梅本和秀の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(梅本和秀君) 御紹介をいただきました北九州市副市長の梅本でございます。
まずもって、今日、こういう機会をいただきましてありがとうございます。感謝申し上げます。
本日は、政府開発援助による北九州市の国際協力の取組について、自治体の立場で地域の活性化にどう結び付けていくのかという視点から、具体的な事例を交えて御報告を申し上げます。皆様の方にパワポの資料があると思いますので、これを基に説明をしてまいります。なお、下の方にページを打っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
二ページでございますが、まず、本日はこの三点についてお話を申し上げます。北九州市の概要、環境国際協力・ビジネス、今後の取組と施策への期待という三点でございます。
まず、本市の概要でございます。四ページになりますが、北九州市は東京と上海の中間に位置をしましてアジアに近いことから、一八九〇年頃から港、貿易港あるいは鉄道が非常に発達をしました。一九〇一年に日本初の官営八幡製鉄所が建設されたことを契機としまして、日本の四大工業地帯の一つとして高度経済成長を牽引してまいりました。現在も我が国を代表する物づくりの産業が多く立地をしているところでございます。
次、五ページでございますが、工業の発展の当初、いわゆる煙突から吐き出される煙、あるいは工場の騒音、これは市民にとって実は繁栄の象徴ということで受け止められておりました。そこにいろいろな学校の校歌書いていますけれども、至る所に煙ですとか煙突ですとかいうのが入っていると思いますが。
ところが、六ページになりますが、昭和三十年代になりますと公害が激しくなりました。降下ばいじんが日本一を記録し、溶存酸素がゼロとなったいわゆる洞海湾でございますが、死の海というふうに言われました。そこのパワポの資料にありますように、これが本当に現実の写真でございます。
それが、七ページになりますが、その公害に対しまして地域で初めて声を上げたのは、家族の健康を心配する実は婦人会の皆さんでありました。婦人会の皆さんが、どうすればいいのか、どういうふうな活動をすればいいのかというのを大学の教授に学び、そして調査結果を持って工場や行政に改善を訴えてまいりました。この活動をきっかけとしまして、企業は公害防止設備を導入し、行政は環境監視や環境インフラの整備を行いました。
八ページでございます。これが結果でございます。これが一番分かりやすい、私どももいろんな地域あるいは海外に行ったときにこれを見せると、なるほどというふうに言われます。一九六〇年頃のいわゆる空、海が左側にあります。一九八〇年代後半から現在にかけて、同じところの空と海であります。市民、企業、行政が懸命に公害対策に取り組んだ結果、この写真のように青い空と青い海を取り戻すことができました。
九ページでございます。当時、公害対策は経済発展を阻害するという意見が多くありました。一九六八年をピークとして、経済成長とは逆に大気汚染が改善をされています。つまり、経済と環境は両立するんだということを身をもってこの北九州市で実現できたわけです。この表は、左に環境汚染、硫黄酸化物、右に、右というか下の軸ですね、下側に経済発展、製造品出荷額を連動させたものでありますが、一時期環境汚染が進行するんですけれども、それから先は経済の成長とともに環境汚染がなくなっていくといいましょうか、改善していくという数字を表しております。
十ページでございます。公害を克服する取組の中で、経済と環境の両立を図る様々な技術や知識が地域に蓄積されることとなりました。そこに書いていますように、生産工程、資源投入、生産、製品等のいろんな技術がクリーナープロダクションとしてまとめられ、かつ最終の処理として、終末処理としてまとめられ、それが汚染物質の削減、省エネルギー、プラス資源回収という形で我々のノウハウとして蓄積をすることになります。
十一ページでございます。次に、現在、本市が積極的に取り組んできた環境国際協力・ビジネスについてお話を申し上げます。
十二ページでございます。本市では、一九八〇年代から、公害克服で地域に蓄積した技術あるいはノウハウを生かして、アジアを中心に環境改善のための国際協力に取り組んでおります。これまでに、環境や上下水道分野を始めとした幅広い分野で専門家派遣、研修生の受入れなどを行っております。そこの資料にもございます、上下水道分野は受入れ研修百五十五か国約六千人、環境分野は受入れ研修百六十五か国約九千人、合わせて一万五千人を超える研修生を受け入れております。専門家も併せて派遣をしております。
十三ページでございます。一つの事例、これから少し事例を御紹介申し上げますが、まず、北九州市と友好都市になっております中国の大連市への協力について御説明をします。一九九六年から日本の自治体として初めてODAを活用しまして都市間協力を行い、大気汚染の状況が劇的に改善をしました。そこに、写真にありますが、一九九四年頃の大連、それが二〇〇〇年の大連ということで、このように青い空がまた北九州市と同じようによみがえったということを示しております。
次に、インドネシアの例でございます。十四ページでございますが、インドネシア第二の都市でありますスラバヤ市でございますが、最終処分場の不足や公衆衛生の悪化が非常に課題となってまいりました。北九州市では、二〇〇二年から家庭ごみのコンポスト化の普及を支援し、埋立処分量の削減や処分場の環境改善に成功いたしました。さらに、本市に立地する企業がごみに含まれる有価物などを回収する実証事業を行い、資源循環型社会の実現に力を尽くしております。これについても、その資料の上の方にあります外務省さん、JICAさんあるいは環境省さん、ODA関連の事業を活用させていただきました。
続いて、フィリピンでございます。フィリピンのダバオ市でありますが、人口や経済活動の拡大に伴う廃棄物の増大に対応するため、廃棄物発電施設の導入を含めた効率的な廃棄物管理体制の確立などの支援を行っております。この結果でございますが、二〇一八年三月にはダバオ市への廃棄物発電施設の導入に向けた無償資金協力が合意をされました。これにつきましても、上に書いていますように、JICAさん、環境省さんのこういう事業を活用させていただいております。右に写真がありますが、ダバオ市の市長さんはサラ・ドゥテルテ市長といいまして、ドゥテルテ大統領の長女に当たります。
次に、カンボジアでございます。上下水道分野の話になりますが、一九九九年からカンボジアの首都プノンペンへの協力を行った結果、飲用可能、いわゆる飲める水道水の供給、あるいは経済環境が飛躍的に改善をしました。この成果はプノンペンの奇跡というふうに呼ばれております。この実績から、二〇一五年七月にはフン・セン首相が本市を訪れまして、二〇一六年三月にプノンペンの方と、国の首都でございますが、姉妹都市の締結を行ったところであります。ここの資料に御覧のように、一九九六年から二〇〇六年の間で水道普及率が二五%から九〇%、給水時間が十時間から二十四時間、無収水量率七二%から八%、いわゆる漏水のことでございますが、このぐらいに劇的に改善をいたしました。
続きまして、十七ページでございます。本市の姉妹都市であるベトナムのハイフォン市でございますが、水道水源であります河川が生活排水で汚染をされ、水道供給に支障が生じてまいりました。これに対して、本市が開発したU—BCFという技術を提供した結果、劇的に改善をいたしました。U—BCFというのは微生物を利用する技術で、他の高度処理に比べまして建設コストが二分の一、ランニングコストが二十分の一という非常に安価にできるシステムでございます。ハイフォン市での本格導入を皮切りに、ホーチミン市などのベトナムの六都市でも実証事業を今進めております。今後、東南アジア諸国への展開も期待をしているところであります。
続きまして、十八ページでございます。本市では、国際協力からビジネスに展開する際に、研修やモデル事業、フィージビリティースタディー、実証などを段階的に進めることで、各都市の課題や解決策を探り、信頼関係を構築しながら進めております。各段階において、JICAさん、外務省さん、環境省さんを始め各省庁との連携が必要であります。今後とも御支援をお願いを申し上げます。
次のページでございますが、また、本市では、環境国際ビジネスの展開に当たり、政府支援に加え国際機関とも連携をしております。そこに書いているICLEI、国際協力銀行、UNIDO、世界銀行等々であります。
二十ページであります。このような環境分野や水道分野での国際協力、ビジネスを進めていくために、私ども北九州市では二〇一〇年にアジア低炭素化センターを設立をいたしました。組織構成は、市内の産官学の三つの組織が連携しているものでありまして、開設以降、アジアの十五か国の七十五都市で百七十七のプロジェクトを実施しております。このプロジェクトの総額は約百十三億円に達しております。
二十一ページ、今度は水の方でございますが、国際水ビジネスの分野でも官民連携組織として二〇一〇年に海外水ビジネス推進協議会を設立をいたしました。市内外を含め百五十一の企業と国の機関も参加をしており、設立以降、五十六件のビジネス案件を受注しております。このように、本市では、公害克服の経験や優れた水道技術などの地域資源を生かして地域の活性化に結び付けているところでございます。
二十二ページでございますが、外務省さん、JICAさんからの支援の結果、本市では環境、上下水道分野を中心にこのような実績を上げることができました。この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。
二十三ページでございますが、本市の公害克服や国際協力等の取組は国際的にも高い評価をいただいているところであります。
最後になりますが、本市の今後の取組とODA施策への期待を述べさせていただきます。
北九州市では、市民やNPO、企業とともに、二年間にわたる検討の結果、環境首都グランド・デザイン、実はこれ、二〇〇四年でございますが、二〇〇四年に策定をしております。持続可能な発展を目指しており、二〇一五年のSDGs合意を先取りしている内容とも言えるというふうに私ども思っております。左の方にありますが、環境首都グランド・デザインの基本的な考え方といいましょうかテーマでございます、人と地球、そして未来の世代への北九州市民からの約束ということをこの二〇〇四年の段階で打ち出しております。一昨年には、全国の自治体に先駆けて、市の環境基本計画にSDGsの達成を盛り込みました。このような取組が評価をされ、SDGsアワードあるいはSDGs未来都市の選定を受けております。
二十六ページでございますが、本市の国際協力は、環境や水道のみならず、消防やジェンダーの分野でも取り組んでおります。住民と直接向き合う基礎的自治体の経験はSDGsが示す十七の分野をカバーするものでありまして、この経験を生かして国際協力を進めることにより、SDGsの達成に貢献できるというふうに考えております。
二十七ページ、今後の施策への期待でございます。日本の経験と先進的な設備、技術というのは、発展途上国の環境改善に有効であります。これは私どもが常日頃感じているところでございます。そこで、国に対しましては、被援助国との緊密な関係構築を進め、必要な情報の収集や施策の充実などを是非お願いをしたいと思います。具体的には、ODA事業メニューの充実、あるいは人材育成事業の拡充、国際協力に関わる、私ども自治体でございますが、職員の人件費の補助といいましょうか支援でございます。国際協力事例が増えますれば、環境保全に貢献できるほか、ジャパン・ブランドの浸透や国際的な評価の向上が期待できます。
二十八ページ、最後でございますが、途上国では急速な経済発展に伴いまして様々な課題が生じております。この対策といたしまして、都市のインフラの充実が必要となってまいります。この課題解決には日本の都市の経験や技術などが大変有効だと考えております。国際環境協力・ビジネスを展開することを通じまして、SDGsの世界的な達成につながるものと考えております。
今後とも努力してまいります。是非、御支援よろしくお願いを申し上げます。
御清聴ありがとうございました。