阿部知子の発言 (本会議)
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○阿部知子君 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。
私は、会派を代表して、政府提出の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
冒頭、塚田一郎国土交通副大臣の四月一日の下関北九州道路調査費に関するそんたく発言並びに四月五日付辞任について一言申し上げます。
安倍政権のもとでのそんたく疑惑は、森友学園問題に始まり、加計学園問題、統計不正問題、今回の道路問題に至るまで後を絶ちません。
もしも塚田氏のそんたく発言が事実であれば、これまでの事案と同様、著しい行政の私物化です。また、虚偽であっても、有権者に公然とうそをついたことになります。いずれであっても、主権者国民の知る権利を著しく侵害し、立憲主義を踏みにじるものであり、到底許されるものではありません。
安倍総理にあっては、辞任を追認するのではなく、罷免の上、総理御自身もまた任命責任をとるべきです。
そんたく政治を横行させている原因は安倍政権そのものにあり、国民の信頼を回復することこそ急務と考えます。
さて、このたびの子ども・子育て支援法改正とそれに伴う幼児教育の無償化に立憲民主党として反対せねばならないことは、大変残念です。
二十一世紀に入って間もなく、世界各国で幼児期の教育について注目が高まり、子供のよりよい将来のために、早期幼児教育と保育の質を高めることがOECDにおいても重要な政策目標となりました。
我が国においても、このことを課題として、幼保一体化あるいは幼保一元化として、政権のいずれを問わず取り組まれてきました。
子ども・子育て支援法もそうした中で二〇一二年に成立し、その第二条に、「全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない。」とされました。
ところが、一昨年秋の衆議院の解散・総選挙を前に、安倍総理は、みずからの看板政策として、消費税増税の使途を幼児教育の無償化にまで拡大することを掲げました。そして、三から五歳児の幼稚園、保育園の保護者負担の軽減を所得制限なく行うことを無償化と言いかえ、この言葉をひとり歩きさせてきました。
この過程で、年来の課題であった待機児童対策が進まないゼロから二歳児は低所得世帯のみの給付に限られる一方、三から五歳児においては、保育の質の担保されない認可外保育施設にまで支給対象が拡大されました。
すなわち、ゼロから五歳の全ての子供に対する完全無償化でもなく、おまけに待機児童は全く枠外に置かれ、良質かつ適切とはほど遠いものまで取り込んだのです。
子ども・子育て政策の根幹をゆがめた本改正案について、以下、具体的に言及します。
第一の問題は、その財源を消費税増税に求めた点です。
これまで消費税は、専ら社会保障の財源とうたわれ、二〇一二年の社会保障改革推進法で新たに少子化対策が加えられましたが、一昨年の安倍総理の提案は、幼児の保育、教育の経費をもここに含めようとするものです。
今回、三から五歳児の無償化に要する費用が年間八千億円で、さらに、今後、それをゼロから二歳児にも所得制限なく拡大する方針なら、一体その総額はどれくらいとなり、また、財源はどこに求めるのでしょうか。さらなる消費増税が不可避となります。今回の給付は、長期方針も一貫性もない、安易かつ目先のばらまきであると断ぜざるを得ません。
まして、逆進性の高い消費税を三から五歳児に所得制限なく給付すれば、高所得者層に手厚く、そもそも待機児童が給付の枠外では、子育て世代に格差の拡大と著しい分断をもたらします。
第二に、何といっても深刻な待機児童問題を悪化させると同時に、保育の質を低下させることです。
立憲民主党では、一昨年春、保護者からの切実な声を受けて、待機児童の解消に取り組むためには、保育の受皿施設だけでなく、それを担う人材こそ重要と考え、保育士の処遇改善法案を五野党一会派で取りまとめて提案してまいりましたが、いまだに審議もされておりません。
保育士の賃金の低さは今も抜本的には解消されず、加えて保育士の数が少ないことが、現場での長時間労働や妊娠をはばかる状況を生み、マタハラにつながっています。
さらに、最近、児童への虐待報道が相次ぐなど、長年親子を支えてきた保育現場は疲弊し、余力をなくしています。
政府は、二〇一四年には、保育の量的拡充と質の改善は車の両輪であるとして、保育士の配置をふやし、一歳児では五人に一人、四、五歳児では二十五人に一人にふやす予定でした。政府は、今、みずからそれを放棄したまま無償化を先行させようとしていますが、これはさらなる保育士の離職と保育現場の劣化を招きます。充実した保育を願う現場からも、保育の質が低下するなどの声が上がり、民間アンケートでは、無償化には七割近くの保育士が反対を表明したとの結果があります。
第三に、認可外保育施設を給付の対象としたことは論外です。
指導監督基準すら満たさない施設で保育、教育されることは、良質かつ適切どころか、時に子供たちの命の危険に結びつきます。経過措置の五年や自治体ごとの判断に委ねるべきものではありません。
第四に、この間の審議を通して、二〇一六年から開始された企業主導型保育所の抱える問題が隠蔽、放置されていることが明らかになりました。
企業主導型保育所は、企業拠出金を財源とした交付金制度のもとに、保育事業者を募集し、整備、運営されるものです。施設整備費や運営費を助成する業務は内閣府が公益財団法人児童育成協会に委託し、協会はその監査業務の大部分を株式会社パソナに再委託しています。
ところが、昨年暮れに、突然の閉園で行き場を失う園児や保護者の戸惑いが報道されたことをきっかけに、交付金の虚偽申請や不正受給が明らかになりました。
その全容把握のために再三再四政府に資料を求めると、制度開始後わずか二年足らずで二法人が事業資格を取り消され、交付金でつくったばかりの保育所を譲渡するいわゆる保育園転がしは十一法人二十八施設、さらに、民事再生手続中が二法人九施設、休止保育園は十法人十一施設あると判明をいたしました。
さらに、企業拠出金の執行状況も明らかにせよと求め続けてやっと出してきたデータを見ると、初年度は、約八百億円の予算のうち百九十四億円しか使わず、六百億円を余らせ、二年度は、千三百億円も拠出させて八百億円しか使わず、五百億円も余らせ、二年間で千百億が余剰に積み上がっています。にもかかわらず、二〇一八年には企業拠出金の負担額が引き上げられたのです。余りにずさんな執行状況であり、年金特別会計での処理が更にそれを見えづらくしています。
世田谷区など自治体からの指摘を受けて、内閣府は企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会を立ち上げて検証を始めましたが、こうした実態はいまだ未検証です。企業主導型保育は、安倍総理の肝いりで、経済界からの支援を仰いでハードの増設を急がせたものですが、その運営や保育人材確保に当たっては、内閣府としてしっかりと子供の保育に責任を持つ体制もないままに今日まで来ています。
今回の無償化も、多くの論点も積み残したまま、消費税増税の負担軽減の手段であるかのように、その実施が急がれています。子供たちの時間も子育ての時間も二度と戻りません。ここで立ちどまり、選挙目当てではなく、子どもの権利条約にのっとった、子供にとって最善の保育や教育のあり方を徹底論議すべきときと考えます。
問題山積みの子ども・子育て支援法改正案であることを強調し、以上、私の反対討論といたします。(拍手)