矢上雅義の発言 (本会議)
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○矢上雅義君 立憲民主党・無所属フォーラムの矢上雅義です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
冒頭、二点ほど発言をお許しください。
昨日、政府より、平成にかわる新しい元号、令和が発表されました。祝意を表しますとともに、新元号制定に御尽力された有識者の皆様方に厚くお礼を申し上げます。
さて、昨年五月三十一日、有印公文書変造などの容疑に関して、佐川元理財局長が不起訴となりましたが、本年三月十五日、大阪第一検察審査会が不起訴不当の議決をし、三月二十九日に公表いたしました。今後、議決を受け、再捜査が始まります。
二十九日付の朝日新聞によりますと、不起訴不当とした理由として、社会的常識を逸脱し、相当大幅な削除がなされたことにより、原本が証明していた内容が変わってしまった、また、改ざん指示を否定する佐川氏の供述には信用性がないとし、一般市民の感覚からすると言語道断の行為だと批判しております。
今回の議決は、いまだ森友学園問題の真相究明がなされていないのではないかという民意のあらわれにほかなりません。安倍総理始め関係者は大いに反省し、さらなる真相究明に向け、参考人の国会招致を認めることや未公開資料の開示に真摯に取り組むことを強く要望いたします。
続きまして、本改正案に対する質問をいたします。
エネルギー資源の大半を輸入に頼る我が国におきましては、先ほど石井大臣がおっしゃったように、徹底した省エネルギー対策への取組が急がれます。
二〇一六年十一月、京都議定書以来十八年ぶりに、法的拘束力を持つパリ協定が発効されました。二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みを決めるものであります。
同協定を踏まえ、政府が策定した地球温暖化対策計画におきまして、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度と比較して二六%削減する中期目標が設けられております。本改正案は、建築物の省エネ対策の流れを一層推進するものであり、一定の評価ができるものと考えております。
ところで、建築物分野の省エネ対策は産業部門や運輸部門に比べておくれ、建築物に関連する業務部門、家庭部門のエネルギー消費量は、二〇一六年度には一九九〇年度と比べて二割も増加しております。全エネルギー消費量に占める割合は年々増加しており、二〇一六年度には全体の約三割を占めます。
我が国における建築物の省エネ対策のレベルは、欧米と比べて非常に低い水準です。ドイツを始め欧米の国々では、広範な住宅や建築物を対象に、建築時の省エネ基準への適合が高いレベルで義務づけられているとお聞きします。また、販売や賃貸の際も、事業者に対して省エネ性能に関する表示を義務づけている国もございます。
ところで、建築物分野の中で、特に住宅は、家庭生活、さらには地域社会を下から支えてくれる重要な基盤であります。
私たちは、家族との団らんや休息、睡眠を含め、多くの時間を住宅で過ごします。
時には、住宅は、ヒートショックや化学物質過敏症、ハウスダストなどの健康問題として取り上げられることもございます。
一つ一つの住宅が集まり、一つの町を形成しています。そこでは、まちづくりだけでなく、雇用、健康、福祉、防災も大きな課題となり、政府の政策づくりの源泉とも言えます。
御存じのように、日本の国土は南北に広がり、亜熱帯から亜寒帯まで多様な気候が存在します。農山村の木造住宅と都会の戸建て住宅でも違いがあります。沖縄の住宅と北海道の住宅とでは、家の構造や家に対する意識も大きく異なります。省エネ対策を一層効果的なものとするには、多様な住宅政策を念頭に置いて対策を講じなければなりません。
そのためにも、住宅等の市場動向や、住宅事情から派生する問題、住宅に関する国民の意識の変化、省エネ技術の進展など、正確に把握し、現行制度における現状と課題を洗い出すことが必要です。その上で、どのような対策が効果的か、徹底的に検討を重ね、着実に省エネ対策を進めていくことが重要でございます。
こうした問題意識のもと、質問をいたします。
政府は、エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画において、規制の必要性や程度、バランスなどを十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化するとの方針を示しております。
これを受け、平成二十七年には、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律、いわゆる建築物省エネ法が制定されました。既に、延べ面積二千平方メートル以上の大規模なオフィスビル等については省エネ基準への適合が義務づけられています。
ところが、改正案における適合義務化の対象範囲は住宅以外の中規模な建築物にとどめられ、住宅等の適合義務化は見送られました。
これまでの方針と大きく異なります。一体なぜなのか、国土交通大臣にお伺いいたします。また、今回義務化が見送られた小規模建築物について、いつ義務化する予定なのか、あわせてお伺いします。
今回義務化を行わない住宅等の着工棟数は、年間五十万棟近くに上り、全ての建築物の着工棟数の九割以上を占めております。また、エネルギー消費量ベースでも約五割を占め、建築物分野の省エネ対策には大きな穴があいたままです。
また、日本の古い家屋は断熱性や気密性が貧弱です。夏は熱中症、冬は低体温症、循環器疾患により我が家で亡くなるお年寄りがふえております。冬に住宅内のヒートショックで亡くなる方の数は交通事故死の数よりも多いという調査結果もあり、対策が待ったなしの状態であります。
住宅の省エネ対策とは、住宅の断熱性、気密性を高めることであり、さらには居住者の健康や生命にも直結する重大な問題でもあります。
これらの住宅事情に派生する多様な問題を抱えながらも、住宅等の省エネ基準適合率は特に低く、六割から七割程度にとどまります。住宅等の省エネ基準適合率が他の分野と比べてなぜ低いままなのか、国土交通大臣にお伺いします。
棟数も比較的少なく、一方でエネルギー消費量の大きい大規模なオフィスビル等の省エネ対策を優先して進めることは、確かに合理的な判断と言えます。しかし、着工棟数において大きなシェアを占める住宅等の省エネ対策について、後回しにするわけにはいきません。
建築物省エネ法が制定され、既に四年近い歳月が流れます。省エネ技術は飛躍的に進歩しましたが、住宅等の省エネ基準適合率はいまだ低い水準のままです。この水準の低さが、住宅等への省エネ基準の適合義務化を見送る大きな理由であると聞いております。
本改正案で住宅等への省エネ基準の適合義務化を見送ることとなった最大の要因は、前回、衆議院の附帯決議に書き込まれています、「中小工務店や大工等の技術力の向上に向けた支援を行うなど、制度の円滑な実施のための環境整備に万全を期すこと。」という要求に対して、政府として具体的に取り組んでこなかったことにあるのではないでしょうか。国土交通大臣にお伺いします。
建築分野に対する省エネ基準への適合を促す施策として、戸建て住宅など小規模な住宅や建築物について、建築士に対し、建築主への省エネ性能に関する説明を義務づける措置が盛り込まれることとなりました。
一定の評価はできますが、制度の導入に向けて多くの課題がございます。なぜなら、中小の工務店や設計事務所などの関係者が省エネ基準や省エネ計算の方法に習熟していなければ、絵に描いた餅となるからです。また、建築主は専門的知識がない方が多いので、わかりやすく説明ができるのかという課題もございます。
これから事業関係者の技能向上に向けて具体的にどのように取り組むのか、国土交通大臣にお伺いします。
これまでの断熱強化型の省エネ住宅の普及と同時に、人口減少社会におけるまちづくりと住宅のあり方にも政府としての取組が必要でございます。
これまでの新築や持家重視政策から、中古市場やリフォーム市場の活性化、さらに、住環境の福祉政策として、低廉で優良な賃貸住宅の提供にも社会のセーフティーネットとして力を入れていくべきでございます。
本来、これらの住宅も省エネ基準適合化の対象とすべきであります。省エネ対策の観点、健康維持の観点から、あらゆる住宅の底上げが望まれるところです。
こうした点を踏まえて、国土交通大臣にお伺いします。
今後、全ての住宅・建築物を対象として、さらなる省エネ対策の強化に取り組むとともに、法案に盛り込まれた施策の実施状況を踏まえて不断の見直しを行うことが不可欠と考えます。これからどのように取り組んでいかれるのか、見解をお伺いします。
特に、既存建築物についての省エネ改修をどのように計画的に進めるのか、政府の取組についてお尋ねします。
また、住宅や小規模建築物の省エネ改修は、地場の工務店などにとり需要喚起となり、地域経済にとっても大変有益であると考えます。ぜひ力を入れるべきだという声もございますが、あわせて国土交通大臣の見解をお伺いします。
貧しいながらも楽しい我が家という言葉があります。昭和の時代は、家の中をすき間風が吹き、物がなくても、何より家族の温かい目がございました。
医療や福祉が進歩した平成の時代にあって、低体温症やヒートショックで家の中で亡くなる方がふえるとは思いもしませんでした。核家族化や高齢化の影響で、ひとり暮らしの高齢者世帯がふえたことも原因ではないでしょうか。
立憲民主党は、地球温暖化対策を進めるとともに、国民の健康を守るために、全ての新築建築物の断熱を義務化し、既存建築物についても断熱改修を計画的に進めるための施策を取りまとめていく所存です。
最高の住宅政策が最高の福祉であると言われております。この言葉を大事に、政府としても省エネ対策に全力で取り組まれることを心よりお願いいたしまして、質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣石井啓一君登壇〕