道下大樹の発言 (本会議)
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○道下大樹君 立憲民主党・無所属フォーラムの道下大樹です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に断固反対の立場から討論をいたします。(拍手)
安倍内閣は、所得税法等の一部を改正する理由を、消費税率の引上げに対する需要変動の平準化のため、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするためとしていますが、安倍総理、このままことし十月に消費増税していいのですか。景気は戦後最長、雇用はふえ、賃金は上がり、GDPも上昇するなど、アベノミクスの成果で経済は回復していると再三にわたり豪語されていますが、今でもそう断言できますか。
有効求人倍率は上昇していますが、賃金が低い分野での超過労働需要。つまり、求人はふえても低賃金の仕事ばかり。だから、外国人労働者受入れ関連法案を無理やり成立させたのではありませんか。
賃金が上がっている論拠としていた厚生労働省の毎月勤労統計は昨年末に不正が発覚し、その後の我が会派を始めとする野党の徹底追及で、ベンチマーク更新遡及改定なし、抽出調査に対するこっそり三倍復元処理、部分入れかえ方式の導入、日雇労働を除外する常用労働者定義変更など、政府が賃金の上振れ操作をしたことが白日のもとにさらされました。
この勤労統計不正で、総理は自分や官邸からの指示や圧力は一切ないと言っていますが、同様の光景は以前もありました。森友学園との国有地値引き払下げ問題、加計学園との獣医学部新設首相案件問題。これらは、総理とともに、本来職務権限がないはずの総理秘書官が関与したのは明らかであります。総理秘書官は、重大な影響力を持っているにもかかわらず、関与を否定し、記憶にないとごまかし、その事実をこれまた隠蔽しようとしています。
さらに、今回は、厚生労働省の役人をわざわざ官邸に呼びつけたのに、統計調査について個人的な問題意識を伝えただけという総理秘書官の答弁に、国会を、国民をなめているとしか思えません。
官邸圧力で統計を意図的に操作、偽装し、賃金やGDPを上振れ、水増しさせ、その粉飾データを公表して、日本経済や国民生活はよくなったと、アベノミクス成果だと喧伝して国民をだましてきたのは安倍政権であります。
しかも、与党は野党が求める関係者の参考人招致や資料提出を拒否、妨害しています。与党は、究明ではなく、安倍内閣とともに事実の隠蔽を図ろうとしていると疑わざるを得ません。
沖縄・辺野古沖埋立ての賛否を問う県民投票で反対多数という結果に対する安倍総理の、投票の結果を真摯に受けとめる、沖縄の民意に寄り添うという発言に、またかと、その気はないのにまたそんなことを言っているのかと、ウチナーンチュの気持ちに全く寄り添ってはいないではないかと考えるのは私だけではないと思います。
菅官房長官は、定例記者会見において、記者の質問に対して、あなたに答える必要はないと回答を拒絶したことは、内閣の説明責任を果たしていないどころか、特定の記者の質問排除であり、国民の知る権利を侵害する言語道断の発言であります。
ほかにも安倍政権の暴挙はあまたあります。安倍総理及び内閣全体に猛省を強く求めます。
先ほども申し上げましたが、統計偽装を通じて、アベノミクスの失敗は国民の誰もが知る明々白々な事実であり、消費税率引上げを行う景気、経済環境には全くなっていません。政府自身、今もデフレ脱却宣言を発することができず、政府が公表を渋る実質賃金は野党試算ではマイナスです。こうした経済状況で消費税率を上げれば、GDPの約六割を占める個人消費は冷え込み、企業は利益を内部留保、そうして景気が低迷し、国民生活が更に追い詰められるのは、消費税率を五%から八%に引き上げたときと同様、火を見るより明らかであります。
それでは、以下、法案の反対理由を申し述べます。
まず、住宅ローン減税についてです。
住宅購入時における消費増税反動減対策は、住宅ローン減税のほかにも、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイント制度の創設など、想定される反動減の予測を上回る対策が多額の税金によって実施されると言わざるを得ません。人口減少、空き家増加のこの時代、住宅ローン減税による持家促進の経済効果は低下しています。
また、国税庁が住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン減税の申告誤りを多数見落としていたことが昨年末に発覚しました。それだけ住宅ローン減税など住宅取得促進税制の乱発による複雑化と税務当局の体制不備は問題です。
次に、税制改革の大きな目的は、所得再分配機能の強化です。しかしながら、金融所得課税、資産課税など、真に担税力のある高所得者、富裕層への課税強化が、昨年に続いて、本法案には盛り込まれていません。
選挙前は課税強化には一切手をつけないという安倍政権の富裕層向けのこそくな考えが見え見えです。金融所得課税の強化に着手しなければ、国民生活の格差はますます拡大するばかりであります。
次に、法人課税についてです。
二〇一七年六月五日の衆議院決算行政監視委員会では、研究開発税制について、特定の業界、法人に偏っている状況を見直すべきであると議決されましたが、今回の見直しでは、大企業が対象となったまま、業種も限定していません。この税制は、大企業の節税対策の抜け道となっており、内部留保を助長しています。法人税の減税を続けている中で、更に控除を継続するというのは、大企業優遇でしかありません。対象を中小企業に限定すべきです。
ベンチャー企業の税額控除の上限を四〇%に引き上げる点について、ベンチャー企業は設立後しばらく赤字のところが多く、この研究開発税制はそうしたベンチャー企業には税額控除の効果が小さくなるという財務金融委員会での我が会派の議員の指摘に対して、財務省政府参考人もこれを認める答弁をしました。再見直しが必要であります。
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例を延長する理由として、政府は、現下の経済情勢等を踏まえたとしていますが、それは、中小企業にとって今の経済情勢はよくないということをみずから認めていることにほかなりません。そんな中で消費増税ができるとは到底思えません。
法人課税において真っ先に着手しなければならないのは、利益を内部留保する企業に対して、人件費や設備投資などへの支出を促進する税制の導入です。今回の改正案には、そういう税制や制度見直しが盛り込まれていません。
次に、輸出時における消費税還付金制度も大きな問題です。
消費増税すれば、その分、還付金額もふえます。輸出企業のみに恩恵があり、そのしわ寄せは下請企業に、さらには、税収減となる政府、最終的には国民の損失につながるのです。消費税還付金は形を変えた輸出企業への補助金であるという意見もあるこの問題について早急に検討し、制度改正の手を打つべきであります。
このように、今回の所得税法等の一部を改正する法律案は、税制の適正な改正、見直しとは言えず、増税はほぼなく、控除期間の延長や控除額の上限引上げ、法人税の軽減税率特例など、一部の企業、団体や個人を優遇するための税制改正ばかりです。つまり、これは、四月の統一地方選挙、七月の参議院選挙前の、選挙対策のためのばらまき税制と言わざるを得ません。
以上、消費増税を前提とした所得税法等の一部を改正する法律案に反対する理由を述べました。
真っ当な政治、真っ当な税制を目指す立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、良識ある多くの議員の皆様の御賛同を切に願い、反対討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)