小西洋之の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○小西洋之君 立憲民主党・民友会・希望の会の小西洋之です。
ただいま議題となりました予算委員長金子原二郎君解任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
四月十二日、野党五会派は、参議院規則三十八条二項に基づく予算委員会開会要求を金子委員長に提出しました。塚田国交副大臣のそんたくロード発言、櫻田五輪担当大臣の東日本大震災の復興以上に自民党の衆議院議員が大事発言が飛び出す中、安倍内閣の政治姿勢について厳しく問いただす必要等があったからです。
しかし、本日までの七十二日間、金子委員長は本院規則違反を犯し、この開会要求に応えることはありませんでした。これは、憲法五十八条が定める国会の自律権を否定する暴挙であり、我々立法府の行政監督機能をなきものにする、議院内閣制そのものを否定する蛮行であります。さらには、参議院選挙前の総理質疑を封じるという、民主主義及び国民主権そのものを否定する空前の暴挙なのであります。
一方で、予算委員会において安倍総理に問いただすべき重要課題はますます膨れ上がっているのであります。
本年一月、毎月勤労統計の不正が発覚し、予算委員会審議を通じて、厚労省の調査委員会が隠蔽を隠蔽するための調査を行っていたなどの更なる不正が次々と判明し、公的統計に対する国民の信頼はまさに地に落ちたのであります。
ところが、政府は、共通事業所の実質賃金伸び率データをいまだに示していません。算出は困難と開き直った三月の中間取りまとめから全く進展がない状況なのであります。アベノミクスの成果及び十月の消費増税の判断に関わる最重要データを隠蔽し、臭い物に蓋をしようとする政府を許してよいわけはありません。
また、六月三日に公表された金融審議会市場ワーキング・グループの報告書では、定年後九十五歳までに夫婦で約二千万円もの蓄えが必要となるとの試算が示されました。
百年安心。平成十六年の年金制度改革の折、公的年金についてこのように豪語したにもかかわらず、制度の信頼性そのものに国民の大きな不安が広がっています。ところが、麻生大臣は、この報告書を正式な報告書として受け取らないと表明しました。金融審議会は、専門性と適正性に基づく金融行政を確保するために金融庁設置法により国会が政府に設置した、いわゆる国家行政組織法上の八条委員会に該当する重要な審議会であります。その審議会に対し麻生大臣が設置法七条の規定に基づき諮問した報告書を、臭い物には蓋をすると受取を拒否することは、端的に法律違反そのものであり、我が国の行政機構そのものを崩壊させる暴挙なのであります。
なお、ワーキング・グループの座長は、実は親会の金融審議会の会長と同一人物の神田秀樹教授であり、そして、ワーキング・グループの構成員の全員は、安倍総理自身が、親会たる金融審議会の委員あるいは専門委員として任命した有識者です。つまり、金融審議会そのものともいうべき組織による報告書を政策遂行上の参考文書としない、すなわちその内容を関知すらしないという安倍政権の姿勢は、自らの政府の審議会の存在資格そのものを否定する支離滅裂な事態なのであります。
要するに、安倍総理と麻生大臣の主張に従えば、金融審議会は機能不全、体制崩壊の状況にあり、即刻、会長以下の委員は解任されるべきなのであります。しかし、そのような暴挙が許されるわけはありません。即刻解任されるべきは麻生大臣であり、即刻辞職すべきは安倍総理であるのであります。
さて、これで事態が収拾すると思ったら大間違いであります。麻生大臣は、受取拒否の理由を国民の不安を抑えるためとしていますが、国民の不安を払拭するのに必要なのは、報告書の受取拒否ではなく、予算委員会の場で年金制度の実態やその持続可能性などについて、ごまかすことなく誠実に答弁をすることであります。
さらに、年金財政検証は一体いつになったら公表されるのでしょうか。前回は六月初旬の公表が、今年は下旬になっても一向に出てきません。しかし、厚労省の担当課長の説明ぶりからは、既に準備は終わっているが官邸の指示で止められているという事実があぶり出されているのであります。選挙前に、都合の悪い事実を覆い隠し、あるものをないことにする行為、断じて認められません。安倍総理は、今国会中に財政検証を公表し、予算委員会の場で堂々と評価を受けるべきなのであります。
イージス・アショアについては、防衛省の調査報告書がグーグルアースで作成されていたという、言葉にもならないような許し難い手抜き調査があったのであります。しかも、その申し開きの住民説明会では職員が居眠りを行い、さらには、津波の影響予測についても説明と異なる調査ミスが明らかになっています。
岩屋防衛大臣は、引き続き、秋田、山口の候補地が最適地であるなどと言い張っていますが、結論ありきの調査だったのではないかという地元住民や地元自治体の声に応えるためにも、予算委員会の開催は必須であります。
さらに、国家戦略特区をめぐり、第二の加計学園疑惑ともいうべき問題が生じています。ワーキンググループの座長代理と協力関係にあるコンサルタント会社が、学校法人から二百万円ものコンサルタント料を受け取り、直接指導や会食をしていた事実が発覚しました。さらに、会社が関与した規制改革案のヒアリングの開催が首相官邸のホームページで伏せられていることが明らかになりました。当初、開催を確認できないとしていた内閣府は、野党合同ヒアリングで、一転、開催を認めました。さらに、六月十九日には、水産庁から記録文書が発見されたと報道等されています。総理の御意向に染まった安倍内閣の隠蔽と利益誘導の象徴というべき国家戦略特区の実態解明の集中審議は必須なのであります。
外政問題に議論を転じます。
安倍総理は、六月十三日、イランを訪問し、最高指導者などと会談しました。二〇一五年の安保法制の立法事実として、石油目的でイランに対し国際法違反の先制攻撃である限定的な集団的自衛権を発動することを明言した安倍総理のような人物を、礼節を持って温かく迎え入れてくれたイラン政府とイラン国民に私たちは心から感謝をしなければなりません。
しかし、トランプ大統領からのメッセージへの回答を拒否されるという、いわゆる餓鬼の使い以下のこの会談の成果は一体何だったんでしょうか。一方で、総理の訪問中にホルムズ海峡においてパナマ船籍タンカーへの攻撃が発生しました。今回の訪問成果や中東情勢の分析、評価について、予算委員会を開催し、安倍総理に問いただす必要があります。
日米の貿易交渉も重要です。
五月下旬にトランプ大統領が来日し、安倍総理はかいがいしいまでのおもてなしを繰り広げました。しかし、首脳会談においては、農業分野でアメリカに譲歩する代わりに貿易交渉の合意を参院選後に延期する密約が交わされたのではないかと指摘されています。農産品のTPP協定を超える譲歩は、国内農家に大打撃を与えるものであり、断じて認められません。首脳会談で何が話され何が合意されたのか、参議院選挙前に安倍総理は予算委員会の場で説明する必要があります。
さらに、安倍総理は、アメリカの首脳として初めて自衛隊を視察したトランプ大統領と、空母化される護衛艦「かが」の甲板上で天地がひっくり返るような恐るべきスピーチをしています。すなわち、安倍総理は、本艦を改修しF35戦闘機を搭載することでインド太平洋地域の平和と安定に一層寄与していくとの旨を述べ、それに対しトランプ大統領は、「かが」をグレートシップと称賛した上で、F35を搭載することにより「かが」ははるかかなたの地域までアメリカを守るであろう、安倍総理はアメリカの安全保障を促進する偉大な人物だ、全てのアメリカ人に代わって、アメリカ国民を守ってくれる自衛隊員に深く感謝するとの旨を述べているのであります。これは、まさに日米首脳が、自衛隊が憲法違反の海外派兵と他国防衛を行うことを宣言している大事件なのであります。
防衛大綱と中期防には、「かが」の空母化は我が国の防空体制の強化のためとのみ記載されています。まさに、自衛隊員の命を守り、我が国の平和主義を守るためにも、一刻も早く予算委員会で安倍総理を追及する必要があるのであります。
拉致問題のためにも、予算委員会開催は必須です。
安倍総理は、五月六日に突如、北朝鮮の金委員長と条件を付けることなく会談すると表明しました。しかし、その意味は、首脳会談開催に向けた強い決意を表明しただけのものと答弁しています。単なる決意表明にすぎないのであれば、それはいわゆる青年の主張と何が違うのでしょうか。拉致被害者とその家族の思いを弄ぶ、選挙目当ての発言ではないのか、安倍総理に対してしっかりと確認する必要があります。
また、韓国軍の自衛隊機へのレーザー照射事件をめぐり、自民党の中にも批判が多い先日の岩屋防衛大臣と韓国国防相との会談が真に国益を確保したものであるのか、与党議員の先生方にも予算委員会で厳しく追及していただかなければなりません。
さらには、今月末のG20において議長国として目指すべき成果、アベノミクスの下で広がる格差と安倍長期政権が生み出した百年不安社会への対処、アベノミクスにより経営危機に陥った地域の金融、膨大な赤字が累積した官民ファンド、これらの重要課題についても、安倍総理自身の認識を問わなければいけません。
以上、予算委員会を開催し、議論すべき内外の諸課題を申し上げました。
まさに、国民が人生や社会の不安を解決するために予算委員会で議論してほしいと切望する重大課題が山積しているのであります。このような中、予算委員会を開会しないことは、議会制民主主義の自殺行為であり、国民への裏切り行為そのものであります。
参議院規則三十八条二項には、「委員の三分の一以上から要求があつたときは、委員長は、委員会を開かなければならない。」と明記されています。この条文は昭和二十二年六月の規則制定時から存在する条文であり、その趣旨は、逐条解説書において、委員長は、中立公正にその職務を行うのが当然の責務であるが、委員長が委員会を開く意思がない場合、委員の三分の一以上から要求があれば、委員長は必ず、繰り返します、委員長は必ず委員会を開かなければならないと明記されています。そして、殊に、委員長が故意に、わざと委員会を開かない場合をおもんぱかって、この規定が置かれたと明記されているのであります。
つまりは、規則三十八条は、委員長が党利党略にからめ捕られ、あるいは官邸の言いなりに陥るような今日の異常事態を含め、何があっても絶対に国権の最高機関立法府が、国民のために委員会を開会するための規定なのであります。
だからこそ、憲政史上最も愚劣にして低劣極まりない首相というべき安倍総理が悪夢のようなと批判する民主党時代の予算委員長、前田武志委員長、柳田稔委員長、石井一委員長のお三方は全員、開会要求を受け数日以内に、すなわち直ちに委員会を開会したのであります。
思うに、民主制における国民の最大の悪夢は、唯一の国民代表機関である国会の委員会が開会されないことであります。国民の幸せや命が懸かった国政の最重要課題が、本院の第一委員会である予算委員会で安倍総理に対して質疑すらされずに、欺きとごまかしと隠蔽のまま国民生活と経済が破綻に向かう。まさに、予算委員会を開会しない安倍政治こそ、日本国民にとって、日本の民主主義にとって悪夢そのものなのであります。
しかし、この悪夢を封じるための、この上なく大切な、かけがえのない議院規則を、金子委員長は破ってしまったのであります。
今日に至る経緯を申し上げます。
要求書の提出から四日後の四月十六日に、金子委員長から野党提出会派に対し、筆頭間で協議してほしいと回答がありました。ところが、何とそこに居合わせた与党理事からは、仮に開会しても我々が出席しなければ定足数が足らず委員会は開会できませんよねといった暴言がなされたのであります。
そして、理事懇談会では、協議が始まったのは、開催要求から一か月以上もたった五月二十三日です。この日を含め、これまでに理事懇が六回開かれました。この一連の協議の中で、六月七日に与党からは、総理の日程確保の都合上、十九日か二十六日の集中審議の可能性が提示されました。しかし、十九日は党首討論の予定日、二十六日は会期終了予定日であります。このようなふざけた提案を我々立法府は到底認めようがないのであります。
こうした参議院選挙前には何が何でも絶対に予算委員会には出席したくないという総理の御意向を受けた与党の提案に対し、我々は他の日程の検討を金子委員長に要請しましたが、結局、委員長は応えてくださらなかったのであります。
そして、十二日には、与党より、集中審議はできない、一般審議について検討するとの発言があり、それが十四日には、一般審議もできないとの回答に至ったのであります。
我々は、この会期末を見据えての国会と国民を弄ぶかのような与党の姿勢に抗議し、何度も金子委員長に開会を求めました。しかし、金子委員長は、混乱が目に見えている中で委員会を開くわけにはいかない、すなわち、その心は、開会しても与党議員が出席するつもりがないのだから委員会を開くわけにはいかないとの旨を述べ、開会を決断しなかったのであります。
ここで、さきに申し上げた議院規則三十八条の趣旨に鑑みるならば、金子委員長の法的責務は、まさに職権を行使して断固として委員会を開催することのみにあるのであります。
議院規則とは、憲法五十八条に定める国会の自律権そのものとして憲法上に明記されているものであり、規則違反はこの自律権そのものを踏みにじる暴挙なのであります。一見明白な議院規則の規範性を破棄することは立法府自らがその自律権を放棄することであり、それは、行政権や司法権が国会を軽視し無視することにつながりかねない、まさに三権分立の存立そのものを脅かす問題なのであります。
そして、まさに今から六年前、安倍政権によって我が参議院の……