倉林明子の発言 (本会議)
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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、日本共産党を代表して、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問します。
昨年、国の行政機関、立法機関、司法機関、地方公共団体等を含む多くの公務部門において、障害者雇用率が水増しされていたことが発覚しました。障害のある人や関係者は余りの事態に言葉を失い、こんな差別的な出来事に直面するとは思わなかったと、無念や怒りの声が上がりました。
政府の八割以上の機関が関与しており、自己申告や担当者の主観で判断した、亡くなった方や退職者を計上していたなど、誤った手法が長期にわたり各省庁で引き継がれてきたのです。この間、政府は、不適切計上と称していますが、政府全体で障害者雇用率を達成したかのように偽装するために虚偽の報告をしていた、これが事実ではありませんか。
参議院厚生労働委員会の参考人質疑で、精神障害のある人の働く場、生活の場で支援に従事する増田一世氏は、今回の障害者雇用水増し問題は、働きたい、働いて生計を立てたいと願う人たちの働く機会を四十年余りにわたって奪ってきたということなのですと批判しました。
大臣、本来ならば働く機会を得ていたはずの障害のある人が一体どれだけいたのか、顔が見えない被害者が確かに存在することを自覚していますか。
これだけ大規模に長期的に不正が続けられたにもかかわらず、検証結果は真相解明には程遠いものと言わざるを得ません。関心が薄いのはなぜか、意識が低いのはなぜか、恣意的だが意図的でないとなぜ言えるのか、今もって何一つ明らかにされていないのです。
長年偽装報告を放置し続けてきた当事者である厚生労働省自身が検証委員会の事務局を務めていたことが、徹底した解明を妨げているのではありませんか。
検証に当たり、多くの障害者団体は、障害のある人を検証委員会に含めることを強く求めてきましたが、一顧だにされませんでした。
厚労省は必要であればヒアリングすると言い逃れていますが、重要なのは、明らかにされた事実の分析、検討、決定に障害当事者が参加することなのです。何も明らかにしないまま幕引きにすることは許されません。障害当事者を加えて徹底検証を行うべきです。答弁を求めます。
虚偽報告の背景に何があったのか、その解明こそ、今後の障害者雇用の抜本的改革につながると考えます。
日本障害者協議会代表の藤井克徳氏は、障害のある人が職場にいると能率が下がる、障害のある人がいると働きづらくなる、できれば職場の中から障害者を探し出そう、そんな意識が長年引き継がれたのではないかと、その本質を厳しく指摘しています。
国の各機関において、外部から新たに障害者を雇用したくないという障害者排除の意識がなかったと明言できますか。
本来雇用されるべき障害者を排除していたという点において、障害者雇用促進法の差別禁止規定の趣旨に反し、差別解消法、権利条約に違反する重大な権利侵害であることは明らかではありませんか、答弁を求めます。
行政を挙げての障害者排除は、旧優生保護法による被害の問題と共通するものです。障害者権利条約第二条は、差別とは障害に基づくあらゆる区別、排除、制限であるとし、第八条は、あらゆる生活領域において障害者に関する固定観念、偏見、有害な慣行と闘うことを求めています。政府が、行政関係者が、そして立法府が、この実現を目指さなければなりません。
そこで、法案について質問します。
改正案では、一週間の所定労働時間が十時間以上二十時間未満の労働者を雇用する事業主に対して特例給付を支給するとしています。障害特性によって短時間なら働けるという方たちの雇用を拡大するため、障害当事者からも求められてきたことですが、なぜ雇用率、納付金、調整金の対象としなかったのですか。
今回の改正で、国及び地方公共団体の障害者雇用状況について、的確な把握等に関する措置がとられました。報告徴収、書類保存、勧告等ですが、民間企業にはある立入検査の規定は、国、地方公共団体には設けられておりません。これでは実効性ある再発防止策とはなり得ません。
障害当事者、関係者は、今回の事態を受けて、第三者性を備えた監視のための仕組みづくりを求めています。
中央省庁の障害者雇用率の遵守を始め、合理的配慮の提供を含めた障害のある労働者の待遇や採用選考のプロセスについて、チェックできる仕組みづくりが必要です。行政機関から独立した監視機構の創設を検討すべきではないですか。
雇用率の偽装により障害者政策に関わる基礎データの信用性がなくなり、誤ったデータにより国の障害者政策が論じられてきたことになります。雇用率の偽装というあるまじき事態を受けて、今求められるのは、これを機に障害者の労働政策の検証を行い、抜本的に見直すことです。
日本の法定雇用率は、公的部門二・五%、民間企業二・二%であり、ドイツ五パー、フランス六パーなど、国際水準から見ても低過ぎます。法定雇用率を引き上げることを求めるものです。
また、重度障害者を一人雇用することと重度でない人二人を雇用することが同じとみなすダブルカウントは見直すべきです。ダブルカウントは、事業者の経済合理性を優先した制度、論理であり、障害者の尊厳を損なうものです。
現在の雇用義務制度が就労の困難さの実態を反映されたものになっているかについても検証すべきです。雇用義務の対象となる障害者の範囲は、原則、障害者手帳の所持者と一致しますが、日本の障害認定基準は極めて厳しく、手帳所持者も著しく少ないのが現状です。
障害者権利条約批准後、法制度は医学モデルから社会モデルに転換しています。労働雇用政策における障害者の捉え方についても社会モデルに見直すべきです。答弁を求めます。
今回の法改正では、法定雇用率の対象拡大は見送られました。難病、慢性疾患患者の自立や社会参加にとって、就労は大きな課題です。障害者手帳を保持していない難病、慢性疾患患者を法定雇用率の対象にすべきではありませんか。
また、障害者雇用促進法は、国家公務員に関して、差別禁止規定、合理的配慮規定を適用除外としています。この見直しこそ必要ではありませんか、お答えください。
長年にわたり、採用試験において、自力で通勤できること、介助なしで勤務遂行できることなど条件が付けられ、実質的に障害者は排除されてきました。これらの条件は、今回の国家公務員採用試験では、関係団体の批判により外されることとなりました。しかし、合格したとしても、個別の支援、介助がなければ働くことは保障されません。
そもそも、現状では、民間企業も含め、障害者が働く際には、行動支援、移動支援、重度訪問介護などの福祉サービスは使えません。納付金による介助者への助成制度があるものの、原則十年までしか使えないのです。見直すべきではありませんか。
障害者雇用の先頭に立つべき行政機関の中にある根深い障害者排除の意識が社会障壁となって、障害のある人に合理的配慮や必要な支援を講じることを妨げ、障害者権利条約や関連法令を形骸化させているとの指摘を厳粛に受け止めるべきです。
最後に、障害のある人もない人も分け隔てなく共に生きる社会を目指す障害者権利条約の観点を実現する立場で、障害のある人が働くことを支える仕組み、見直すことを強く求めて、私の質問といたします。(拍手)
〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕