川田龍平の発言 (本会議)
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○川田龍平君 私、川田龍平は、立憲民主党・民友会を代表して、ただいま議題となりました水道法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
この改正案は、人口減少に伴う需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の直面する課題に対し、水道の基盤強化を図るため所要の措置を講ずるとして提出されたものです。
政府の法案説明によれば、広域連携を促すことで、小規模自治体の脆弱な経営基盤が連携によって強化されるとのことでした。しかし、委員会審議における根本大臣の認識では、その広域連携のターゲットが、経営難の自治体ではなく、裕福な大規模都市の水道事業者だということが明らかになりました。
そもそも、コンセッション方式の導入で水道事業の基盤が強化されるという政府の主張ですが、一体何を根拠に言っているのでしょうか。
コンセッション方式の現実についての分かりやすい例を挙げましょう。商業施設の売上げ増加やスマートセキュリティーの導入などでコンセッション方式の成功例として喧伝されていた関西国際空港です。しかし、実態はどうだったでしょうか。今年九月に台風二十一号が上陸した際、冠水した関西国際空港には八千人もの滞留者が閉じ込められ、台風が去った後も速やかに空港から避難させられず、復旧作業もろくに進まないといった惨状でした。
経済効果だ、基盤強化だと言って導入したコンセッション方式によって、経済の要である空港が機能麻痺を引き起こしてしまった。この大失態の裏にあるものこそが、その目的が社会的公共資本の維持ではなく企業利益の追求であるというコンセッション方式の本質です。空港という公益性のある事業でありながら、目先の利益に集中し、それを長期にわたり継続させるための整備の方に資本とエネルギーを注ぐことが後回しにされていたことが、コンセッション方式を導入した関西国際空港が大惨事を引き起こした最大の原因であることは誰が見ても明らかでしょう。
ですが、なぜか政府側は、これだけ分かりやすい失敗例が出ても、まだコンセッション方式がインフラの基盤を強化すると主張しています。
ならば、こうしたらどうでしょう。コンセッション方式を導入した関西空港が、災害発生から復旧まであれだけ時間が掛かったその原因を現在究明中の国土交通省の調査結果が年内に明らかになるということです。この報告を待って、公共インフラにコンセッション方式を導入した際の負の側面もまずはしっかりと検証してから、空港以上に大切なライフラインである水道へのコンセッション方式導入の是非について丁寧な議論をすべきではないでしょうか。
安倍政権の政策パンフレット二〇一七のスローガンは、「この国を、守り抜く。」でした。守り抜こうとしているこの国が自然災害大国であることを本当に認識しているのでしょうか。今年一年を振り返っただけでも、地震、台風、酷暑にゲリラ豪雨など、我が国は次々に自然災害に襲われ、多くの地域はいまだにその傷痕から復旧しておりません。
この夏、豪雨に見舞われた岡山県倉敷市真備町では、浸水した家の泥をかき出すシャベルを洗う水すらなかった。豪雨で水道管が破損し、その直後にやってきた酷暑によって、被災した人々の中には熱中症で亡くなる人も続出いたしました。
本当にこの国を守り抜くならば、日本に頻繁にやってくる自然災害という有事において、どんな小さな脆弱性も許してはならないのが水道事業のはずです。安倍政権は、国を動かす立場にいながら、一番大事なことを忘れています。民営化の問題は、平時ではなく有事にやってくるからです。そして、政府の最大の役目とは、有事の際に国を守り抜くことなんです。そのために、いかに詳細に緊急事態をシミュレーションし、いざというときに国民を災害から守る備えを万全にできるかどうか。その役目を忘れ、有事の際に国民の命を危険にさらすリスクを抱えたコンセッション方式を水道に導入しようとする、どう見てもこの国を守り抜けない法案を我々は断じて許すことはできません。
世界でなぜコンセッション方式が失敗したか。その理由は五つあります。水道料金の高騰、水質の劣化、人件費カットによるサービス悪化、事業内容のブラックボックス化、地域独占による地域住民の主権喪失、そして先ほど申し上げた有事の際の防災機能の弱体化です。
水道事業は、電気と同じ総括原価方式ですから、自治体経営のときにはなかった役員報酬、株主報酬、法人税など、ビジネスに係る経費が全て新しく料金に上乗せできるので、水道料金が間違いなく跳ね上がります。こうした経費の上乗せが合法ですから、根本大臣の言う厚生労働省の審査や地方自治体のモニタリングなどは全く歯止めになりません。
政府は、健全な経営という文言を新たに加えることで価格が適正に保たれると言いますが、健全な経営の基準は誰が決めるのでしょうか。巨額の役員報酬を普通だと言った元日産の外国人CEOの発言からも分かるように、外資系企業にとっての健全な経営と日本の我々が考える健全な経営は決して同じではありません。地方自治体が報酬額をチェックして高過ぎると文句を言ったとして、外国企業はこれが普通だと言われたら話はおしまいです。
我々は厚生労働委員会で、この健全な経営の基準をはっきりさせるよう政府に求めましたが、政府は全く答えられません。ここを曖昧にしてそのまま進めてしまうと、今後、外国基準の法外な役員報酬が上乗せされた水道料金の請求書を見て国民が悲鳴を上げても、もう取り返しが付かなくなってしまいます。
また、料金が適切かどうかを地方議会がモニタリングするから問題ないというのも全く当てになりません。海千山千の外国企業を相手に、難解な言葉で書かれた契約書の中身を、果たして地方議会がチェックできるのでしょうか。
広域連携する際も、各自治体や議会の意見を統一するのは至難の業です。混乱した状況では、当然企業側に都合の良い契約内容ばかりまかり通るリスクは大きくなりますが、政府は、厚労省が事前に審査すれば大丈夫の一点張りで、何をどう審査するのか、それ以前に水の水質維持と安定供給という本来の公共性をどう担保させるかという対策は全くありません。数年以上も公的機関による障害者の水増し雇用問題を見抜けなかった厚労省が、世界規模でビジネスを手掛ける巨大外資系企業を相手に、その穴を見抜けるような審査ができますと胸を張って、果たして国民が納得するでしょうか。
自民党二〇一七年政策パンフレットには、総理の言葉でもう一つ、こう書いてあります。「危機管理にも全力を尽くし、皆様の生命と財産を守り抜いてまいります。」。まさに水道事業は、総理の言うとおり、国民の命の源泉であり、これまで地方自治体が守り抜いてきた国民の財産です。
本法案が施行されれば、我が国の水道ビジネスに今よりもっと外国企業が参入してくるでしょう。しかし、総理の言う危機管理の観点から見ると、例えば何らかの理由でどこかの国と対立するような有事になった場合、もしも相手の国の企業が我が国の水道事業を握っていたら、国民のライフラインを盾に要求をのまされる事態も十分想定されるでしょう。外国企業に水道を売却するこの政策は、危機管理に全力を尽くすという安倍政権のスローガンと明らかに矛盾しています。
二〇二五年には、地球の人口の約三分の一が安全な水へのアクセスを失うと言われています。年々枯渇し、奪い合いになる水資源をめぐる戦争が激しくなっていく中、安倍政権がこの国を守り抜くと声高に喧伝するならば、日本国民の命につながる水を企業に売り渡すのではなく、世界規模の水戦争の中で、どうすれば水という我が国の資源を死守できるかを政府として真剣に考えるべきではないでしょうか。
私たち日本人にとっては当たり前のようにある水道は、安心、安全もさることながら、水道料金徴収率が九九・九%という、世界の水ビジネスにとって喉から手が出るほど欲しい優良商品です。
戦後七十年、水道法と地方公営企業法の下、命の水に公が責任を持ち続けてきたからこそ、全国いつでも蛇口をひねれば安全な水が出てきて、感染症の心配もなく安心してそれを飲めるのです。世界中でこんなすばらしいインフラを持った国はありません。
我が国の政府がやるべきことは、水というこの日本が誇る社会的共通資本をこの先何世代にもわたって守っていくための、百年単位の制度設計です。今回の水道法改正は、政府が国を守る責任を逸脱し、今だけ、金だけ、自分だけの価値観に基づいた、絶対に通してはならない法案です。
私が薬害エイズの頃から何度も繰り返し言っているように、命を守らない政治に存在意義はありません。
安倍政権に日本の宝である水道を任せることはできないこと、コンセッション方式による水道民営化は絶対にやってはならないことを申し上げ、私の反対討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)