三宅弘の発言 (情報監視審査会)

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○三宅参考人 本日は、当審査会にお招きいただき、発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。心より感謝申し上げます。
 私はことし三十七年目の弁護士ですが、弁護士になった当初から情報公開法の制定を求める運動をしてまいりまして、外側で運動していたんですが、なぜか法律が制定された後は政府の側に組み込まれてしまいまして、小泉政権下では総務省の情報公開法の制度運営に関する検討会委員、それから福田康夫官房長官主宰の内閣府公文書の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会委員というのをさせていただきまして、公文書管理法をつくるんだという動きがございました。そこにコミットしているうちに公文書管理法はできましたが、民主党の政権から現在の自公政権下、政権交代をまたいで昨年の七月五日まで八年間、公文書管理委員会の委員、それから公文書の利用請求の拒否処分の妥当性を審査する特定歴史公文書等不服審査分科会会長という役回りを得まして、それまで国相手の裁判をやっていたんですけれども、これはちょっと合わないので全部裁判の代理人はやめた、そういうような経過がございました。
 本日は、情報は民主主義の通貨、公文書管理は民主主義の基盤という立場から、特定秘密法のあり方について少し御意見を述べさせていただければと思います。
 この特定秘密保護法の制定、公文書管理法の制定から四年後になされたものですけれども、国会法が改正されて、衆参両院に情報監視審査会が設置されたことは本当によかったことだと思っています。いろいろ法律については問題がございましたが、この法律の中での重要な役割は、つくったころと比べてますます重要性が高まっていると思っているところでございます。
 もちろん、その法律の中では、審査会から行政機関の長に対して特定秘密の提出を求めることができるという、権限が強い、断るときには内閣が理由を疎明しなきゃいけないというのがございます。それから、調査をして改善勧告をする、秘密保護法のあり方について勧告をするということは将来の法改正にもつながる役割を果たすということでございますので、とても大事だと思っております。
 私も、たまたま戦前の治安維持法とか軍機保護法とか国防保安法などを趣味的に研究してまいりまして、特定秘密保護法がそのような戦前の法律の暴走の再来とならないための、この機関は重要な歯どめの機関であると考えております。
 この審査会で特定秘密について提出を求めたり、制度運用についての改善勧告をすることで、川に例えれば、川上で特定秘密指定の妥当性がチェックされるということがあると、特定秘密が拡大解釈されることがないということで、川下では、秘密保持の疑いで不当に逮捕、起訴されるというような、戦前になされた事例のようなものが防げるからだという意味で、この審査会でのチェックがとても大事だと考えております。
 私は、現在、日弁連の秘密保護法・共謀罪法対策本部長代行という、日弁連会長のかわりにいろいろこの分野について対応する立場にございますが、両院の審査会が各院の議長に提出された平成二十七年と二十八年の報告書に対しての意見書、並びに、衆議院の審査会の二十九年度の年次報告書に対しても、それぞれ意見書を提出させていただいております。その一部については、この平成三十年度の年次報告書でも少しいろいろ回答がされているところでございますけれども、まだ問題点が残っていると思いまして、過去の報告書を踏まえて、きょうは少し意見を述べたいと思います。
 一つ目は、特定秘密文書の保存期間は一年以上として、その保存期間の定め方については明確な基準を定めるということをより具体化していただきたいということでございます。
 五百旗頭参考人の意見の中にも、保存期間一年未満の特定秘密が四十四万件存在するという、今お話がございましたが、私もこれは報告書を聞いて初めて知ったわけでございます。
 昨年、一昨年の公文書改ざんをめぐる問題や廃棄の問題を、公文書管理委員会の委員としていろいろ各府省庁の公文書管理規則の改正に働きかけましたが、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については原則一年以上の保存期間を定めるとございますから、本来、特定秘密として指定される情報は、これは重要な意思決定にかかわるもの、事業、事務の跡づけにもとても大事なものだと考えていますので、基本としては一年以上になるのではないかと考えます。いろいろ例外的に措置がございますが、なお、重要又は異例な事項に関する情報を含むようなものについては原則一年以上ということで、公文書管理法が行政文書管理規則を変えましたので、この観点から国の情報管理のあり方についてこの審査会で更に議論を深めていただきたいと思います。
 また、そうしますと、保存期間が一年以上になるということであれば、公文書管理法が全て適用されるということになりますので、特定秘密保護法と公文書管理法をセットで検討していただいて、原則として国立公文書館に移管をするという取扱いをぜひ、運用上していただきたいし、このようなことを公文書管理法や特定秘密保護法の中で規定していただく必要があろうかと思います。
 レジュメの中でも、重要な文書を一年、三年、五年、十年の保存期間であっても移管してと。原則三十年の保存で開示をするという公文書管理の三十年ルールというのがございますけれども、なお国立公文書館では、私はその規則の改定に立ち会いましたが、五十年、八十年、百年、百四十年というのが最大の期限として設けてありますけれども、百四十年秘密にしておいておいて開示はしない、しかし管理をする、そういうような、歴史の流れの中で公文書管理並びに特定秘密の管理がなされる必要があるのではないかと思います。
 細かい話でいいますと、あらかじめ指定や職員の知識としてのみ存在する特定秘密の指定等というのは、これは紙の媒体としての行政文書の不存在という形になりますので、特定秘密指定はできるだけ行うべきではないと考えております。
 それから、三十年を超える行政文書を特定秘密文書として保有している場合とか今後保有する場合について、この三十年の年次報告書の中でも、内閣情報調査室から、今後とも、特定秘密文書の長期にわたる保有については、その状況の把握に努め、その適正を確保するために何らかの措置が必要かどうか引き続き検討してまいりたいと。多分、秘密指定から三十年はもうちょっとまだ時間が先だろうというようなことでこういう回答になっているのかと思いますけれども、私たちとしては、この公文書管理の運用の改善の中で、独立公文書管理監といういわゆる各省庁を横串にする公文書管理のエキスパートを国で決めたわけですから、その管理監において三十年指定又はその厳格な運用を考える、そういう部署としての独立公文書管理監において速やかなルールづくりがなされる必要があろうと考えております。
 もし、そのようなものができないとすると、私どもとしては、先ほど五百旗頭委員がアメリカでの対日政策の施策についての調査研究を御報告されましたが、私も参りましたけれども、ナショナルアーカイブズはレコードエージェンシーという記録管理庁とセットになっておりますから、国立公文書館兼記録管理庁の方の、記録管理庁に相当するものを公文書管理庁として設けていただきたい。私の個人的な願望は、尾崎憲政記念館の跡地にできるあのワンフロアぐらいは公文書管理庁のフロアにしていただきたいというのが私の、本当は個人的な希望でございます。
 それから、特定秘密の内容は、秘密を漏らすことはできませんから、名称のつけ方に非常に気をつけなきゃいけない。これは特定秘密の方のルールですけれども、公文書管理の方のルールは、Yプロジェクトとか何月何日の件とか書いちゃいけない、何が書いてあるのかをタイトルからわかるようにしなきゃいけない。この二つのせめぎ合いが、先ほどから出ている情報の管理と国民の知的資源の運用のあり方の現場での非常に微妙なところだと思いますので、この辺についての統一的な基準をこの審査会でも検討していただく必要があるのではないかと思います。
 先ほど言いました、提示要求を活用する方法とそれから改善勧告の方法等を活用していただいて、より積極的に検討をしていただくこの重要な委員会に大いに期待をしたいと思っております。
 また、政府に対してこの場でお伝えしておきたいことは、情報監視審査会の報告書において指摘された事項については、明確な期限を設けて対応状況をきっちり報告していただくということで、国会と政府でのやりとり、それを常に国民として見られるような、そういう状況をつくっていく必要があろうかと思います。
 もちろん、国民サイドには、諸外国の情報監視機関が日本に比べて非常に権限が強いけれども日本は大丈夫かと。生まれたところですので、これから大きく育ってほしいところでございますけれども、現在もそうであると思いますけれども、先生方、力のある政治家がでんとここに構えていただいて、行政の文書、情報のあり方について意見を言っていただく、そういう仕組みがとても大事だろうと思っております。そういう意味では、先ほど申しました特定秘密の提出要求とか改善勧告の中まで更に踏み込んでいただいて、現在、これまで行われてきました特定秘密の管理、特定秘密の保存状況や書類の点検等にとどまらない部分にも踏み込んで議論をしていただきたいと思っているところでございます。
 最後に、施行からちょうど五年目に当たりまして、特定秘密保護法に基づく運用基準の制定後五年の見直しということがことし議論されるというところでございますが、項目だけ列挙しておきましたが、時間の関係ではしょりますけれども、やはり、情報監視審査会からの強い求めがあったときには全ての非開示の情報の報告等をきっちりしなきゃいけないというものを行政機関に義務づけるということを国会法等に設けるということで、更に情報監視審査会の強い権限を期待したいと思います。
 衆議院よりは参議院でかなりサードパーティールールの運用について議論をされておりますけれども、これについても、これはあくまで慣行ですので、慣行は十分尊重しなきゃいけませんけれども、どういう場合に提供拒否が許されるのか、あるいは許されないのかの明確な要件とか基準を法に定めていただきたい。
 それから、特定秘密の指定要件である非公知性について、たまたまどこかでそれが明るみに出たからといって非公知性の要件は満たされませんよというのは、政府の審査会における答弁として承っておりますけれども、やはりこの辺も、非公知、要保護性、実質秘という秘密の三要件の非公知の要件については厳格に運用する規定を設けていただきたいと思います。
 また、内部通報者保護規定は、特定秘密保護法の規定のときに先送りになった課題でございますが、消費者保護法の内部通告制度の中でもまだここの部分はない部分でございますので、今後更に研究をしていただきたいと思います。
 適性評価の実施については、私、どうも弁護士間では、適性評価を不同意にしたんだけれども不利益を受けないだろうかという心配の相談なんかが実は来ておりまして、この辺のことを考えますと、評価の結果、不適格とされた場合とか、不同意をした場合に不利益を受けないということを担保する制度なども必要ではないかと考えています。
 それから、情報保全監察室、全ての職員というわけにもまいりませんでしょうけれども、幹部職員についてはノーリターンルールを決めていただいて、ここに来れば、先ほど、委員としては三年は必ず務めるべきだという米村参考人の意見がございましたが、事務局も、情報保全監察室の担当職員も、そこで骨を埋める人をぜひつくっていただきたい。アメリカに行きますと、いろいろ情報公開とか情報監視のところでは、私はここをプロパーでやっているんだという、やはりそういう人がいますので、そういう人が組織を支えることがとても大事ではないかと思っております。
 独立公文書管理監や両院の情報監視審査会において、特定秘密以外の秘密の指定の適否も検討していただく必要があろうかと思います。
 先ほど出ました南スーダンPKOの日報の問題は、実は、毎日七十ページなり八十ページ電子送信されてくるデータが防衛省・自衛隊で総括報告ができたら公文書の扱いにしない、こういう扱いで、情報公開請求しても不存在という決定をしたこと自体がやはりおかしかったんだと思うんですね。これはちゃんと管理をして、それで、何十年は出せません、出すとしても、ここは出すけれども、ここは黒塗りですというようなことを管理をして運用するということをすべきだったのに、報告ができたらもう情報じゃない、だからみんな自由に持っていいけれども出さなくていい、これがやはりおかしいというので、戦略的な公文書管理ができていない、それから、インテリジェンスがこんなことでは果たせないではないかというようなことを私は非常に厳しく言っていたわけですけれども、この点は特定秘密指定ではないわけですね。
 しかし、そういう公文書管理のあり方、情報公開にかかわる、また情報の管理にかかわる、秘密全般の指定にかかわる問題というのを、ぜひ情報監視審査会でもお話しいただき、議論していただく必要があろうかと思います。
 二十機関しか特定秘密保護法の対象機関にない。検察庁を一つの省庁として六十を超える機関のわずか二十機関だけが特定秘密保護法の対象になっている。それ以外のところの秘密はどうなのかというところまで議論を深めていただきたいと思うところでございます。
 最後に、秘密指定解除請求手続というのも法律の中にございませんので、これはアメリカの場合には、先ほどございましたが、三十年たてば基本的に一旦は秘密指定を解除する、九十何%はそれで出るけれども、しかし三十年たってもだめなものは更に指定する、こういうルールもこれから御提案いただきたいところだろうと思います。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 三宅弘

speaker_id: 23765

日付: 2019-05-20

院: 衆議院

会議名: 情報監視審査会