倉林明子の発言 (本会議)

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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表し、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、厚生労働大臣に質問します。
 セクハラを含む性暴力に対して被害女性たちが泣き寝入りせずに声を上げようと立ち上がり、世界中に広がったのがミー・ツー運動です。世界ではハラスメント規制が大きな流れとなり、EUやイギリス、ベルギーなどのEU諸国では、既に法律でハラスメントを禁止しています。ILOでも、ハラスメントを明確に禁止する規定が盛り込まれた労働の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約案が策定され、今年六月の総会で採択される見通しです。
 昨年十二月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数によると日本は百十位で、世界銀行のレポートでは、OECD加盟国の中で唯一セクハラを禁止する法律がないことが指摘されています。また、女性差別撤廃委員会からも、セクハラ禁止と制裁規定の法整備を求める勧告が相次いで出されています。
 ところが、本法案は、禁止規定を設けずにパワハラの規制を措置義務にとどめ、セクハラについても、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止を新設するにとどまるものとなっています。これでは日本がハラスメント後進国であるという批判は免れないと考えますが、認識をお聞かせください。
 その上で、全てのハラスメントについて明確に法律で禁止すべきです。いかがでしょうか。
 衆議院の審議において厚生労働大臣は、セクハラの禁止について、現状でも悪質な行為は刑法違反に該当し、不法行為として損害賠償請求の対象になり得ます、本法案による改正内容と併せ、こうした点についても周知啓発を図ることで、セクシュアルハラスメントを行ってはならないことについて国民の理解を深めると繰り返し答弁されています。それでは、耐え難い被害を受けた被害者に損害賠償請求をせよと求めるのでしょうか。
 三十年間セクシュアルハラスメント被害の裁判で闘ってきた角田由紀子弁護士が、司法的解決が被害者救済には役立っていないと断じています。不法行為の解決策は金銭賠償のみであり、その額は最高でも数百万円程度にとどまるもので、受けた被害の救済とは到底言えません。被害者が求めている被害回復は、セクハラ被害の認定と加害者がきちんと謝罪すること、そして、二度と起こらないよう職場環境の改善につながることなのです。厚生労働大臣の認識をお聞かせください。
 さらに、深刻なのは、裁判によって二次被害を受けることが避けられないことです。不法行為は、お互いの落ち度を指摘し合い、賠償額を減らすことを求める過失相殺が法によって認められているからです。被害者は、被害について証言を求められるだけでなく、加害者から更なる言葉の暴力を受けることになるのです。損害賠償請求によって被害者は救済されているとお考えなのでしょうか、お答えください。
 現在の行政救済制度によって、どれだけ被害者の救済ができているのか。二〇一七年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は七千件に上りますが、このうち均等法に基づく行政救済制度を利用したのは、紛争解決の援助申立て百一件、調停申請は三十四件にすぎず、多くの被害者が行政救済制度を利用していない実態は明らかです。なぜ行政救済制度が利用されていないのか、その理由について説明を求めます。
 被害者が利用しやすく、行われた行為がハラスメントかどうかを迅速に調査、認定し、行為の中止や被害者と加害者が接しない措置、被害者の雇用継続や原職復帰、加害者の謝罪と賠償といった事後の適切な救済命令を行う政府から独立した行政委員会を設置すべきと考えますが、いかがですか。
 男女雇用機会均等法には、セクハラについて、防止措置義務違反が認められた事業主に対して助言、指導、勧告を行い、勧告に従わない場合には企業名公表が定められているものの、セクハラで企業名が公表された例は過去に一件もありません。そのことについての厚生労働大臣の認識を伺います。
 さらに、事業主には、セクハラの相談があった場合、事実関係を確認し、セクハラの事実が確認できた場合には、被害者への配慮や行為者に対する措置、再発防止措置が義務付けられています。しかし、事実が確認できなかった場合には、被害者への配慮、行為者に対する措置を講じることは義務付けられておりません。セクハラが実際にあったとしても、企業が事実確認はできなかったと判断し、再発防止策を講じれば、企業には防止措置義務を果たしたということになるのではありませんか。
 職場内のハラスメントだけでなく、取引先や顧客、サービスの利用者といった第三者からのハラスメント被害も深刻です。
 福田元財務事務次官による記者に対するセクハラ事件では、加害者である元次官は取材先の人物であり、事業主の措置義務が及びません。また、介護や看護の現場でも深刻なハラスメントの実態が明らかになっています。訪問看護の現場では、利用者や利用者の家族から、殴る、蹴る、物を投げ付けられるといった身体的暴力や暴言、過度なクレームといった精神的暴力、さらにセクハラも起こっていることが各種調査で明らかになりました。
 今回の法改正には、第三者からのハラスメントの規制は全く盛り込まれておりません。中長期的な検討課題として先送りすることは許されません。第三者からのハラスメントも規制の対象とすべきです。お答えください。
 労働政策研究・研修機構の妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査によれば、セクハラ被害を受けた場合の対応として、我慢した、特に何もしなかったが六三・四%に上り、ほとんどの被害者がどこにも相談していません。
 被害者が相談もせずに抱え込んでいるのは、相談しても何も変わらないと諦めているからではないでしょうか。我慢し続けた結果、精神的に追い込まれ、PTSDなどの精神疾患を発症し、働けなくなり、生活のすべを失う。女性は女性というだけで働く権利を奪われ、生存権も脅かされているのです。セクハラが女性に対する差別だという認識がありますか。
 厚生労働大臣は衆議院での審議において、ILO条約批准に向けて今後も積極的に参加していくと答弁しています。日本政府は昨年の総会で、新たな基準は各国の実情に応じた柔軟な対策を促進するような内容となることが重要である、取り残される人がいないようにするためにも、取り残される国があってはならない、日本政府はこうした立場から議論に参加してまいりたいという意見を提出しています。この立場が変わらないのであれば、本法案の範囲でも条約が批准できるよう、新たな基準についてハードルを下げるように求めるということでしょうか。明確な答弁を求めます。
 日本では、なぜ、セクハラを含む性暴力被害者がバッシングを受け、国外へ逃げたり、謝罪をしたりしなければならないのか。なぜ、加害者は罰せられず、裁判では無罪となるのか。なぜ、被害者が露出の高い服装だったのが悪いと服装を責められ、夜遅くに出歩いていたのが悪いと責められ、はっきりノーと言わなかったのが悪いと責められるのか。なぜ、女性に個性や自己表現が認められず、自由に出歩く権利が制限されるのか。悪いのは加害者であって、被害者ではありません。
 人権侵害であるハラスメントを明確に禁止する法改正を強く求めて、質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X01520190508_019

発言者: 倉林明子

speaker_id: 13807

日付: 2019-05-08

院: 参議院

会議名: 本会議