石橋通宏の発言 (本会議)

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○石橋通宏君 立憲民主党・民友会・希望の会の石橋通宏です。
 私は、ただいま議題となりました法律案に対し、会派を代表して質問いたします。
 法案の質疑に入る前に、一言申し上げるとともに、安倍総理に質問いたします。
 私たちは、四月十二日、参議院規則にのっとり、予算委員会の開催を要求いたしました。規則では開催しなければならないとされているにもかかわらず、二か月近くたった今なお開催されておりません。これは、与党による明確な規則違反であり、審議拒否であり、国民に対する背信行為です。
 この二か月の間、国内外で国民生活に重大な影響を及ぼし得る多くの重要課題が発生しています。安倍総理始め行政府にその現状認識や対処方針をただし、正しい方向に導いていくことこそ、私たち良識の府参議院の責務であるはずです。与党の皆さんには猛省を促すとともに、一刻も早く予算委員会を開催することを重ねて強く要求いたします。
 その上で、安倍総理、よもや安倍総理自身が予算委員会をやらないようにと与党に指示しているなんてことはないと思いますが、総理・総裁として、一日も早く予算委員会を開催するよう指示するつもりはないのか、総理の姿勢をただします。
 我が国の経済情勢は、景気動向指数が悪化に転じ、月例経済報告の景気判断も引き下げられるなど、明らかに景気後退の兆候を示しています。米中貿易戦争が激しさを増し、メキシコに対しても追加関税が課されるなど、我が国の産業や雇用にも大きな影響が懸念される中、総理として現状をどのように認識されているのか。そして、それでもなお十月の消費税引上げを予定どおり実施するつもりなのか、方針をお聞かせください。
 また、先日、国賓として来日したトランプ米国大統領が、安倍総理による過剰なまでの手厚い接待のさなかにも、貿易交渉で大きな進展があった、特に農業と牛肉だ、大部分は選挙後を待つが、大きな数字を見込んでいるとツイートし、また、首脳会談後の共同記者会見では、TPPなんか関係ないと発言しています。額面どおりに受け止めれば、農業、畜産業でTPP以上に米国に譲歩したとしか考えられませんし、その都合の悪い話を選挙が終わるまで隠しておくようにお願いしたとしか聞こえません。
 よもや、我が国の第一次産業を売り渡すような約束をしたんじゃないでしょうね。そうであれば、国民に対する重大な裏切りです。安倍総理、違うのであれば、米側に厳重に抗議したのか否かも含め、トランプ大統領の発言の真意と約束の中身をこの場で明確に説明してください。
 もう一点、丸山穂高衆議院議員の発言と、その出処進退について伺います。
 丸山議員は、去る五月十一日、国後島を訪問中、酒に酔い、戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですかなどと発言し、所属していた日本維新の会を除名されました。その後の報道では、酔っ払った挙げ句に破廉恥な言動を繰り返し、女性が接客する店を求めて外出しようとするなど、国会議員の品位をおとしめた行動を繰り返していたことも明らかになっています。
 安倍総理は、このような丸山議員の発言や言動についてどのように評価しておられるのか、これらの言動が議員辞職に値するかどうかの認識も含めて御答弁願います。
 それでは、以下、法案の質問に入ります。
 昨年三月、東京都目黒区で、父親からの度重なる児童虐待の結果、船戸結愛さんが僅か五歳で尊い命を奪われました。私たちは即座に検討に着手して、野党合同で児童相談所緊急強化法案を通常国会に提出し、児童福祉司の増員や関係機関の連携強化などの対策を求めました。しかし、与党は審議すらしようとしませんでした。そして、今年一月、千葉県野田市で、同じく父親からの虐待で栗原心愛さんが命を奪われました。
 昨年の段階で何らかの法改正が実現していれば心愛さんの事件を防ぐことができたかもしれないと思うと、痛恨の極みであります。政治の不作為が救えるはずの命を救わなかったのだとすれば、これほどまでに立法府の責任を重く感じることはありません。
 私たちは、もう二度と悲惨な児童虐待死を発生させてはなりませんし、児童虐待の撲滅を実現していかなければなりません。その強い決意と覚悟を持ってこの法案の審議と対策の強化に臨むことを、同僚議員の皆さんにも心から呼びかけたいと思います。
 その上で、第一の質問を安倍総理にいたします。
 総理は、我が国で今、児童虐待が増加の一途をたどっている原因は何だとお考えでしょうか。児童虐待増加の背景には、必ず社会的、経済的な要因などを含め、理由があるはずです。その原因の調査研究の努力を政府は行っているのでしょうか。原因の特定と、それに対する政策なくして児童虐待をなくすことはできないと考えますが、その必要性、重要性に対する見解も併せてお答えください。
 第二に、児童虐待を犯してしまった加害者への支援・回復プログラムの抜本的強化の必要性について質問いたします。
 野田市の事件では、児童相談所や教育委員会の対応、特に、一時保護を解除した判断の妥当性が強く問われています。虐待が再発する危険性があったにもかかわらず子供を戻してしまった問題は、深刻に受け止めなければなりません。
 今こそ、児童虐待をしている加害者が、その行為の非を自ら認知し、二度と虐待行為を行わない状態にまで改善、回復していることを確認した上でなければ子供を戻さないという政治的決断と、そのための支援を行う制度的な対応が必要なのではないでしょうか。そもそも、最初から児童虐待をするつもりで親になる人間などいないはずです。しかし、潜在的な要因も含め、何らかの理由で児童虐待をしてしまい、やめなきゃいけないと悩みながらも続けてしまう保護者も多数存在しているはずです。そのような加害者を救うことにこそ、もっと政策資源を投入すべきではないのでしょうか。
 しかし、当初の政府案には、この加害者に対する支援・回復プログラムの強化が含まれておりませんでした。なぜそれが不必要だと考えたのか、安倍総理に説明を求めます。
 その上で、衆議院の修正で、児童虐待を行った保護者について、児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学的知見に基づく指導を行う努力義務が加えられました。
 努力義務にとどめられたことは残念ですが、一歩前進だと考えます。では、具体的にどのような指導が行われることになるのか、これによって、例えば一時保護解除の要件も変えることになるのか、根本厚生労働大臣に確認いたします。
 続いて第三に、児童福祉司の増員と専門性の強化及び処遇の改善について質問いたします。
 児童相談所の体制強化については、まず何より児童福祉司の増員が必要なのは当然ですが、中途半端では駄目だと思います。昨年十二月の新プランで、政府は児童福祉司を二〇二二年度に五千人体制として、児童福祉司一人当たりの標準的な業務量を相談件数トータルで四十ケース相当になるように見直すとしています。
 一方、私ども野党が衆議院に提出した法案では、相談件数を一人当たり四十件以下と明記して、できるだけ少ない対応件数で丁寧な対応ができ、かつ児童福祉司の負担軽減にもつながる体制とすべきことを訴えています。
 政府は、それでは柔軟な運用ができなくなるなどと答弁していますが、虐待を受けている子供たちの命に関わる問題に柔軟な運用など要りません。安倍総理、相談件数を一人当たり四十件以下にすることを明記して、その達成に十分な増員を実現すべきではないでしょうか。見解をお示しください。
 もちろん、ただ児童福祉司の人数を増やすだけでは十分ではありません。個々の児童福祉司の専門性、資質の向上が大変重要です。この資質の向上という課題について法案にどのような強化策が盛り込まれているのか、根本厚生労働大臣に確認いたします。
 また、衆議院の修正で、児童相談所職員の待遇改善が検討規定に盛り込まれました。子供の命を守る児相職員の仕事は責任が重く、本当に大変な仕事であり、その上に今回、専門性や資質の向上を求めるのであれば、それに見合う処遇の抜本的な改善は必須であり、急務だと考えます。地方自治体の職員だとしても、児相職員の待遇改善のためには何らかの制度的な対処と財政上の措置を国として実施すべきだと考えますが、根本厚生労働大臣の見解を伺います。
 第四に、体罰禁止について質問します。
 政府はこれまで、民法八百二十二条に規定されている懲戒権の中に体罰が含まれるとの立場に立ち、国会答弁でもそれを維持してきました。現行の児童虐待防止法も、親権を行う者は、児童のしつけに際して、監護、教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならないと規定し、それが、しつけのための体罰が社会的にも容認され、結果、児童虐待がなくならない一つの大きな要因になってきました。
 であれば、今回、なぜこの民法八百二十二条の懲戒権そのものの削除にまで踏み込む改正をしないのか、安倍総理の説明を求めます。
 その上で、政府案では、親権者による体罰を禁止する規定を児童虐待防止法に盛り込み、民法の懲戒権の在り方については施行後二年を目途に検討を行うとしています。この改正がどのような法的な効果を生むのか、これで親権の行使における体罰は一切禁止されることになるのか、安倍総理に明確な説明を求めます。
 第五に、児童の権利の保護、特に意見表明権の保障について質問いたします。
 野田市の事案では、亡くなった心愛さんが助けを求めた声は周囲の大人たちに黙殺されてしまいました。二度とこのようなことを起こさないためにも、子供の意見表明権を具体的に保障する仕組みが必要不可欠だと考えます。
 国連の子どもの権利条約では、十八歳未満の子供も大人と同じ権利の主体と位置付け、暴力や搾取から守られる権利とともに、自由に意見を表明する権利も保障することとしています。
 衆議院の修正では、児童の意見を聴く機会の確保や、児童の権利を擁護する仕組みの構築が検討規定として明記されましたが、この点について具体的にどのような制度を検討していくのか、安倍総理の見解と早急な制度構築に向けた決意を伺います。
 第六に、児童虐待対策と配偶者へのドメスティック・バイオレンス対策との連携の必要性について質問いたします。
 野田市の事件では、父親の逮捕後、母親も傷害幇助の罪で逮捕されました。一方で、母親に対して長年にわたる家庭内暴力があり、精神的従属、コントロール状態に置かれていた疑いが指摘されています。
 児童虐待と配偶者に対するDVには密接な関連性があることは明らかであり、配偶者の適切な保護や支援なくして児童虐待の撲滅はできないと言っても過言ではありません。
 衆議院の修正で、通報の対象となるDVの形態及び保護命令に係るDV被害者の範囲の拡大について検討し、必要な措置を講じることとなりましたが、本来は、今回の改正に併せてDV法も改正して具体的な措置を講じるべきだったのではないでしょうか。
 なぜ政府は、今回、DV法に具体的な措置を盛り込む改正を行わないのか、法案ではDV対策と児童虐待との連携についてどのような策を講じようとしているのか、根本厚生労働大臣に答弁を求めます。
 最後に、医療との連携強化の必要性について質問いたします。
 児童虐待問題に関わっているある専門医は、目黒区の結愛さんの事案では、二度にわたって一時保護された際に、その都度、協同面接と系統的全身診察が行われていたにもかかわらず、両者の情報共有がされなかったために、虐待のアセスメントが不十分なままに終わってしまった問題を指摘しておられます。野田市の心愛さんの事案でも、医師が性的虐待の疑いがあると診断していたにもかかわらず、その直後に柏の児童相談所が一時保護を解除していたことが明らかになっています。
 これらの事案を踏まえれば、医療との連携強化は必要不可欠であり、特に、協同面接と系統的全身診察とを連携させて一つのアセスメントとして制度的に確立させることなど、具体的な制度構築が必要だと考えますが、本法案においていかなる措置が講じられているのか、根本厚生労働大臣の答弁を求めます。
 以上、法案の内容について質問いたしました。
 私たち立憲民主党は、児童虐待死の根絶と児童虐待そのものの撲滅に向けて、子供の権利が守られ、全ての子供たちが大切に育まれて、健やかに成長できる環境を社会全体でつくり、確保していくために、これからも全力を尽くしていく覚悟であることをお約束申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 石橋通宏

speaker_id: 20059

日付: 2019-06-05

院: 参議院

会議名: 本会議