世耕弘成の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(世耕弘成君) 第百九十八回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、国際博覧会担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として申し上げます。
日本経済の安定的な成長に当たって、足下の一番の課題は、今年十月に予定されている消費増税を景気の落ち込みを抑えて乗り切ることです。八%引上げ時の反省を踏まえ、国民生活や経済活動に混乱が生じないよう、あらゆる施策を総動員します。
昨年十一月に公表した柔軟な価格設定に関するガイドラインを周知するとともに、思い切ったポイント還元により、中小企業・小規模事業者のキャッシュレス対応を支援します。また、軽減税率制度に円滑に対応できるよう、拡充を行ったレジ・システム補助金を周知、広報するとともに、自動車税の恒久減税、取得時の負担軽減を実施します。
消費増税によって確保した安定的な財源を元に全世代型社会保障を構築することが政府の重要課題であり、経済産業省も政府全体の取組に貢献していきます。昨年九月に設置した産業構造審議会二〇五〇経済社会構造部会において、高齢者活躍の場の整備や中途採用、経験者採用の促進、保険者による生活習慣病、認知症予防などの議論を行っているところです。厚生労働省とも協力し、未来投資会議での議論を通じて全世代型社会保障の実現に取り組みます。
第四次産業革命が進展する中、データは国家や企業の競争力の源泉となります。第四次産業革命による利益をあまねく広め、ソサエティー五・〇を実現するためにも、データの自由な流通が重要です。今年の六月に日本で開催されるG20では、安倍総理からダボス会議で提唱したデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストをコンセプトに、信頼性が確保された自由なデータ流通の重要性を確認し、自由で開かれた国際データ流通網の構築を目指します。
国内では、データの利活用を一層進め、社会課題の解決を図ります。二年前にコネクテッドインダストリーズというコンセプトを掲げ、各分野でのデータ連携やAIの活用を推進してきました。引き続き、税制支援などを通じて企業のIT関連投資を推進します。
データの利活用を進める上では、IT人材の育成やサイバーセキュリティーの確保が不可欠です。第四次産業革命スキル習得講座認定制度を活用した社会人のリカレント教育や、サプライチェーン全体でサイバーセキュリティーを確保するためのフレームワークを策定し、産業への実装を進めます。
デジタル化による生産性向上は、社会の隅々にまで行き渡らせる必要があります。中小企業の補助金申請、事業者の行政手続などを一つのIDで行える仕組みを構築し、デジタルガバメントの実現を目指します。
また、イノベーションを継続して創出するため、担い手となるスタートアップをJ―Startup企業として選定し、国内外のスタートアップイベントへの出展などを支援してまいります。さらに、研究開発を進めるベンチャー企業に対する税制支援を強化します。
イノベーションを支える知的財産権制度を強化します。インターネット上の画像や店舗のデザインなどを保護するため、意匠制度の充実を図ります。また、特許の権利を実効的に保護し、技術で稼ぐ企業を支援するため、原告が証拠収集をしやすく、かつ、損害賠償を認められやすくするよう、制度改正に取り組みます。
株式会社産業革新投資機構は、これまでに四回の第三者諮問会合を開催し、ガバナンス設計において重視すべき点などの意見をいただいたところです。今後、運営についての基本的な考え方をまとめ、世界に比肩できるリスクマネー供給の構築を進めます。
全国三千万人を超える雇用を支える中小企業・小規模事業者は日本経済の屋台骨です。この屋台骨をより強固にしていくために、三つの課題に取り組みます。
一つは、後継者不足です。昨年の法人版事業承継税制の抜本拡充に続き、今年は承継時の税負担を実質ゼロにする個人版事業承継税制を創設します。また、経営者保証問題への対応やMアンドAを通じた第三者への引継ぎ支援、マッチングのためのデータベースの拡充を行います。
二つ目は、生産性の向上です。ものづくり・商業・サービス補助金による新たな製品開発のための設備投資の支援や、固定資産税をゼロにできる制度を通じた負担軽減、販路開拓の支援などにより、裾野の広い生産性の底上げを行います。
最後に、災害への事前の備えです。事業者による防災・減災対策促進のため、必要な措置を盛り込んだ法案を提出するとともに、税制措置を含む一体的な支援を行います。
地域経済活性化のため、約三千七百社の地域未来牽引企業に対する集中支援を行います。昨年は、地域未来牽引企業サミットを開催し、参加した企業の新たなビジネス展開をサポートする機会を設けました。今後、更にサミットの開催を通じて、地域経済を牽引する事業の創出を図っていきます。
世界で保護主義的な動きが広まる中、日本は自由貿易の旗手として、自由で公正な国際ビジネス環境構築のため、六月のG20の機会も活用しながら様々な取組を進めます。
まず、国際貿易システムへの信頼を取り戻すために、WTO改革の議論を進め、デジタル貿易ルールのWTOでの早期交渉開始を後押しします。日米欧の三極貿易大臣会合も活用し、補助金、電子商取引、機微技術の管理といった分野を含め、関係国との連携を強化します。
また、CPTPPの更なる拡大を目指します。二月一日に発効した日EU・EPAを含め、EPAを活用した中堅・中小企業の海外展開を積極的に支援します。RCEPについては、野心的な協定となるよう、今年中の妥結を目指して交渉を進めていきます。
米国とは、貿易、投資の更なる拡大に加え、インフラやエネルギー、デジタルなどの分野で協力を推進し、両国の関係を更に深化させます。
中国とは、首脳会談の成果を踏まえ、幅広い分野での経済関係の強化を図ります。昨年開催された日中第三国市場協力フォーラムを手始めに、国際スタンダードに基づいた民間企業のビジネス展開を後押しします。
日ロ関係については、これまで八項目の協力プランの下で百七十件以上の民間プロジェクトが生まれ、約半数の案件で具体的なアクションが始まっています。引き続き、日ロ経済関係の深化に取り組んでまいります。
今年六月のG20におけるもう一つの柱は、世界規模の環境と経済成長との好循環の実現です。そのためには、革新的なイノベーションが不可欠です。日本が世界をリードする水素社会の実現に向けて、各国と連携した技術開発や規制の見直しを進めるため、昨年十月に世界初の水素閣僚会議を日本で開催し、東京宣言を発出しました。二〇一九年度の水素関連の政府予算案を二〇一八年度の約一・五倍とするなど、政策資源を集中投資します。
また、CO2を資源として認識し、燃料や原料として再利用するカーボンリサイクルを実現するために、必要なイノベーションを推進します。さらに、企業に気候変動対応の情報開示を促すため、政府として世界に先駆けてTCFDガイダンスを昨年末に公表し、賛同する企業の拡大を推進しているところです。
こうした日本が目指す社会像や新しい技術を、来年の東京オリンピック・パラリンピックや二〇二五年の大阪・関西万博といった場を活用して海外にも発信していきます。
特に万博については、その準備を加速化するため、私が昨年十二月に国際博覧会担当大臣に指名されました。一月三十日には、二〇二五年日本国際博覧会協会が設立されています。
本国会には、博覧会協会の支援などを内容とする法案を提出しました。大阪・関西万博を成功させるため、皆様にも引き続き御協力をいただきながら、政府、自治体、経済界が一体となり、オールジャパンで準備を進めていきます。
エネルギーは、経済活動を支える基盤です。中長期的な視点に立ち、3EプラスSの原則の下、責任あるエネルギー政策を進めます。
再生可能エネルギーの主力電源化を目指し、コスト低減や地域との共生の取組を進めます。あわせて、次世代型のネットワークに転換していくために、必要な電源や系統への投資を確保するための環境整備を進めます。
原子力発電については、依存度を可能な限り低減するとの方針の下、安全最優先で、原子力規制委員会によって世界最高水準の新規制基準に適合すると認められたものに限り、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。
また、昨年の北海道胆振東部地震で、北海道全域で大規模停電が発生した反省を踏まえ、連系線の増強や非常用発電機の増強などを支援し、災害に強い電力・燃料供給体制を構築します。
安全かつ着実な廃炉・汚染水対策と福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。廃炉・汚染水対策については、引き続き、中長期ロードマップに基づき、安全確保の最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域社会とのコミュニケーションを一層強化しながら進めていきます。
福島の復興については、既に帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、残る区域でも大熊町役場がこの春八年ぶりに町に戻るなど、復興再生に向けた動きが着実に進んでいます。こうした流れを本格的な福島の復興につなげていくため、官民合同チームのきめ細かな支援による事業、なりわいの再建や、福島イノベーション・コースト構想の推進による新たな産業基盤の構築を進めます。
以上申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
浜野委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。