斉藤鉄夫の発言 (本会議)

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○斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫です。
 私は、公明党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問します。(拍手)
 今、世界は、欧米を始めとする多くの国で、IT化とグローバリズムによって拡大した貧富の格差などによる潜在的な不安や不満が国民を保護主義、排外主義へと走らせ、社会の分断と対立を生み出しています。
 その中にあって、我が国も人口減少や少子高齢化という大きな不安を抱えていますが、自公政権による政治の安定と経済の好循環による雇用・所得環境の改善によって、景気、経済の堅調をもたらし、社会の安定へとつながっています。
 国民一人一人が安心でき、希望の持てる社会を築くためには社会の安定が必要であり、それをもたらす政治の安定の継続が何よりも重要ではないでしょうか。
 そのためにも、本年を、総理が言われるとおり、全世代型社会保障元年にしなければなりません。
 なぜ、全世代型社会保障が国民の安心、社会の安定のために必要なのか。全世代型社会保障とは、別の言葉で言えば、必要な人に必要な支援が行き渡り、誰も置き去りにしない共生社会という意味だからです。
 私たちの目の前には、認知症の御家族を抱えながら仕事と介護の両立に苦闘する方や、悩みながら育児に奮闘する子育て世帯の方々、大きな自然災害に遭いながらも必死に生活の立て直しを図る被災者など、厳しい現実と葛藤しながら懸命に生き抜こうとする生活者がいることを忘れてはなりません。
 子供の貧困の問題もその一つです。
 公明党が長年訴えてきた未婚の一人親世帯に対する税制上の支援措置が、二〇一九年度の税制改正に盛り込まれました。
 離婚や死別による一人親世帯の場合は、税負担を軽くする寡婦控除が受けられます。ところが、未婚の一人親には適用されません。そこで、私たちは、一人親への支援に未婚や死別などで差を設けるべきではなく、全ての子供が平等な支援を受けられるよう主張してきました。
 その結果、事実婚状態でないことを条件に、給与収入が年二百四万円以下の方の住民税を二〇二一年度から非課税にすることに加え、一九年度の臨時の予算措置として年一万七千五百円を児童扶養手当に上乗せして給付するなど、未婚の一人親への支援が大きく前進します。
 引き続き、政権与党の一翼として安倍内閣を支え、国民の安心と社会の安定を支える全世代型社会保障の充実に全力で取り組み、対立と分断のない日本を目指します。
 以下、諸課題について質問します。
 第一に、厚生労働省の毎月勤労統計問題です。
 不適切な方法による調査が約十五年間にわたって行われていたことは到底許されるものではなく、厚生労働省は猛省すべきであると強く申し上げたい。
 さらに、厚生労働省内に設置された、統計の専門家や元裁判官などで構成された特別監察委員会が先日公表した報告書の調査方法は、その中立性、客観性に重大な疑義があるものでした。徹底した追加調査を行い、国民に信頼していただける調査、原因究明、そして再発防止策を明らかにしてほしいと強く訴えておきたい。
 その上で、何より大事なのが、今回の不適切な統計によって本来よりも少ない給付となっていた方については、一日も早く不足分の追加給付を進めることです。政府は、現在給付されている方へは三月から給付を開始するとしていますが、過去に給付された方へも一刻も早い給付へ最大限努力してもらいたい。
 また、不利益を受けた国民一人一人の不安を取り除くことができるよう、相談体制を強化するとともに、テレビやラジオ等も活用して国民の皆さんに丁寧にお知らせするなど、万全を尽くすべきです。
 また、公明党の主張を受け、政府が他の基幹統計を再点検したところ、全体の約四割に当たる二十三統計で誤りが発覚しました。全くずさんと言うほかなく、言語道断です。国民の信頼回復に向け、政府全体で全力で取り組んでいただきたい。
 毎月勤労統計の問題に対する政府の姿勢と今後の基幹統計のあり方について、総理の答弁を求めます。
 次に、全世代型社会保障についてお伺いします。
 日本は、世界で最も速いスピードで人口減少、少子高齢化が進んでいます。この難問を日本がどう乗り切るのか、世界は見詰めています。全世代型社会保障の構築を成功させなければなりません。
 その社会保障の各項目について質問します。
 まず、高齢者対策です。
 全世代型とはいえ、総理の施政方針演説にあるとおり、高齢者福祉を減らすということではありません。逆です。消費増税分の財源を使って、低年金者への福祉給付金制度、介護保険料軽減など、高齢者福祉を充実してまいります。
 その上で、我が国は人生百年時代を迎えます。高齢者の皆さんが健康寿命を延ばし、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、包括的な支援、サービス、特に訪問医療や在宅看護の重要性が指摘されています。それを支える人材の確保が必要です。
 介護現場を支える介護職員は、ことし十月から大幅な処遇改善が図られることになっています。ところが、訪問医療や在宅看護のニーズに対応する看護師不足は深刻です。
 厚生労働省の調査によると、潜在看護師は七十一万人に上ると推計されていますが、再就職に二の足を踏む方も多くいます。その理由に、急速に進む医療の進歩についていけない、責任感に耐えられないなど、不安を感じている人も少なくありません。潜在看護師の不安を取り除き、再就職に効果的な支援が求められています。
 地域での包括的な支援サービスの大きな柱である訪問医療や在宅看護の充実について、総理の答弁を求めます。
 認知症施策の推進について伺います。
 公明党の推進などにより、認知症サポーターの養成数は延べ一千万人を突破するまでにふえていますが、その役割は明確になっていません。多くは、認知症に対する正しい知識と理解を持つことにとどまっています。地域での貢献を希望する方たちが活躍できる環境整備が求められています。
 一方、早期発見、早期対応の支援体制を築くための認知症初期集中支援チームの普及啓発がおくれています。昨年、公明党が実施した百万人訪問調査において、介護に直面する人のわずか一割程度しか、その存在を知りませんでした。認知症への効果的な取組が進むよう、継続的な支援が必要です。
 認知症施策の充実について、総理の答弁を求めます。
 風疹対策について伺います。
 昨年は首都圏を中心に風疹患者が急増し、二〇一七年の約三十一倍にまで拡大しました。その患者の大半が三十代から五十代の男性です。この世代の男性は、予防接種を受ける機会が一度もなく、風疹の免疫を持たない人が大勢いると言われており、この世代への対策が不可欠です。
 厚生労働省は、新たな風疹対策として、三十九歳から五十六歳の男性を対象に、原則無料で抗体検査、ワクチン接種の実施を決定しましたが、対象となる働き盛りの男性が実際に抗体検査等を受けやすい環境を整えなければ実効性が高まりません。
 風疹対策の進め方について、厚生労働大臣に答弁を求めます。
 がん対策について伺います。
 国立がん研究センターが昨年末に発表した調査結果において、終末期のがん患者の約四割が、死亡する前の一カ月間を痛みがある状態で過ごしていたことが明らかになりました。緩和ケアが十分に行き届いていない実態が浮き彫りとなり、患者目線に立った緩和ケアの一層の推進が求められています。
 また、がん患者の三人に一人は六十五歳未満でがんに罹患しているとも言われています。治療と仕事の両立を可能とするため、短時間勤務や時間単位の休暇取得など柔軟な勤務制度の導入支援や、使い勝手の悪い傷病手当金の支給要件の見直しなどを進めるべきです。
 一方で、新しい治療法として期待が高まっているがんゲノム医療は、患者の遺伝子情報を分析し、体質や症状に応じた最適な薬や治療法を選択する最先端医療です。
 全国どこでもがんゲノム医療を受けられる体制整備とあわせて、分析した遺伝子情報によって差別が生じないような取組も求められています。
 そして、ゲノム医療の研究開発、特に全ゲノムの研究開発を、世界におくれることなく、早急に進めるべきです。
 がん対策の充実について、総理の答弁を求めます。
 次に、消費税率引上げの財源で行う教育の無償化について伺います。
 本年十月から、幼児教育の無償化が全面的に実施されます。認可外保育施設等も対象となります。
 しかし、指導監督の基準を満たさない施設も多く、今回の無償化を好機として、基準を満たし、さらに、認可施設へ移行できるよう、支援を充実することが不可欠です。
 また、企業が主に従業員のために設置する企業主導型保育は、制度創設から約二年半が経過し、定員割れや施設の閉鎖など、さまざまな課題が生じているため、早期の対策が必要です。
 幼児教育無償化の円滑な実施に万全を期すとともに、喫緊の課題である待機児童の解消に最優先で取り組み、保育士の待遇改善も図りながら、量の確保と質の向上を着実に進めるべきです。
 そして、公明党が独自に訴えてきた私立高校授業料の実質無償化については、総理が施政方針演説で、来年四月から実現することが明言されました。これによって、私立高校生の約四割に当たる年収五百九十万円未満の世帯に恩恵が及ぶことになります。
 さらに、低所得世帯の大学生等を対象に、来年四月から、授業料等の減免制度と給付型奨学金の大幅な支給額の拡充による高等教育の無償化が始まります。
 従来の制度に比べて格段に人数枠が拡大されるため、これまで受けられなかった在学生も、世帯年収等の要件を満たせば対象になる機会が広がります。申請が必要ですので、一人でも多くの学生がチャンスを手にできるよう、こうした情報を積極的に周知していただきたい。
 幼児教育から高等教育までの無償化は、多くの子供たち、子育て世帯に恩恵が及び、全世代型社会保障の一角を担うものです。希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向けて、教育費の負担軽減を更に前進させていかなければなりません。
 教育費負担の軽減について、総理の答弁を求めます。
 さて、次に、防災、減災、復興についてお聞きします。
 まず、激甚化する自然災害に備えた防災意識社会への転換について質問します。
 昨年は、全国各地で大きな自然災害に見舞われました。復興は着実に進んでいますが、被災地では、まだ避難生活を余儀なくされ、仮設住宅での暮らしを強いられている方々がいます。
 私たち公明党は、被災者お一人お一人が当たり前の日常生活を取り戻すまで、被災者に寄り添い、復旧復興をなし遂げていくことをお誓い申し上げます。
 公明党は、命を守る、命の安全保障という観点から、防災、減災、復興という最重要のテーマを政治の主流に位置づけ、防災意識を高める教育を含めて、社会の主流へと押し上げなければならないと考えています。
 政府の中央防災会議は、昨年十二月、気象庁が南海トラフ地震の臨時情報を発表した場合の住民や自治体、企業がとるべき防災対応をまとめました。臨時情報が出された際に国民一人一人がどう行動するか、地震への備えを我が事として考えていく時代に入ったと言えます。
 昨年の西日本豪雨で多くの高齢者が犠牲になった岡山県倉敷市真備町では、浸水した地域のほとんどがハザードマップで予測されていたにもかかわらず、住民の多くがハザードマップの内容を十分に理解していませんでした。
 いざというときにハザードマップを機能させるためにも、行政が旗振り役となって住民への周知を急ぐとともに、社会全体の防災教育のあり方を改め、お互いが助け合う力を増していく必要があります。
 中長期的には、行政や住民、企業が過去の災害の歴史や教訓を学ぶなど、災害リスクに関する知識と心構えを共有し、社会全体でさまざまな災害に備える防災意識社会へと転換していかなければなりません。
 防災意識社会への転換をどう進めていくのか、総理の答弁を求めます。
 地区防災計画やマイタイムラインの推進について伺います。
 近年の災害を踏まえて、地域住民による防災コミュニティーの力が重要です。住民一人一人が災害時に何をするのかを事前にシミュレーションするマイタイムラインや、住民が主体となってつくる地区防災計画などの防災対策をいかに普及させていくかが喫緊の課題です。
 愛媛県大洲市の三善地区では、地区防災計画を作成しました。また、避難場所や危険箇所を記した災害・避難カードをつくり、地域住民に説明会を行いました。さらに、高齢者など災害弱者と支援者の体制をつくるとともに、災害時の声がけ、連絡網や避難場所などを前もって決めておき、ワークショップや避難訓練を実施してきました。その結果、昨年の西日本豪雨の際には、そうした取組が功を奏し、地区の住民全員が無事に避難をすることができました。
 地区防災計画やマイタイムラインの普及について、総理の答弁を求めます。
 東日本大震災からの復興加速、福島再生について質問します。
 復興・創生期間の終了まであと二年余り。被災地では、いまだ約五万人の方々が避難生活を余儀なくされています。特に、福島においては、中長期的課題も多く、将来への不安の声も上がっており、復興・創生期間後も、国が前面に立った支援の継続は不可欠です。
 政府は先月、復興・創生期間後の検討課題について公表しました。今年度内に復興基本方針が改定される予定と聞いていますが、必要な事業の確実な実施や後継組織のあり方など残る課題について、できる限り早期に方向性を示すべきです。
 また、明年の東京オリンピック・パラリンピック大会の聖火リレーの出発地も福島に決まっています。これまで東北復興のために支援してくださった世界じゅうの人たちに対し、活力あふれる東北復興の姿をごらんいただける絶好の機会と捉え、国を挙げてバックアップすべきです。
 復興・創生期間後の対応を含めた東北復興への総理の決意を伺います。
 次に、地方創生について伺います。
 二〇一四年に本格的な地方創生の取組が始まって以来、約四年半が経過しようとしています。
 地方創生には、構想、準備期間を含めて一定の時間が必要ですが、この間に、各地域の創意工夫により、着実に成果を上げているところがあります。
 例えば、大分県豊後高田市では、十八年前から、昭和三十年代の商店街を再現した昭和の町を創設。その後、地方創生関係交付金などの活用もあり、町の創設以来十五年で観光消費額、観光者数ともに約十倍に達しています。
 しかし、国の同交付金による事業計画は最長五年で、その先は未定です。ある地域では、まだまだ事業に取り組みたいとの不安の声もあります。地域主導の柔軟な発想を生かしつつ、それぞれの自治体が安心して継続した事業に取り組めるよう、事業計画期間の延長、拡大を検討すべきです。
 地方創生の取組について、総理の答弁を求めます。
 現在、政府は地方への移住支援策の抜本的拡充を行っていますが、それとともに、移住した方々が住み続けたいと思える地域づくりが重要です。そのためには、移住者が活躍できる環境を整えることが必要です。
 特に、若者や女性、障害者など、働きたい方が最大限に力を発揮できるよう、テレワーク導入企業の増加や、大都市で働く人たちが地方に住みながらでも滞りなく働けるサテライトオフィスなどの環境整備が急務です。
 さらに、都市のコンパクト化や地域連携の強化も必要不可欠です。
 中でも、富山市では、公共交通を充実させ、市内の複数の拠点を結ぶ多極的なコンパクトシティーを形成。各拠点の利便性が向上し、人口集約などにより民間投資も活発化しています。
 将来にわたって住み続けたいと思える地域づくりこそが地方創生のかなめです。
 地方への移住支援策について、総理の答弁を求めます。
 農林水産業の振興について質問します。
 昨年末、TPP11が発効しましたが、農林水産業の現場では、生産額の減少など懸念の声があります。政府は、国内経営安定対策に万全を期すとともに、農林水産物等の輸出額を二〇一九年までに一兆円とする目標の達成に向けて、輸出促進を後押しする施策が求められています。
 そのためには、新しい農林水産業のスタイルを構築し、所得向上や担い手の育成を一層加速させなければなりません。
 その最大の施策が、スマート農業の推進です。ロボット技術やICTを活用することで作業の効率化を目指すものです。具体的には、ドローンを活用した農薬の散布や、収穫物の上げおろしに活用するアシストスーツなどが挙げられます。
 こうした働き方改革により、新規就業者の早期育成や女性活躍の推進など多大な効果が期待できます。
 さらに、就農前後に補助金を交付する農業次世代人材投資事業も着実に進め、担い手確保を進めるべきです。
 農林水産業の振興について、総理の答弁を求めます。
 観光立国の推進について質問します。
 昨年末、我が国では訪日外国人旅行者数が三千万人を突破し、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催が迫る中、訪日外国人のさらなる増加が見込まれています。観光産業が日本経済の成長とともに地方創生に果たす役割は、ますます大きくなっています。
 一方で、訪日外国人急増に伴う地域住民の生活への影響や観光の満足度の低下、交通事故、違法民泊、さらには災害時の対応などが課題となっています。特に、人気の高い観光先進地などはその影響が顕著で、対策が急がれます。
 我が国全体の観光施策として、観光集客の偏在是正、地方分散化を推し進め、地方の活性化につなげていくことも重要です。
 また、一月から徴収が始まった国際観光旅客税については、観光庁の来年度予算の七割以上を占める財源となっており、新たな観光振興の諸施策に充てるとしています。
 大事なことは、税の使い道に無駄がないか、現場の多様なニーズを的確に押さえた効果的な観光施策になっているかどうかです。旅行者や観光事業者へのヒアリング、現場の実態調査なども通じて、将来的な税収増も見据えた検証も必要です。
 観光立国の推進について、総理の答弁を求めます。
 我が国にとって喫緊の課題である外国人材受入れの新制度が本年四月より開始されます。
 昨年末に決定した政府基本方針、分野別運用方針などは、公明党の提案が多く反映されており、評価しています。しかし、具体的な方策については今後決定する政省令に委ねられている部分も多く、不安の声が上がっているのも事実です。
 そこで、日本人と同等額以上の報酬や適正な労働条件の確保、悪質なブローカーの排除、安心して生活相談が受けられる一元的な支援窓口の設置、技能実習など既存制度の実態把握とその改善などに実効性ある具体策が求められています。
 また、昨年十一月の有効求人倍率が、福井、富山、岐阜県が二倍を超えるなど、地方の深刻な働き手不足解消のため、外国人人材が大都市圏に過度に集中しない仕組みづくりも重要です。
 外国人材が安心して働き、国民とともに生きていける真の多文化共生社会の実現に向けて、これらの課題にどう取り組むのか、総理の答弁を求めます。
 次に、科学技術政策について伺います。
 近年、我が国の研究力の低下が憂慮されています。日本人研究者の論文発表数も減少傾向で、特に引用される度合いが高い論文、いわゆるトップ一〇%論文数の順位はここ十年で世界四位から九位へと大きく後退し、研究力に関する国際的な地位が下がっています。
 その原因を端的に申し上げると、一つは、研究費が少ないこと、二つ目に、若手研究者の身分が不安定で、多くの優秀な若者が研究者の道を選ばないこと、この二つと言っても過言ではないでしょう。
 まず、研究費の問題について質問します。
 昨年、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。二十八年前の免疫学の基礎的な研究成果が受賞対象になったものです。
 基礎研究は、物事の真理、仕組みを知りたいという動機が本質であって、何の役に立つかわからない面を持っているのは確かです。反面、思わぬ成果や発見につながることがあり、それがよりよい社会づくりに大きく貢献する側面を持っています。
 本庶先生の研究を見ても、免疫細胞の働きを明らかにしようという目的で行われたものが、結果としてがんの新しい治療法につながり、多くの患者を救っています。同じように、日本人がノーベル賞を受賞した青色発光ダイオードやiPS細胞なども、基礎研究の中の予期せぬ発見が実ったものです。科学技術立国を目指す我が国にとって、基礎研究を支援することは国の重要な役割の一つと考えます。
 基礎研究を支えているのが、国立大学や国立研究機関に交付されている運営費交付金です。これは、どこから芽が出てくるかわからない研究という畑全体に薄く広く水をまくようなお金です。
 この交付金は、二〇〇四年に一兆二千四百十五億円あったのが、毎年減額され続け、現在、約千五百億円も減らされています。これが日本の基礎研究の体力を奪ったとの指摘があります。二年前から減額はストップさせましたが、運営費交付金を今以上に充実させるべきと考えます。
 もう一つのお金は、いわゆる科研費などの競争的資金と呼ばれるもので、研究テーマを掲げて、このテーマにお金を下さいと研究費をとってくるものです。研究費の主体をなしています。
 この競争的資金を含む科学技術関係予算は、主要諸国で軒並み大きく増額されているにもかかわらず、日本はここ二十年間停滞しています。
 研究力向上のため、科学技術基本計画に定められた政府研究開発投資の目標、対GDP比一%まで予算の拡充に努めるべきと考えます。
 畑全体に薄く広くまいて基礎研究を促す運営費交付金、その畑から出てきた芽の中で大きく成果が得られそうな芽に集中的に注ぐ競争的資金を含め、研究開発投資の充実を図ることは日本の浮沈にかかわることと考えますが、総理の考えを伺います。
 もう一つの問題、若手研究者の身分の不安定について伺います。
 今月二十一日、国立研究開発法人理化学研究所へ視察に行ってまいりました。
 日本の名を冠した百十三番目の元素、ニホニウムをつくり出した加速器施設など、世界を先導する最先端の研究現場を見学し、日本人として大変誇りに思いました。
 その一方で、日本の科学技術を支える基礎研究分野の雇用環境は、とても厳しい現実を抱えています。今回の視察先でも、若手研究者から、有期雇用で将来が不安、安心して研究できる環境をつくってほしいといった、将来を心配する声を聞きました。
 昨今、大学や国立研究機関などの研究現場では、若手研究者の安定したポストが十分になく、ほとんどが有期雇用で将来的なキャリアパスが不透明であるため、将来を期待されながらも研究以外の道を選ぶ若い人がふえているとも言われています。
 これからの科学技術立国を担う若手研究者に不安を与えることなく、伸び伸びと研究に打ち込める環境づくり、例えば民間研究機関との人材交流など、国としてしっかり支援していくべきと考えます。
 また、視察の際に、女性研究者から、研究と出産、育児の両立が難しいとの不安の声もお聞きしました。
 出産や育児にかかわらず、安心して研究ができるよう、施設内保育所や女性研究者への支援をより一層充実させていくべきです。
 科学技術の振興は未来への投資です。若手研究者が身分、雇用の心配なく研究に打ち込める環境づくり、ひいては科学技術立国に向けた今後の取組について、総理の答弁を求めます。
 最後に、一言申し上げます。
 新元号の新しい時代の幕あけとなる本年、公明党は結党五十五周年を迎えます。
 公明党は、いかなる時代にあっても、「大衆とともに」の立党の原点に立ち、現場第一主義で、困難と闘う人々に寄り添い続けてまいります。
 国民が何を求めておられるのか。公明党は常に、多様なニーズに耳を傾け、国民の暮らしに安心と希望をお届けできるよう更に努力をしてまいりますことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 119805254X00320190131_003

発言者: 斉藤鉄夫

speaker_id: 16806

日付: 2019-01-31

院: 衆議院

会議名: 本会議