上川陽子の発言 (憲法審査会)

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○上川委員 自由民主党の上川陽子です。
 先般の自由討議の中で、北側委員から、ドイツを始め多くの国では、法律でできるような事項まで憲法に書き込まれており、そのため憲法改正が多くなっているのに対し、日本国憲法は、基本的な理念を簡潔に定め、その詳細は、これに基づく基本法その他の憲法附属法規において定められており、憲法改正のハードルが高いとの御指摘がありました。全く同感でございます。
 日本国憲法は、諸外国の憲法典と比べて、その規律密度が低い、いわゆる簡短概括型の憲法であると言われていますが、改めて、その特性についてしっかりと認識すべきと考えております。
 また、ウクライナ憲法改正に関しまして、森団長より、総則規定や憲法改正手続規定などの重要事項に関する改正につきましては国民投票が必須であるのに対し、他の改正事項につきましては国民投票が不要であるなど、改正手続が簡素化されているとの紹介もありました。改正の内容の重要性によりまして複数の憲法改正手続を定めているということにつきまして、大変興味を感じました。
 国の基本法である憲法でございます。歴史、伝統、文化、密接不可分であるということで、改めて、我が国においての憲法論議、憲法改正のプロセス、我が国なりのやり方についてしっかりと見定め、改正の議論を進めていく必要があると考えております。
 前回、辻元委員から、私の発言を引用しつつ、現行憲法に対する評価について与野党の共通認識を形成すること、そして国民と政治の信頼関係をつくることが憲法審査会における議論の土台である旨の発言がございました。私の発言に理解を示していただきまして、光栄でございます。
 そこで、与野党の枠を超えた共通認識を形成するという観点から、憲法審査会で今後の議論を進めるに当たり、一つの問題提起をしたいというふうに考えております。
 日本国憲法のように、条文の抽象度が高いとともに条文数が少ない簡短概括型の憲法におきましては、国の形は、憲法典と憲法附属法規や一連の基本法などの総体から成る生きた憲法、いわゆるリビングコンスティチューションとしてあらわれます。したがいまして、時代の変化に向き合うための法制度の制定や見直しに当たりましては、基本法等の法律レベルの制定、改正で対応するのか、更に進んで憲法典の改正まで行うのか、悩ましい判断が常につきまとうわけでございます。
 そもそも、憲法審査会におきましては、国会法で、日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うことがこの憲法審査会の所掌事務の一つとして規定されているということに鑑みますと、基本法その他の憲法附属法規につきましても、大いに議論を闘わせることが重要ではないかというふうに考えております。
 時間で非常に恐縮でございますが、二点、具体的な法律に照らしてこのことを申し上げたいと思いますが、まず、犯罪被害者等基本法でございます。
 これは、故保岡興治先生とともに犯罪被害者等基本法の制定に、私、携わらせていただきました当時、実際の現場では、被害者の人権は守られていなかったと言ってもいいくらいの状況でございました。犯罪被害者の皆さんの視点に立った施策の実現のために、「犯罪被害者等の権利利益の保護」の重要な文言を前文及び第一条に盛り込みました。最終的には基本法レベルに落ちついたものの、立案時には、犯罪被害者等の権利は憲法事項ではないかとの議論がなされました。
 もう一つの題名は、まあ題名は基本法ではございませんが、公文書管理法もまた重要な憲法附属法規の一つであると考えております。
 公文書管理法は、立法、行政及び司法の国家機関について公文書の適正な管理等を定めるものでありまして、国民の知る権利や政府の説明責任といった憲法上の権利や原則に密接にかかわることは御承知のとおりでございます。
 例えば、スウェーデン、ベルギーでは公文書へのアクセス権が憲法典に規定されておりまして、我が国におきましても、法律事項にとどめるべきか憲法事項とすべきかは大いに議論の余地があるのではないかというふうに考えます。
 日本国憲法の規律密度の低さが、柔軟性の観点では長所でありますが、権力制限規範としての実効性の観点からは短所となってあらわれる例も見られるようになっているところでございますので、立憲主義の観点から、具体的な論点に関して、憲法事項と法律事項の区分及びその連関につきまして議論を行うべきではないか、これが私の問題提起でございます。
 ありがとうございます。

発言情報

speech_id: 120004183X00420191128_028

発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2019-11-28

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会