田名部匡代の発言 (本会議)

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○田名部匡代君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 冒頭、沖縄新基地建設問題について申し上げます。
 防衛省が国会に提出した一万ページに及ぶ調査報告書では、新たに見付かった広大な軟弱地盤に対する工法も、そして工期も総事業費も明示されていない上、移設後の地盤沈下への懸念も払拭されていません。
 本年二月二十四日に行われた辺野古への米軍基地移設問題の賛否を問う県民投票では、およそ七割を占める四十三万四千二百七十三名もの人々が反対の意思を示しました。しかし、それにもかかわらず、安倍政権は結果を一切顧みず、民意を無視して強引に工事を推し進めようとしています。沖縄県民の思い、願いを踏みにじる政府の対応は決して許されるものではありません。
 次に、疑惑が深まる統計不正について指摘いたします。
 毎月勤労統計の不正調査は、雇用保険等における五百億円規模の支給漏れや本予算の閣議決定のやり直しなど、未曽有の混乱を引き起こしました。また、数値の修正は十一の経済指標等へ影響することが明らかになったほか、基幹統計においては二十七もの問題が発見されるなど、国民の統計に対する信頼は完全に失われております。
 さらに、安倍総理が誇る長期の景気回復も、我が会派の大塚耕平議員が指摘したように、眉唾物と言わざるを得ません。内閣府の景気動向指数研究会は、指標が低迷した二十六年四月から二十八年二月を、エコノミストですら疑念を抱くような判断で、景気後退期ではないとしましたが、次々と明らかになる不正の前で、この判断をうのみにすることはできないのであります。
 仮に百歩譲って政府の判断を信じたとしても、足下で景気後退の可能性は高まっており、今まで取り繕ってきたアベノミクスの限界は明白であると言わざるを得ません。このまま安倍内閣による政策運営が続けば、経済の好転は期待できず、ますます格差は拡大することになるでしょう。
 担当する根本厚生労働大臣は、毎月勤労統計の不正調査データ問題を解明しようともせず、御自身のお考えを問われても、大臣の決断を求められても、委員会中、後ろでずっとひざまずきレクチャーし続ける役人の方の声ばかり聞いて、何を質問されたかもお聞きになっていないという有様でした。事の重要性を御認識されておられるのでしょうか。
 お手盛りのいいかげんな調査のまま、立法府も国民をもごまかそうとする安倍政権に対して強く抗議し、以下、本予算に反対する主な理由を申し述べます。
 第一の理由は、規模、内容共に問題ばかりの消費税対策が盛り込まれた予算となっていることです。
 本予算には、十月に予定される消費税率引上げの対策として、二兆円規模の臨時特別の措置が計上されており、総理は、いただいた消費税を全てお返しする規模の対策などと述べていますけれど、全て返すならば初めから増税を中止すればいいじゃないですか。
 対策の中身も容認できないことを申し上げなくてはなりません。二千八百億円の予算で実施するポイント還元は、高齢者や地方の小規模店舗などキャッシュレスと縁遠い国民には恩恵がない一方、高額商品をカードで購入する高所得者は多くの還元を受けることができ、消費税の逆進性を更に強めるものです。
 また、臨時特別の措置と別に実施される一・一兆円規模の軽減税率も、財務省の試算によると、低所得層の軽減額が一千四百億円であるのに対して、高所得者層の軽減額は二倍以上の二千九百億円に上り、逆進性を助長することが明確です。
 国民の皆さんの景気実感を判断するのに大変重要な指標となる実質賃金も明らかにせず、消費税対策という名目で大盤振る舞いを行い、結果、格差拡大に拍車を掛けることになる本予算に賛成の余地はないのであります。
 第二の理由は、保育の無償化の問題です。
 保育、そして幼児教育無償化のことについて、その考え方に何の理念もありません。約十年前、民主党政権で進めていた子ども手当を、当時野党であった安倍総理は、子ども手当は子育てを家庭から奪うスターリンやポル・ポトの政策であると根拠のない批判を執拗に行い、自民党の議員は、愚か者めと採決のときに叫び、さらには、愚か者Tシャツまで作ってネガティブキャンペーンを行って、子ども手当を潰しました。
 当時は、団塊ジュニアが出産・子育て世代として、まさに人口の塊があった時代でありました。子ども手当を満額支給していたら、まさに子供の貧困の問題や少子化の問題も、今はもっと薄くなっていたかもしれない、なかったかもしれません。当時の言葉をそのままお返しします。愚か者め。
 第三の理由は、防衛関係費を際限なく拡大する予算となっている点であります。
 政府は、昨年、新たな防衛大綱及び中期防衛力整備計画において、護衛艦の空母化、スタンドオフ防衛力の強化など専守防衛を逸脱する疑義のある内容を、国会における十分な議論もないまま唐突に盛り込みました。そして、新計画の初年度となる本予算に、当初予算として過去最大となる五・三兆円の防衛関係費を計上しております。近年、防衛関係費は毎年度増加を続けており、予算編成過程において聖域化しているとの批判は免れません。
 確かに、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の整備は必要ですが、これまで国内で組み立ててきたF35A戦闘機を米国から直接購入するなど、有償軍事援助に関する予算が前年比七一%増の七千億円に達していることを見れば、防衛関係費増加の背景にトランプ大統領への配慮があることは明白です。
 財政事情を踏まえた政策の優先順位付けを欠き、国内防衛産業の競争力の低下も招きかねない本予算には断固反対であります。
 第四の理由は、近年例のない規模の公共事業を含んだ予算となっている点であります。
 本予算には、前年比一五・六%増となる六・九兆円の公共事業関係費が計上されており、当初予算としては十年ぶりの規模となっています。政府はそのうち八千五百億円を臨時特別の措置と位置付けておりますが、真に必要な事業があるならば、既存の予算を見直して実施すべきです。
 また、三十年度第二次補正予算を合わせると八兆円規模の予算となりますが、公共事業関連職種の有効求人倍率が五倍を超える中、限られた期間で執行できるのかが疑問であります。
 安倍内閣では補正予算による公共事業関係費の積み増しが繰り返されてきましたが、ついに、当初予算でもたがが外れました。公共事業を野方図に拡大する本予算に賛成することはできないのであります。
 第五の理由は、過度に楽観的な成長見通しを前提とした予算となっている点であります。
 本予算において政府は、三十一年度の名目成長率二・四%の想定の下に、税収を当初予算としては過去二番目の規模の六十二・五兆円と見込んでおります。しかし、民間エコノミストは名目成長率を一・五%程度と見ており、政府の見通しは余りにも甘過ぎる、甘過ぎます。
 一方で、歳出削減の取組は不十分なままです。既に述べた防衛関係費や公共事業関係費の増大に加え、高齢化による増加分に収めたという社会保障関係費も、制度改革の中身は既に決定されていたメニューばかりで、真剣に歳出の見直しを検討した様子は全くうかがえません。予算審議でも、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化に向けた具体策が総理から語られることは、ついにありませんでした。
 成長に頼った財政再建では、景気の低迷で税収が落ち込んだ場合、追加の国債発行が必要となり、財政再建目標の達成は更に遠のきます。景気の先行きが不透明感を増す中、財政危機を招きかねない予算には反対するほかありません。
 以上、本予算に反対する主な理由を申し述べました。
 アベノミクスの息切れ、さらには、その成果とされてきた事実にも疑念、疑惑が顕在化している今、経済の実態に根差した政治が求められております。また、参議院の定数六増や繰り返される隠蔽など、国民の生活をないがしろにし続けているのが安倍政権です。
 我々国民民主党は、事実を直視した的確な政策運営を取り戻すため今後も安倍政権と対峙していくことを申し述べ、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 田名部匡代

speaker_id: 21884

日付: 2019-03-27

院: 参議院

会議名: 本会議