倉林明子の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表し、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案について質問します。
 児童福祉法は、一六年改正で初めて第一条に「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」と規定され、子供が権利の主体者としてうたわれました。子どもの権利条約批准から二十年、この精神をいかに具現化していくかが問われています。
 子供を守り育てるのは社会の責任です。しかし、今、子育てをする家族の現状は、貧困、格差が広がり、孤立する親子が少なくありません。親の責任が様々に追及される中で、支援を求めることもできず、余裕なく追い詰められているのではないでしょうか。
 様々な対策が取られる中で、虐待の相談通報が増え続ける背景に何があるのか。子供への虐待を、個別の家族の問題としてのみ捉えるのではなく、それを支える社会の問題として捉え直し、親、家庭に重い責任を負わせていないか、改めて検証する必要があります。総理の認識をお聞かせください。
 子供は、権利主体として、その尊厳、身体の不可侵性が尊重されなければならず、子供に対する暴力である体罰は許されません。
 法案が、しつけを口実とした体罰は虐待であり、許されないことを明らかにしたことは重要です。しかし、なぜ親権を行う者による体罰に限定しているのですか。
 しつけ、指導の名を借りた体罰は、父母以外の親族、父母の内縁者からも行われています。家庭内のみならず、子供たちのあらゆる生活の場で起こり得るものです。誰からのものであっても禁止されるべきではありませんか。あわせて、民法八百二十二条の懲戒権の削除に踏み込むべきです。
 児童相談所の体制強化について質問します。
 児童虐待の相談対応件数はこの十年で三・三倍に増えたのに対し、児童福祉司の配置数は一・四倍にとどまっています。
 厚労省は、児童福祉司一人当たりの担当の目安として四十ケースを示しています。しかし、現場からは、百ケース以上を担当し、虐待通報への初期対応に追われ、保護者と対立するなど困難な対応の増加で疲弊しているとの声が上がっています。
 四十ケース以上担当する児童福祉司の数と比率はどうなっていますか。政府は、新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランで児童福祉司の増員を前倒しして実施するとしました。これによりどの程度改善するのですか、お答えください。
 児童福祉司の勤務年数は三年未満が四四%を占めています。日本自治体労働組合総連合が二〇一二年に公表した調査では、一五%が無資格のまま児童福祉司に任用されているといいます。専門性の確保に向け、国の責任で計画的な人材育成が求められます。
 同時に、相談支援に関する効果的な取組の構築と継承が求められています。そのためにも、児相職員の日々の支援によって子供たちが守られたケース、これにも光を当て、支援の手法の検証、蓄積をすることが必要ではありませんか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、児童相談所の一時保護について質問します。
 児童相談所による一時保護は年々増加し、都市部を中心に一時保護所が不足し必要な措置がとれない、定数超過、在所日数の長期化、学習権の保障、混合処遇等、様々な問題が指摘され、この間強く改善が求められてきました。
 入所する子供たちは、家庭環境に深刻な問題があり、自身も深い心の傷を負っていることや、発達障害などの子供も増えるなど、一人一人に応じた個別の支援が必要になっています。また、一時保護は、子供たちのアセスメントを行って、次の支援につなげていく重要な役割を担っています。
 現在、一時保護所には、養護施設の設備、職員基準が準用されているものの、対応の困難性、一人一人に向き合ったケアの充実の必要性を踏まえれば、更なる基準の引上げが求められています。一時保護所の役割を踏まえ、個室化など独自の手厚い施設基準、心理職などの専門職の配置を含め、個別対応が可能な職員配置基準が必要ではありませんか。
 子供への虐待を防ぐために、身近な場所で子供と家族を支える基礎自治体の役割が重要です。市町村が子ども家庭相談の窓口として位置付けられて十数年。二〇一六年の児童福祉法改正では、市町村を子ども家庭支援の要とし、指導、支援の窓口として役割を明確化しましたが、市町村の体制はいまだ確立したとは言えません。
 市町村の虐待対応窓口の担当職員で、児童福祉司と同様の資格を持つ職員の比率はどうなっているでしょうか。
 有資格者の比率は、人口規模が少なくなるとともに低くなっており、十万人未満の市でも三割は無資格者です。また、非正規職員が多く、専任職員が少ない。加えて、異動周期が短く、専門性が定着しないとの指摘があります。
 基礎自治体である市町村には、子供、家族を受け止め、支える役割が期待されています。国は、市町村における相談支援についても、専門性を蓄積するために、複数の正規職員の配置や心理職等も含め、専門職を確保できるよう財政支援を拡充すべきです。答弁を求めます。
 子供の安全、安心、命を守るためにも、更なる公務員の削減は見直すべきです。新プランに基づく増員について、職員削減率を用いた交付金算定を見直すとしていますが、市町村の子ども家庭相談、虐待相談を担当する職員についても、交付金削減の対象から外すべきです。子育て支援に努力する自治体が不利になるような仕組みの見直しを強く求めるものです。答弁を求めます。
 千葉県野田市で少女が虐待死させられた事件で、母親が逮捕されたことにDV被害者は衝撃を受けています。DVという過酷な暴力の支配下にある家庭で、母親なのだから子供を守るべきだなどということが通用するはずがありません。少女の母親は、加害者として逮捕されるべき存在ではなく、保護、支援されるべき存在です。一方的に非難されることがあってはなりません。
 虐待の陰にはDVがあり、DVと子供への虐待を一つながりのものとして捉えた対策が必要です。関係機関が、DVによる支配とコントロールの構造、被害者、子供への影響を含め正しく理解するために、子供に関わる全ての機関で専門的研修、教育を義務付けるべきではありませんか、お答えください。
 現在のDV支援については、民間支援組織を含む関係団体から多くの問題が指摘されており、法改正を含め早急な見直しが必要です。答弁を求めます。
 DV被害者を始め、多岐にわたる困難を抱える女性の相談、危機介入、生活再建等に関わる総合的な支援に当たる婦人相談員の処遇は極めて重要です。市町村への配置を義務化するとともに、その専門性にふさわしい処遇改善が行えるよう財政措置を講じるべきです。
 子供を守るためには、母親、女性が守られなければならず、その支援の在り方を抜本的に見直すことが必要です。
 現在の婦人相談員を始めとする婦人保護事業は売春防止法を根拠としており、女性の人権も尊厳も認めていません。DVを始め、貧困、居場所を失い孤立した女性、性的搾取など、様々な困難を抱えた女性が、人権と自己決定が尊重され、必要とされる支援が切れ目なく受けられるよう、抜本的な見直しをすべきです。
 以上、答弁を求め、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X02320190605_020

発言者: 倉林明子

speaker_id: 13807

日付: 2019-06-05

院: 参議院

会議名: 本会議