伊藤孝恵の発言 (本会議)

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○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表し、平成二十九年度決算の是認に反対、平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認に反対、内閣に対する警告に賛成の立場から討論を行います。
 長年、決算委員会での熟議に心血を注いでこられた又市征治先生が入院される前、毛筆で伊藤孝恵様と書かれた封書を事務所に届けてくださいました。そこには、平成十五年一月に、当時、参議院改革協議会座長でいらした青木幹雄先生が参議院議長に宛てた決算の早期審査のための具体策について結論を得た旨の報告書を始め、我が国において決算審査結果を予算審議に反映させる仕組みが確立していないがために財政統制が不十分であることを憂い、先人たちがそれを何とかして変えようとしてきた軌跡やその意義、また、国会法第百五条による会計検査院への検査要請を活発化させ、その結果をもって決算委員会の審議を充実させることへの執念がしたためられた資料が入っており、ここを見てくれとばかりにピンク色の蛍光ペンで何か所にもラインが引かれておりました。
 この度、決算委員会による警告決議、措置要求決議が全会一致をもって調えられるに至ったのは、調査室や委員部の皆様を始め、石井みどり委員長、各党の理事、委員の皆様、何より決算重視の参議院の矜持を体現される西田昌司与党筆頭理事の御尽力があってのことと、心より御礼申し上げます。決議の中には、与党にとって大変厳しい内容のものも含まれておりましたが、俺かて政府に言いたいことあるんやとばかりに西田筆頭理事が御奮闘いただいたのだろうと想像するところであります。
 だからこそ、ただ一件、のみ込んでいただけなかった米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸域への移設に係る事業の実施状況についての会計検査院への検査要請については、与野党に政策の違いはあったとしても、度重なる契約変更によって総工費が大きく膨張していることは紛れもない事実であり、又市先生が病床から託されたこの魂の要請のみが与党の反対によって合意に至らなかったことは無念でなりません。
 さて、本題に入ります前に、国家戦略特区ワーキンググループの座長代理が漁業法の規制緩和を求める申請団体に指南し、協力会社がコンサルタント料を得ていたのではないかとされる問題にも触れておかなければなりません。
 幾ら座長代理が反論しても、特区ビジネスコンサルティングの登記簿や座長代理が代表を務める政治団体の収支報告書が疑惑の存在を物語っています。幾ら平成二十七年十月のヒアリングの事実をなかったことにしても、平成二十八年九月七日の議事要旨がそれを許しません。ヒアリングは非公式だったと言い切れば収束できると思っているなら、非公式の場で、民間委員からの提案一つで、水産庁長官が調査を命じる通達を出し、漁業法を改正したことになってしまい、事態はより深刻になります。
 安倍総理が透明でフェアな議論が行われていると再三述べるワーキンググループは、もはや利益相反によだれを垂らすブラックボックス集団と言っても過言ではありません。
 我々国民民主党は、国家戦略特区の見直し法案を今国会中に再度提出するとともに、座長代理のような民間委員が、公務員であれば収賄罪に問われるような行為をしても罰することができない現在の法律の水漏れを塞ぐため、民間人が国会に係る審議の過程で知り得た情報又はその地位を自らの利益のために使用することを禁じる法律を提出する予定です。
 それでは、以下、平成二十九年度決算に反対する理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、長期債務の残高が増加していることに対し、有効な対策を取れていない点です。
 平成二十九年度末の国債及び借入金残高は一千八十七兆円となり、前年度末から十六兆円増加し、五年連続で一千兆円を上回っております。特に、将来の税収で返済しなければならない普通国債残高の増加は著しく、平成二十九年度末には八百五十三兆円と、この十年間で三百十一兆円増加し、税収のおよそ十五年分に相当する規模となりました。
 まさに、今の世代が受益したツケを将来世代に先送りしている状況です。もうこれ以上、財政健全化について責任ある者が見て見ぬふりをすることは許されません。
 反対の第二の理由は、歳出項目の硬直化により、弾力的な政策運営ができていない点です。
 平成二十九年度決算において、社会保障関係費三十二・五兆円と国債費二十二・五兆円だけで歳出決算額に占める割合が五六・一%に上るなど、歳出項目の硬直化が続いています。
 今後も社会保障関係費と国債費の増加が見込まれる中、現在は低金利により利払い費が低く抑えられておりますが、金利上昇局面ではこの利払い費が急増することも懸念されます。
 社会保障改革が財政に与えた影響を分析し、それを今後に生かしていくことこそが、決算的観点から何よりも重要です。しかし、見直すべきところを見直していないため、長期的視点に立った弾力的な政策運営ができておらず、子供を産み育てやすい環境整備のための予算が不十分であったり、就職氷河期世代への雇用機会の確保、中高年を含めた引きこもり対策が不十分であったり、また小さな命をつなぐための児童虐待防止対策など、喫緊の課題への対応が十分ではありません。
 よって、このような二十九年度決算を是認することは到底できません。
 反対の第三の理由は、安倍内閣による経済政策の破綻は明らかであるにもかかわらず、それを取り繕い続けている点です。
 安倍総理はしきりにアベノミクスの成果を喧伝されますが、問題は、成果とされているものが実感を伴っていないことです。
 毎月勤労統計における一連の改ざんや偽装では、消費者心理や経済を分析する上で重要な指標となる実質賃金がかさ上げされており、実態は大きく低下していたことが明らかになりました。事実、世論調査などでは、多くの国民が景気回復を実感できていないと回答しております。アベノミクスの効果は全国津々浦々に行き渡ってなどおりません。
 このような中、政府は本年十月に消費税率の引上げを行おうとしています。逆進性が高く、低所得者ほど負担が大きくなる消費税率の引上げを今行うことは本当に現実的なのでしょうか。
 国民の将来への不安を取り除くどころか増幅させた政府による平成二十九年度決算を是認する理由は見当たりません。
 以上が、平成二十九年度決算に反対する理由です。
 次に、内閣に対する警告に賛成する理由を述べます。
 毎月勤労統計における改ざん事案、公的機関における障害者の法定雇用率未達成や防衛装備品に係るコストデータベースシステムの不適切整備など、極めて重大かつ深刻な事案を生じさせた政府に対して、猛省を求め、遺憾の意を表明するとともに、抜本的な改善や措置の実施を強く求める今回の七項目の警告には賛成をいたします。
 また、官民ファンドの在り方や高齢運転者による交通事故防止の取組、男性育休の取得推進、児童虐待防止のための児童相談所等の業務改善など、決算委員会における我が会派の質疑に基づくものも含む十七項目の措置要求決議についても賛成いたします。
 あわせて、公的統計の整備に関する業務の実施状況や政府情報システムの整備、運用、利用の状況など、会計検査院に対する検査要請五項目についても賛成いたします。
 老後二千万円不足問題では、自民党は金融庁に抗議し報告書の撤回を求めたと聞いております。麻生金融担当大臣は、御自身の諮問機関である審議会からの報告にもかかわらず、受け取らないと言い、森山国対委員長は、報告書はなくなった、二階幹事長は、参議院選を控えており、候補者に迷惑を掛けないようにとおっしゃったそうです。年金の真実を選挙前に公表することは迷惑なのですね。だから、財政検証も出てこないのですね。
 決算重視である我々参議院は、行政を監視し、衆議院の間違いを正し、国民からの負託に応える使命があります。
 報告書をなかったことにしても、大臣が受け取らなくても、公的年金だけでは老後が不安定であるという事実は消えません。当委員会の締めくくり総括質疑では、我が党の大塚耕平参議院会長の指摘により、年金給付開始年齢を政府が六十五歳から七十歳に意図的に先延ばしするかのような詐欺的誘導をしている実態も明らかになりました。
 かくなる上は、年金百年安心は、国民が安心という意味ではなく、制度が百年安心という意味でしたと正直に訂正し、国民の皆様にはまず謝罪、その上で、私たちが生きる社会は大きく変わったので社会の仕組みも変えていかなければならない、年金の議論をちゃんと始めます、国会全体で取り組みます、そう言って、参議院規則第三十八条二項に基づく予算委員会を開催し、大いに議論したらいいではありませんか。
 私たちは、自らの責務にのっとり、ただすべきことをただすべきです。この当たり前から逃げてはいけません。国民民主党はこれからも新しい答えを提案していく努力を惜しまないことを表明し、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 伊藤孝恵

speaker_id: 17711

日付: 2019-06-14

院: 参議院

会議名: 本会議