石上俊雄の発言 (本会議)
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○石上俊雄君 国民民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。
安倍総理の所信表明演説に対し、会派を代表して質問させていただきます。
冒頭、大阪北部地震、西日本豪雨災害、台風二十一号、そして北海道胆振東部地震で亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
早いもので、憲政史上類のない政府の不祥事で混乱したあの通常国会から三か月がたちました。この間、私も政治家として原点に立ち返るべく、全国津々浦々の仲間を訪ね、政治に対する疑問や批判、また建設的な提案をたくさん聞かせていただきました。
さらに、私の最大支援組織である電機連合五十七万人の皆さんからも、魂のこもった熱いメッセージを数え切れないほど頂戴しました。
本日は、その中でも特に要望の高かった御意見、関心事に基づき、安倍総理と麻生大臣に質問させていただきます。
初めは、最も多くの方から寄せていただいた要望である産業政策についてお尋ねします。
一つ目は、現在進行中の米中貿易戦争についてです。
昨年まで世界経済は、グレートモデレーション、大いなる安定と呼ばれ、ダボス会議では、この安定がいつまで続くのかが最大の関心事でした。しかし、今年に入り、米国トランプ大統領が貿易戦争を中国に仕掛けた結果、我が国製造業では好調だった産業ロボットや工作機械、また電子部品の製造装置等で中国投資落ち込みの懸念が広がり始めています。これ以上の対立激化は、米中のみならず、我が国の経済にもマイナスであることは必至です。トランプ大統領のことを評論家は、俺の最高のアドバイザーは俺と信じる人とやゆしますが、そんな彼でも総理は友人として、いや、それ以上に日本の国益を代表して経済界の懸念をしっかりと直言すべきです。保護主義の行き着く先は所詮勝者なき戦いと総理はトランプ大統領に言い含める気構えがあるかどうか、真摯な答弁を求めます。
二つ目は、国内企業に散見されるデジタル革命への取組不足についてです。
今年八月、日本政策投資銀行が公表した企業行動に関する意識調査というアンケート結果で関係者の間に衝撃が走ったことを総理は御存じでしょうか。製造業、非製造業の計一千百六十八社にビッグデータや人工知能についてヒアリングしたところ、三八%が活用の予定なし、三四%では活用予定ないだけではなく関心もないとの回答でした。更に驚くべきは、中期的な市場開拓や新規事業への取組について問われると、約六割の企業が取組の予定はないと答えたのです。これでは、政府の成長戦略、例えばコネクテッドインダストリーズ等は企業の間で本当に理解されているのかと疑問符を付けられても仕方がありません。
また、所信表明演説で総理が誇らしげに紹介した固定資産税ゼロのかつてない制度も、実は三年限定という一過性のものにすぎず、果たしてこれで我が国企業のデジタル革命への取組不足という課題解決が可能なのか、極めて疑わしいと考えますが、総理の見解、今後の対応について御説明ください。
次は、同じぐらい要望の高かった労働分野から、さきの働き方改革国会では議論の俎上に上がらなかった、ある長時間労働問題について質問させていただきます。
全国の医療現場では、二年に一度の診療報酬改定に合わせて、大勢のシステムエンジニアたちが、診療報酬明細書を作成する専用ソフト、通称レセコンの改修に、短い納期の中、不眠不休で取り組んでいます。実は、レセコンの改修が過酷な作業現場として常態化する原因は、国の予算編成の流れにあるのです。診療報酬の改定率は、国の予算枠が固まらないと決めることができません。しかし一方、改定内容が決まると、今度は新年度当初からその適用が求められるため、結果的に作業は常に短納期、過密スケジュールとなり、現場では毎回長時間労働が当たり前となってしまうのです。
私も何度か委員会でこの構造問題を訴えてきましたが、厚労省は政府全体の予算編成というスケジュールの複雑化、硬直性を前に物申せないのか、長年問題を放置してきました。本来、長時間労働を是正する側の国が長時間労働をつくり出し、二年に一度苦しむ人が必ず発生する。そんな仕組みがいつまでも存続していいはずがありません。
総理、是非明確で力強いリーダーシップを発揮して、この問題を解決すると、この場ではっきりとお約束してください。
次に、社会保障について、安倍総理と麻生大臣にお尋ねします。
総理は所信表明演説の中で、全世代型社会保障をきれいにうたい上げましたが、年々拡大する社会保障給付費と保険料収入の差についてはどう考えるのでしょうか。
また、来年十月に消費税率を一〇%に引き上げる旨を宣言しましたが、一〇%の後、我が国の消費税率は最終的にどこまで上がるのですか。これで打ち止めか、それともヨーロッパ諸国並みに二〇%まで上げるつもりなのでしょうか。
いずれにしても、政府がまずやるべきは徹底的な無駄遣い減らしです。自分たちの無駄遣いの精査は後回しにして、消費税率をいじれば、幾らでも国民からお金を搾り取れると思ったら大間違いです。
また、関連して、プライマリーバランス回復達成が二〇二五年度に五年先送りされましたが、本当のところ、その実現性はどれくらいあると考えているのでしょうか。万が一、この公約が合理的な理由もなく破棄された場合、総理はどのような政治責任を取る覚悟ですか。後々言い逃れができないよう、明瞭簡潔な言葉で具体的な答弁をお願いします。
また、麻生大臣にもお尋ねします。
持続可能な社会保障制度の確立を図るため、自助自立のための環境整備の必要性は今や国家的な大命題となっています。特に、生命保険等は自助努力による生活保障手段として国民生活の安定に寄与しており、今後、より多様化する国民の生活保障ニーズ対応の観点からも、生命保険関連税制の抜本的な強化充実が必要と考えますが、麻生大臣の認識、対応方針をお示しください。
最後に、安倍内閣閣僚の政治姿勢についてお尋ねします。
片山大臣、麻生大臣、そして総理自身に質問します。
まずは、片山大臣にお伺いします。
大臣には、現在、口利き疑惑報道が投げかけられています。午前中、総理から、我が会派、大塚参議院会長への答弁にもありましたように、疑惑に対して説明責任を果たすべきは、片山大臣、あなた自身です。裁判を起こすのは自由ですが、自分が雇った弁護士から裁判外で説明は控えてもらいたいと言われているということを理由に説明責任を回避できるという考えは、完全な間違いです。世間ではこれをマッチポンプと呼びます。何もなければ説明し、潔白ならばそれで疑惑は終わりです。
片山大臣には、まず自らの疑惑について、納得できる説明責任を果たすことを求めます。それがあなたの義務です。でなければ、大臣の職を担うことはできません。
次に、麻生大臣にお聞きします。
一連の財務省不祥事の責任を負うはずの大臣が、なぜいまだに内閣の一員としてこの場にい続けているのでしょうか。総理に頼まれたからですか。麻生大臣は、あの明治維新の偉人、大久保利通の御子孫とお聞きしますが、最後の最後まで麻生大臣をかばい続ける安倍総理に、大久保利通の盟友、西郷隆盛、西郷どんの最期の言葉を拝借して、御自身の意思をしっかり伝えるべきではないでしょうか。晋どん、もうここでよかと。
晋どんとは、西郷隆盛が西南戦争の最後で介錯を頼んだ別府晋介のことで、くしくも晋介の晋の字と安倍晋三の晋の字が同じで、ついついイメージが重なり、不思議だなあと感心しています。
それはさておき、麻生大臣は、今からでも遅くありません、安倍総理に、晋どん、もうここでよかと、大臣留任を固辞すべきではないですか。麻生大臣、時に解読困難な本心を、誰にでも分かるように是非率直にお聞かせください。
そして最後に、安倍総理にも政治姿勢についてお聞きします。
総裁選で三選を果たし、このままだと首相在任期間が、合計でも連続でも日本の憲政史上最長になると伺いました。そのことが国家国民にとっていかなる意味があるか、私にはよく分かりません。しかし、その記録達成までの間、大多数の国民、与党公明党も乗ってこない憲法改正を唱え続けるのは余り有益とは思えません。
今、安倍政権に必要なのは、異次元緩和策の出口戦略のように、登った山の頂から安全に下りること、言わば下山の思想ではないでしょうか。残された時間の中、自らの行動に起承転結をしっかり付けることが何よりも大切です。
新しく求心力をつくるため、政権のレガシーをつくるため、見込みの薄い憲法改正を引っ張り回す作戦については、私からも総理にはっきりと言わせていただきたい。晋どん、憲法改正は、もうここでよかと。
今回は厳しいことも多少言わせていただきましたが、これも全て、麻生大臣、安倍総理、そして国家国民のためと信じ、私自身、自らの代表質問にもうここでよかとけじめを付けて、質問を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕