、相続登記が未了のまま放置されていることが挙げられます。この問題は、相続が繰り返されるにつれ更に深刻化することが懸念され、関係省庁が一体となって対応する必要があります。そこで、法務省では、法定相続情報証明制度等による相続登記の促進の取組や、長期間相続登記が未了の土地の解消に向けた取組を推進してまいります。
 また、今後、人口減少に伴い、所有者を特定することが困難な土地が増大することも見据えて、登記制度や土地所有権の在り方等の中長期的な課題についても、政府の基本方針に基づき、引き続き、関係省庁と連携し、検討を進めてまいります。
 東日本大震災からの復興支援については、これまで、登記嘱託事件等の適切かつ迅速な対応に努めるとともに、登記所備付け地図の整備についても積極的に行ってきました。また、法テラスにおいて、被災地に出張所を設置し、無料法律相談を実施するなどの支援を行ってきたほか、人権擁護機関において、風評等に基づく様々な人権問題に対し、仮設住宅等における相談を実施するなど、相談・調査救済活動を行ってきました。
 平成二十八年熊本地震からの復興支援についても、倒壊するなどした建物の登記官の職権による滅失登記、地震によって土地が移動している地域の登記所備付け地図の修正作業、被災地の人権擁護委員を中心とした仮設住宅等を訪問しての相談活動を行っています。
 また、今般の平成三十年七月豪雨による災害についても、総合法律支援法の規定に基づき、関連する政令を迅速に制定し、法テラスにおいて、被災者への無料法律相談を実施するとともに、同豪雨災害及び平成三十年北海道胆振東部地震についても、倒壊するなどした建物の登記官の職権による滅失登記を行うなど、被災者に寄り添った的確な対応をしてまいります。
 今後も、引き続き、震災等各種災害からの復旧復興支援に全力で取り組んでまいります。
 次に、法の支配を貫徹し、国際分野に至るあらゆる活動に法が適用されるように、司法外交を推進してまいります。
 司法外交の柱の一つとして、犯罪防止や法制度整備等に関する国際協力を推進してまいります。
 これまで長年にわたり、アジア・アフリカ諸国等の刑事司法実務家に対する国際研修等を通じ、犯罪の防止や犯罪者の処遇等に関する各国の取組支援、人材育成等を行うとともに、アジアを中心とする開発途上国に対し、基本法令の起草、司法制度整備、司法関係者の人材育成等に関し、相手国の需要を踏まえた寄り添い型の法制度整備支援を行ってまいりました。
 これらの国際協力は、根本的な理念として、我が国が尊重してきた法の支配を各国が実現することに貢献するものであり、二〇一五年九月に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsの達成にもかなうものであります。長年にわたる我が国の実績を強みとして、今後も積極的に推進してまいります。
 我が国の利害に重大な影響を及ぼす国内外における法的紛争に適切かつ迅速に対応するために、国の利害に関係する訴訟に対する指揮権限をより適切かつ効果的に行使するとともに、国内外の法的紛争を未然に防止するための予防司法機能の充実や、国際訴訟等への対応について外務省等の関係省庁との連携を進めるなどして、訟務機能の充実強化に更に取り組んでまいります。
 国際仲裁は、国際取引をめぐる紛争解決のグローバルスタンダードとなっており、海外に進出する日本企業に対して利便性の高い紛争解決手段を提供し、かつ、海外からの投資の呼び込みにも資する重要な司法インフラとして、我が国におけるその活性化が急務となっております。
 法務省としても、関係省庁、関係機関と連携しながら、専門的な人材育成、国内外における広報、意識啓発等の基盤整備を進め、国際仲裁の活性化に取り組んでまいります。
 二〇二〇年四月、京都コングレスが開催されます。コングレスは、一九五五年以降五年ごとに開催されている、犯罪防止、刑事司法分野における国連最大規模の国際会議であります。我が国での開催は一九七〇年以来、五十年ぶりとなります。
 京都コングレスには、各国法務大臣、検事総長等のハイレベルを含む世界中の司法関係者が集い、犯罪防止、刑事司法及び法の支配について議論が行われます。この舞台で、我が国は、法の支配等の普遍的価値を各国に浸透させるべく、リーダーシップを発揮し、司法外交を進めてまいります。そして、参加してくださる方々に、我が国の成熟した社会を体感していただくとともに、安全、安心な社会の実現や再犯防止、そしてそれらを支える法遵守の文化についての国民的関心を高める機会としたいと考えています。今後、関係省庁、関係機関と連携し、十分な準備を進めてまいります。
 最後に、司法、法務行政を支える人材、施設等を含む環境整備のため、次の取組を行いたいと考えています。
 今国会においては、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定するための裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたので、十分に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
 刑務所などの施設については、現行の耐震基準が定められた昭和五十六年以前に建設された施設が約半数に上るという現状を踏まえ、老朽化の問題を解消するための整備を推進してまいります。
 これまでも、法務省においては、全職員が職場や家庭において個性と能力を十分に発揮できるよう各種取組を実施しておりますが、引き続き、法務省・公安審査委員会・公安調査庁特定事業主行動計画、通称アット・ホウムプランを推進するとともに、女子刑事施設の運営改善に関する総合対策、マーガレットアクション等の各部局の実情に応じた施策を強化するなど、より一層働き方改革を進め、男女を問わず活躍できる職場環境の整備と職員のワーク・ライフ・バランスの実現に努めてまいります。
 また、障害者雇用については、障害者雇用率制度の対象となる障害者の計上が不適切であったことを深く反省した上で、政府の基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害のある方々が生き生きと働くことができる環境づくりに向け、法務省一体となって取り組んでまいります。
 委員長を始め、委員の皆様方には、日頃から法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。
 今後も、様々な課題に対し全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

発言情報

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発言者: 山下貴司

speaker_id: 606

日付: 2018-11-13

院: 参議院

会議名: 法務委員会