金子恵美の発言 (本会議)

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○金子恵美君 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美です。
 ただいま議題となりました国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)
 冒頭、東日本大震災、原発事故の被災地を代表して申し上げます。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催まで四百六十日を切りましたが、本当に復興五輪となるのでしょうか。担当大臣が差しかえられても、安倍内閣に対する不信感は払拭されません。
 今般の韓国による日本産水産物等の輸入規制に関するWTO上級委員会の報告書を見ても、国際社会の中で日本に向けられる目は厳しさを増しています。隠蔽、改ざん、偽装が横行する国というイメージにより国際社会で受け入れられていないと言わざるを得ません。
 福島県では、農畜産物、水産物の徹底した検査体制を持ち、安全、安心を発信するために血のにじむような努力をしてきました。それをないがしろにすることを断じて許すわけにはいきません。安倍内閣が本当に被災地に寄り添っているというのなら、国を挙げて本気で被災地の農林水産業の再生に向けての取組を進めるよう、強く求めます。
 質問に入ります。
 我が国の国土の二割、森林面積の三割を占める国有林野は、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全を始め、広く国民全体の利益につながる公益的機能を有しています。
 森林の有する公益的機能を確保するとともに、厳しい状況にある林業を活性化することは、我が国の森林・林業にとって喫緊の課題です。
 国有林野事業は、平成十年度の抜本的改革で、公益的機能の維持増進を旨とする管理経営方針に大きく転換し、平成二十五年度には、公益重視の管理経営を一層推進するとともに、一般会計で行う事業に移行しました。
 昨今頻発している自然災害への対応や地球温暖化防止の観点からも、国有林野の有する公益的機能の適切な発揮がますます求められています。
 また、林業の推進と森林資源の適切な管理を実現するためには、低迷する林業の活性化を図る中で、地域の産業振興への一層の寄与、山村における継続的、安定的な雇用の創出を実現する必要があります。
 まず、本法律案の検討経緯についてお尋ねいたします。
 未来投資戦略二〇一七は、昨年の通常国会で成立し、本年四月一日に施行された森林経営管理法、すなわち民有林における新たな森林管理システムの端緒となったほか、国有林野について、民間事業者が長期、大ロットで伐採から販売までを一括して行うことについて、民間事業者等からの提案の公募を実施することを挙げていました。
 一年後の未来投資戦略二〇一八では、国有林野の一定区域について、公益的機能を維持しつつ、民間事業者が長期、大ロットで立木の伐採、販売ができる権利を得られるよう、通常国会に向けて国有林野関連の所要の法律案を整備する、なお、公共施設等運営権制度の活用がより効果的で必要な場合は、あわせてPFI法についても所要の措置を講ずるとされ、未来投資会議の取りまとめが本法律案の提出につながったことは明白であります。
 本法律案は、このように官邸主導で提出されており、国民共通の財産である国有林野の適切な管理、公益的機能の維持増進や地域振興、山村振興への寄与等国有林野の使命、役割の視点に立っていない産業政策であり、PFI法の流れの中で国有林を民間開放するものではないですか。
 未来投資戦略の策定や本法律案の提出に至る検討経過について、詳細にお答えください。
 林業経営者の経営の安定は重要な課題ですが、それは国有林を民間開放することで達成されるべきことなのでしょうか。いかがですか。
 国有林野の管理経営の目標についてお尋ねいたします。
 国有林野の管理経営の目標は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することにあるものとするとされています。
 激甚な山地災害が多発する中、国有林野は、国土の保全を始めとする公益的機能の維持増進をより一層明確にし、引き続き、国が責任を持って一体的に管理経営する必要があります。
 国有林野に、一定期間、安定的に樹木を採取できる権利を民間事業者に設定できることとする本法律案は、公益重視の管理経営の推進という流れに逆行するもので、国有林野の管理経営の目標のうち、林産物の供給にのみ焦点を当てたものとなっているのではありませんか。公益的機能の維持増進や地域における産業の振興又は住民の福祉の向上をどう担保するのですか。明確な答弁を求めます。
 樹木採取権の存続期間についてお尋ねいたします。
 本法律案では、樹木採取権として、意欲と能力のある林業経営者に一定期間、安定的に国有林野の樹木を採取する新たな権利を創設するとし、その存続期間は五十年以内とされています。
 五十年もの存続期間を設定することは、国民共通の財産である国有林野を誰が責任を持って適正に管理していくのかを曖昧にするのではありませんか。
 樹木採取権の存続期間は、地域の林業事業体を育成する観点から、地域の実情を踏まえた期間とするべきです。当面の間、十年程度で運用していくとのことですが、本法律案では五十年以内とした理由をお答えください。
 樹木採取区の指定及びその規模についてお尋ねいたします。
 本法律案では、樹木の採取に適する相当規模の森林資源が存在する一団の国有林野の区域であって、国有林野事業及び民有林野に係る施策を一体的に推進することにより産業の振興に寄与すると認められるものであること等に該当するものを樹木採取区として指定することができることとされています。
 樹木採取区は、地域の実情を踏まえ、従来国有林野事業で行っている立木販売事業や伐採請負事業、さらには民有林の経営に影響を生じさせない区域や規模で指定する必要があると考えます。政府は、当面十地区程度でスタートすることを検討しているようですが、樹木採取区を指定する基準、一地区当たりの規模について、具体的にお答えください。
 公募についてお伺いします。
 本法律案では、樹木採取権の設定を受ける者を公募で選定することとされています。
 その選定に当たっては、森林の経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有することや、川中、川下側の木材関連業者と連携すること等を条件とした上で、地域における産業の振興への寄与の程度等を勘案することとされています。
 政府は、投資のみを目的とする者は対象とならない、民有林からの供給を圧迫しないと説明していますが、この選定条件で、これらが確実に担保されるでしょうか。
 また、産業振興への寄与の程度として、雇用の増大等の指標が考えられますが、地域外の大企業が入ってきて、一時的には多少雇用がふえたとしても、樹木採取権が切れた途端に撤退し、解雇されるようなことがあっては、地域の産業の振興への寄与とは言えません。
 地域における産業の振興への寄与の程度をどのように評価しようとしているのか、お答えください。
 再造林についてお伺いいたします。
 本法律案では、農林水産大臣は、樹木採取権者に対し、植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとされています。
 樹木採取権に基づき樹木が採取された跡地に植栽される樹木は、あくまで国有財産となります。このため、法律上、再造林を樹木採取権者に義務づけることは難しいようですが、重要なのは、確実に再造林が行われることです。
 政府は、運用により樹木の採取と再造林を一体的に行うことを確保するつもりのようですが、運用や契約で確実な再造林が担保できるのでしょうか。国有林野が公益的機能を継続して発揮していくためには、確実かつ適切な再造林が必須であり、その再造林を申し入れるというのでは余りに頼りない気がいたしますが、政府の見解を求めます。
 山村の振興についてお尋ねいたします。
 現在、山元の林業経営は不振が続き、林業労働力が不足しています。また、材価の低迷により、中小企業の製材工場は年々減少し、山村は疲弊しています。
 さらに、国の事業発注は、かつての随意契約から一般競争入札に移行し、一部で総合評価の手法が取り入れられているものの、価格競争は、長期的視野を持って地域の森林を守ってきた林業事業体の経営を危うくしています。
 このような中、提出された本法律案は、経済至上主義、大規模企業優先の考え方であり、地域の林業事業体の育成につながらないばかりか、山村の疲弊に拍車がかかるおそれがあるのではないですか。
 必要なことは、林業における地元雇用が安定的に確保されるなど、山村地域の振興に貢献できる対策ではないですか。民有林施策も含めた山村振興の方策についてお伺いいたします。
 林業労働者の確保、育成についてお尋ねいたします。
 林業労働者の雇用の実態は、林業作業の季節性や事業主の経営基盤の脆弱性等により、不安定なものとなっています。また、依然として日給制が大勢を占めている、賃金水準が、労働災害の発生率が全産業平均の十五倍という危険な労働に見合ったものとはなっていないなど、多くの問題を抱えています。
 林業労働者の確保、育成に向けて、雇用の安定化と労働条件の改善、安全な労働環境の確保など、国が責任を持って林業労働の環境整備を進めていくことが必要ではありませんか。林業を真に魅力ある産業とするための政府の決意と方策を伺います。
 国有林野事業の管理経営の実施体制の強化について伺います。
 国有林野事業については、地域の森林・林業への支援及び国有林の有する公益的機能の維持増進を確実に推進していくため、必要な財政上の措置を講ずることが不可欠です。さらに、現場管理の実態を踏まえた組織体制の強化、人材の確保、技術の継承を図っていく必要があると考えます。政府の見解をお伺いいたします。
 最後に、福島における森林の再生についてお伺いいたします。
 平成二十八年三月、復興庁、農林水産省、環境省の三省庁により、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組が取りまとめられ、これにより実施されている里山再生モデル事業では、地域の要望を踏まえて選定したモデル地区において、里山再生を進めるための取組が総合的に推進されています。
 政府は、このモデル事業の成果について、いつごろ取りまとめ、今後どのように森林・林業の再生に結びつけていくのか、お伺いいたします。
 東日本大震災、原発事故の発災から八年が経過し、十年間の復興期間も残り二年となりました。政府は、本年三月、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針の全部を変更する閣議決定を行いましたが、福島の復興再生は中長期的対応が必要であり、復興・創生期間後も引き続き国が前面に立って取り組むことが求められています。
 我が会派は、誰一人取り残さない、被災地の全ての人に光を当てる真の復興再生に向けて全力で取り組んでいることを申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
    〔国務大臣吉川貴盛君登壇〕

発言情報

speech_id: 119805254X02120190425_022

発言者: 金子恵美

speaker_id: 16081

日付: 2019-04-25

院: 衆議院

会議名: 本会議