白眞勲の発言 (議院運営委員会)
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○白眞勲君 立憲民主党の白眞勲でございます。
私は、ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部改正案の委員会に付託する動議に対し、断固反対の意思表明をさせていただきます。
そもそもこのような国会議員の身分に関する事柄を議論もろくにしないで強引に進めようとする与党のやり方に失望を禁じ得ません。
特に今回大きな問題は、議長の下に一票の較差に関し各会派の代表者懇談会が開かれ、また、参議院改革協において与野党の垣根を越えて広く建設的な議論が行われ、円満に話合いがなされていたにもかかわらず、いきなり参議院の議員定数を六増させるという自民党、公明党の案を数の横暴で強引に採決されたものであることから端を発したものであります。
そして、その増えた六人分の人件費を相殺させるために参議院の歳費を引くという全くのでたらめな、なおかつ、これから申し上げる問題を棚に上げて自らをおとしめる全く恥ずかしいやり口を、自民党、公明党の皆さんは恥を知るべきである、そういうふうに思うわけでございます。
では、その問題の具体的な部分について挙げさせていただきます。
憲法第四十九条は、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と定めておりますが、この歳費について両議院の議員の間に差異を設けることに憲法上の法的正当性が認められ得るかが一番の問題となるわけで、そういう中で差異を設けることは違憲が通説であります。
両議院の間に差等を、つまり差などを設けること、すなわち甲院の議員の歳費の額と乙院の議員の歳費の額との間に差を設けることは、特にそれについての根拠が憲法に見出せない以上許されないと解すべきであろう、宮澤俊義、芦部信喜、「全訂日本国憲法」、日本評論社からもそういう議論がなされております。
また、「基本法コンメンタール 憲法 第五版」、別冊法学セミナー・ナンバー百八十九番にも、衆参両院の議員の歳費に差異を設けることは憲法上特段の根拠は見出し難く、本条は特に区別することなく両院の議員が歳費を受けることとしていることからしても許されないと解されるとされています。
そもそも両議院の議員の歳費に差異を設けることは、戦前を含め、憲政史上例がない上に、公選により二院制を採用するG20加盟国のうち歳費に差異があるのはメキシコだけであります。
日本国憲法は参議院議員について、衆議院議員と同じく国民における代表者と前文に書かれ、さらに、国民の厳粛な信託を受けるものとしています。
また、日本国憲法は国会を、その四十一条で、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関とした上で、四十二条、国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する、さらに四十三条では、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織するとしています。
すなわち、参議院議員は全国民を代表する議員たる地位において衆議院と同等であり、また、国権の最高機関である国会の構成組織の一員としての地位も衆議院と同等とされているものであります。
したがって、参議院議員の歳費を衆議院議員よりも劣後させることは、第一に、参議院議員の国民の代表者としての厳粛な信託を受ける地位、第二に、参議院議員の全国民を代表する地位、さらには第三に、参議院議員の国権の最高機関である国会の構成組織員たる地位について、衆議院議員のそれと同等であることと根本的に矛盾し、憲法の定める代表民主制及び二院制の原理を変容させるものとなるわけであります。
これはすなわち、参議院議員が国民及び衆議院議員との関係において、良識の府どころか二等国会議員となることを意味するのではないでしょうか。そんなことを参議院議員が自らやるなんてどうかしていませんか。
また、憲法四十九条の歳費とは、昭和四十一年三月十日の議員歳費等に関する調査会答申において、国会議員がその重要な職責をいかんなく遂行することについての報酬とされ、相当額とは議員たる職務に相当する金額とされているところであります。
この点、参議院議員は、その職務の前提である議員たる地位において衆議院議員と同等であるのみならず、その職務においても、憲法及び国会法等において、質問権、表決権等々、衆議院議員と同等の権限、職責を担っているところであることは、ここにいる皆さん、誰でも知っていることではないでしょうか。
そして、参議院は、憲法五十四条で緊急集会など衆議院とは異なる権限、職責も担っており、その約半数の議員数で同数の法案等を処理しているところであるわけです。加えて、両院協議会、憲法第五十九条、裁判官弾劾裁判所、憲法六十四条のほか、国会法等により、憲法改正原案の合同審査会、国民投票広報協議会などなど、両議院の議員が同一の機関において同一の職務を遂行することとなっているところであります。
ここでもう一度申し上げます。
憲法第四十九条の趣旨は、国権の最高機関である国会を構成、組織し、全国民を代表して選挙されたものであるという両議院の議員の地位に基づく保障を最大限尊重して政治活動に専念できる環境を整えようとするものとされ、これは国民の参政権の保障のための制度であるところ、これらの趣旨に照らしても、両議院の議員の歳費に差異を設けることは重大な憲法上の問題があると言わざるを得ません。
以上のことを踏まえると、参議院議員の歳費を衆議院議員より劣後させること、すなわち両議院の議員の歳費に差異を設けることは憲法四十九条に違反すると解するほか判断のしようがないのは、ここにいる参議院議員の皆さん、誰でも分かることじゃありませんか。
なお、この法案では、参議院議員の歳費を減額するのみならず、正副議長の参議院役員の歳費も減額されていますが、であるのであるならば、参議院議員の俸給も減額しなければ整合性が取れないこととなります。
この点、議長の歳費は内閣総理大臣、副議長の歳費は国務大臣の俸給相当とされていた経緯もあり、三権分立の趣旨に照らしても歳費減額は問題が生じ得るわけです。
参議院議員が政務三役になる場合は、歳費との差額を行政府が負担することとなっており、国民負担としての総額は同じまま、歳費減額分は行政府の負担に付け替えられることになります。この点を自民党、公明党はどのように考えるのか。
期限を切っているのはせこいです。期限を切って、何ですか、その後上げるんですか。そんなこと、国民をだますことにはなりませんか。それも問題です。
さらに、この法案は、参議院で強引に通した後、衆議院においても採択がなされるわけで、ということは、衆議院議員が参議院の歳費の減額を最終的に決めることになるということじゃありませんか。我々参議院の仲間が唯々諾々とそれをのむつもりなんでしょうか。私はそれは耐えられません。
以上のような問題山積の法案を安易に付託させることは参議院としての名誉に関わる重大な問題であることを申し上げなければなりません。まして連休前のどさくさに通すような法案ではありません。
最後に、委員長に申し上げます。
是非、この自民党と公明党が出したでたらめな法案を委員長のお力でもう一度差し戻していただくことをお願い申し上げまして、反対の意見表明とさせていただきます。
以上です。