志位和夫の発言 (本会議)
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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
質問に入る前に、一言申し上げます。
総理は施政方針演説で明治天皇が詠んだ歌を引用しましたが、引用された歌は、一九〇四年、日露戦争のさなかに詠まれ、国民と軍の戦意高揚に使われた歌です。日露戦争は日露双方が朝鮮半島などへの支配を争った侵略戦争であり、この歌を施政方針演説の中に位置づけることは、日本国憲法の平和主義に反するものであって、看過できません。強く抗議するものです。
まず、国政を揺るがす大問題となっている厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題について、総理の基本認識を伺います。
第一は、統計不正による被害と影響の甚大さをどう認識しているのかという問題です。
統計不正の結果、雇用保険や労災保険などで、二千万人、五百六十七億円の被害が生まれています。
また、毎月勤労統計という基幹統計で不正が行われたことで、政府の経済認識、景気判断、税、社会保障、労働にかかわる政策判断にも影響が及んでいます。来年度政府予算案の審議の前提を揺るがす事態が起こっているのであります。
さらに、政府が発表する統計は国民が検証しようがないものであり、そこでの不正は国民の政府への信用を根底から破壊するものとなっています。
以上の諸点について、総理の認識をまず伺います。
第二は、厚生労働省による統計不正の組織的隠蔽という問題です。
統計不正は二〇〇四年以来のものですが、厚労省は二〇一八年一月から不正調査を修正する措置を秘密裏に行っていました。厚労省が設置した特別監察委員会の報告書では、局長級幹部が担当室長から不正調査の報告を受け、修正を指示し、指示に基づいて修正が行われたとしています。
不正調査の事実を知りながら、国民に報告せず、国民に隠れて修正を行う。これを組織的隠蔽と言わずして何と言うのか。にもかかわらず、報告書は、隠蔽の意図は認められなかったと組織的隠蔽を否定しています。
総理、報告書のこの結論は当然撤回されるべきだと考えますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。
第三に、統計不正が引き起こされた温床は何か。
厚労省が不正調査の修正を始めた一八年一月から不正が発覚する十二月までの間は、裁量労働制のデータ捏造、森友疑惑をめぐる虚偽答弁や公文書改ざん、外国人労働者のデータ捏造など、安倍政権による隠蔽、改ざん、うそが次々と明らかになり、大問題になった時期であります。
安倍政権によって引き起こされた政治モラルの大崩壊が統計不正の温床となった。総理、あなたにはその自覚と反省がありますか。しかとお答えいただきたい。
統計不正の真相解明は、予算案審議の大前提であります。日本共産党は、徹底的な真相解明を最優先で行うことを強く求めるものであります。
消費税増税問題について質問します。
総理は、十月から消費税を一〇%に増税する方針を表明しています。
私は、今回の消費税一〇%増税には四つの大問題があると考えます。
第一は、こんな深刻な消費不況のもとで増税を強行していいのかという問題です。
二〇一四年の消費税八%への増税を契機に、実質家計消費は年額二十五万円も落ち込んでいます。GDPベースで見ても、実質家計消費支出(帰属家賃を除く)は三兆円も落ち込んでいます。家計ベースで見ても、GDPベースで見ても、日本経済が深刻な消費不況に陥っていることは明らかではありませんか。
こうした状況下で五兆円もの大増税を強行すれば、消費はいよいよ冷え込み、日本経済に破滅的影響を及ぼすことは明瞭ではありませんか。
第二は、総理が増税の延期を決めた二年半前、二〇一六年六月時点と比べても、日本経済は格段に悪化し、世界経済のリスクも格段に高まっているという問題です。
増税延期を決めた二年半前、直近の四半期のGDPは、年率換算でプラス一・六%でした。ところが、昨年十二月に発表された七―九月期のGDPは、年率換算でマイナス二・五%となっています。個人消費も設備投資も輸出も総崩れ。八%増税強行直後の二〇一四年四―六月期以来の大きな落ち込みとなっているではありませんか。
二年半前の増税延期の際、総理は世界経済の不透明感を延期の理由にしました。しかし、今日、世界経済は、米中貿易戦争、イギリス離脱問題とEUの経済不安など、二年半前とは比較にならないほど不安定となり、リスクが高まっているではありませんか。
日本経済の現状という点でも、世界経済のリスクという点でも、二年半前の総理の言明がごまかしでなければ、ことし十月に増税などできるはずがないではありませんか。お答えいただきたい。
第三は、毎月勤労統計の不正によって、昨年の賃金の伸び率が実態よりもかさ上げされていたという問題です。
かさ上げされた数値をもとに、政府は、昨年七月以降の月例経済報告で、賃金は緩やかに増加しているとしてきました。総理が、昨年秋、消費税一〇%の実施を宣言した際に、賃金が増加しているという認識があったことは明らかです。
しかし、二十三日、厚労省が公表した修正値では、昨年の賃金の伸び率は全ての月で下方修正され、実質賃金は一月から十一月の月平均でマイナスになる可能性があることが明らかになりました。賃金は増加しているという政府の認識は虚構だったのであります。
総理、この点でも、消費税増税の根拠は崩れているではありませんか。少なくとも統計不正の事実解明抜きに増税を強行することは論外だと考えますが、いかがですか。
第四は、安倍政権の消費税増税に対する景気対策なるものが、前代未聞の異常で奇々怪々なものになったことへの強い批判が広がっていることです。
特に、ポイント還元は、複数税率とセットになることで、買う商品、買う場所、買い方によって税率が五段階にもなり、混乱、負担、不公平をもたらすものとして怨嗟の的となっています。日本スーパーマーケット協会など三団体は、混乱が生じることへの懸念を表明し、見直しを求める異例の意見書を政府に提出しています。
総理は、国民の批判も現場の意見も無視して、このような天下の愚策を強行するというのですか。
ことし十月からの消費税一〇%は、どこから見ても道理のかけらもありません。日本共産党は、その中止を強く求めます。
増税するなら、空前の大もうけを手にしている富裕層と大企業への優遇税制にこそメスを入れるべきです。富裕層の株のもうけに欧米並みの課税を行い、大企業に中小企業並みの税負担を求めるだけで、消費税一〇%増税分の税収は確保できます。消費税に頼らない別の道を選択するべきではありませんか。
特に、異常に軽い富裕層への証券課税については、二〇一六年の経済同友会の提言でも、一七年のOECDの対日経済審査報告書でも、税率引上げが提案されています。総理はこの提案をどう受けとめますか。答弁を求めます。
安倍政権が進める大軍拡と憲法九条の改定について質問します。
「いずも」型護衛艦をF35B戦闘機を搭載できるように改造する空母化が進められようとしています。相手の射程圏外から攻撃できる長距離巡航ミサイルが導入されようとしています。総理、これらは、これまで政府がいかなる場合でも保有は憲法上許されないとしてきた攻撃型兵器、すなわち攻撃的な脅威を与えるような兵器そのものではありませんか。
F35を百四十七機体制にする、二兆円を超える兵器購入計画が進められようとしています。対日貿易赤字の削減のためとして、米国製の兵器購入を繰り返し迫ってきたトランプ大統領の求めに応じたものにほかなりません。これに対して、航空自衛隊の元幹部からも、百機以上も買って、一体何をするのか、目的が全く見えないとの批判が寄せられています。
総理、トランプ大統領に言われたから買う、目的は不明、これでは浪費的爆買いとしか言いようがないではありませんか。専守防衛の建前すらかなぐり捨て、浪費的爆買いに走る、一かけらの道理もない大軍拡計画はきっぱり中止すべきです。軍事費を削り、国民の大事な税金は福祉と暮らしに優先して使うことを強く求めるものであります。
総理は、施政方針演説で、国会の憲法審査会の場において各党の議論が深められることを期待しますと述べ、九条改憲に固執する姿勢を示しました。
しかし、昨年の国会でも、総理は、憲法改定を繰り返し呼びかけ、自民党の改憲案を憲法審査会に提案することを目指しましたが、そのもくろみはかないませんでした。総理はその原因をどう考えていますか。
ある大手紙は、社説で、昨年の憲法をめぐる動きを振り返って、憲法に縛られる側の権力者がみずから改憲の旗を振るという上からの改憲がいかに無理筋であるかを証明したと述べました。総理がみずから改憲の旗振りをすること自体が、憲法九十九条が定めた閣僚の憲法尊重擁護義務に反し、立憲主義に反する無理筋な行為であるという自覚が、総理、あなたにはありますか。しかとお答えいただきたい。
日本共産党は、海外での無制限の武力行使に道を開く九条改憲を断念に追い込むために、引き続き全力を挙げて奮闘するものであります。
沖縄の米軍基地問題について質問します。
安倍政権は、昨年十二月、辺野古の海を埋め立てる土砂投入開始を強行しました。法治主義、民主主義、地方自治を踏みつけにした無法な暴挙に、沖縄県民の怒りが沸騰しています。さらに、総理がNHKのインタビューで、土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植していると平然とうそをついたことに強い怒りが集中しています。
総理は口を開けば沖縄県民の心に寄り添うと言いますが、あなたのこうした言動のどこに寄り添う姿勢がありますか。強権とうそしかないではありませんか。
政府は、埋立予定海域の大浦湾に存在するマヨネーズ状の軟弱地盤の改良工事のため、設計変更に着手しようとしています。しかし、軟弱地盤の存在を示す政府報告書は二〇一六年三月にまとめられたもので、政府はそれを二年間も隠してきました。県民に真実を隠し、新基地建設の既成事実を先行させ、県民の諦めを誘った上で、設計変更に着手する。詐欺師同然の、余りに卑劣なやり方ではありませんか。
設計変更には県知事の承認が必要ですが、玉城デニー知事は新基地建設を許さない断固たる決意を繰り返し表明しています。辺野古新基地は決してつくれません。総理はこの事実を受け入れるべきであります。
辺野古新基地建設はきっぱり中止し、普天間基地の無条件撤去を求めて米国政府と交渉することを強く求めます。
二月二十四日に行われる県民投票は、県議会で自民党を含む全ての会派の賛成で投票条例が改正され、全県実施に向けて大きく前進しています。私は、総理に、今回ばかりはその結果を尊重することを強く要求します。総理の答弁を求めます。
原発問題について質問します。
総理が成長戦略の目玉に位置づけ、トップセールスを行ってきた原発輸出が、米国、ベトナム、台湾、リトアニア、インド、トルコ、英国と総崩れに陥っています。安全対策のためのコストが急騰したことが総崩れの原因であります。総理、原発はもはやビジネスとしても成り立たない、この現実を認めるべきではありませんか。
そして、輸出できないものを、国内では、コストが安いとうそをついて再稼働を行うなど、論外ではありませんか。答弁いただきたい。
原発ゼロの日本の実現、再生エネルギーへの大転換を強く求めるものです。
最後に、日ロ領土問題について質問します。
総理は、日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させる、みずからの任期中に日ロ領土問題に終止符を打つと繰り返しています。
私は、これは極めて危うい方針だと考えます。
総理の方針を歯舞、色丹の二島先行返還と見る向きもありますが、二島先行ではなく、二島で決着、すなわち、国後、択捉の領土要求ははなから放棄し、最大でも歯舞、色丹の二島返還で平和条約を締結して領土問題を終わりにしてしまう、これがあなたの方針ではありませんか。
そうであるならば、歴代自民党政府の方針すら自己否定する、ロシア側への全面屈服となります。そうでないというならば、国後、択捉の領土要求を放棄して平和条約を結ぶことは決してないとこの場で明言していただきたい。
総理は、七十年間、領土問題が動かなかったと強調しますが、日本政府は国際的道理に立った領土交渉を戦後ただの一回もやっていません。
日ロ領土問題の根本には、一九四五年のヤルタ協定で、ソ連のスターリンの求めに応じて米英ソが千島列島の引渡しの密約を結び、それに縛られて、五一年のサンフランシスコ平和条約で日本政府が国後、択捉を含む千島列島を放棄したという問題があります。これは、領土不拡大、戦勝国も領土を拡大しないという第二次世界大戦の戦後処理の大原則に背く不公正な取決めでした。
この不公正を正す立場に立ち、千島列島の返還を求めてこそ、解決の道は開かれると私は強調したいと思うのであります。総理の見解を求めます。
今や安倍政権はあらゆる問題で深刻な破綻に陥っています。市民と野党の共闘の力で安倍政権を倒し、国民が希望の持てる新しい政治をつくるために全力を挙げる決意を述べて、私の質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕