大塚耕平の発言 (本会議)

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○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表して、ただいま提案のありました内閣総理大臣安倍晋三君の問責決議案に賛成の立場から討論を行います。
 初めに、先週の日本海沖地震で被害に遭われた皆様を始め、東日本大震災ほか、過去の災害の影響でいまだに避難生活をしている皆さんに改めてお見舞いを申し上げます。国会として全力を尽くしてまいります。
 国民民主党は、結党宣言の中に、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求することを明記しました。日本の政治にその三つが足りないと実感しているゆえです。以下、その観点から賛成理由を申し述べます。
 第一に、正直な政治に照らし、安倍総理、閣僚及び霞が関の言動が、昨今余りにも不正直だからです。金融審議会の老後貯蓄二千万円報告書問題は、不正直さが幾重にも積み重なった結果と言えます。
 そもそも、マクロ経済スライドを導入した二〇〇四年の年金制度を百年安心と表現していることが不正直です。去る六月十日の決算委員会で総理に申し上げたように、この百年安心は、制度の安心であって国民の安心ではありません。そのことを正直に認めないから今回の事態に至ったのです。
 マクロ経済スライドという用語で国民を煙に巻いていますが、平易に表現すれば、要するに、年金の資金繰りが厳しくなったときには政府が国民の年金受給額を引き下げることができる制度です。つまり、年金引下げ制度。だからこそ、制度が百年安心なのは当たり前。一方、それは国民の老後の安心ではないことを正直に認めるところから本当に意味のある国会の議論が成り立つのです。
 それをつい正直に認めてしまった金融審議会報告書を受け取らないという暴挙。報告書を受け取るように金融担当大臣を指導することが総理が本来取るべき行動です。正直な報告書を認めない、受け取らないという不正直な対応を看過したことは、それだけで問責に値します。
 老後貯蓄二千万円問題に絡む金融庁の姿勢にも付言しておきます。金融担当大臣問責決議の討論において大門実紀史議員が指摘したとおり、この報告書が、家族のため、自らの老後のために貯蓄をしようとする国民に対し、金融資産への投資誘導を行おうとする意図が内在していることは私も感じていました。書いてあることは正直であっても、その目的に純粋さが欠けていたからこそ、このような騒動になったものと考えます。
 後日、金融庁に、審議会委員の中に金融機関の顧問等の地位にある者がいたか否かを改めて確認します。そういう委員が含まれていれば、利益誘導等の意図があったと疑われても仕方のない内容であることを指摘しておきます。
 さらに、この老後貯蓄二千万円騒動の真っただ中、財務省の財政制度等審議会が取りまとめた建議において、原案に、将来の年金給付水準の低下が見込まれる、自助努力を促すことが重要と記されていた部分を最終案で削除したことが明らかになりました。霞が関のそんたく、隠蔽、改ざん、捏造体質にはあきれるばかりです。
 年金財政検証に関する不正直さも指摘しておきます。
 年金財政検証の結果は既に出ていると推察します。結果は正直に公表する、事実を国民並びに国権の最高機関である国会に公開、報告し、事実を共有する、そこから民主主義は始まるのです。総理や政権の意向をそんたくさせ、霞が関が事実を隠蔽、改ざん、捏造する状況を放置するようでは、とても民主主義国家の首班の座を委ねるわけにはいきません。
 年金財政検証に関して、一つ指摘しておきます。
 所得代替率五〇%はいずれ維持できなくなるでしょう。今回の検証でも、前提の置き方によっては既に五〇%維持は困難だと思います。どのような不正直な捏造や操作を行って五〇%維持を糊塗するのか。そのことを多くの国会議員や専門家が凝視していることを忘れないでください。
 少子高齢化の進展の中で公的年金制度の運営が容易でないことは、党派を問わず認識を共有しているはずです。事実を明らかにし、正直な年金改革のための議論を一刻も早く超党派で開始することを提案しておきます。
 第二に、偏らない政治の観点からも、総理の政権運営は問責に値します。
 特定の人、特定の組織の利益のために政治を行ったり、特定の意見だけが正しいという傲慢な姿勢で政治を行うことでは、より多くの国民の皆さんの納得を得ることはできません。ましてや、事実を隠蔽、改ざん、捏造して利益誘導するようでは、不正直な上に、偏った政治を行うことになり、民主主義の危機と言わざるを得ません。
 国家戦略特区をめぐる不祥事が典型例です。規制緩和によって利益を得る利害関係者を検討過程に関与させ、さらに、政府の検討ワーキンググループの責任者が当該事業者から報酬をもらい、しかも、その事実を隠蔽、改ざん、捏造する事態にはあきれるばかりです。
 これを腐敗と言わずして何と言うのでしょうか。腐臭が漂っています。総理自身はあずかり知らない話だというのであれば、そういうやからを一掃することが民主主義国家日本の総理のあるべき姿です。
 人事権を振りかざして偏った政治を行い続けていることが、官僚を劣化させています。偏った政治を行う政権の走狗となって、隠蔽、改ざん、捏造に加担するそんたく官僚には、官僚としての矜持はどこに行ったのかと諫言しておきます。
 今からでも遅くはありません。心ある官僚諸氏には、今回の案件のみならず、森友事件、加計学園を含む国家戦略特区等に絡む不公正な事実や対応を良心に従って速やかに明らかにすることを勧めておきます。
 第三は、現実的な政治です。
 イージス・アショア配備計画をめぐり防衛省調査報告書の重大な誤りが発覚した問題は、計画のずさんさを露呈しました。グーグルアースの縦横の縮尺の違いに気付かなかったというお粗末さには驚きます。初歩的ミスの背景には、初めに結論ありきの検討のため、形だけの調査でやり過ごそうとした実態がかいま見えます。
 イージス・アショアの調達コストは、当初の一基八百億円から千三百四十億円に膨張し、二基で二千六百八十億円。さらに、維持運用費を加えると総額四千六百六十四億円。これに、日米共同開発の迎撃ミサイル一発四十億円、一基二十四発搭載で九百六十億円、二基で千九百二十億円、総額五千五百八十四億円。そこに更に施設建設費や土地整備費などが加算されます。
 より低コストで機動力のある海上自衛隊のイージス艦を増強した方が合理的かつ現実的ではないでしょうか。何かをそんたくし、事実を隠蔽、改ざん、捏造してまで非現実的な選択に固執するようでは、その責任者である総理を問責せざるを得ません。
 非現実的対応は経済政策の面でも見られます。
 異常な金融緩和を柱としたアベノミクス。二年で日銀のマネタリーベースを二倍にし、物価上昇率を二%にすれば全てが好転するとして、合理的根拠のない政策を日銀総裁と共に強行して六年。既にマネタリーベースは四倍を超え、日銀が大量の国債やETFを保有する異常な事態に至っています。
 そこまでやっても、安倍政権下の経済の現実は、自ら行った、前回、二〇一四年の年金財政検証の標準シナリオである物価上昇率一・二%、実質賃金上昇率一・三%に遠く及ばず、物価上昇率は〇・九%、実質賃金上昇率はマイナス〇・六%にとどまっています。
 非現実的な政策を行ったてん末としてのこの現実。今や現実的な出口戦略は見出せず、後世、総理と日銀総裁が糾弾される事態とならないことを祈るばかりです。
 総理は、第一次政権発足以前から戦後レジームの脱却をうたい、二〇一三年の通常国会施政方針演説で戦後レジームを原点に遡って大胆に見直すと発言しました。戦後レジームの意味するところは、日本の降伏後、GHQ占領下で構築された体制のことを意味するのが一般的です。総理はその文脈で改憲に固執しているようですが、戦後レジーム脱却を目指すならば、もっと別のことに執着していただきたいと思います。
 第一に、対等な日米関係に程遠い日米地位協定の見直し。昨年末に公表した国民民主党の地位協定改定案と軌を一にして、今年一月、駐留米軍にも国内法を適用する姿勢を示したことは一歩前進です。しかし、依然として実態は変わりません。
 第二に、北方四島の返還。三月六日の予算委員会で、総理が北方四島を固有の領土と表現しなくなったことには驚愕しました。
 第三に、三月十日の財政金融委員会で指摘したとおり、GHQの命令で皇籍離脱となった旧宮家問題への対応です。
 歴代最長任期をうかがう長期政権になったにもかかわらず、戦後レジームを脱却するどころか固定化し、不正直で偏った非現実的な政策を続ける総理には、問責をもっていさめるしかありません。
 総理の姿勢は、政権や霞が関に憂慮すべき体質を生み出しています。
 戦前戦後を代表する社会学者、丸山眞男氏は、戦前の政府、軍関係者には、上級者の考えを過度にそんたくする傾向が浸透し、上級者が言ったことだからいい、上級者の命令だから仕方ないという論理、個人の責任を棚上げする心理が形成され、そのことが戦争を招いた一因になったと分析しています。しかも、当事者にはその自覚症状がなく、責任意識が希薄であったと指摘し、丸山氏はこれを無責任の体系と呼びました。
 戦後を代表する評論家、山本七平氏も、空気の論理という概念で日本社会の体質を憂慮しました。異論を唱えることをちゅうちょし、空気に流されてそんたくすることを意味します。
 総理の政権運営姿勢が無責任の体系や空気の論理をほうふつとさせる状況を強めていることを指摘し、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

発言情報

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発言者: 大塚耕平

speaker_id: 4047

日付: 2019-06-24

院: 参議院

会議名: 本会議