奥野総一郎の発言 (憲法審査会)
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○奥野(総)委員 立国社の奥野総一郎でございます。
前々回ですか、視察の報告をさせていただきましたけれども、若干補足等をさせていただきたく、発言の機会をいただきました。
これまで緊急事態条項については、各国の情勢を見て、我が国憲法にも必要じゃないか、こういう意見が多数出されていますが、一言述べておきたいと思います。
私が訪れたのはドイツとウクライナなんですが、確かに両国にも、いわゆる緊急事態条項、国家緊急権が規定はされています。
ドイツでは冷戦下の一九六八年、大連立政権によって、まさに政治のディールによって設けられたということでありますけれども、内容をよく見てみますと、法律によらずに命令で国民の権利を制限できるような規定はそもそもありませんし、また、基本的人権、自由権を制限するような規定もほとんどないということであります。また、専ら、非常時の連邦と州の役割分担が書かれておりまして、我が国の国民保護法制、有事法制、あるいは災害時の災害対策基本法に対応するというような印象を受けました。また、メラーズ教授も、民主主義を侵すような形にはなっていないと述べておられたことを強調しておきたいと思います。
それからもう一点、ウクライナ憲法ですが、これは非常に強い権限がありまして、非常事態が布告されると広範に人権を制限できる。憲法上は、通信の秘密や思想及び表現の自由も制限できるつくりとなっています。ヒアリングの際には、そういうことはしないと言っていましたが、憲法の規定には明確に書かれているわけですよね。そのためか、実際に発動されたのは一回だけでありまして、肝心のと言うと変ですが、ロシアとの一番戦闘が激しかった二〇一四年から二〇一五年にかけては、戒厳令は実は出されてないんですね。一番戦闘が激しかった時期には戒厳令は出されていません。
唯一の発動されたのが二〇一八年の十一月二十六日、これは翌年の大統領選挙の直前でありまして、このときに、当時のポロシェンコ大統領は突然、六十日の戒厳令を議会に求めたということであります。
その理由として当時言われたのは、大統領選挙が迫る中で、支持率が低迷を続けているポロシェンコ大統領は、選挙の延期を目的とするために戒厳令を導入したんじゃないかということが当時言われていた。ヒアリングでもそういうふうな、選挙の延期が目的ではないかという意見が確かにありました。
ウクライナの憲法によれば、戒厳令がしかれていれば、選挙も投票もなく、任期が全て自動延長になるということでありまして、この大統領選挙の延期、みずからの任期の延長が目的ではなかったか、こういうふうに言われているわけであります。
結局、議会がある意味機能しまして、戒厳令が、提案どおり六十日じゃなくて三十日、半分に短縮され、しかも、大統領選挙の日程の変更もなく、適用される地域も、全土ではなくて、実際に戦闘が行われているロシア、ベラルーシ、モルドバなどとの国境を接する十州のみとなって可決をされたということであります。短期で、地域も限定しての戒厳令であったということです。
この話から言えるのは、二つあると思うんですが、議員任期の延長は政治的に行われ得るので、やはり、自動的に非常事態の際に議員の任期を認めるような制度は慎重に考えるべきじゃないかという点。それから、議会が機能するような仕組みがあれば、やはり非常事態は不要じゃないか。ウクライナは限定的に戦闘が行われているのでありまして、議会は機能しているわけですから。この二点だと思います。
我が国でいえば、参議院の緊急集会などを活用すれば、あえて議員任期の延長も不要じゃないかということだと思います。
以上、ドイツ、ウクライナの例を見ても、我が国の現行法制で十分であって、いわゆる緊急事態条項について、直ちに日本国憲法の改正が必要だとは言えないと思います。
また、最後に、国民投票法制についても触れておきたいんですが、この前も申し上げましたけれども、国民投票で否決されたイタリアの例について、これもメラーズ教授が、お金の動きを明確にすべきだ、こういうふうにおっしゃっておりました。
アメリカの大統領選挙などの例を見ても、外国政府の干渉を受けたりしないように、我が国の国民投票法制についても、資金の動きの透明化、国民投票運動への資金の透明化を図るべきでありますし、また、外国政府等の運動への寄附を禁止すべきではないかと思います。
さらには、ネット規制についても、ネットについても一定の規制の検討が必要だと思います。
国民投票法制定時、現行法について、制定時には想定されていなかったグローバル化やネット社会が到来しています。地上波のCM規制については、民放連がガイドラインで対処できないということですから、検討することは必要でありますが、それ以外にも、こういったネットや、あるいは資金の透明化、外国人の関与のあり方について、抜本的な見直しが、国民投票法、必要じゃないかと思います。
ぜひ、公正な投票結果を得られるように、こうした点にも議論いただきたいし、そうした論点を盛り込んだ我が党の国民投票法案の並行審議を求めてまいりたいと思います。
以上です。