小川克巳の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○小川克巳君 ODA調査派遣第二班について御報告いたします。
当班は、昨年十二月十五日から二十二日までの八日間、インド及びネパール連邦民主共和国に派遣されました。
派遣議員は、団長の宇都隆史議員、三浦信祐議員、白眞勲議員、浜口誠議員、そして私、小川克巳の五名でございます。
本日は、今回の調査を通じて得られました所見を中心に御報告いたします。
まず、インドについて申し上げます。
インドに対するODAでは、メトロや鉄道といった大規模インフラだけでなく、上下水道、保健、衛生といった基礎的社会サービスの支援も重視されています。今回の調査では、インドに対するODA全体を俯瞰するため、できる限り幅広い分野の案件を視察してきました。
最初に、保健分野の支援の必要性について申し上げます。
チェンナイにおいて、インド南部小児医療の拠点病院として機能しているチェンナイ小児病院を視察いたしました。同病院に小児科総合外来病棟を建設し、必要な医療機材等の整備を行った結果、乳幼児や妊産婦の死亡率の改善が図られております。
タミル・ナド州政府担当官からは、我が国の保健分野への協力に対し謝意が述べられ、インド南部の医療レベルの向上の観点から、マドライにおける医科大建設整備について日本の支援に対する期待が寄せられました。
今後も、施設等が適切に活用されているかどうかを注視していくとともに、引き続き保健分野への協力を行っていく必要性を感じました。
次に、貧困対策について申し上げます。
チェンナイでは、タミル・ナド州生物多様性保全・植林事業も視察しました。同事業は、環境保全だけでなく貧困削減にも貢献するもので、特に女性の就労支援や生計向上に関しては、現地の女性自助グループの皆さんから高い評価をいただきました。また、自営小売店の店主からは、世帯収入が上がり、子供を学校に通わせることができるようになったとの感謝の声もありました。このような取組への協力は、我が国の重要な役割と考えます。
デリーでは、日本による対インド支援の代表例として知られ、現在も事業拡張中のデリーメトロを視察しました。デリーメトロの整備は交通混雑の緩和や環境汚染の改善に寄与しておりますが、営業距離は既に東京の地下鉄、東京メトロと都営地下鉄を足した分ですが、を超えており、利用客は一日約三百万人にもなっているそうで、相次ぐ延伸により更に利用者の増加が見込まれています。
インフラの整備は経済の成長、発展を図る上で極めて重要であり、デリーメトロ公社の責任者からは今後も継続的な協力依頼がありました。その要請に応じて、今後も質の高い支援を行っていく必要があります。
また、デリー準州における知的障害者のための職業訓練所拡大計画につきましては、入所者が陶器やパン、菓子作りに取り組む姿を視察し、職業訓練機会の拡大に効果が上がっていることを確認しましたが、販路の開拓には苦戦している様子でした。
今後の対インド支援に関しては、ラダクリシュナン財務・海運担当閣外大臣との意見交換において、医療分野や自動車生産に関する協力のほか、インド北東部における道路網、茶、竹及び日本語教育などについて日本の協力を求める意見が寄せられました。
インドでは、ムンバイ―アーメダバード間高速鉄道整備計画や貨物専用鉄道建設計画などの複数のインフラ整備事業が進行しています。日本の質の高い支援により、信頼性があり、持続可能で強靱なインフラを進展させ、強化するとともに、引き続き、基礎的社会サービスである保健分野や貧困削減、社会セクター開発に資するような支援など、我が国の知見、技術を生かした的確な支援を実施していくべきであります。
次に、ネパール連邦民主共和国について申し上げます。
二〇一五年四月、同国のゴルカ郡を震源とするマグニチュード七・八の地震が発生し、甚大な被害が発生しました。現在、ネパール政府は震災からの早期復興及び国土の強靱化に取り組んでいますが、今回、当班は、我が国による復興支援を中心としてODAの実施状況を視察してまいりました。
まず、地震からの復旧復興支援を今後も継続して行う必要性についてです。
今回視察したパロパカール産婦人科病院は、無償資金協力により再建を支援しておりますが、同病院はネパール全土から妊産婦を受け入れており、多くの住民に直接裨益する施設の復旧というだけではなく、より良い復興、ビルド・バック・ベターを目指して震災前よりも効果的、効率的な医療サービスを提供するとともに、非常時にも機能し続ける病院の実現を図るものです。
視察した建設現場では、日本のコンサルタントと建設会社の指導の下、安全第一、整理整頓を旨とした作業員への技術指導が図られていました。
南アジアで最も所得水準が低く、基礎保健サービスや保健インフラが十分でないネパールにおいて、同病院の再建は喫緊の課題であると考えます。今年五月完工の予定ですが、医療サービス向上のためには機材や研修等も支援する必要があると思います。
次に、カトマンズ王宮広場内の寺院の修復状況を視察しました。
二〇一五年の地震では、世界遺産カトマンズ盆地を構成する王宮前広場や寺院に建てられた多層塔形式の建物も崩壊し、壊滅的な損傷を被りました。これらの文化財は、ネパール国民の生活、文化上のアイデンティティーであるとともに重要な観光資源でもあり、修復は急務となっていました。日本は、修復関連機材の支援だけでなく、現地に専門家を派遣して修復作業を支援しており、将来的にはネパールの技術者の力で文化遺産を守っていけるように、ネパールの伝統や文化を尊重しながら日本の技術を伝えるとの説明を文化遺産アドバイザーから受けました。
視察時には、依然として倒壊したままの寺院等も複数目にし、復興は道半ばであると思いました。ネパール国民にとっては信仰の対象でもあり、今後も引き続き協力することが我が国の重要な役割と考えます。
次に、教育に対する支援の必要性についてです。
緊急学校復興事業は約二百三十六校の再建を支援するものですが、今回は、対象校の一つであるウデカルカ高等学校を視察しました。訪問時、大勢の生徒たちから生花の首飾りをたくさん掛けてもらい、大変な歓迎を受けました。日本の支援により耐震性が確保された新校舎で安心して授業を受けている様子を観察しましたが、熱心に勉強する生徒たちの目の輝きがとても印象的でした。
一方で、学校関係者からは、れんが工場で働くため通学ができない子供もおり、本校に給食設備ができれば更に多くの子供が通えるようになり、途中退学者も減るのではないかと思う、また、暖房設備がなく非常に寒い、今後も日本から継続した支援を期待するという意見が述べられました。
ネパールの将来を担う子供たちの教育については、国の社会経済発展に必要不可欠なものであることから、最重要分野であると言えます。学校再建などの環境整備だけでなく、給食設備の整備などを通じた教育機会の拡充などへの支援も併せて考えていくべきだと思いました。
次に、その他の主な案件について申し上げます。
カトマンズでは、市内で唯一現職医療従事者に臨床教育を実施する公立病院であり、MRIや高圧蒸気滅菌器等が供与されたトリブバン大学教育病院を視察しました。無償資金協力により供与した医療機材によって患者に提供する医療サービスが改善されるとともに、医療従事者に対する臨床教育の機能も強化され、実施されたODAが現地の医療サービスの向上に貢献していることが確認できました。
二〇一五年の震災時に市中の他の病院が機能不全となる中、数十年前に日本の支援で建設された同病院では、特段の被害もなく、安定した医療サービスが提供できたことに謝意が表明され、引き続き日本の支援を求める意見がありました。
医療サービス向上の効果を継続するためには、供与機材の適切な維持管理も視野に入れた支援を行う必要性を指摘したいと思います。
また、カトマンズ市郊外では、パラリンピック種目であるボッチャの普及活動のため、ネパールボッチャ協会に民間連携ボランティアとして派遣されている青年海外協力隊員の活動状況を視察しました。同隊員は、曜日ごとに異なる特別支援学校や施設を訪問しており、その真摯な活動が現地の人々から高い評価を得ていました。
今後の支援に関しては、カティワダ財務大臣との意見交換において、二〇二二年までに最貧国から脱し、持続可能な発展につなげるため、医療分野、保健分野、教育分野などについて日本の協力を求める意見が寄せられました。なお、同大臣からは、日本からのODAを有効に活用するために会計監査や不正腐敗対策が講じられている旨の説明がなされました。
また、ティミルシナ上院議長との意見交換においては、ネパール政府は国家の繁栄、国民の幸福を標榜しており、このスローガンを実現するために、インフラや農業の近代化、商業化などの分野における更なる支援や、日本企業からの投資も期待しているとの意見が寄せられました。
医療分野、保健分野、教育分野、インフラの整備などについては、ネパールへの支援の重点分野と合致するとともに、我が国の経験、知見を生かした効果的な支援が可能な分野と考えられ、着実な協力関係の進展を期待したいと思います。
最後に、今般の調査では、インド、ネパールの両国において、青年海外協力隊員のほか、専門家の皆様、また現地で活躍する邦人の皆様と懇談する機会をいただきました。様々な分野で多くの皆様が活動して成果を上げ、各視察先や政府関係者等との意見交換でも、ボランティア等の皆様の活動に対する評価は高いものでありました。人的交流の推進は両国関係の発展の礎となるものであり、今後もボランティアの皆様等が安心して活躍できる環境整備に配慮するとともに、青年海外協力隊員に関しては、帰国後の就労支援の充実等に一層取り組んでいただく必要があると考えます。
終わりに、今回の調査に当たって多大な御協力をいただきました視察先の関係者、外務省及び在外公館、JICAを始め、JICAボランティア及び専門家、日本企業関係者等の方々に改めて感謝を申し上げます。
以上でございます。ありがとうございました。