野田佳彦の発言 (本会議)

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○野田佳彦君 社会保障を立て直す国民会議を代表して質問いたします。(拍手)
 社会保障と税の一体改革が決まったのは二〇一二年ですが、今後三年間で社会保障改革をなし遂げると今になって総理が発言するほど、社会保障改革はおくれています。この現状に危機感を持ち、医療制度を始めとする社会保障制度を立て直そうという点で考えが一致した同志が集まり、新しい会派の結成に至りました。
 国民会議と名にあるとおり、医療や介護の現場で国民との対話を重ね、政策を練り上げることを会派運営の基本としてまいります。
 社会保障に対する将来不安が大きくなっている今日、社会保障の立て直しを野党結集のための政策の旗印として掲げる決意です。
 国会においても、党派を超えて御理解を得られるよう、これからの日本の有力な選択肢となる社会保障政策を提案してまいる覚悟ですので、高い壇上から恐縮でございますが、皆様の御指導、御理解を賜るよう、心からお願いを申し上げます。
 それでは、順次質問に入ります。
 社会保障の将来に不安を抱く国民が多い中、セーフティーネットへの不信を募らせる問題も発覚しました。賃金や労働時間の動向を示す毎月勤労統計の不正調査です。
 この不正が十五年間も続いていたということは、民主党政権下でも見過ごしていたということであります。猛省しなければなりません。その上で、しっかりと襟を正し、他の野党とも連携して、不正調査問題の全容解明に取り組む決意です。
 平成の、その先の時代に向かう前に、与党の皆さん、さほど大きな問題はないとうやむやにせず、ともに全容を解明しようではありませんか。
 毎月勤労統計の手抜き調査と、手抜き調査の長年の引継ぎは、統計法六十条二号に該当し、刑事罰に問われる行為ではないでしょうか。政府の見解を求めます。
 今回の事案が統計法違反、刑事罰に当たるという見解であれば、刑事訴訟法二百三十九条第二項、公務員の告発義務に沿って刑事告発する意思、告発義務を履行する意思が政府にあるか、見解を求めます。
 逆に、今回の事案が統計法違反、刑事罰に当たらないという見解であれば、その理由と、では一体、統計法違反の刑事罰に当たるような事例はどのようなものなのか、具体的に挙げてください。
 政府が五十六の基幹統計を点検したところ、全体の四割に当たる二十三統計に問題があったことも明らかになりました。信用できない政府統計を基礎に、政策立案も国会審議もできません。市場調査も学術研究もできません。
 二〇一〇年一月、欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、ギリシャの財政状況の悪化が表面化しました。それが南欧に飛び火し、欧州全体に債務危機を連鎖したことは記憶に新しいところです。
 政府統計への不信は亡国への道につながりかねません。総理には、もっと強い危機感を持って、統計の信頼回復に向け全力を尽くすよう要請をいたします。
 計算ずくで法外な要求を突きつけてくる国もあれば、ポピュリズムにあおられ道理が通じない国もあります。二国間外交は本当に難しいと思いますが、総理は戦後日本外交の総決算を高らかに宣言されました。その一つが日ロ平和条約交渉です。
 領土問題の解決に向けて意欲的であることは結構なことですが、基本姿勢に疑問がありますのでお尋ねいたします。
 総理は、昨年十一月の日ロ首脳会談後、平和条約の締結後に歯舞、色丹の引渡しを明記した一九五六年の日ソ共同宣言を今後の交渉の基本とすると明言しました。これは、歴代政権が粘り強く交渉してやっとかち得た、北方四島を明記して帰属の交渉を継続するとした一九九三年の東京宣言から後退したスタンスです。
 総理、なぜ、四島返還からわざわざ二島返還へと軸足を移したのですか。明確に御説明ください。
 歯舞、色丹の二島先行返還なら理解できますが、二島で最終決着という可能性もあります。全面積の七%の返還で妥協し、残り九三%を断念すれば、先人の苦労が全て無駄になります。
 総理は、過去の交渉を振り返り、昨年十一月二十六日の衆議院予算委員会で、七十年間全く変わらなかったと言い切りました。一ミリも動かなかったと表現したこともあります。歴代政権の粘り強い努力に対して、敬意を欠いているのではないでしょうか。御説明ください。
 日本側が二島返還へと大きくかじを切っても、ロシア側に変化の兆しは見られません。交渉責任者であるラブロフ外相は、第二次大戦の結果、ロシア領になったと、相変わらず我が国が到底受け入れることのできない歴史観を主張しています。
 一方、河野外相は、国会審議においても記者会見においても、日本側の交渉に臨む基本的な立場を明確にしていません。この彼我の差を見ると、二島返還どころか、石ころ一つ返ってこないかもしれません。ラブロフ外相については、北方領土という呼称も使うなと言っているそうなので、あえて総理にお尋ねいたします。
 北方領土は我が国の固有の領土であるが、現時点ではロシアによる不法占拠が続いているという法的立場に変わりはありませんね。昨日は小さな声でごそごそ言っていましたのでわかりませんでした。不法に占拠し続けていればいつか日本は諦めるという誤ったメッセージを周辺国に与え、竹島問題で韓国にエールを送りかねませんので、明確な答弁を求めます。
 さて、施政方針演説で総理は全く言及しませんでしたが、日韓関係は過去最悪です。特に、哨戒機へのレーダー照射はあってはならないことであり、明らかに非は韓国にあるはずですが、我が国の抗議に対して、韓国内の反日感情が高まっています。双方の言い分が真っ向からぶつかっているとき、日本は大人の対応と称して協議を打ち切ることにしました。私は、この対応に疑問を持っています。
 外交の本質は、国益をかけた戦いです。武力という手段を用いることなく、知識、情報、説得力、発信力など、総力を結集して、国益をかけて戦う真剣勝負です。厳しい東アジア情勢を鑑み、我が国が大人の対応で自己抑制しようということでしょうが、途中で投げ出すことは外交敗北です。
 何事につけ、日韓の最大の問題は事実の認識ができないことです。ですから、今回、日本は、けんかではありませんから、冷静かつ明晰にファクトを示し続け、みずからの正当性を明らかにしていくべきです。理不尽な主張にはきちっと反論することも肝要です。そして、しっかりと国際社会にアピールしていくべきです。総理の御所見をお聞かせください。
 元徴用工問題における韓国の対応も常軌を逸しています。同じ内容で日本と請求権協定を結んだアジアの国はほかに四カ国ありますが、条約を覆しているのは韓国だけです。
 この元徴用工問題についても、法と正義にのっとり、日韓請求権協定に基づき、粛々と政府間協議の受入れを求め続けるべきだと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 昨年十一月二十日、財政制度等審議会が麻生財務大臣に対して、平成三十一年度予算の編成等に関する建議を提出しました。その中で、平成を、常に受益拡大と負担軽減、先送りを求めるフリーライダーのゆがんだ圧力に税財政運営があらがい切れなかった時代と厳しく総括しています。先人たちや、新たな時代そして更にその先の時代の子供たちに、平成時代の財政運営をどのように申し開くことができるであろうかと政策の失敗まで認めています。そして、平成という時代における過ちを二度と繰り返してはならないと指摘した上で、平成三十一年度予算は新時代の幕あけにふさわしいものになることを期待したいと結んでいます。
 ところが、国会に提出をされた平成三十一年度予算案は、一般会計総額が百一兆四千五百七十一億円、昨年度よりも三兆七千億円も増加し、当初予算として初めて百兆円の大台を超えました。
 総理、この過去最大規模予算案は、財政審の期待に沿ったものであると胸を張って言えますか。御答弁ください。私には、財政審の建議を黙殺してしまったように思えます。
 前年度に比べて歳出総額が大幅に膨らんだ主な理由は、手厚い消費増税対策です。総理は、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策をと語られました。しかし、余りにもあれもこれも盛り込んだばらまき対策になっていないでしょうか。
 軽減税率はポピュリズムの極致であり、逆進性対策として効果がありません。プレミアム商品券も効果がないことは実証済みです。そのほか指摘したいことは山ほどある消費税対策でありますけれども、キャッシュレス決済でのポイント還元策にポイントを絞って質問いたします。
 税率一〇%の商品を大手フランチャイズチェーンでクレジットカードなど現金以外で購入すると、二ポイント還元ですから税率は実質八%になります。中小小売店でキャッシュレスで購入すると、五ポイント還元ですから税率は実質五%です。軽減税率対象の食品を現金で買えば税率は八%ですが、カードで買えば、大手チェーン店なら税率は六%、中小小売店なら税率は三%になります。十月から、実質的に消費税率が三、五、六、八、一〇パーと複数税率が併存することになりますが、総理は店頭で大混乱が起こると思いませんか。
 就学援助を受けている子供が学用品を買ったり、お年寄りが日用品を買う場合、カードを持っていないので現金払いでしょうから、税率は一〇%です。一方、お金持ちが個人経営の店で高級和牛やキャビアを買っても、支払いがカードなら税率は三%です。現金で買物をする子供や高齢者は増税、カードを利用する富裕層は減税です。総理、キャッシュレス決済でのポイント還元策は逆進性を助長するのではないでしょうか。
 ポイント還元策は、本年十月から来夏の東京オリンピック前まで九カ月間実施されます。五ポイント還元の恩恵を受けてきた人たちは、廃止後は実質的に五%増税になります。我が国で経験したことのない大幅な引上げです。
 ポイント還元策は消費税引上げ前後の消費の変動を平準化する目的であったはずですが、東京オリンピック前後に大きな駆け込み需要と大きな反動減を惹起するのではないでしょうか。景気の先食いによって起こるオリンピック後の不景気をオリンピックの崖といいますが、ポイント還元策により相当に急傾斜な崖になるのではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、私が最も憂慮していることを質問いたします。
 過剰なばらまき対策に予算を使うことは、社会保障の充実、安定と財政健全化のためなら増税もやむを得ないと考えていた国民を裏切る行為です。何のための増税かという根源的な政策不信を招きます。少なくとも、究極の愚策ともいうべきポイント還元策は撤回すべきではないですか。答弁を求めます。
 還元率五%というアイデアは総理じきじきのものだと仄聞しています。さまざまな弊害をもたらすような思いつきを、政府も与党もなぜ黙認してしまったのでしょうか。
 絶対権力は絶対に腐敗します。そして、絶対権力は絶対に独善に陥ります。私たちは少数精鋭の七人の侍ですが、独善と断固戦っていくことをここに宣言して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

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発言者: 野田佳彦

speaker_id: 5804

日付: 2019-01-31

院: 衆議院

会議名: 本会議