藤井真希の発言 (内閣委員会)

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○参考人(藤井真希君) 藤井と申します。よろしくお願いいたします。
 このような機会いただけましたことに、まずは感謝申し上げます。
 私は、保育事故の遺族の一人でして、娘を亡くした経験から保育の安全と事故防止の活動をしている者です。保育や教育関係の専門家の方と共につくる保育の重大事故をなくすネットワークの共同代表をしております。また、赤ちゃんの急死を考える会は、主に事故当事者や弁護士などで構成する会で、私の活動の原点になっている団体です。
 今日は、保育事故の当事者、また保育所保護者の立場から意見を述べさせていただきます。
 資料の説明をさせてください。こちらのパワーポイント、スライドが印刷したものが四ページ分、そして別で写真が入ったこちらは、ベビーシッターの基準を今検討されている委員会の方に意見を提出させていただいたものです。裏表です。さらに、三月の二十二日と本日の午前中に厚生労働省、内閣府の担当の方に申入れと面談をしていただいた、そちらの要請の書面になります。限られた時間ですので、本日のお話はこちらのパワーポイントのスライドの方を使ってしていきたいと思います。
 今日お伝えしたいことは、大きく二点です。スライド番号二番を御覧ください。
 一つは、基準を満たさない認可外、ベビーシッターやファミリー・サポート・センター、いわゆるファミサポなど、保育とは言えない託児の事業も今回のいわゆる無償化制度の対象にすることについて、その妥当性をよく検討していただきたい。そして、二つ目は、もし対象を広げるということが公平性の観点などでどうしても必要だということなのであれば、質の面での公平性もしっかり担保していただきたいということです。
 以下、理由を御説明します。
 私の娘の事故は、ファミサポ事業を利用中のことでした。今回、ファミサポ事業も一部無償化の対象とされている一方で、まだ余り議論がされていないようにも思えますので、まず事業と娘の事故の紹介をさせていただきたいと思います。
 スライド三番の図を御覧ください。
 ファミサポ、このように市民間での子供の預かり、地域の相互援助活動と呼ばれているんですけれども、それに関する連絡や調整を行政が行う国と自治体の事業です。平成二十七年度からは地域子ども・子育て支援事業として実施されています。
 娘の事故について、今日はより現実のこととして捉えていただきたいという思いで写真を持ってきました。こちらになります。(資料提示)これ、同じ写真ではあるんですけど、事故当日の朝の娘の様子です。まさに預けに行く直前の元気な姿です。最後の笑顔の写真になってしまいました。こちらは事故後の写真になるんですけれども。
 スライドの四番を御覧ください。こちらに概要をまとめました。
 二〇一〇年の十一月、大阪府八尾市のファミサポ事業を活用し、当時生後五か月だった私の娘、さつきの預かりを依頼しました。母親である私の通院中の一時間の利用でした。紹介された援助会員の女性は、当時四十代の後半、子育ての経験はおありでしたが、保育の資格は持っていませんでした。
 私が一時間後に援助会員の居宅に戻ると、既にさつきは心肺停止の状態でした。どうやら泣いていたのを寝かせるためにうつ伏せにさせられ、その後きちんと見てもらえていなかったということが後に分かりました。また、後に援助会員は、うつ伏せ寝が危険だとは知らなかったというふうにも述べていました。
 救急搬送先の病院で心拍は再開したんですが、脳の損傷が大きかったため意識や自発呼吸が戻ることがなく、いわゆる脳死状態になりました。その後、長期の入院と在宅生活を経て、事故の三年後に亡くなってしまいました。
 当時は事故調査の制度がまだありませんでしたので、自治体も関与を拒否し続けまして、私たちはやむなく三年後に訴訟を起こすことになりまして、三年の裁判を経て過失前提の和解ということになりました。
 このような事故対応に苦しむ中で、同じような事故事例がほかにもあるということを知り、それが私の今の活動、事故防止の活動へとつながっていくことになりました。
 二ページ目の五番の表のグラフを御覧ください。裏面に行きます。
 過去十四年間で起きた保育・教育施設や事業での死亡事故の数と内訳です。実に百九十八人もの命が失われているということが分かります。
 赤ちゃんの急死を考える会では、個別の事故報告書を情報開示請求して、その分析を重ねております。その結果、六番のスライドにあるような傾向が分かっています。
 死亡の約八割が睡眠中に発生、約八割はゼロ歳から一歳児の事故であること、うつ伏せ寝、心肺停止状態での発見事例が多数であること、預け始めて間もない時期や初日の事故が多数であること、監視が不十分な状況下、基準違反をしていたり安全マニュアルの整備がない園で起こっている、たくさんの事故が起こっている傾向があること、中でも認可外施設での死亡事故の発生率は二十五倍以上と高いこと、基準違反をしている施設での事故が多いということが分かっています。
 これらからすると、やはりこの度の法律案の附則第四条で指導監督基準すら満たしていない施設に五年間もの経過措置を与えることは、子供の安全を脅かすことになりますし、また子供の健やかな発達の妨げになる可能性もあります。とはいえ、既に通っている子供ややむなく利用せざるを得ない子供もいるという現状ですので、公平性を図るということでもあるかと思うんですが、しかし、やはり施設には長くても二年で違反を改善いただくべきではと考えます。
 左下、七番の表です。こちらは認可外保育施設への立入調査の実施状況、そして指導監督基準の適合率になります。
 全体として見ていただくと、立入調査の実施自体が六割台、その中で約半数が基準を満たしていないということが分かります。これは認可外施設のお話ですが、今回のいわゆる無償化法案では多種多様な形態の施設や事業が対象に想定されています。
 この多種多様な形態について、弁護士の寺町東子さんが分かりやすくまとめた図を作成されていて、それをいただいて八番のスライドに載せました。
 左上の四角い枠内、これが認可保育所の保育士配置基準になります。これをベースに、それぞれ色分けがされているほかの種別での基準がどうなっているのか、ラインを引いて図示されています。
 例えば、右から二つ目の企業主導型保育で見ますと、基準は認可の五〇%、つまり保育士の有資格者は二分の一でよいということです。ただ、企業主導型には違反を含めて様々な問題が今指摘されているところかと思います。
 左から二つ目のまとまりでは、小規模のB型がこれと同じ基準ということになります。一方、同じ小規模認可、このグリーンの枠内であるC型なんですが、これは家庭的保育やファミサポと同様、保育士資格を有しなくても別に定める条件などを満たすことでよいとされていて、地域によっては複数の子供を預かっていることもあるそうです。
 そして、一番右の認可外保育施設です。基準では認可基準の三分の一の保育士がいればよいということですが、実際には、認可以上の手厚い保育をする園もあれば、基準違反を確信犯的に行っているような園まで幅広く存在しています。ベビーシッターもこの枠の中に入ります。
 先ほど御紹介した事故の傾向から考えても、基準に満たない施設や事業はそもそも保育として適切ではないですし、無償化ということですが上限もあるということで、完全な無償化ではないということになるかと思います。本来はやはり認可の保育所が十分に整備されているべきです。こういった内容の差をそのままにして、全てを無償化や補助対象とすることは疑問で、国がどれも同様に安全ですよとお墨付きを与えることになりかねません。
 託児の事業について詳しく見ていきます。九番のスライドです。三ページ目です。
 分類としては大きく三つ、子ども・子育て支援新制度の地域型保育、これは認可になるんですが、居宅訪問型保育、ただ、対象がゼロ、一、二の障害児を対象とされています。二つ目がベビーシッター、これが認可外保育施設の位置付けになります。この国会の審議の中でも安全性についてたくさん質疑があって、現在基準が検討されているというところです。三つ目のファミサポなんですが、これ基準と言えるもの自体が存在していません。事業の実施事項というのはあるんですが、すごくざっくりした事業の決まりというものになっていまして、例えば預かる人の研修自体もここ二年ほどでやっと必須という項目が一つ、もう一つというぐらいのもので、実際、自治体にほぼ丸投げで行われているということになっています。
 このように、基準の有無や内容の違いの差を置き去りにしたまま全てを無償化の対象とするのは危険であり、利用者にとっても公平とは言えないのではないかと思っています。
 ファミサポについて更に述べます。スライド十番を御覧ください。
 一九九四年の事業開始時には、かぎ括弧二つ目、保育施設では応じ切れないような保育ニーズに対応できるようということで、いわゆる地縁関係の地域の助け合いの範囲を想定されていたものと思われます。しかし、現在は、地域における育児の相互援助活動を推進に加えて、病児、病後児の預かり、早朝、夜間の緊急預かり、一人親家庭等の支援など多様なニーズへの対応を図ることと過剰な期待がされています。しかし、援助、預かりについての基準は、先ほど申し上げたようにありません。保育者となる会員の資質、つまり意識や経験や知識、そういうものがばらばらでして、これは保育とはなり得ないと思います。
 今回、保育の代替として利用が想定されているようですが、午前中に申入れということで厚生労働省の方とお話、聞いたところ、保育の代替という想定はしていないというお話がありまして、そうですよねと私たちも思ったところであります。
 基準について考えるに当たって、認可外保育施設の指導監督の基準を見ていきます。十一番のスライドを御覧ください。左下です。
 指導監督の指針の冒頭の記述には、「適正な保育内容及び保育環境が確保されているか否かを確認」、「児童の安全確保等の観点から、劣悪な施設を排除するためのもの」とあります。すなわち、これを下回るものは不適正で劣悪であるということになります。また、今回の法律案の基本理念では、全ての子供が健やかに成長するように支援、良質かつ適切なものとあります。無償化の議論をさておいても、少なくとも各事業でこの指針に見合った基準を定めることが子供の命と安全を守るためにも必要ではないでしょうか。
 本来は、私は託児事業は無償化の対象から外すべきと考えていますが、どうしてもそうせざるを得ないということであれば、せめてこれだけはということを考えてきました。十二番のスライドです。
 一、統一した研修カリキュラムの設定と受講の義務付け。二、都道府県への届出義務徹底、立入調査の実施。三、無過失補償である公的保険の適用。四、指導監督の基準並びに実際の預かり時における規定、指針の策定。実は、この四点はこちらでも意見として出したところなんです。
 託児の事業をこういう指導監督全てとなると、かなりの数になりまして、徹底するにはかなりの人的、財政的措置が必要になるとは思うんですが、質を確保するためにはこれは必須ですし、逆に言いますと、これができないのであればやはり対象から外すべきではないかと思います。
 また、十三番に、不適格者を排除するための仕組みとしてイギリスのDBSについて御紹介しました。これは、警察の照合した犯罪歴の証明、参照や証明ができて、子供を危険から守る取組の一例です。日本でもこういう仕組みが考案されるべきではないかと思います。
 十四番に移ります。
 実は、万一の事故の際の対応にも不公平が存在しています。公的保険と言える日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度にいまだ加入できていない施設や事業がありまして、認可外保育施設の一部やベビーシッター、ファミサポほか、無償化の対象に想定される中でも差があることになります。加入の対象拡大については、企業主導型がその対象になったときに参議院の委員会でも附帯決議として出されたんですが、以降どうも進展がないようです。これを機に万一の事態への対応にも公平性を確保していただきたいと思います。
 最後になりますが、十五番を御覧ください。
 本当にもう皆様御存じのように、待機児童問題は依然解消されていません。現行の認可基準でも十分とは言えない中で、やはり認可保育所の拡充を行っていただきたい。そのためにも、保育士の確保、処遇の改善、配置基準の見直しというところが大事ですし、これは四月の衆議院の内閣委員会での附帯決議にも盛り込まれていたところかと思います。
 まとめです。十六番右下のスライドを御覧ください。
 保育でないものを対象とすることをやはり考え直してください。基準の制定と指導監督の徹底で命と安全を守ってください。推奨やべきの表現でなく、法令で明確に定めて縛る必要があると考えます。劣悪な事業者を排除できる仕組みをきちっとつくってください。基準を下回る認可外への五年の経過措置は不適切と考えます。そして、保険の格差をなくしてください。
 無償化と併せて、認可保育を充実させるための方策を取っていただきたいと思います。無償化を機に悲しい事故が起こることのないように、質が高い保育が必要とされる人に公平に確保された上での無償化ということを切に願っています。
 以上になります。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 藤井真希

speaker_id: 18905

日付: 2019-05-07

院: 参議院

会議名: 内閣委員会