小池晃の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、安倍総理と厚生労働大臣に質問します。
 厚生労働省の毎月勤労統計の不正により、雇用保険、労災保険などで二千万人を超える被害が生じています。給付を受けていた方は、失業で収入の道を断たれ、あるいは労災で一家の大黒柱を失うという、最もつらく厳しい状態にありました。それなのに、労災で死亡された遺族年金などで二十七万人、一人平均約九万円も給付が少なかったのです。
 過労自死で夫を失った寺西笑子さんは、労災認定には高いハードルがあり、被害者なのに何年も闘わないと認定されない、その上、国が数字をごまかして補償額を減らし、十五年も放置し、分かっても秘密裏に修正していた、二重三重に国に裏切られた、怒りが抑えられないとおっしゃっています。当然の怒りです。総理はこの声にどう応えるのですか。
 厚労省の特別監察委員会は、組織的な隠蔽の意図までは認められなかったとしました。しかし、その報告書の原案は厚労省が作成し、職員らの聞き取りの七割は身内である厚労省職員が行い、その場には厚労省審議官と官房長が同席して質問し、今行われているやり直しの調査にも人事課長が同席しているといいます。
 こうした調査そのものが、まさに組織的隠蔽ではありませんか。総理は、これで真相が解明され、国民の納得が得られるとでも思うのですか。
 厚労大臣に伺います。
 大臣は、参議院厚生労働委員会の閉会中審査で、しっかり第三者委員会としてやっていただいたと答弁しましたが、第三者委員会の体を成していないではありませんか。答弁を撤回すべきではありませんか。
 総理には昨年十二月二十八日に報告したと言います。なぜこの日になったんですか。この日は統計不正が初めて報道された日です。隠し切れなくなって報告したのではありませんか。
 根本大臣の下で国民の信頼を取り戻すことは不可能であります。
 総理、今の特別監察委員会による再調査ではなく、厚労省から完全に独立した組織をつくり、調査を一からやり直すべきです。国会に全ての資料を提出し、関係者を招致し、徹底した真相解明を行うべきであります。明確な答弁を求めます。
 昨年の実質賃金は、実際には大幅マイナスだった可能性が指摘されています。しかし、総理は、毎月勤労統計の数字のみを示したことはないと述べ、毎勤統計の代わりに連合の調査結果にすがりついて、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げと開き直りました。しかし、これは、物価の上昇を織り込んでいない数字、名目の賃上げ率です。この五年間には消費税の増税を始め物価の上昇があり、その分を差し引いた実質にすると一%程度にすぎません。これは逆に、今世紀に入って最低になるのではありませんか。
 偽りの数字を基に賃上げを誇り、消費税増税を決めた安倍政権の責任は極めて重大ではないでしょうか。
 総理の施政方針演説には、家計消費という言葉がついに一度も出てきませんでした。賃金統計は都合のいいように偽装しながら、消費の落ち込みという都合の悪いデータは抹殺するんですか。経済の六割を占める家計消費を無視して、まともな経済対策など成り立ちません。実質賃金と家計消費が落ち込んでいるときに消費税増税を強行すれば、暮らしも経済も破壊されてしまうのではありませんか。
 総理は施政方針演説で、いただいた消費税を全て還元する規模の十分な対策を講じると述べました。最初から戻すぐらいなら、増税しなければいいではありませんか。
 総理は、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要だと言います。しかし、増税分を戻さなければならないほど景気に深刻な打撃を与えるような税のみに社会保障の財源を頼ることが根本的な間違いではないでしょうか。安定的な財源にはなり得ないことの証明ではありませんか。
 今年度末で消費税導入から三十年です。この間の消費税収は三百七十二兆円ですが、その期間に法人三税は二百九十兆円、所得税、住民税は二百七十兆円も減りました。消費税が法人税や所得税などの穴埋めに使われ、財政再建にも社会保障の拡充にもつながらなかったことは明らかではありませんか。
 増税するなら、逆進的な消費税ではありません、アベノミクスでさんざんもうけた富裕層ではありませんか。富裕層の株のもうけに欧米並みの税率で課税をし、四百兆円を超える内部留保を抱える大企業にせめて中小企業並みの税負担率を求めれば、消費税一〇%増税分の税収は確保できます。この道を進むべきではありませんか。
 日本共産党は、負担能力に応じた負担で経済も財政も両立させ、社会保障を充実させる本当の改革実現に全力を挙げるものであります。
 総理は、全世代型社会保障への転換とは、高齢者の皆さんへの福祉サービスを削減するとの意味では全くありませんと述べました。しかし、実態はどうでしょうか。
 下流老人、老後破産など、高齢世代の貧困と不安の増大が日本社会の深刻な問題となっています。その大きな原因が、少ない年金給付であります。現在、国民年金のみの受給者の平均年金額は月五・一万円。厚生年金受給者でも女性の平均額は月十・二万円です。年金受給者の七割は年金額が年二百万円未満にすぎません。
 こうした中で、安倍政権は何をしようとしているか。昨年の物価指数はプラス一・〇%であり、生活水準を維持するためには年金改定率も同じにしなければなりません。ところが、マクロ経済スライドなどが発動され、来年度の年金改定率はプラス〇・一%に抑えられます。物価は一%上がっても年金は〇・一%しか上げない。つまり、来年度だけでも〇・九%の実質減額であります。その結果、安倍政権発足後の七年間を見ると、物価が五・三%上昇したのに対し、年金は〇・八%の引下げとなり、七年間で物価と年金は六・一%も乖離いたしました。総理は、これで年金生活者の、高齢者の生活水準が維持できるとでもおっしゃるのでしょうか。
 総理は施政方針演説で高齢者の就業人口増加を誇りましたが、内閣府の調査によれば、高齢世代が就労の継続を希望する理由について、ドイツやスウェーデンでは、仕事そのものが面白い、自分の活力になるから、これが回答の一位です。日本では、収入が欲しいから、これが断トツの一位です。年金だけでは生きていけない、年金が減らされ、これからの暮らしが心配だ、だから多くの高齢者が無理をしてでも働かざるを得ない、これが日本の現実ではありませんか。
 年金給付を抑制しながら、他方で生涯現役の社会を掲げれば、それは年金に頼らず死ぬまで働けというメッセージにしかなりません。これが総理の言う一億総活躍社会なのでしょうか。
 全世代型社会保障を実現すると言うなら、今すぐ解決するべき問題があります。高過ぎる国民健康保険料、税の問題です。
 協会けんぽ、組合健保など、被用者保険の保険料は収入に保険料率を掛けて計算しますから、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保には世帯員の数に応じて加算される均等割があり、子供の多い世帯ほど保険料が高くなります。まるで人頭税だ、そういう批判の声が上がり、全国知事会、全国市長会など地方団体からは子供の均等割の軽減を求める要望が再三再四出されてまいりました。
 二〇一五年、地方との協議の場で政府は検討に合意しましたが、その後、一体どうなっているんですか。合意してから既に四年がたとうとしています。地方との約束を果たすことは待ったなしではありませんか。
 地方団体は、国庫負担引上げによる国保料の抜本的軽減を一貫して求めています。国保の一人当たり保険料水準は公的医療保険の中でも最も高く、協会けんぽの一・三倍、組合健保の一・七倍です。全世代型社会保障と言うなら、全世代にわたり重過ぎる国保負担の軽減は急務ではありませんか。お答えください。
 米国通商代表部、USTRが、昨年十二月、日本との通商交渉に向けて二十二の交渉項目を発表しました。USTRは今回の協定を米日貿易協定と呼んでおり、安倍政権が強調する物品貿易協定ではありません。物品貿易は二十二項目のうちの一つにすぎず、通信、金融を含むサービス貿易、知的財産、投資など広範囲にわたり、為替まで入っています。
 昨年の本会議で、総理は、アメリカと交渉するのは物品貿易協定であり、包括的なFTAではないと答弁しましたが、USTRが掲げた二十二項目はまさに包括的なFTAそのものではありませんか。安倍首相が事実と異なる説明をしてきたのか、USTRが合意にないことを発表したのか。どちらが真実なのか、はっきりさせるべきではありませんか。
 日本農業を破壊し、経済主権をアメリカに売り渡す日米FTA交渉は、直ちに中止すべきであります。総理の明確な答弁を求めます。
 沖縄県知事選挙では、八万票の大差で玉城デニーさんが当選し、辺野古新基地建設反対の圧倒的な民意が示されました。しかし、安倍政権はそれを一顧だにせず、辺野古で土砂投入を強行しています。
 大浦湾のマヨネーズ並みと言われる超軟弱地盤の存在について、政府は三年前に報告を受けながら隠蔽していましたが、地盤改良の必要性をようやく認めました。そして、総理は、地盤改良を行う場合の今後の工期や費用について確たることを言うのは困難と述べました。工事がいつまで掛かるのか、費用がどれだけ掛かるのかも分からずに赤土を含む違法な土砂投入を続け、新たな護岸まで建設するのは言語道断ではありませんか。直ちに工事を中止するべきではありませんか。
 日米両政府が普天間基地の返還を合意してから二十三年になりますが、いまだに実現していません。なぜか。代替基地を沖縄県内に求めてきたからであります。しかし、普天間基地は一九四五年四月、米軍が住民を強制収容している間に民有地を囲い込んで造ったものです。基地の九一%は私有地でしたが、対価も全く支払われておりません。
 ハーグ陸戦法規は、戦争中といえども私有地を没収することを禁じており、たとえ軍の必要で収用する場合であっても、その場合は対価の支払を義務付けております。住民を収容所に入れている間に土地を強奪し、対価も払わないというのは、どんな弁明も通用しない国際法違反の行為にほかなりません。総理には、これが国際法違反だという認識はあるのですか。国際法違反で建設された普天間基地は、無条件返還が当然ではありませんか。
 総理は、これまで二十年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に辺野古移設を進めると述べました。しかし、安倍政権が一体どんな対話を行ったというのですか。問答無用で強権を発動しているだけではありませんか。
 亡くなられた翁長雄志前知事は、沖縄には魂の飢餓感があるとまで述べられました。対話を積み重ねるどころか、対話を一方的に破壊し、沖縄の人々の思いを踏みにじっているのが安倍政権ではありませんか。沖縄県民に新基地を押し付けるのではなく、米国に普天間基地撤去を求めることを強く要求するものであります。
 あわせて、屈辱的な日米地位協定の抜本改定を強く求めます。
 安倍政権は昨年十二月、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を閣議決定いたしました。安保法制と日米新ガイドラインに基づき、日米同盟を一層強化するとともに、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化することを強調し、最新鋭ステルス戦闘機F35Bを搭載できるように「いずも」を空母に改造しようとしています。
 しかし、これは、攻撃的兵器を保有することは自衛のための最小限度を超えることになるから、いかなる場合にも許されないとしてきた従来の政府の立場をもじゅうりんするものではありませんか。
 岩屋防衛大臣は、「いずも」を改造しても攻撃型空母には当たらないと述べながら、同じ記者会見で、米原子力空母ロナルド・レーガンや中国の空母遼寧が攻撃型空母に当たるかと問われて、攻撃型空母という定義ははっきりとないと回答を避けました。攻撃型空母の定義はないと言いながら、「いずも」改造艦船は攻撃型空母に当たらない。通用するはずがないではありませんか。詭弁そのものではないでしょうか。
 「いずも」を空母化してF35Bの離発着が可能になれば、明らかに他国に打撃を与える能力を持つことになります。専守防衛の建前すら投げ捨てる安倍政権の憲法破壊を断じて許すわけにはまいりません。
 総理は、施政方針演説で改めて改憲議論を呼びかけました。しかし、総理が改憲を声高に訴えれば訴えるほど、改憲を求める世論は逆に減少を続けています。総理は、その原因が一体どこにあると考えますか。
 昨年、私も出演したテレビ番組で、自民党の萩生田幹事長代理はこうおっしゃいました。不思議なことに、世論調査で、安倍首相が進める改憲と聞くよりも、ただ改憲について聞く方が賛成が多いと。でも、これは不思議でも何でもないのではないでしょうか。憲法をじゅうりんし、専守防衛の建前も投げ捨て、戦争する国に向かう総理が改憲の旗を振ることに、多くの国民が不安と懸念を強めているからではありませんか。
 どんな世論調査を見ても、国民の圧倒的多数は改憲を国政の最優先課題とは考えておりません。国民が望んでもいない改憲を、憲法尊重擁護義務を課されている総理が、自らの権力行使の抑制を緩めるための改憲論議を国会に求める、そんなことが許されるはずがないではありませんか。このこと自体が立憲主義の乱暴極まる否定ではありませんか。
 統計不正も、裁量労働制や外国人労働者のデータ捏造も、森友文書の改ざんも、イラク日報の隠蔽も、その根底にあるのは安倍政権の政治モラルの大崩壊であります。こんな政治には未来がありません。
 日本共産党は、市民と野党の共闘で、うそのない当たり前の政治を実現し、立憲主義を回復し、憲法を守り生かし、暮らしに希望を取り戻すため、安倍政権の一日も早い退陣を求めて闘い抜く、その決意を表明をして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X00420190201_013

発言者: 小池晃

speaker_id: 35013

日付: 2019-02-01

院: 参議院

会議名: 本会議