緑川貴士の発言 (本会議)
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○緑川貴士君 杉の人工林面積全国一の秋田県に住んでいます、国民民主党の緑川貴士です。
議題となっています法律案につきまして、国民民主党・無所属クラブを代表いたしまして質疑をいたします。(拍手)
私が住んでいる秋田県の北部には、一級河川である米代川が流れ、日本海に注がれています。豊富な天然杉の産地でもあり、江戸時代には、その流域に生い茂る秋田杉を丸太にして、山の上流部から、それをいかだに組んで、川下へと流しながら運んでいきました。いかだは一定の水量がなければ利用できず、川の流量がふえる雪解けから田植前までは、米代川はいかだのラッシュになったと言われ、木材や荷物の積卸しのために船場が整備されるなど、地域の林業が人々の交流や経済活動を活発にいたしました。
時代は下って、若葉のみずみずしさ、そして、木が芽吹いて、鮮やかな新緑がまぶしい、山笑う季節がことしもめぐってまいりましたけれども、この四月も雪が降った秋田県では、雪化粧した山林で家族経営をなりわいとして間伐を行っているきょうだいの姿がありました。
すらりと高く、真っすぐに伸びた人工林は、蒸し暑い夏も、寒さでいてつく冬も、人の手によって、下草刈りやつる草の除去、間伐といった地道な施業の上に成り立つ、山の宝であります。
適切に手入れされている山がある一方で、人手不足が一層深刻になり、施業が行われなくなった森林が増加することで森の中が暗くなり、足元の植生が育たず、土壌の流出や生物多様性の喪失の懸念も指摘されています。
国内では、森林資源の過少利用の問題点が色濃くなり、資源の持続的な利用が、令和の新たな時代に残した大きな課題である一方、本改正案をつくる過程では、未来投資会議の委員が国有林改革を盛んに主張していたことを受けて、当時の林政審議会施策部会の土屋俊幸部会長は、トップダウンで政策の枠組みが決まってしまったというのが現実にあると思います、専門の方でない方が、かなりこういう突っ込んだ戦略を出してきて、それを受けて我々が、若しくは林野庁、農林水産省が新たな政策を検討していかなくてはならない状況というのは、やはり転倒していると私は思います、正しい政策のあり方ではないと、昨年十一月の部会で発言されています。
転倒しているという声のあった検討のプロセスが果たして適切であったのか、政府の見解を求めます。
国土のおよそ三分の二が森林に覆われ、そのうちのおよそ三割を占める国有林は、水源の涵養や二酸化炭素の吸収源といった公益的な機能を担っています。改正案では、国有林の一定区域において、一定の期間、安定的に樹木を採取できる権利を意欲と能力のある林業経営者に設定できるとしていますが、国有林野の管理経営の目標の一つである、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進に向けた対策は十分とは言えません。
今回の改正に当たり、意欲と能力のある林業経営者への権利の設定がこうした目標にどのように沿うものになるのか。また、この仕組みを運用した結果として、それぞれの林業経営者が思い思いに樹木をとって利益を得たとしても、国有林の管理経営のあり方を変更させるほどの影響はなく、これまでどおり国が責任を持って一体的に国有林を管理し、公益的機能は維持できるとお考えでしょうか。その理由とあわせて御説明を求めます。
そもそも、国有林の九割が保安林であり、木の伐採方法や土地の形質の変更については一定の制限や義務が課せられた森林であります。保安林をこの仕組みの対象とすることがあり得るのか。あり得るとすれば、樹木の採取というこの物権的な権利を事業体に付与してまで国有林をその区域の対象とすることが適切であるというふうにお考えでしょうか。お答えください。
公益的な機能は、子供たちの自然体験や自然学習に活用される面からも重要であります。学校と森林管理署などが協定を結び、こうした森林環境教育が行われていますが、その実施回数はふえる傾向にはあっても、活動に参加する子供たち全体の数は、少子化の中においては特に減っており、おととしの参加人数は、前の年の十万八千人から二万人減少して、およそ八万八千人でした。
このほか、木の文化を支える森など、国民参加の森づくりを進める事業を含め、本改正案がこれらの活動に今後どのように影響するのか、吉川大臣に伺います。
改正案では、樹木を採取できる権利を林業経営者に設定する際の条件として、民有林材の供給を圧迫しないように、川中、川下事業者との連携により、安定的な取引関係を確立することなどを求めていますが、それは、例えば素材生産者の事業規模が大きいことをもって安定的と評価をするんでしょうか。あるいは、川上から川下までを一体的にカバーできるような、企業グループなどが想定されているんでしょうか。また、安定的な取引関係があることによって、なぜ圧迫しないと言えるんでしょうか。政府の見解を伺います。
この仕組みは、民有林で経営基盤が安定しない事業体のステップアップの場としても想定していると政府は説明をしますが、そもそもの前提として、一定規模以上の機械設備と人手があることによる効率的な素材生産が求められています。
大きな事業体ばかりではない、中小の素材生産者や自伐林家も想定をしているとすれば、そうした事業体の育成に確実につながるものにしていくために、具体的にどのような措置を検討しているんでしょうか。御答弁を求めます。
政府は緑の雇用事業などによって若手林業者の育成を図りますが、地元の林業経営者にお話を聞けば、炎天下の木の植付けや下刈りといった過酷な肉体労働を要する現場では、若手の確保が依然として大きな課題であります。頼りである熟練した技能を持つ従業員も高齢化して就業の継続ができないなど、リタイアの年齢が他の一次産業よりも早いことも担い手の減少に拍車をかけています。また、長年使用してきた作業機械も老朽化し、更新の時期を迎えても、設備投資が難しい状況であり、たとえ経営に意欲があったとしても、生産性が上がりにくい構造的な問題が立ちはだかっています。
先ほど触れました、価格競争力の大きさが前提となる安定的な取引関係の確保を参入の条件とするのは相当にやはり厳しいというふうに考えますが、現場の実情を踏まえ、大臣の御認識を伺います。
むしろ、民有林材の供給を圧迫しないという目的であれば、例えば、林齢の高い木材が求められる付加価値の高い伝統工芸品用として国産材を供給し、今後のインバウンド向けの工芸品需要の増加に対応させるなど、民有林材とのすみ分けを図った供給体制にしていくことで、事業規模や価格競争力のみにとらわれない、事業体の生産性をカバーできるような観点も重要であるというふうに考えますが、大臣の御認識を伺います。
林野行政の総合的な政策を方向づける森林・林業基本計画によれば、山村等における就業機会の創出と所得水準の上昇をもたらす産業へと転換することを通じて、これによって林業の成長産業化を目指すというのがその趣旨です。
今回の改正によって、林業にかかわる地域の雇用そして賃金にどういった効果をもたらし、雇用の受皿をどのように担保していくんでしょうか。お聞かせください。
都市部から山村に移り住んで林業を始める二十代から三十代の若者がふえる傾向にもある中、自伐林業と区別されるものとして、森林を所有していない移住者の若者がその家族や仲間で林業を行う自伐型林業というものがあります。
基本計画に示される、地域林業の発展、山村の振興という観点からも、本改正案を通じて自伐型林業を志す若者の林業経営への支援を行って、過疎対策、移住政策にもつなげていくべきであるというふうに考えますが、御見解を伺います。
木材の供給先との連携についてお尋ねをいたします。
国産材の利用割合は近年高まっているところですが、住宅を建てる材料として国産材を使用する場合には割高であると業者に言われ、外材を勧められるということも聞かれます。
住宅用に国産材を利用することについて、関連業者にその使用を促す場合の課題をどのように認識しているでしょうか。石井国土交通大臣に伺います。
また、住宅建材としての国産材の需要拡大に向け、建材の不燃化の取組も重要でありますが、燃えにくくするための薬剤をしみ込ませた不燃木材などが使われた多くの施設で、その薬剤の一部が外に浮き出る白華現象が起きていることがわかっています。専門家からは、防火性能が落ちているおそれがあると指摘されていますが、今後の政府の対応について石井大臣に伺います。
樹木を採取できる区域を指定する基準としては、樹木の採取に適する相当規模の森林資源が存在する一団の国有林野区域であることを条件としていますが、樹木の種類も林齢構成も地域によってばらつきがあり、イメージが湧きません。
一カ所当たりの伐採面積の上限を五ヘクタールとするなど、現行の伐採ルールの遵守を求めるとしていますが、これ以上の広さが可能かなどを含めて、区域の指定の具体的な基準について吉川大臣に伺います。
また、このほかの指定基準として、森林の状態が良好であり、急傾斜地や林道から離れた奥山ではないことも挙げられています。こうした場所は伐採後の搬出が困難な側面があることは確かですが、多面的機能を維持するための立木の伐採はやはり必要であるというふうに考えます。
これらを指定対象から外すということはどのような意味を持っているんでしょうか。吉川大臣にお尋ねいたします。
おととし七月に発生した九州北部豪雨では、過去最大級と言われる流木災害も発生しています。
戦後の造林運動の中で、火山灰の地質から成るもろい地盤の上にも、杉やヒノキなど、挿し木から育ち、根を深く張らない針葉樹が植林され、それらが成長しても適切な手入れがなされないことで災害の危険性が高まっている箇所がありますが、こうした箇所を政府はどこまで把握しているでしょうか。また、これらの国有林は、今回の指定区からは外すのか、あるいは、災害の発生を防ぐために、むしろ指定区として設定をするのか、御認識を伺います。
国有財産である樹木の伐採後の造林については、法律上の義務づけができないことから、本改正案では、農林水産大臣が樹木採取権者に対して伐採と造林を一体として行うように申し入れるとしています。
しかし、これはあくまで申入れであり、造林を受託する樹木採取権実施契約を締結して対応するとしていますが、それが公益的機能を維持するための再造林に確実につながるものになるのか、また、再造林が進まない場合、国としてどのような措置を講じるおつもりか、御答弁を求めます。
政府は、平成八年から、花粉をほとんど出さない少花粉杉や花粉を全く出さない無花粉杉といった新たな品種の杉の開発を支援しながら植えかえを進めていますが、全国の杉の人工林のうち、昨年度までに植えかえられた面積はわずか〇・三%にとどまっています。
もちろん、食生活の変化や大気汚染、喫煙なども花粉症患者の増加に影響していると言われますが、国産材を使うことが花粉症対策になりますと林野庁は強調しており、国有林の中長期的な活用を図る中で、飛散する花粉の量の増加を抑えるために、植えかえを含めた花粉の発生源対策を加速させていくべきであるというふうに考えますが、政府の見解を伺います。
攻めの農林水産であるとか成長産業化などと勇ましい言葉が躍った平成の時代でありますが、一体誰のための見直しであり、地域に何をもたらすのか。理念ばかりが先行し、言葉のごまかしが繰り返された時代であったと後世言われないような、地域の実態に即した林業改革と、林業の多様な担い手に支援が行き届く道筋が描かれることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣吉川貴盛君登壇〕