中泉松司の発言 (本会議)
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○中泉松司君 おはようございます。自由民主党の中泉松司です。
私は、自民・公明を代表して、ただいま議題となりました漁業法等の一部を改正する等の法律案について、農林水産大臣に質問をいたします。
質問に先立ち、昨日、ユネスコ世界文化遺産に、来訪神、仮面・仮装の神々として、沖縄宮古島のパーントゥ、秋田県男鹿のなまはげなど十の伝統文化が選定されました。関係各位の御尽力に心から敬意を表しますとともに、このことが日本の魅力を更に発信し、日本の発展につながるものを願うものであります。
それでは、質問に入らせていただきます。
一九七二年からの十六年間、我が国の漁業生産高は連続して世界一でしたが、僅か三十年足らずのうちに生産高は著しく減退し、ピーク時のおよそ三分の一まで落ち込んでしまいました。しかし、我が国周辺には、暖流、寒流が複雑に混じり合い、多様な水産資源を生み出す世界有数の広大な漁場が広がっており、漁業の潜在的な力は依然として大きいものがあります。そして、漁業は、私たち日本人の健康や和の文化を担っています。私たちは伝統的に魚介類や海藻を取り入れた食生活を送っており、国民のたんぱく質の二割強は魚介類から摂取されています。世界無形文化遺産である和食も、我が国周辺の水産資源がなければ成り立ちません。
今回の法案では、漁業法が制定された昭和二十四年以来七十年ぶりの抜本的な改正として、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるために、資源管理措置並びに漁業許可及び免許制度等の漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直すこととしています。漁獲量を管理するという考え方には不安の声も聞かれますが、その必要性自体は皆理解でき、まさに我が国漁業の未来を守るための改革を行う重要な法案であると認識をしております。
そこで、まず、法案をめぐる議論の前提として、我が国の漁業生産高が大きく減少した国内的、国際的な要因が何かについて具体的にお聞かせください。
次に、今回の法改正の内容について伺います。
今回の法案では、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律、いわゆるTAC法を漁業法に統合し、新たな資源管理システムを構築することで海洋資源の維持、回復を図るとしています。
私の地元、秋田県の県魚は、さかなへんに神と書いてハタハタ、秋田を代表する冬の味覚の一つですが、実は昭和の終わりから平成の初めにかけ、漁獲量の大幅な低下に苦しみました。秋田県の漁業者は、ハタハタの漁獲量回復のために平成四年九月から自主的に三年間の全面禁漁を行い、解禁後も漁業者の協力の下、県独自で漁獲可能量制の導入など厳しい管理を続けました。これにより漁獲量はV字回復し、このことからも、漁獲量を管理することの有効性は認められます。そして、この漁獲量回復の成功の裏には、県の経営安定化資金などの公的融資、不要漁網の買上げ補助を通じた漁民支援など、公的な支えがありました。
現在、ハタハタ漁は残念ながら不調傾向に再びありますが、平成四年から三年間の自主的な全面禁漁の成功体験は、再び秋田の宝であるこの魚も漁民の生活も守る知恵を生み出すものと信じております。
秋田県の経験から言えることは、今回のTACを基本とする資源管理システムやIQ方式の導入についても、公の支援なく、漁民の皆様が資源管理の強化に不安を持つようでは成功しないということです。現在、政府において、沿岸の小規模漁業者の状況などを十分に認識し、万全のセーフティーネット等を整備した上で、資源管理システムやIQ方式の導入を検討されていると思いますが、この点について政府の見解をお聞かせください。
次に、漁業の生産性に関して質問いたします。
一九八〇年代以降、我が国の漁業生産高が落ち込む一方、ノルウェーやアイスランドの生産性は向上しています。漁船一隻当たりで見ても、ノルウェーは日本の約二十倍となっています。
しかも、その間、我が国では漁業就業者の減少と高齢化が進みました。戦後の復興期に就業した方々に依存したまま、世代交代が順調に行われない状態で現在に至ってしまったと言われています。漁業就業者の減少と高齢化が進行する中、人手不足も深刻で、漁船員の有効求人倍率は全国平均で二・五倍を超えています。このまま若年齢層も含めた漁業への新規参入者が低水準で推移していけば、漁業の健全な発展に影響を与えることになり、水産物の円滑な供給に支障を来しかねません。
そこで、漁業の生産性向上だけではなく、若者に魅力ある漁業の実現を図るためには、漁船を更新する際に、大型化や高性能化と同時に、安全性や居住性の向上を併せて実施することが不可欠であると考えます。
船舶の規模に係る規制を見直すと同時に、厳しい環境で漁業に取り組んでいる漁業者が船舶を前向きに更新できるように国として後押しすることが必要ではないかと思いますが、どのように対処されるのでしょうか。我が国漁業における高齢化などの状況と併せて、若者の漁業への参入促進策としてその対処方策をお聞かせください。
次に、養殖や沿岸漁業の発展のための海面利用制度の見直しに関して伺います。
本改正案では、沿岸漁業の海面利用制度の見直しとして、付与する対象が法律で順位付けされ、地元漁協に優先的に割り当てられてきた漁業権、すなわち一定の漁場で排他的に特定の漁業を営める権利について、漁場を有効活用している漁業者が継続利用できることを前提に、法律で定めた優先順位を廃止することにしております。これにより、成長が期待できる養殖業において企業の新規参入が可能となります。
しかし、これまで我が国の漁業と漁村を守ってきた漁協は、経済的、生産的な役割のみならず、浜の環境や資源を守る役割も担ってきました。にもかかわらず、経済的効率性や生産性だけで、いきなり、水域を適切かつ有効に活用したと認められず、継続利用は優先されないと判断されてしまったとすれば、これまでの地元の努力は水泡に帰してしまいます。
そこで、既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用していないとみなされる場合は、どのような要件で、かつどのような手順でなされるのでしょうか。既存の漁業権はないが、地域水産業の発展に寄与する力のある者に免許を与えるとしても、どのように既存の漁業権者との調整が図られるのでしょうか。具体的に説明いただきたいと思います。
高齢化や後継者不足など直面する厳しい現状を打破するには、経営力や技術力を有する企業の参入が有効であることは確かです。しかし、地方では、外資系企業がブリ養殖から撤退したといった事例もあります。新たに漁業権を付与したとしても、経営的にもうからないと判断すれば、短期であっても撤退しかねないのが企業原理です。我が国の領土、領海にとって重要な役割を持つ島々の浜が外資系企業により買い占められることにより、島の無人化や資源の枯渇、さらには国境の弱体化などの問題が発生しないのかという不安もあります。
そこで、企業の参入に当たっては、安易な判断をしないような者だけに新たに免許を付与するという地域の事情に通じた目利きが必要ではないかと考えます。企業の参入に当たってどのような基準や手順を考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
最後に、違法操業に関して伺います。
今回の法案では、沿岸域のナマコやアワビなどの悪質な密漁への罰則が強化されることとなります。悪質な組織への資金の流れを止め、貴重な海洋資源と漁民の皆さんの生活を守る視点から、密漁撲滅は重要な課題です。同時に、日本の排他的経済水域、EEZ内にある漁場、大和堆周辺に北朝鮮等の漁船が侵入し、違法操業を繰り返す事態も深刻な問題です。
水産行政をつかさどる農林水産大臣として、関係機関と連携し、国内での悪質な密漁はもちろんのこと、日本の排他的経済水域、EEZ内での違法操業にどう対処していくのか、この点をお伺いして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣吉川貴盛君登壇、拍手〕